
採用代行の相場を徹底解説!費用対効果を高めるためのポイント
採用代行(RPO)は、人材採用業務を外部委託するサービスです。人材不足や採用競争激化を背景に、その需要は高まっています。しかし、導入を検討する際、気になるのが費用相場。この記事では、採用代行の費用相場を徹底解説し、費用対効果を高めるための重要なポイントをご紹介します。自社に最適な採用代行を選ぶために、ぜひ参考にしてください。
採用代行(RPO)とは?
採用代行、すなわちRPO(Recruitment Process
Outsourcing)は、企業の人材採用プロセスの一部または全部を、専門の外部業者へ委託する形態を指します。これは採用アウトソーシングとも呼ばれ、企業の人事部門の業務負担軽減や、採用活動の効率化と質の向上を目的として導入されています。人材の確保が困難になっている昨今、採用手法も多様化しており、採用代行の需要は増加傾向にあります。
採用代行(RPO)が求められている背景
採用代行(RPO)が重要視されている背景には、主に以下の要因が考えられます。
- 人材不足による採用競争の激化:少子高齢化が進み、労働力人口が減少する中で、企業が優秀な人材を獲得することが難しくなっています。人材が不足している企業は増加傾向にあり、採用を成功させるには、より専門的な知識や経験が不可欠です。
- 採用チャネルの多様化による業務量の増加:採用の難易度が増すにつれて、企業はターゲット層に合った人材を集めるために、様々な採用チャネルを利用する必要があります。求人広告の作成や人材紹介会社への依頼だけでなく、ダイレクトリクルーティングサービスの検討やスカウトメールの送信、カジュアル面談の実施など、採用担当者の業務負担は増え続けています。
- 採用期間の長期化:求職者にとって有利な状況が続いているため、応募者は複数の内定を得やすい状況です。そのため、企業が内定を出しても実際に入社に繋がらないケースも多く、採用活動が長期化する傾向が見られます。
これらの問題に対処するために、採用代行(RPO)を活用することで、専門的な知識やノウハウを有する外部の専門業者に採用業務を委託し、採用の質とスピードを向上させることが期待できます。
採用代行(RPO)の最新動向と今後の展望
採用代行サービスは、企業の採用活動をサポートする手段として、近年ますます注目されています。最近では、AI技術を活用した候補者の絞り込みや、オンライン面接システムの普及が進み、採用活動の効率化が加速しています。技術革新により、採用代行のサービス内容も高度化し、企業のニーズに合わせた柔軟なサポートが実現可能になっています。
採用活動の高度化と人材確保の難易度の上昇により、採用代行へのニーズは今後も増加すると予想されます。企業の競争力を維持するためには、最新の採用トレンドを把握し、最適なサービスを効果的に活用することが重要となります。
採用代行(RPO)の種類
採用代行(RPO)サービスは、提供する事業者によって特徴が異なり、主に以下の4つのタイプに分類できます。
- オペレーション業務特化型
- 採用戦略設計・コンサルティング特化型
- 総合型
- 特定の業界・業種・領域特化型
オペレーション業務に特化した代行
このタイプは、主な業務内容は、スケジュール調整やスカウトメールの配信など、採用活動における事務的な作業の代行です。企業が定めた要件に基づいて業務を遂行することが中心となります。予算を抑えたい企業や、採用戦略は自社で立てられるものの、人員が不足している企業に最適です。
ただし、サービス提供事業者が、意図せず事務作業に偏ってしまうケースも見られます。採用活動は元々、作業的な要素が大きいため、事業者側の姿勢として、戦略立案や改善提案が不十分だと、結果的に単なる業務代行で終わってしまう可能性があります。
採用戦略設計・コンサルティングに特化した代行
採用代行(RPO)事業者独自の専門知識や経験を活かし、戦略の立案、現状分析、改善提案に重点を置いたサービスを提供します。事務的な作業は自社で対応できるものの、採用に関する課題を解決するための有効な手段が見つからない場合や、自社に専門知識が不足しており、採用力を向上させたい企業に推奨されます。
総合的な代行
戦略設計やコンサルティングに強みを持つ採用代行(RPO)事業者が、オプションとして事務作業の代行機能を提供している場合や、大規模な採用案件を中心に、複数名のチームを編成して支援を行う代行事業者の場合、戦略設計と事務作業の両方の機能を備えていることが多いです。採用活動を完全に外部委託することを検討している企業や、大規模な採用活動を実施している企業に適しています。
特定の業界・業種・領域に特化した代行
エンジニアやDX人材の採用、飲食業界の採用など、採用代行(RPO)会社が特定の分野に特化しているケースもあります。この場合、担当となるコンサルタントが、その分野に関する深い知識や経験を持っていることが多いです。様々な職種を採用しているものの、特定の分野の採用に苦戦している企業や、人事担当者がその分野に関する知識を持っていない企業に最適です。
採用代行(RPO)で依頼できる業務範囲
採用代行(RPO)サービスでは、以下の9種類の業務を依頼することが可能です。
- 採用計画の策定とKPI設定
- 求人広告の作成と掲載(母集団形成)
- 応募者情報と応募書類の管理
- 応募書類の選考(スクリーニング)
- スカウトメールの作成と送信
- 選考スケジュールの調整
- 会社説明会の実施
- 面接の代行
- 内定承諾後のフォローアップ
これらの業務を外部に委託することで、社内の採用担当者は日々の業務負担を軽減し、より戦略的な活動に注力できます。
1. 採用計画の策定とKPI設定
求める人物像の明確化、採用戦略の立案、そして採用活動のKPI(重要業績評価指標)の設定を行います。採用計画を策定するにあたり、代行会社は企業側のニーズや要件を丁寧にヒアリングし、募集職種、必要なスキルや経験、採用人数、採用時期などを把握した上で、具体的な採用目標を設定します。豊富な経験と知識を持つ代行業者に依頼することで、企業に合った最適な採用計画と戦略を立てることが可能になります。
業務例:
- 採用要件の定義
- 採用戦略の策定
- KPIの設定
2. 求人広告の作成と掲載(母集団形成)
母集団形成を目的とした魅力的な求人広告を作成し、適切な媒体に掲載します。求人広告は企業の魅力を効果的に伝え、応募者を惹きつける必要があり、採用の専門家に任せることで応募者数の増加が期待できます。また、複数の求人媒体や人材紹介サービスを利用している企業にとっては、これらの業務を一括して委託できるため、時間とコストの両方を削減できます。自社に最適な採用媒体の選定も依頼可能です。
業務例:
- 求人広告の作成と掲載
- 採用媒体の選定
- 求人広告の効果測定
3. 応募者情報と応募書類の管理
応募者情報と応募書類の管理は、採用活動における最初のステップです。メール、オンラインフォーム、求人サイトなどから集まる応募情報を収集・整理し、履歴書、職務経歴書、面接のスケジュール、応募者の連絡先などの重要情報を標準化してデータベースを構築します。定型的な業務であるため、採用代行(RPO)サービスの中でも特に多く利用されています。
業務例:
- 応募者情報の収集と整理
- 応募書類の管理
- 応募者データベースの構築
4. 書類選考(スクリーニング)
多くの応募が予想される企業にとって、応募書類のスクリーニングは非常に時間のかかる作業です。スキルと企業のニーズとのマッチング、経験の評価、面接に進む候補者の絞り込み、応募者へのオンラインでの質問やテストなど、様々な方法が存在します。採用代行会社と書類選考の基準を共有することで、より効率的な選考が実現します。
業務例:
- 書類選考基準の作成
- 応募書類のスクリーニング実施
- 選考結果の通知
5. スカウトメール作成・送信
ダイレクトリクルーティングを行う際、スカウトメールの作成と送信を外部委託することも可能です。転職を積極的に考えていない潜在層にもアプローチすることで、採用活動を加速させることができます。候補者の数が多かったり、一人ひとりに合わせた丁寧な対応が必要となるこの業務は、煩雑になりがちですが、採用代行会社に依頼することで解決できます。採用代行会社は、企業との密な連携を通じて、スカウトメールの目的と目標を明確にし、独自のデータベースや求人サイト、ビジネス向けSNSなどを活用して、企業が求める人材を探し出します。
業務例:
- スカウト対象者の選定
- 魅力的なスカウトメールの作成・送信
- スカウトメールの効果測定と改善
6. 選考日程調整
選考過程における煩雑な日程調整業務も、採用代行会社に委託できます。メールや電話を用いて候補者と面接官の都合の良い日時を調整し、当日の詳細情報を連絡するなどの業務を代行します。スムーズな面接予約プロセスは、候補者の満足度向上に繋がり、候補者と面接官双方の時間と労力を最適化します。
業務例:
- 候補者との日程調整
- 面接官との日程調整
- 選考場所の手配・確保
7. 説明会の実施
新卒採用や中途採用において実施される会社説明会の代行も、採用代行(RPO)サービスで対応可能です。事前に採用代行会社と企業の採用担当者が、綿密な打ち合わせを行い、認識のずれがないようにします。説明会で使用するスライドやプレゼンテーション資料の作成、参加者の募集告知、当日の運営なども代行可能です。
業務例:
- 説明会資料の企画・作成
- 説明会の告知・集客活動
- 説明会の実施・運営
8. 面接の委託
社内に十分な人材がいない、あるいは面接スキルに自信がない場合、面接業務を外部に委託するのも有効な手段です。専門の代行会社が、貴社のニーズに合わせて面接プロセスを最適化します。面接の形式、質問内容、評価基準などを綿密に打ち合わせ、決定・実行します。求める人材像に合致する情報を的確に収集し、その結果を詳細なレポートとして企業に提供します。さらに、実際の面接に同席して目線合わせを行ったり、合否判断のサポート、人事担当者へのアドバイスなど、コンサルティングに近い形で代行業者を活用することも可能です。
業務例:
- 面接官業務の代行
- 面接評価の実施
- 採用可否の判断支援
9. 内定者フォロー
内定を出した後も、内定者に対するフォローを代行してもらうことができます。
企業からの歓迎メッセージの送付、入社日やオリエンテーションの日程、契約条件、給与体系といった重要な情報の提供、必要な書類手続きのサポートなどを行います。内定者とのコミュニケーション状況は、随時企業側に共有されます。内定辞退者を減らすためには、内定者との継続的なコミュニケーションが不可欠です。
業務例:
- 内定者への定期的な連絡と情報提供
- 内定者懇親会の企画・運営
- 入社に向けた準備のサポート
採用代行(RPO)導入のメリット
採用代行(RPO)を導入することで、企業は次のような利点を得られます。
- 採用能力の強化
- 本業への集中
- 退職や休職が発生した場合でも、迅速なリソース補充が可能
- 人事部門の人件費を最適化できる
- 応募者数の増加
- 選考プロセスの改善
- 社内コミュニケーションの円滑化
- 業務量の削減
採用能力の強化
採用代行業者は、多くの企業の採用活動を支援してきた豊富な経験と知識を持っています。採用市場の動向や効果的な採用手法に関する情報にも精通しています。そのため、自社が求める人材像を明確に伝えることで、最適な媒体選定、ターゲットに響く募集文の作成、採用活動全体の改善に関するアドバイスを受けることができ、結果として理想の人材採用の成功率を高めることができます。
本業への集中
採用業務を外部委託することで、社内の採用担当者の負担を軽減できます。採用業務は、採用戦略の策定、求人媒体の選択と運用、応募者とのやり取り、面接の実施、内定者へのフォローなど、非常に広範囲に及びます。これらの業務の一部を外部に委託することにより、社内ではより優先順位の高い業務に集中することが可能になります。
急な担当者不在時にも迅速に対応可能
社内の人事担当者が予期せず退職や休職する場合でも、採用代行サービスは有効な解決策となります。担当者の退職や休職が決定してから、必要なスキルを持つ後任を採用し、実際に業務を開始するまでには時間がかかります。採用活動が長引く場合、数ヶ月単位での遅延も考えられます。しかし、採用代行サービスの中には、最短で1週間程度で業務を開始できるものもあり、迅速なリソース確保が可能です。
人事に関わる人件費を柔軟に調整
人事部門の業務量は、採用目標の数や入社式、年末調整といった季節的な要因によって大きく変動します。採用目標人数が増加した際や繁忙期に合わせて人事担当者を増員すると、年間を通して人件費や関連コストが増加してしまいます。採用代行サービスには、1ヶ月から3ヶ月といった短期契約が可能なものもあるため、繁忙期のみ利用することで、人件費を効率的に最適化できます。
応募者数増加
独自のノウハウを持ち、戦略立案や改善提案に強みを持つサービスの場合、応募者数不足の原因を的確に分析し、精度の高い仮説を立てることが可能です。スカウト活動や人材紹介会社との連携実績も豊富で、スカウトの返信率を上げる方法や人材紹介会社からの応募数を増やす方法など、具体的な改善策を提案できます。
選考過程の最適化
戦略立案や改善策の提案に特化したサービスであれば、単に候補者を集めるだけでなく、選考プロセスに関する専門知識も持っていると考えられます。例えば、書類選考にかかる時間を短縮する施策の提案や、内定承諾率を高めるための改善案、サービスによっては、面談や面接の内容に対する改善提案まで期待できるでしょう。
社内連携の円滑化
特定の分野に強みを持つ企業や、コンサルティングを強みとする事業者の場合、現場のニーズをヒアリングする際に、他の企業の成功事例を参考にしながら客観的な提案をしたり、定量的なデータに基づいて必要な提案をするといった対応が期待できます。これにより、現場との連携がスムーズになり、採用活動にかかる時間を短縮したり、適切な求人情報の作成につながります。
業務量の削減
業務代行に特化したサービス、または戦略設計と業務代行の両方に対応したサービスを利用することで、採用活動に伴う業務量の増加を抑えることが可能です。
採用代行(RPO)を利用する際の注意点とデメリット
採用代行(RPO)は多くの利点がある一方で、以下のような注意点とデメリットも存在します。
- 依頼開始時の調整作業
- 費用が想定より高くなる可能性
- 自社に採用に関する知識や経験が蓄積されにくい可能性
- 代行費用がかかる
- 候補者との直接的な接点が少なくなる
- 認識のずれが生じるリスクがある
- すべてを委託すると、自社に採用ノウハウが残らない
依頼開始時のすり合わせ
採用代行サービスを利用する際には、企業が求める人物像や現状の採用プロセスなど、様々な情報を共有する必要があり、この初期段階での調整に一定の時間を要します。採用代行会社に対して、自社の採用に関する情報や業務内容を正確に伝えなければ、理想とする人材像とのミスマッチが生じ、採用活動全体に悪影響を及ぼす可能性があります。
費用超過の可能性
採用代行サービスの利用には費用が発生します。期待どおりに企業に適合する人材を速やかに確保できれば良いですが、適切な人材の発見が困難な場合、採用活動が長期化し、結果として採用コストが増加する可能性があります。人材採用にかかる期間、代行サービスへの委託費用、求人媒体への掲載費用などを総合的に考慮し、企業の予算内で対応可能な代行業者を選ぶことが重要です。
採用に関する知識・経験の不足
採用代行サービスに業務を委託した場合、自社内に採用に関するノウハウが蓄積されにくいという側面があります。自社で採用活動を行うことで、採用担当者の経験値向上や、ノウハウが資料として社内に蓄積されることが期待できます。しかし、代行サービスを利用する場合、どのような採用活動が行われ、どのような結果が得られたのか、将来的にどのような改善が必要なのかといった情報が、企業内で共有されない場合があります。
委託費用について
採用業務を外部に委託する際には、それに見合った費用が発生することを理解しておく必要があります。特に、高い実績を持つ代行会社ほど費用も高くなる傾向があるため、十分な予算を確保した上で検討することが推奨されます。一方で、自社で採用担当者を育成するコストや、人事部門の人件費増加といった負担を軽減できるという利点も考慮すると、必ずしも高額とは言い切れません。自社にとってのコストメリットを慎重に検討し、総合的に判断することが重要です。
応募者との関係性が希薄になる懸念
採用業務の一部または全部を外部の代行サービスに委託する場合、応募者と直接的な接点を持つ機会が減少し、良好な関係性を築きにくくなる可能性があります。代行業者は貴社の社員ではないため、連携が不十分な場合や、担当者の質によっては、企業の魅力や社員の個性を十分に伝えられないことがあります。その結果、入社後のミスマッチが生じる可能性も否定できません。これを避けるためには、代行業者に全てを任せるのではなく、選考が進むにつれて、企業側からも積極的に応募者とコミュニケーションを取ることが重要です。
意思疎通の不足による誤解
採用代行サービスは効率的ですが、依頼する業務の範囲や求める人物像について、企業と代行業者間で明確な共通認識を持つことが不可欠です。認識のずれが生じると、「依頼したはずの業務が含まれていなかった」、「期待するスキルや経験を持った応募者が集まらない」といった問題が発生する可能性があります。このような事態を防ぐために、契約前に業務範囲や求める人材の要件を詳細に定義し、代行業者と定期的に情報交換を行うことが大切です。
委託依存によるノウハウ喪失
採用の専門家が業務を代行するため、効率的な採用活動が期待でき、時間や労力を削減できますが、全てを代行業者に委ねることは推奨されません。その理由は、自社内に採用に関する知識や経験が蓄積されないためです。採用代行サービスを、採用活動に関するアドバイスやサポートとして活用することで、自社の採用力を高め、将来的に内製化を目指すことが重要です。
採用代行(RPO)の費用概算
採用代行の費用は、料金体系、採用する人材の職種や雇用形態、そしてサービスの提供形態によって大きく変動します。実際の費用は、採用人数や依頼する業務範囲、委託する業者によって異なるため、以下に示す金額はあくまで参考として捉えてください。
料金体系別の費用相場の違い
採用代行サービスの料金設定は、主に以下の3つの方式があります。
- 月額固定料金型
- 変動料金型(従量課金型)
- 成功報酬型
1. 月額固定料金型
事前に定められた業務範囲内で、業務量に関わらず毎月一定の料金が発生する料金体系です。料金が変動しないため、毎月の採用予算が明確な場合に適しています。業務内容の調整が比較的容易で、採用プロセス全体を考慮した代行や、専門的なアドバイスを受けやすいのが利点です。
2. 変動料金型(従量課金型)
依頼した業務量に応じて料金が変動する料金体系です。必要な業務のみを依頼できるため、特定の採用プロセスに課題がある場合や、特定の業務に時間がかかっている場合に有効です。業務ごとに料金が細かく設定されており、無駄なコストを抑えやすいのが特徴です。ただし、業務内容の変更が難しい場合や、部分的な最適化に留まる可能性がある点に注意が必要です。
3. 成功報酬型
この料金体系を採用しているサービスは多くありません。しかし、応募者の数、面接の設定数、最終的な採用数といった明確な成果が出た場合に料金が発生する、あるいは事前に設定した目標成果に達しなければ料金を返金するという仕組みが特徴です。企業にとっては、比較的リスクを抑えて導入できるという利点があります。ただし、成果の基準を応募者数や面接設定数に設定してしまうと、どうしても数ばかりを追い求めてしまい、結果として企業が本当に求める人材とは異なる応募者が増え、かえって業務負担が増加する可能性がある点に注意が必要です。
採用代行(RPO)を効果的に活用するためのポイント
採用代行を最大限に活用するためには、以下の3点を意識することが大切です。
- 自社の採用要件を明確にする
- 中核業務への集中体制を構築する際に検討する
- 採用戦略を根本的に見直したい場合に検討する
自社の採用要件を明確にする
どのようなスキルや経験を持つ人材が必要なのか、どのような企業文化に合う人材を求めているのかを明確にしなければ、理想的な人材を見つけることは困難です。外部への委託は有効な手段ですが、自社のニーズが曖昧な場合、経験豊富な委託先でも期待どおりの結果を得られない可能性があります。委託先との綿密な打ち合わせや、社内での十分な検討を通じて、求める人物像を具体的にすることが重要です。
コア業務に集中する体制へ移行する際、利用してみる
組織の効率化を図るタイミングで採用代行の利用を検討するのも有効です。人員削減や配置転換によって人件費を抑制しつつ、採用代行を活用することで人事部門の規模を縮小できます。最終選考や候補者との直接的なやり取りは自社の採用担当者が行い、それ以外の業務を外部に委託することで、採用活動全体の効率化を図ることができます。
採用プロセスを見直したい時に検討すべきこと
採用活動を根本的に見直す必要がある場合、外部への委託は有効な手段です。もし、「これまで自社で採用活動を行ってきたものの、なかなか成果が出ない」と感じているのであれば、一度専門家の視点から採用プロセス全体を評価してもらうことをお勧めします。業務を外部に委託し、体制を再構築したり、専門家から研修を受けたりすることで、採用活動を新たな方向へと導くことができるかもしれません。
採用代行サービスを選ぶ際の重要な点
採用代行サービスを選ぶ際には、以下の3つのポイントを重視しましょう。
- 採用に関する専門知識と実績があるか
- 自社と類似した企業での実績があるか
- 情報セキュリティ対策が徹底されているか
採用に関する専門知識と実績があるか
採用代行サービスを提供する企業は多数存在しますが、その背景は様々です。中には、別の事業を主軸としながら、「収益性が高そう」という理由で採用代行サービスを開始している企業も見られます。自社の採用業務を委託するのであれば、できる限り「人材の専門家」「採用の専門家」に依頼する方が成功の可能性は高まります。重要な「人材採用」の業務であるため、費用や手軽さだけでなく、採用に特化した専門性を持つ企業を選ぶことが重要です。
自社と類似した企業での実績があるか
自社と類似した規模の企業での実績、または同業種での実績があるかどうかを確認することが重要です。実績のない企業に安心して任せることは難しいでしょう。そのため、企業の導入事例などを確認し、どのような実績があるのか、十分な実績があるのかどうかを事前に確認することをお勧めします。
情報セキュリティ対策は万全か
採用活動を外部に委託する際、応募者の履歴書や職務経歴など、非常に多くの個人情報を取り扱うことになります。そのため、個人情報保護に関する適切な体制が整備されているかを確認することが不可欠です。例えば、プライバシーマーク(Pマーク)を取得している企業を選ぶことは、情報セキュリティ対策が一定水準以上であることを示す指標となります。採用業務のノウハウが豊富であることはもちろん重要ですが、個人情報の取り扱いがずさんな企業に業務を委託することはリスクを伴います。情報漏洩などの事故が発生した場合、企業としての信頼を大きく損なう可能性もあります。委託先の情報セキュリティ対策については、事前にしっかりと確認しておくことが重要です。
採用代行(RPO)導入時の留意点
採用代行サービスを利用するにあたっては、契約内容と委託する業務範囲を詳細に確認することが重要です。以下に、注意すべきポイントを詳しく解説します。
- 契約内容と業務範囲の詳細な確認
- 進捗状況の管理と報告体制
- 円滑なコミュニケーションの重要性
契約内容と業務範囲の詳細な確認
採用代行を依頼する上で、契約内容は最も重要な確認事項です。一般的に、契約書には以下の項目が含まれます。契約期間と更新に関する条件、料金体系と支払い方法、委託する業務内容とその範囲、秘密保持義務とデータセキュリティ対策、契約解除の条件と違約金などです。また、具体的な業務範囲についても、事前に詳細な確認が必要です。
進捗状況の管理と報告体制
採用活動の進捗管理は、プロセス全体をスムーズに進めるために不可欠です。採用代行会社と連携し、求人広告の掲載状況、応募者数、選考の進捗状況などを定期的に確認しましょう。定期的な確認により、採用スケジュールの遅延を防ぎ、必要に応じて対策を講じることができます。また、報告体制の確立も重要です。進捗報告や定期的なミーティングを通じて、業務の進捗状況、課題点、予算の利用状況などを共有してもらうようにしましょう。
コミュニケーションの重要性
採用代行会社との円滑な情報交換は、プロジェクトの進捗と目標達成に不可欠です。候補者への対応、面接日の設定など、日々の業務におけるコミュニケーションがスムーズに進むよう、定期的な会議や進捗報告の機会を設けることが重要です。これにより、プロジェクトの状況や課題を共有し、必要な調整や改善を迅速に行うことができます。
まとめ
採用代行(RPO)は、人材不足や採用活動の複雑さに直面している企業にとって、有効な解決策となり得ます。この記事で解説した費用概算、業務範囲、選定方法、成功のためのポイントを参考に、貴社に最適な採用代行サービスを選び、採用活動の効率化と質の向上を実現してください。
よくある質問
Q1:採用代行(RPO)とは何ですか?
採用代行(RPO)とは、Recruitment Process
Outsourcingの略称で、企業の人事・採用業務の一部または全部を専門の外部業者に委託するサービスを指します。RPOを活用することで、企業は採用プロセスの効率化、コスト削減、採用の質の向上といった効果が期待できます。
Q2:採用代行(RPO)の費用はどのくらいかかりますか?
採用代行(RPO)の費用は、依頼する業務範囲、契約形態、そして委託する業者によって大きく変動します。一般的に、月額固定型、利用量に応じた課金型、成功報酬型といった料金体系が存在し、それぞれ費用水準が異なります。より正確な費用を知るためには、複数の業者から見積もりを取り、比較検討することをお勧めします。
Q3:採用代行(RPO)導入時の留意点
採用代行(RPO)を検討するにあたり、まず自社の採用における課題を洗い出し、外部に委託したい業務の範囲を明確に定めることが肝要です。加えて、委託先となる業者を選定する際は、過去の実績や専門知識の有無、情報セキュリティ対策のレベルなどを詳しく調査し、安心して任せられる業者を選び抜きましょう。契約の詳細事項や業務の進捗管理方法、業者との連携体制についても、事前にしっかりと確認しておくことが重要となります。


