労働者派遣法とは?基本的な概要と罰則の事例について解説
こんにちは。スキマバイト募集サービス「タイミー」ライターチームです。
人材不足解消のために派遣を利用するケースは多いですが、その際には「労働者派遣法」について理解しておく必要があります。しかし、労働者派遣法は何度も改正されているため、正確な内容を把握していない企業も少なくありません。
この記事では、現在注意すべき労働者派遣法のポイントと、罰則の事例などを紹介します。
目次[非表示]
- 1.労働者派遣法とは
- 2.労働者派遣法が作られた理由
- 3.派遣活用における注意点とできないこと
- 3.1.派遣における注意点・禁止業務
- 3.2.違反した場合の罰則も存在する
- 4.労働者派遣法の過去の改正について
- 4.1.1996年の労働者派遣法改正
- 4.2.1999年の労働者派遣法改正
- 4.3.2000年の労働者派遣法改正
- 4.4.2004年の労働者派遣法改正
- 4.5.2006年の労働者派遣法改正
- 4.6.2007年の労働者派遣法改正
- 4.7.2012年の労働者派遣法改正
- 4.8.2015年の労働者派遣法改正
- 4.9.2020年の労働者派遣法改正
- 5.2021年の法改正が派遣先にもたらす影響について
- 5.1.派遣社員を雇用する際の説明義務がさらに強化された
- 5.2.労働者派遣契約が電磁的記録で作成可能になった
- 5.3.派遣社員からの苦情処理における制度変更
- 5.4.日雇派遣の契約解除の際の措置について
- 5.5.希望聴取の義務化
- 5.6.2021年の労働者派遣法の法改正で派遣先が対応すべきこと
- 6.労働者派遣法に違反するとどうなるか
- 7.労働者派遣法に違反した事例
- 8.派遣ではなくスキマ時間を活用できるタイミーの利用がおすすめ
- 9.まとめ
労働者派遣法とは
労働者派遣法は、派遣従業員を保護するための法律です。概要について解説します。
労働者派遣法とは派遣労働者を保護するための法律
労働者派遣法とは、1968年に施行された法律です。派遣社員は柔軟に働ける雇用形態ですが、正社員に比べると不安定な状況のためつけ込まれやすい弱い立場にあります。そこで労働者派遣事業を適切に実施し、従業員を保護するために労働者派遣法が制定されました。
その歴史は長く、2022年までに複数回の改正が行われ、派遣業における問題の解決に寄与しています。
労働者派遣法は派遣会社だけが理解すればよい法律ではない
労働者派遣法について派遣会社はもちろん、派遣従業員を受け入れる企業もしっかりと理解しておくべき法律といえます。しかし度重なる改正によって、正しく内容を理解できている企業は少ないです。
そのため、知らず知らずのうちに労働者派遣法に違反している可能性も懸念されます。
派遣従業員を守るためにも、最新の労働者派遣法を把握しましょう。
労働者派遣法が作られた理由
労働者派遣法が作られた理由は、派遣従業員が不当に労働力を搾取されないためです。
詳しい理由について、解説します。
派遣労働者が不当に労働力を搾取されないため
労働者派遣事業の運営において、派遣従業員が無闇に搾取されないために策定されました。
派遣従業員は雇用されている身ですが、正社員より低賃金かつ外部の人間であることから弱い立場になっています。
そこで「雇用形態によらない公正な待遇確保」を目的とし、派遣雇用を理由に不当な扱いをされないよう法律で守られています。
派遣活用における注意点とできないこと
派遣活用時に注意することと、禁止されていることについて解説します。またあわせて違反時の罰則を紹介するため、参考にしてください。
派遣における注意点・禁止業務
派遣における注意点は、以下の通りです。
- 派遣契約期間(3年ルール:同じ組織で3年を超えた勤務不可)
- 労働基準法、労働安全衛生法等への対応
- 派遣契約解除時における注意(解除の申し入れ・解除理由の明示)
- 離職後1年以内に派遣従業員として受け入れることの禁止
- 同一労働同一賃金に努める
派遣契約期間は基本3年を超えた勤務ができませんが、部署や事業所の異動・直接雇用に変更などで期間を延長できます。
また、派遣活用で禁止されていることは以下3点です。
- 日雇派遣の原則禁止(60歳以上・学生など例外を除き30日以内の労働者派遣で原則禁止)
- 派遣従業員を特定する行為(性別・年齢などから指定不可・紹介予定派遣以外では面接や履歴書の確認不可)
- 派遣に禁止されている業務に活用する(港湾運送業務・建設業務・警備業務・病院・診療所などにおける医療関連業務・弁護士・社会保険労務士などの士業)
違反した場合の罰則も存在する
受入期間の上限を超えた場合は、違法な派遣となり改善命令が通告されます。派遣先責任者を選任しないケースや派遣先管理台帳を作らなかった際は、30万円以下の罰金や行政指導などが発生するため注意しましょう。
他にも書類上は請負契約なのに実際は労働者派遣だったり、企業が受け入れた派遣従業員を異なる企業に送ったりすると1年以下の懲役または100万円以下の罰金です。
労働者派遣法の過去の改正について
労働者派遣法は、以下のように度重なる改正がありました。1996年から2020年まで各年の改正部分について、解説します。
1996年の労働者派遣法改正
正社員に代替えのできない業務を中心に、もともと許されていた16種に、新しく10の業務を派遣が行えるように改正されました。
「ポジティブリスト方式」が採用され、労働者派遣が可能な業務のみを記載する形に変更してネガティブなイメージの払拭を図った点が1996年の特徴です。
1999年の労働者派遣法改正
労働者派遣が禁止された業務を明記する「ネガティブリスト方式」に変わりました。結果的に禁止された業務以外は、全て派遣で対応できるようになり、業務の幅が広がった点が特徴です。
一方で新たに労働者派遣が可能になった業務に関しては、派遣期間の制限(1年間)が導入されました。
2000年の労働者派遣法改正
正社員への雇用を前提とした「紹介予定派遣」が追加されたことは2000年の改正におけるメリットといえます。
また労働者派遣を実施する前に派遣先と面接が可能となったことで、派遣先と派遣従業員のミスマッチを少なくすることを目指しました。
2004年の労働者派遣法改正
業務の派遣期間が1年から3年に延長されたのが2004年です。ポジティブリストで指定されていた26業務は、派遣期間が無制限になりました。
禁止業務だった「物の製造の業務」は、派遣期間1年の制限で可能となったことで業務の幅が広がりました。
2006年の労働者派遣法改正
禁止されていた医療関係業務への派遣が、2006年に許可されました。しかし対応できるのは産前産後休業・育児休業・介護休業中の労働者の業務と、僻地での就業に限ります。
2007年の労働者派遣法改正
「物の製造の業務」の派遣期間が1年から3年に延長されました。2004年の解禁時点では1年まででしたが、現場のニーズが反映された形です。
2012年の労働者派遣法改正
「派遣切り」などの問題が起きたため、その対処法が数多く盛り込まれた大改革が行われました。
以下のような改正がその一部です。詳しくは参考ページをご覧ください。
- 日雇派遣の原則禁止
- グループ企業内での派遣規制
- 離職後1年以内に派遣従業員として受け入れることの禁止
- 派遣会社のマージン率の公開を義務化
2015年の労働者派遣法改正
労働者派遣事業が許可制に一本化されました。
さらに派遣期間の上限を3年までに統一したことが、2015年の大きな改革です。派遣元に対して、派遣従業員のキャリア形成を念頭に置いた体系的な教育訓練の実施計画を確立するよう義務付けられました。
2020年の労働者派遣法改正
2018年に働き方改革関連法が成立し、その関係で労働者派遣法も改正されました。
同一労働同一賃金の実現、派遣元が「均衡方式」と「労使協定方式」のどちらかで労働者の賃金を決めることを2020年に義務化しています。
2021年の法改正が派遣先にもたらす影響について
2021年の法改正が、派遣先にもたらす影響が6点あるため、解説します。また2021年の労働者派遣法の法改正で派遣先が対応すべきことも、併せて参考にしてください。
派遣社員を雇用する際の説明義務がさらに強化された
派遣元は教育訓練やキャリアコンサルティングの内容について、派遣従業員への説明が義務化されました。
以前の派遣法改正でも実施は義務付けられていましたが、さらに説明義務が追加されたことは大きな改正です。
労働者派遣契約が電磁的記録で作成可能になった
e-文書法の改正に合わせて、派遣の労働者派遣契約も書面での作成が義務ではなくなったことが大きな特徴です。
そのため電磁的記録としてデータで残すことが可能になりました。デジタル記録で契約が結べるため、コロナ禍でも出向かずに契約を結べます。
派遣社員からの苦情処理における制度変更
派遣社員が派遣先の労働関係法令上の義務に対して苦情がある場合、従来のように派遣元ではなく、派遣先企業側に行うようになりました。
そのため派遣先企業は苦情処理の責任者を設置して、派遣先管理台帳に内容を記録する必要があります。
日雇派遣の契約解除の際の措置について
契約期間中に日雇派遣を契約解除した場合、派遣会社は新しい派遣先企業を探さなければなりません。派遣先が見つからないときには、労働基準法に基づいて休業手当の支給を行う必要があります。
希望聴取の義務化
派遣会社は雇用安定措置に基づいて、派遣社員の希望内容を聴取したのちに結果を「派遣元管理台帳」に記録することが義務化されました。雇用安定措置とは、派遣先で直接雇用を依頼する・別の派遣先を紹介する・無期雇用による対応を指します。
2021年の労働者派遣法の法改正で派遣先が対応すべきこと
派遣従業員を受け入れる企業は、「労働者派遣契約を電子化する」ことと「苦情処理を行うための体制作り」が必要になりました。
電子化は義務ではないため、検討で問題ありません。しかし苦情処理は義務となるため、「苦情を受け付ける窓口や責任者の設置」「苦情処理の具体的な方法」などを決める必要があります。
労働者派遣法に違反するとどうなるか
労働者派遣法に違反すると、以下のようなリスクがあります。確認して対策を講じましょう。
必ずしも損害賠償が請求されるわけではない
労働者派遣法に違反したとしても、すぐさま損害賠償請求のようなトラブルに発展することは少ないです。
まずは、助言や指導が行われ、改善が促されます。しかしそれでも改善されなかった際や、場合によっては損害賠償・刑事罰の対象になるため注意が必要です。
改善指示に従わない場合には罰則が課される
改善の指示があったにも関わらず問題が放置されている場合、罰則が課されるケースがあります。派遣会社だけでなく、派遣先企業も対象になるので注意が必要です。
悪質な場合には事業停止命令が出るケースもある
違反を続ける悪質な派遣会社に対しては、事業停止命令や派遣事業の許可の取り消しなどが行われます。新たに派遣を受け入れられなくなり、派遣先企業にも影響が出るため違反しないように注意が必要です。
労働者派遣法に違反した事例
労働者派遣法に違反した事例として、以下に3つの事例を紹介します。
受入期間の上限を超えて派遣労働者を使用した事例
受入期間の上限を超えているにも関わらず、労働力を使用していた場合、派遣法違反となります。罰則などはなく、基本的に派遣先企業に改善命令などが出された事例が多いです。
派遣先管理台帳の作成を怠ったり、派遣先責任者を選任しなかったりした事例
派遣先企業は、派遣先管理台帳の作成と責任者の選任が必要になります。これらを怠った結果、30万円以下の罰金が科される事例も少なくありません。記載内容に不足があった場合にも罰則の対象となるため注意しましょう。
偽装請負・二重派遣など悪質な事例
偽装請負とは契約では請負契約としているのに、実際には労働者派遣で雇用することです。
また二重派遣とは受け入れた派遣従業員を、別の企業に派遣することを指します。いずれも派遣従業員の権利を侵害するものであるため、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金科されたケースもあるため注意が必要です。
派遣ではなくスキマ時間を活用できるタイミーの利用がおすすめ
短期間必要なケースや、突発的な人材不足の場合はタイミーがおすすめです。
派遣よりもタイミーを利用するメリットを紹介します。
「タイミー」なら必要なときにだけ労働力を確保できる
労働者派遣法によって、派遣従業員が働きやすい社会が実現しています。逆に言えば短時間だけ働いてほしい・特定の時間だけ労働力がほしいといった企業の要望には応えられなくなっている状況です。
そこでスキマバイト募集サービス「タイミー」がおすすめです。タイミーなら条件を設定するだけで、自動でアルバイトを探している人とマッチングする特徴があります。短時間だけ仕事をしてもらえるため、突発的に人材不足に陥った場合などに役立つ点が大きな魅力です。
まとめ
この記事では労働者派遣法の特徴と、違反した際の罰則事例について紹介しました。弱い立場である派遣従業員を守るために何度も改正され、希望聴取の義務化・受入期間を3年まで延長などが定められています。
しかし、企業の要望に答えづらくなっているため、突発的な人材不足などの際はタイミーがおすすめです。求人掲載料が無料であり、最短1分で求人掲載できる魅力があります。