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研修助成金:人材育成を加速させる国の支援制度

人材育成は企業成長のエンジンですが、研修費用の負担は重く、特に中小企業にとっては課題です。そこで活用したいのが、国や地方自治体が提供する研修助成金。これらの制度は、企業の経済的負担を軽減しつつ、戦略的な人材育成を後押しします。助成金を活用することで、社員のスキルアップを促進し、組織全体の競争力強化へと繋げることが可能です。本記事では、人材育成を加速させる国の支援制度について詳しく解説します。

人材育成における助成金の重要性

現代社会では、人材の確保が難しくなっており、従業員のスキルアップや能力開発は企業の発展に必要不可欠です。しかし、研修や教育には費用がかさみ、特に中小企業にとっては大きな負担となることがあります。そこで役立つのが、国や地方公共団体が提供する助成金制度です。これらの助成金を有効に活用することで、企業は経済的な負担を抑えながら、計画的に人材育成を進めることが可能になります。人材育成に積極的に取り組むことは、従業員のキャリア形成や能力向上を支援するだけでなく、従業員の離職を防ぎ、最終的には安定した企業経営に繋がります。

人材育成に関する助成金とは

人材育成に関する助成金とは、企業が従業員の能力を伸ばすために計画した研修や教育プログラムを実施する際にかかる費用を援助する制度です。これらの助成金は、事前に人材育成の計画を立て、管轄の労働局に申請を行い、計画に沿って研修を行った後、支給申請書を提出することで受け取ることができます。対象となる研修は、新入社員向けの研修、経験豊富な社員のスキル再開発、非正規社員の正社員化支援など、幅広い内容に対応しています。

助成金申請の基本的な流れ

助成金の申請は、原則として企業自身が行う必要があります。申請手続きに不安がある場合は、顧問の社会保険労務士などに相談することも有効です。申請の一般的な流れは以下の通りです。

  1. 検討している教育プログラムが助成金の対象となるかどうかを確認します。

  2. 職業能力開発推進者の選任や、企業内での職業能力開発計画の策定を行います。

  3. 対象となる訓練コースや助成金の金額を、管轄の労働局に問い合わせて確認します。

  4. 教育プログラムの詳細(対象となる従業員、研修内容、スケジュールなど)を決定します。

  5. 実施計画書を作成し、募集要項に記載された期限までに必要な書類を労働局に提出します。

  6. 計画に基づいて研修を受講(実施)します。計画内容に変更が生じた場合は、事前に変更届を提出する必要があります。

  7. 研修終了後、助成金の申請書を作成し、募集要項に定められた期限までに必要な書類を労働局に提出します。

助成金・補助金を利用できるかどうか、また各種申請書類の作成・提出にあたっては、労働局が公開している申請・手続きに関する情報を必ず確認してください。

主な人材育成関連の助成金一覧

以下に、人材育成に役立つ代表的な助成金制度を紹介します。

人材開発支援助成金(厚生労働省)

人材開発支援助成金は、厚生労働省が管理している制度です。企業が従業員に対して、業務に必要な知識やスキルを身につけさせるための職業訓練などを計画に沿って実施した場合、その訓練費用や訓練期間中の賃金の一部が助成されます。企業の規模や研修の内容に応じて様々なコースが設けられており、戦略的な人材育成を後押しします。

人材開発支援助成金のコース

人材開発支援助成金は、以下の7つのコースで構成されています。(2024.3時点)

  • 人材育成支援コース

  • 教育訓練休暇等付与コース

  • 人への投資促進コース

  • 事業展開等リスキリング支援コース

  • 建設労働者認定訓練コース

  • 建設労働者技能実習コース

  • 障害者職業能力開発コース

中でも、「人への投資促進コース」と「事業展開等リスキリング支援コース」は、企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)やGX(グリーントランスフォーメーション)を推し進める上で、特に重要視されています。申請方法や条件、対象となるか否かについては、各都道府県の労働局に直接お問い合わせください。

出典:厚生労働省 人材開発支援助成金.https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/d01-1.html

人への投資促進コース

人への投資促進コースは、デジタル分野や高度なスキルを持つ人材の育成、従業員の自主的な学習、サブスクリプション型の研修などを実施した際に、訓練費用や訓練期間中の賃金の一部を支援する制度です。企業における従業員のスキルアップを促進し、競争力の強化をサポートすることを目的としています。

支給要件(人への投資促進コース)

助成金の支給を受けるには、事業主、労働者、訓練に関する全ての要件を満たす必要がございます。事業主と労働者の要件は、他の助成金と同様の条件であることが多いですが、詳細については社会保険労務士や各自治体にご確認ください。

訓練の要件としては、一定時間以上の訓練時間であること、訓練内容が業務に関連する専門的な知識や技能の習得を目的としていることなどが挙げられます。特に、サブスクリプション型の研修の場合は、計画時に提出する「定額制訓練に関する対象者一覧」に記載された受講者の時間数のみが計算対象となる点、また、1時間以上の受講時間がある場合にのみ合計時間に算入される点に注意が必要です。一般的なビジネスマナー研修やロジカルシンキング研修などは、対象外となる場合があります。

助成額(人への投資促進コース)

助成金の額は、原則として中小企業は訓練にかかる受講料などの60%、大企業は45%となっています。ただし、研修終了後1年以内に受講者全員の月給が5%以上アップした場合など、それぞれ15%が加算され、中小企業は最大75%、大企業は最大60%となります。助成の対象となるのは、研修に直接必要な費用のみです。例えば、タブレットやWi-Fiルーターのレンタル費用、LMSへの入力代行サービス費用などは、助成対象外となるケースがあります。

出典:2025/04/01.厚生労働省「人材開発支援助成金 人への投資促進コース

のご案内(詳細版)

https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/001514282.pdf

https://www.mhlw.go.jp/wp/yosan/yosan/23syokan/dl/01-07.pdf

事業展開等リスキリング支援コース

事業展開等リスキリング支援コースは、企業の新規事業立ち上げなどの事業展開等に伴い、従業員が新たな分野で必要となる知識やスキルを習得するための研修を、計画に基づいて実施した場合に、研修費用や研修期間中の給与の一部を補助する制度です。このコースは、企業が事業構造の変化に柔軟に対応できる人材育成をサポートすることを目的としています。

支給要件(事業展開等リスキリング支援コース)

事業展開等指針に示す事業展開等に該当する事業活動を行うことが求められます。その上で、リスキリングの対象となる従業員が、新たな事業分野で必要となる知識、技能、または資格を取得するための訓練を受講する必要があります。訓練計画は事前に労働局に提出し、認定を受ける必要があります。また、訓練時間や内容、訓練実施体制など、一定の基準を満たす必要があり、訓練修了後には、対象従業員を新たな事業分野に配置することが求められます。

助成額(事業展開等リスキリング支援コース)

助成額については、訓練の種類や時間、対象となる従業員の人数などによって変動します。訓練費、賃金、施設設備の借上費などが助成対象となり、それぞれ上限額が設定されています。具体的な助成額は、個別の事業計画や訓練内容に基づいて決定されるため、事前に労働局や専門家へ相談することが重要です。

出典:2025/04/01.厚生労働省「人材開発支援助成金 事業展開等リスキリング支援コースのご案内(詳細版)

https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/001514283.pdf


キャリアアップ助成金(厚生労働省)

キャリアアップ助成金は、有期契約社員、パートタイマー、派遣社員といった、いわゆる非正規雇用者の企業内での能力向上を後押しするため、正規雇用への転換や待遇改善といった取り組みを実施した事業主に対して支給される制度です。この助成金は、非正規雇用者の処遇改善を促進し、労働市場の安定化に貢献することを目標としています。

キャリアアップ助成金のコース概要

キャリアアップ助成金には、以下の7つのコースが存在します。

  • 正社員化コース

  • 障害者正社員化コース

  • 賃金規定等改定コース

  • 賃金規定等共通化コース

  • 賞与・退職金制度導入コース

  • 社会保険適用時処遇改善コース

    (2026年3月31日まで)

  • 短時間労働者労働時間延長支援コース

これらのコースを有効活用することで、企業は非正規社員の待遇改善を経済的な負担を抑えながら実現できます。

出典:厚生労働省 キャリアアップ助成金.https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/part_haken/jigyounushi/career.html

助成金申請における留意点

助成金は、企業発展を後押しする有効な手段となり得ますが、申請に際しては、いくつかの注意すべき点が存在します。

申請手続きフローの確認

助成金の種類ごとに申請の手順は異なります。研修実施計画の作成、特定の研修コースにおける厚生労働大臣の認定など、助成金によって条件が異なるため、事前に詳細をしっかりと確認することが不可欠です。

助成対象者の確認

助成金によって、対象となる従業員の雇用形態(正社員または非正社員)が指定されている場合があります。例として、特定の研修コースや一般的な研修コースでは、正社員のみが対象となるケースがあります。事前に助成金の対象となる従業員を明確にしておく必要があります。

研修提供事業者の立ち位置

研修を実施する企業は、原則として助成金の申請サポートや、必要な書類作成の代行は行いません。また、助成金が適用されるかどうかの判断は、研修会社ではなく、所轄の労働局に確認する必要があります。助成金の対象となるか、申請が認められるかは各自治体によって決定されるため、研修会社が判断できるものではありません。

まとめ

人材育成は、企業の成長にとって不可欠であり、助成金制度はその実現を後押しする有効な手段です。人材開発支援助成金やキャリアアップ助成金など、様々な制度を有効活用し、従業員の能力向上と企業全体の発展を目指しましょう。助成金に関する詳しい情報は、必ず最新の情報を確認し、所轄の労働局や関連機関に問い合わせるようにしてください。

※本記事は2025年3月27日現在の情報に基づいています。補助金・助成金については、必ず最新の情報をご確認ください。

よくある質問

Q1:人材開発支援助成金はどのような企業が対象ですか?

人材開発支援助成金は、原則として雇用保険に加入している事業主が申請できます。ただし、過去に助成金の不正受給といった問題を起こした事業主は対象外となることがあります。また、研修計画の内容や実施方法など、いくつかの条件を満たす必要もあります。

Q2:キャリアアップ助成金は非正規雇用労働者の待遇改善にしか使えませんか?

キャリアアップ助成金は、主に非正規雇用労働者の待遇改善を目的としていますが、正社員への転換や給与制度の見直しなど、幅広い取り組みが対象となります。企業の状況に合わせて最適なコースを選び、申請することが可能です。

Q3:オンラインスキルアップ助成金はどのようなオンライン研修が対象ですか?

オンラインスキルアップ助成金は、東京都が認めたオンライン研修サービスが対象となります。研修内容や時間、受講資格など、細かな条件が設定されていますので、申請前に必ず募集要項を確認するようにしてください。


監修:社労士 西岡秀泰
監修:社労士 西岡秀泰
西岡 秀泰(にしおか ひでやす) 西岡社会保険労務士事務所 代表 生命保険会社に25年勤務しFPとして生命保険や損害保険等の販売。 その後、社労士事務所を開設し労働保険や社会保険を中心に労務全般について企業をサポート。日本年金機構の年金相談員を兼務。 「ひと」が抱えるさまざまなリスクや悩みに有効な制度や金融商品を、社会保険労務士とFPの立場から紹介します。

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