世界的な評価を得ているワイナリー|人気の裏側で従業員の高齢化による人手不足が発生。タイミー導入で契約社員の採用に成功

イギリスのワイン専門書「WINE REPORT(ワインレポート)」にて「もっともエキサイティングなワイン100選」にも選ばれ世界的に評価されている「都農ワイン」。このワインを製造するのが、人口9,300人ほどの町、宮崎県都農町に本社をおく株式会社都農ワインです。タイミー導入による効果を伺いました。

株式会社都農ワイン 代表取締役 赤尾誠二さん


「スタッフが高齢化し、繁忙期を乗り切れるか不安だった」——深刻な人手不足に直面して解決策を探していた

—— まずは株式会社都農ワインの事業内容と特徴を教えてください。 

株式会社都農ワイン 代表取締役 赤尾誠二さん(以下:赤尾さん):株式会社都農ワインは、宮崎県児湯郡都農町に拠点をおくワイナリーです。従業員は24名ほどで、地域に根ざしたワイン造りを行っています。自社畑でのブドウ栽培から醸造、瓶詰めに至るまで一貫して手掛けており、日本随一の日照量の多さを誇る都農町ならではのテロワール(土地の持つ香り)を活かしたワイン造りに力を入れています。

 

—— 世界的にも高い評価を得ている都農ワインですが、人材面や採用面での課題はありましたか?

赤尾さん:他の多くの地方企業と同様に、当社もまた深刻な人材不足という課題に直面していました。特に、スタッフの高齢化は喫緊の課題でした。

2024年の春夏のシーズン前に、一気に3人ほど退職されることになったんです。ただでさえ人手が足りない中で、大変なシーズンを迎えることになりました。

春から夏にかけてはブドウ畑での作業が、秋からはワインの販売がピークを迎えます。収穫などのイベント的な農作業には、地元の大学生などに声をかければアルバイトが集まることもありましたが、日々の畑作業や、繁忙期が異なる販売部門への人員配置など、恒常的な人手不足は解消されませんでした。

台風が来るとなれば、全館閉館して全員で収穫応援にあたるなど、社内でも様々な試行錯誤を繰り返してきました。しかし、人がいないと会社として成長できません。何か打つ手はないかと模索していました。

 

—— タイミーを知ったきっかけと導入を決めた理由を教えてください。

赤尾さん:そんな時に同業者からタイミーのことを耳にしたんです。正直、最初は「そんな都合のいいシステムがあるわけない」と半信半疑でした(笑)。しかし、地域の事情に詳しい一般社団法人ツノスポーツコミッションの小松原さんから紹介を受け、「まずはやってみよう」と導入を決意しました。

一般社団法人ツノスポーツコミッション 小松原さん


即戦力確保と現場の活性化——タイミー導入がもたらした予想以上の効果

—— タイミーを導入した効果を教えてください。

農園補助(定植、剪定、芽かき、誘引、収穫)スタッフや併設しているパン屋のスタッフ(売り場整理、洗い場、片付け)、催事イベントのスタッフなどを募集したのですが、タイミー導入後、驚くほどすぐに効果が表れました。

募集をかけると、すぐに人がマッチングしたんです。「これはタイミーがすごいのか、うちの会社が魅力的なのか」なんて思いましたね(笑)。

特に助かったのは、春夏の繁忙期における畑作業でした。募集をかけると、サーフィンが目的で宮崎に来ていた若者や、就職・転職活動の合間に様々な職業体験をしたいという人々が集まりました。

—— 他にタイミーを活用してよかったことはありますか?

赤尾さん:繁忙期の労働力確保はもちろん、タイミーは予想外の副次効果をもたらしました。それは、現場スタッフの意識の変化です。

タイミーのワーカー(※)さんを受け入れるにあたって、現場のスタッフに教育や指示出しを任せることにしたんです。最初は戸惑いもあったようですが、ワーカーさんに「今日作業した畑のブドウが、このワインになるんですよ」なんて説明する機会が増えて。休憩時間には、ワーカーさんと楽しそうに話している姿も見られるようになりました。

これは、スタッフの当事者意識を高める良い機会となりました。自分たちの仕事やワインの魅力を直接伝えることで、働く喜びや誇りを再認識するきっかけになっています。また、ワーカーさんにとっても、ただ作業をこなすだけでなく、その仕事の意味や価値を知ることで、より深い満足感を得られているようでした。

もちろん、初めて来る人に仕事を教えるのは負担になる側面もあります。でも、現場に任せてトライアンドエラーを繰り返す中で、「こうすればスムーズに進む」というノウハウも蓄積されていきました。農業作業は、「今日この作業を終わらせる」という目標とゴールが明確なので、ワーカーさんにも比較的わかりやすく、力を発揮してもらいやすいと感じています。

一方で、ワインの販売業務については、専門的な知識が必要となるため、ワーカーさんには主に商品の梱包や出荷といった裏方作業を依頼しています。「このワインはいつ頃が飲み頃ですか?」といった質問にすぐ答えられないと、お客様に失礼にあたりますからね。そこはベテラン社員が対応し、ワーカーさんにはサポート業務をお願いすることで、社員は接客に集中でき、結果的に売上向上にも繋がっています。

 ※タイミーのアプリを通じてマッチングされた働き手

 

契約社員の採用にも成功。タイミーは「ファンづくり」と「地域貢献」の可能性を広げている

—— タイミー経由で契約社員の方の採用にもつながったと伺いました。

赤尾さん:はい、タイミーを利用してうちの畑に来てくれた方が、農業への強い想いを持っていることがわかりました。話をするうちに意気投合し、今では契約社員として働いてくれています。1年後には正社員になってもらう予定です。これは本当に嬉しい出来事でした。

東京から来てくれたワーカーさんが、熱心な都農ワインのファンになってくれたりもします。都市部のファンは、応援の熱量がすごいんです。こうして地域外との交流人口が増えることは、地方にとって大きな財産になります。

一度でもうちで働いてくれた方は、町で都農ワインを見かけた時に、きっと親近感を覚えてくれるはずです。そうした繋がりが、会社の評判や地域全体の活性化にも貢献していくと信じています。

 

 

これからの展望——地域への貢献を目指して

—— 今後タイミーをどのように活用していきたいですか?

赤尾さん:これからは、単純な労働力としてだけでなく、もっとクリエイティブな仕事にもタイミーを活用できないかと考えています。例えば、「都農ワインの魅力を伝えるキャッチコピーを考えてほしい」というような募集やイベントの企画立案など、多様な経験を持つワーカーさんの視点を取り入れることで、新しいものが生まれるかもしれません。

2024年に結ばれたタイミーと都農町、ツノスポーツコミッションの連携協定によって、商工会員をはじめとした事業者たちが都農町でのスポットワーク導入について前向きに考えることが増えたと感じています。私もワークショップや職業体験など、地域の街づくりに貢献していきたいですね。

取材協力先:株式会社都農ワイン

宮崎県都農市を本社におくワイナリー。「 ワインは地酒であるべきだ」という信念のもと、地元産ブドウを100%使用して造られるワインは、地元の方々に広く愛されているだけではなく、国内外で高い評価を獲得する高品質な日本ワインとして人気を博している。