保育士や教員免許保有者を20名以上採用して2名が正社員に。ワーカーの持つ専門スキルを活かし、「学習支援」事業をスタートできた

保育業界や福祉業界でもタイミーの活用は広がっています。今回は児童発達支援・放課後等デイサービス事業を展開する株式会社こころらぼの代表である松本元勝さんと取締役 公認心理師の松本マリさん（心理学博士）にタイミー導入前の課題と導入による効果について伺いました。

ー まずは事業内容を教えてください。

代表取締役社長 松本元勝さん（以下、松本元勝さん）：

弊社は発達が気になる子どもたちを対象に、療育サービスを提供する「児童クラブこころらぼ」という児童発達支援・放課後等デイサービス事業所を運営しております。私の妻は、認知・発達心理学を基盤とする教育心理学を専攻しており、心理学博士号、中高国語教諭免許及び公認心理師の国家資格を持っております。現在は、大学講師として心理学の科目を教授しながら、心理学分野の研究を行っている心理学者でもありますので、「児童クラブこころらぼ」では、常に最先端の心理学の知見に基づいた効果的な療育を行う事ができる唯一無二の施設だと思っております。（https://www.psychologylabo.com/）

 

また、弊社は児童発達支援・放課後等デイサービス事業所だけでなく、公認心理師事務所でもあり、4名の公認心理師（臨床心理士も含め）が在籍しております。各種心理検査（発達検査など）、心理治療（カウンセリングなど）、地域援助、心理教育等の業務を行い、利用者児童本人のみならず、家族を含む子どもの支援に関わる全ての方への支援も積極的に行っております。それらの活動を通じて、子どもを取り巻く環境の改善を図り、こどもまんなか社会の実現に尽力する使命を、我々は担っております。

 

ー タイミー導入前の課題を教えてください。

取締役 公認心理師 松本マリさん（以下、松本マリさん）：弊社の事業所「児童クラブ こころらぼ」は、2024年2月に開所しました。開所の準備期間中に社員を採用しようと、いくつか求人媒体に掲載してみたのですが、開所前の事業所であったため知名度が低く応募がゼロという状況でした。そこで保育士専門の人材紹介会社へ依頼してみたのですが、手数料が年収の3~4割と非常に高いことに加え、条件に合う人材に出会うことができなかったんです。

 

そんな時に知人からタイミーの存在を教えてもらいました。掲載費用が無料※だったことも後押しになり、ダメもとでもいいから募集してみようとスタートしました。

※タイミーは初期費用・掲載費用を掛けずに始められます

 

ー導入にあたって懸念はありましたか？

松本マリさん：「保育士資格」または「教員免許」を持っている方をマッチングの必須条件としていたため、正直あまり期待はしていませんでした。しかし、掲載後すぐにマッチングして、保育士資格を持つワーカーさんが翌日働きに来てくれた時はとても驚きました。また事前にワーカーさんの持っている資格をメッセージ機能を使って確認できるのも安心できたポイントです。

 

ータイミーでは、どのような職種やお仕事を募集していますか？

松本元勝さん：前提として、施設で働くワーカーさんは保育士資格もしくは教員免許を必須としています。その上で、ワーカーさんが持つ専門知識を活かせる活動内容を加えて、クオリティの高い療育プログラムを提供する仕事をお願いしています。

 

具体的には、知的障がい、限局性学習障がい、自閉スペクトラム症等個々の子どもが持つ特性に応じた特別支援教育の学習支援。視覚優位な特性をもつ子どもたちの為の絵画教室（美術の教員免許必須）、知的好奇心を高める為の理科の実験指導（理科の教員免許必須）等の療育プログラムがあります。

ータイミーを利用してよかったことを教えてください。

松本マリさん：専門的なスキルや資格を持っている方と出会えることです。タイミーで働かれているワーカーさんの中には保育士資格や教員免許を持つ方が多くいることが分かり、積極的に引き抜き採用※をはじめることにしました。

 

その結果、導入から半年ほどで20名以上の保育士や教員免許を持つ方を自社の長期雇用として採用することができました。こういったワーカーさんに直接声をかけて引き抜き採用できるのは、今までにない非常に画期的なシステムだと思います。今では採用費用をほとんど掛けずに、全てのスタッフをタイミー経由で採用して、2名は正社員にもなっています。

※タイミーは、ワーカーの引き抜きが無料です

 

また急な欠員が出ると、人員配置を調整しなければいけない場面があり現場が混乱することもありました。しかし現在では、欠員が分かった時点で募集を出しても10分ほどでマッチングするため、既存スタッフが業務に集中することができています。

 

ーその他、予想していなかった効果もあったと伺いました。

松本元勝さん：そうなんです。実は教員免許を持つワーカーさんを多く採用できたことで、保護者からニーズの高かった「学習支援」へ事業をスタートすることに成功しました。

 

児童発達支援・放課後等デイサービスに通っている子どもの中には、知的の遅れがないものの、発達の各領域に激しい凸凹があり通常のテストで真の能力が評価されにくいため、自己肯定感が低くなって学習性無力感に陥ってしまう子どもが多いのです。

 

また、障がい特性により興味・関心の幅が極端に狭く、こだわりが強いがゆえに、日常生活において様々な困難を抱えている子どももいます。そのため子どもたちの興味を広げ、達成感を高めるような学習支援プログラムができないかと検討していました。そこで教育の専門家に相談したいと考え、専門スキルや資格を持つタイミーのワーカーさんに手伝ってもらうことにしたのです。ワーカーさんの専門性や持つスキルは様々ですが、ハイレベルなワーカーさんと出会い、長期雇用に繋がる事で、児童クラブこころらぼにおいては、安定したハイクオリティの療育サービスを提供できています。

ー具体的にはどのようなプログラムを提供しているのでしょうか？

松本元勝さん：保育学の専門家である経験豊富な保育士さんが考案した子どもたちの好きな活動を通じて、ライフスキルトレーニングやソーシャルスキルトレーニングの療育プログラムを提供しております。それらの活動を通じて他者と関わって楽しい成功体験を積み、自己理解、他者理解、自己主張、自己制御、共感性等良好な対人関係を構築する為に必要なスキルを学んでいます。

 

また、体育の教員免許を持ったワーカーさんには運動スキルを高めるサーキットトレーニングを。国語と英語の教員免許を持ったワーカーさんには日本語や英語の言葉遊びをはじめ、本格的な発語訓練を。美術大学出身の教員免許を持つワーカーさんには美術（絵画）を論理的に教えてもらうなど、充実した療育プログラムを提供しております。特に子どもたちの目を輝かせているのが、理科の教員免許を持ったワーカーさんが行っている理科の実験です。指導員たちは子どもたちと一緒に簡単な実験を通して「どうして？」「なんで？」と子どもたちの興味・関心の幅がどんどん広がっているのを感じています。

 

他にも、小学校教員免許、特別支援学校教員免許、中・高学校の社会・歴史・地理・公民等の教員免許を持つワーカーさんが大勢在籍しており、それぞれの教科に基づき専門的な指導を行っております。

 

さらに、教員免許を持ちつつ現役の高校教諭、塾講師として働いているワーカーさんに来てもらい、子どもたちの学習支援をしてもらっています。学校の事情や塾の事情も分かるため、子ども達の理解度を見ながら志望校に進学できるように指導してもらっています。保護者の方からも「まさか塾レベルの学習指導をしてもらえるとは思ってもみませんでした」と嬉しい声をいただいております。

 

そういった影響もあり、子どもたちや保護者たちの口コミをきっかけに毎月の利用者児童や通所回数が増えています。

 

ー今後のタイミーをどのように活用していきたいですか？

松本マリさん：これからも専門的なスキルをお持ちのワーカーさんと一緒に子どもたちの興味・関心を広げるような新しいプログラムを提供していきたいと思っています。特に農業については、土を触りながら野菜や食べ物ができる仕組みや農学について教えていきたいと思います。

ー「児童クラブ こころらぼ」で働くようになったきっかけを教えてください。

元ワーカーの井戸さん（以下、井戸さん）：7〜8年前に保育士資格を取得して、これまで保育園にて長期で働いていました。療育の里親をしていた経験から、療育の分野にはもともと興味があったんです。しかし、経験がないため自分には無理だろうと思っていました。そんな時にタイミーのアプリを見ていたら「こころらぼ」を見つけたんです。療育の現場を見れる貴重な機会だと思い、すぐに申し込みをしました。

ータイミーと一般的なアルバイトの違いはありましたか？

井戸さん：やはり単発で働けて職場を見れることが一番の違いだと思います。もし「こころらぼ」が一般的な求人媒体に掲載されていて、週5日のフルタイムで募集をしていたら、申し込まなかったと思います。それだけ新しい分野に挑戦するのは怖いですし、もしダメだったらどうしようと躊躇してしまうのは私だけではないはず。

特に保育業界は、方針や職場環境が会社によりバラバラです。そういった意味で職場を覗ける機会があるのは働き手としてとても安心できますし、タイミーがなかったら私は療育の分野に挑戦できなかったと思っています。

そういった出会いがあり、今は家庭と両立しながら、こころらぼで長期スタッフのリーダーとして働いています。志が同じ仲間と一緒に働けているので、とても充実した日々を過ごしています。

 

取材協力：株式会社こころらぼ　

大阪府大阪市住吉区の児童発達支援・放課後等デイサービス事業所「児童クラブ こころらぼ」を運営。心理学博士をはじめ、公認心理師、臨床心理士、薬剤師、学校教員、保育士、福祉の専門家などが多数在籍しており、質の高いチーム療育を提供している。