導入3ヶ月で1億円以上の売上増。農作物の選果作業の効率アップで出荷量は3倍、残業時間は1/3に改善した

農林水産省によると、基幹的農業従事者数(ふだん仕事として主に自営農業に従事している者)は、2015年には175.7万人だったものの2023年には116.4万人と約60万人減少しています。人手不足や高齢化により、収穫が間に合わずにやむを得ず作物を廃棄しなければならない状況も耳にします。

そのような状況でもタイミーを活用して大きな成果を出しているのは、愛媛県にある株式会社たいよう農園です。今回は取締役専務の井上翔一朗さんにタイミー導入による効果を伺いました。
※農業労働力に関する統計:農林水産省(https://www.maff.go.jp/j/tokei/sihyo/data/08.html)

取締役専務 井上翔一朗さん

派遣サービスは人が集まらず、リゾートバイトは社員の負担増加。収穫時期に合わせて手軽に働き手を募集できる手段を探していた

―まず、たいよう農園さんについて教えてください。

取締役専務 井上翔一朗さん(以下:井上さん):私たちたいよう農園は「国を耕す会社です」をスローガンに、愛媛県を中心として農場・農園を運営しています。東京ドーム約32個分(150ヘクタール)の農場で、年間12種類のキャベツと4種類の玉ねぎを栽培、出荷しています。

 

―タイミー導入前の課題を教えてください。

井上さん:農地を拡大し続ける中で、人手不足を感じていました。これまで様々な人材サービスを試してみたのですが、求人媒体はそもそも応募数があまりにも少なく、派遣サービスは依頼を大きく下回る人数しか集まりませんでした。その後は、アグリ・グリーンツーリズム(リゾートバイト)を活用して人員確保をしていました。

リゾートバイトに関しては多くの人が集まっていました。しかし、働きに来てもらった方たちに宿泊・滞在してもらうことになるため、寮の手配や食事の用意、送り迎えの対応などをしないといけません。結局、従業員の負担が増えてしまい、もっと手軽に募集できるサービスはないかと探していました。
 

 

―タイミーを導入したきっかけをお聞かせください。

井上さん:募集の手軽さを求めていたことに加えて、収穫時期に合わせてピンポイントで人員を増やしたいと考えていた時に、同じ農業仲間からタイミーを紹介してもらいました。それまでタイミーについては、CMで見たことあるかなくらいの感覚でした。当時は「都会で流行っているサービスでしょ」とあまり自分たちに関係のあるものと思っていなかったのが本音です。

導入を決めたのは、タイミーの営業担当者のことを信頼できたから。「このエリアの商圏だと大体何名くらいの働き手がいて、2週間くらいで何名くらいは働きに来てくれそうです」と数字をもとにシミュレーションを出してくれたんです。現実的な数字の話はもちろん、これから農業をどう盛り上げていきたいかという話にも共感でき、「この人なら長く付き合っていけそうだ」と感じました。フォロー体制についても、問題に対しての解決もそうですし問題が起きる前の未然の対策をしてもらったので非常に助かりましたね。

社員が掛け持ちしていた作業を切り分けワーカーさんに依頼。選果作業の効率が上がり出荷量は3倍、残業時間は1/3に

玉ねぎの収穫補助の様子

―タイミーではどのような職種を募集していますか?

井上さん:時期によって異なるのですが、これまでに募集したことがあるのは「作物の種まきやハウス内の苗の管理」「キャベツの植え付けの手直し」「キャベツや玉ねぎの収穫補助」「玉ねぎの選果」「出荷補助」など。農業にまつわる多くの工程でタイミーのワーカーさんに働いていただいています。社員とペアになることで、初めてのワーカーさんでもすぐ仕事に取り掛かれるよう工夫をしています。

今までは社員が複数の作業をしていたものを切り分けて、ワーカーさんに1つの業務をお願いしています。それによって社員のトラクターに乗れる時間を増やすことや、注力したい業務に時間を使えるよう意識しています。



―タイミー導入による成果を教えてください。

井上さん:一番の効果は、タイミーのワーカーさんに働いてもらってから玉ねぎの出荷量が3倍になり、3ヶ月で1億円以上の売上増加につながった点です。

玉ねぎの収穫時期だけでも、根切り、乾燥、集積、出荷などとたくさんの工程があります。大規模な農地の場合、今日はこの作業、明日は別の作業……と、仕事が分散してしまうことで、生産性が下がってしまうこともあります。しかし、タイミーのワーカーさんが働きに来てくれたおかげで集中して一気に作業することができ、選果作業の生産性が上がり出荷量を3倍まで伸ばすことができました。

それだけではなく、これまで人手不足と忙しさの影響でまとめ売りのような形でしか出荷できなかったのですが、安定的な人材確保によりパック詰めをして販売するなど付加価値をつけ利益率の高い形で加工・出荷することが可能になりました。

他にも、従業員の残業時間が目に見えて減ったのもよかったですね。今までは収穫時期だと毎日3時間残業することもありましたが、今は1時間未満まで削減できています。その他タイミー導入をきっかけに、みんなが職場改善や業務効率にも意識が向くようになり、環境の改善という面でも効果が出ています。

もしもタイミーと出会わなかったら、農地の規模拡大を躊躇していたかもしれない

―その他、よかったことはありましたか?

井上さん:現在タイミーを導入してから4ヶ月程度ですが、既に12名以上のワーカーさんを長期採用として引き抜き、活躍してもらっています。それぞれの働きぶりを見てから「長期で働いてみない?」と声を掛けられることや引き抜きに関する手数料がゼロというのも嬉しいポイントですね。

また、伸びしろのある社員のチャレンジする機会が増えているなと感じています。これまでだと慣れている社員が自然とリーダーとして動いてしまい、若いメンバーは作業をするだけという形になってしまうこともありました。ところが、たくさんのワーカーさんに来てもらうことで、伸びしろのある社員にもチームリーダーのポジションを任せることができています。個人作業からチームの仕事として視座を高く持ってもらう良いきっかけになっていますね。

このように安定的な人材確保と社員教育ができているからこそ、農地の規模拡大にもチャレンジできています。人が集まるかどうか分からない状態だったら、挑戦したくてもできなかったと思うので、タイミーに出会えてよかったです。
※タイミーは、ワーカーの引き抜きが無料です

年によって手間のかかり具合が違う農業こそ、タイミーを活用して販売のチャンスロスを防ぐべき

―今後、タイミーをどのように活用していきたいですか?

井上さん:タイミーで働きに来てくれたことをきっかけに農業を好きになってくれたり、たいよう農園のファンになってくれたりと、農業や会社について知ってくれる機会が増えているなと感じています。これからもスポットワークという出会いの場を通じて、一人でも多くの人が農業を好きになってもらえたらいいなと思います。引き続き、長期採用も積極的に行っていきたいです。

 

―最後に、農業分野においてタイミーをどう活用していくのが良いと思いますか?

井上さん:農業は、年によって手間のかかり具合が大きく変わってしまう産業です。雨がたくさん降ると玉ねぎなどは病気になりやすく手間がかかる年もあれば、天候に恵まれて全然手がかからない年もある。つまり、どれだけの作業が発生するかが読めないのが農業です。だからこそ「固定の人件費をかけるのが怖い」という声もよく聞きますが、タイミーであればスポットで活用ができるため、人件費を変動費として活用することが可能です。

それに加えて収穫から出荷の時期に、ワーカーさんに袋詰めなどを手伝ってもらうと付加価値をつけることもでき、販売のチャンスロスを防ぎながら売上拡大にもつながるのではないでしょうか。

取材協力:農事組合法人 たいよう農園(運営:株式会社たいよう農園)
キャベツ・玉ねぎの栽培の他、カット野菜加工各種、苗販売、農作業受託等を事業とする。10〜20代の従業員も多く活躍し、日本の農業のビジネスモデルを創り、農業の未来に貢献することを目指している。