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パートやアルバイトの試用期間とは?社会保険や解雇方法を解説

こんにちは。スキマバイト募集サービス「タイミー」ライターチームです。

試用期間とは、パートやアルバイトでも長期の雇用が見込まれる上で、採用した従業員の能力や適性を企業が判断するために設けた期間です。

本記事では、試用期間とは何かや、パートの試用期間を設ける際に企業が決めておくべき、社会保険について解説します。試用期間中の解雇方法についても紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

目次[非表示]

  1. 1.パート・アルバイトに「試用期間」を設けるべきか
  2. 2.そもそも試用期間とは
    1. 2.1.試用期間の目的
    2. 2.2.試用期間と研修期間の違い
  3. 3.パートに試用期間を設けるメリット
    1. 3.1.採用する側のメリット
    2. 3.2.採用される側のメリット
  4. 4.パートの試用期間で企業側が見るべきポイント
  5. 5.試用期間中の解雇について
    1. 5.1.そもそも試用期間中に解雇できる?
    2. 5.2.試用期間中に解雇する際の手続き方法
  6. 6.パートの試用期間を設ける際に企業が決めておくべきこと
    1. 6.1.給与
    2. 6.2.社会保険
    3. 6.3.本採用の基準
  7. 7.試用期間を設定する際の手続き
    1. 7.1.試用期間に関する規定を設ける
    2. 7.2.労働条件通知書にて試用期間がある旨を通知する
    3. 7.3.労働者に試用期間があることを直接説明する
  8. 8.試用期間終了後の手続き・すべきこと
  9. 9.試用期間に関するよくあるトラブルと対処法
    1. 9.1.正当な理由なく本採用を拒否したケース
    2. 9.2.一方的に試用期間を延長したケース
    3. 9.3.各種保険に加入させなかったケース
    4. 9.4.給与が最低賃金を下回っているケース
  10. 10.パートの試用期間に関するよくある質問
    1. 10.1.試用期間は延長できる?
    2. 10.2.試用期間で契約終了・クビにできる?
  11. 11.まとめ

パート・アルバイトに「試用期間」を設けるべきか

独立行政法人労働政策研究・研修機構による「従業員の採用と退職に関する実態調査」では、採用した従業員へ試用期間を設定した企業は86.9%でした。規模の多い企業ほど、試用期間を設定した割合は高くなっています。

正社員には試用期間を設けるけれど、パートやアルバイトの場合にはどうすべきか悩んでいる採用担当者も多いのではないでしょうか。結論から言えば、パートやアルバイトでも試用期間を設けた方がよいでしょう。

仕事の内容が合わないという理由から、試用期間中に辞める方も少なくありません。また、仕事に順応できない方もいるかもしれません。試用期間があれば、企業とパート・アルバイトの間のミスマッチを防げます。

参考:独立行政法人労働政策研究・研修機構「従業員の採用と退職に関する実態調査」(2014年)


そもそも試用期間とは

試用期間とは、長期の雇用を見込んだ上で、採用した従業員の能力や適性を企業が判断するために設定した期間です。

試用期間の長さについては法律に特段の定めはなく、企業の裁量に委ねられています。国家公務員の場合、職員の採用に当たっては、条件付きで6カ月を良好な勤務成績で職務を遂行すれば正式に採用されます。

民間企業でも一般的な試用期間は、1~6カ月程度といわれ、3か月とする企業が多いようです。

ただし、試用期間だからといっても、いったん採用した従業員の解雇は難しいと考えるべきです。解雇できるのは、合理的な理由と社会通念上相当と認められる場合に限られます。

試用期間中の賃金は、本採用時より低くても問題はありません。ただし、最低賃金を下回ることはできないので注意しましょう。

参考:E-GOV法令検索「国家公務員法」(第59条第1項)

試用期間の目的

試用期間の目的は、採用した従業員の能力や適性を本採用前に確認することです。面接時にアピールしたスキルが十分かどうかなども、チェックできます。

試用期間は、企業と従業員の相性を確かめるための重要な期間ともいえます。採用したパート・アルバイトの方と、既存の従業員との人間関係がうまくいっているかを、試用期間の間にチェックもできます。

書類審査と​面接​だけでは見えない、書類に書かれていた能力を本当に持っているのかを実際に確認できます。

試用期間と研修期間の違い

試用期間とは、自社で働く方に業務に見合った能力や適性が備わっているかを採用する企業が確認し、勤務態度を見極めるための期間です。試用期間では、採用にふさわしい方をチェックします。

研修期間は、採用後に業務に必要となる知識やスキルを身に付けるために、企業が研修を実施する期間です。採用された方は研修期間中に、今後の業務遂行に必要なスキルを取得しなければなりません。

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パートに試用期間を設けるメリット

パートに試用期間を設ける場合、採用する側と採用される側の両方にメリットがあります。以下で見ていきましょう。

採用する側のメリット

履歴書などの書類審査や​面接だけでは、応募者の人間性や仕事への適性・能力までは分かりません。試用期間中の応募者の働き方を実際に確認して、今後の雇用継続の判断材料にできるのは、採用する側のメリットです。

試用期間の働きぶりを見れば、応募者がどの業務に合っているのかも確認できます。

昨今は、中小企業を中心に人材不足が続いています。採用担当者にもリソースに限りがあるため、人手不足に継続するミスマッチは避けたいでしょう。試用期間の間にミスマッチを防げる点はメリットです。

試用期間があれば、応募者の能力や適性がある程度分かります。試用期間が終わったら、正式採用での人材配置や業務を分担しやすくなる点もメリットといえるでしょう。

採用される側のメリット

採用される側にも、パートに試用期間を設けるメリットは多くあります。一番のメリットは、試用期間中に企業と仕事内容が自分に合っているのかを、十分に確認できることです。

自分に合っていないと分かれば、定められた期間のうちに正式採用には移行せず、退職を申し出ることが可能です。

また、中小企業であれば毎日顔を合わせなければならないことも多く、自分にどうしても合わない従業員がいる場合には、正式に採用してもらう必要はありません。

面接の段階で良い会社だと思っていても、試用期間で自分に合わないことが明らかになることもあるので、パートに試用期間を設けるのは採用される側にもメリットといえます。

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パートの試用期間で企業側が見るべきポイント

パートの試用期間で企業側が見るべきポイントは、安心して仕事を任せられるかどうかを確認することです。

企業がチェックするポイントには、次のものがあります。

  • 仕事に対する情熱はあるか
  • 仕事への責任感を持っているか
  • 業務内容への適性はあるか
  • 勤務態度に問題はないか
  • 他の従業員との人間関係に問題はないか
  • 健康状態は良好か

見るべき項目は多いですが、自社にどのような方が合うのかを考えてみましょう。複数の応募者がいる場合には、条件をクリアした方から正式に採用してください。

能力や適性がなく、条件をクリアできない方の場合には、社会通念上認められる範囲内で試用期間の延長を視野に入れることも考えられます。

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試用期間中の解雇について

ここまで、試用期間の概要とメリットや、企業側から見るポイントについて紹介しました。以下では、試用期間中の解雇について2つの視点から解説します。

  • 試用期間中に解雇できる?
  • 試用期間中に解雇する際の手続き方法

そもそも試用期間中に解雇できる?

試用期間中でも、一定条件のもとでは解雇は可能です。解雇に当たっては、社会通念上相当であると認められる合理的な理由が必要です。

試用期間中の解雇が相当と認められているのは、過去の判例からは下記の事由です。

  • 正当な理由なく欠勤・遅刻を繰り返す
  • 履歴書に虚偽記載あり
  • 採用面接時に精通していると申告していたスキルが著しく不十分だった
  • 勤務態度があまりにも悪い
  • 企業に損害を与える行為をした

上記のケースでも、企業として「問題に対して何度も改善を促し指導したが、改善の兆しが見られなかった」という一定の努力があった上で、解雇の判断に進まなければなりません。

試用期間中に解雇する際の手続き方法

試用期間中に解雇する際の手続き方法は、入社日から14日以内か14日以降かで異なります。

入社日から14日以内

解雇予告と解雇手当は不要

入社日から14日以降

  • 原則として30日前には解雇予告が必要
  • 30日前に解雇予告を行わない場合には、30日分以上の平均賃金の支払いが必要

参考:E-GOV法令検索「労働基準法」(第20条・第21条)

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パートの試用期間を設ける際に企業が決めておくべきこと

パートの試用期間を設ける際に企業が決めておくべきことは、給与・社会保険・本採用の基準などです。

給与

試用期間中の給与は、残業した割増賃金も含め本採用時と基本的に同じです。本採用より低くても問題はないものの、応募者への条件の通知は必要です。

また、試用期間中であっても最低賃金を下回ってはなりません。試用期間中と本採用時の待遇が異なる場合には、従業員に事前に説明して合意を得る必要があります。

社会保険

社会保険の適用範囲は順次拡大しています。2024年10月からは、従業員数51人以上の中小企業でも対応が必要です。要件を満たしていれば、試用期間中でも社会保険へ加入しなければならないため、注意しましょう。

対象/要件

2022年10月から

2024年10月から

従業員数(厚生年金保険の適用対象者数)

常時101~500人

常時51~100人

短時間労働者の労働時間

週の所定労働時間が20時間以上

短時間労働者の賃金

所定内賃金月額8.8万円以上

短時間労働者の雇用期間

2カ月を超えて試用される見込みがある(通常の被保険者と同様)

短時間労働者の条件

学生ではない(休学中や夜間学生は加入対象)

参考:厚生労働省「社会保険適用拡大ガイドブック

本採用の基準

パートの試用期間を設ける際には、本採用の基準を決めておく必要があります。試用期間であってもパートとして採用されていれば、本採用へ切り替えるだけです。

試用期間は、本採用を前提としているので、期間終了後の特段の手続きは不要です。

本採用時に当初に提示した待遇に変更があれば、理由の説明と合意を得なければなりません。


試用期間を設定する際の手続き

試用期間を設定する際の手続きには、以下の3つがあります。

  • 試用期間に関する規定を設ける
  • 労働条件通知書で試用期間がある旨を通知する
  • 労働者に試用期間があることを直接説明する

事務手続きを間違いなく行い、トラブルが生じないようにしましょう。

試用期間に関する規定を設ける

試用期間を設ける場合には、原則として就業規則に規定を設ける必要があります。以下の点は記載しておくとよいでしょう。

  • 試用期間の長さ(採用の日から3カ月などの記載)
  • 適性・技能などに応じて試用期間に短縮・省略・延長があることなど(労使双方協議のもと通算6カ月まで、などの記載)

試用期間自体は法令への定めはありませんが、労働条件などに関することは就業規則に明確に規定しておきましょう。

労働条件通知書にて試用期間がある旨を通知する

労働条件を示す「労働条件通知書」の中でも、試用期間がある旨を記載しなければなりません。企業は採用した労働者に対し、労働条件通知書で通知する必要があります。

労働条件通知書には、採用日から何月何日までが試用期間と明記する必要があります。労働条件通知書は、試用期間と本採用後に分けて作成しても構いません。

労働者に試用期間があることを直接説明する

企業は雇用契約に当たっては、採用した労働者に試用期間がある旨を説明します。説明は口頭でも差し支えないですが、後々のトラブルに備えて雇用契約書を締結した方が賢明といえるでしょう。

雇用契約書があれば、労働者の合意が明確になるためです。


試用期間終了後の手続き・すべきこと

試用期間終了後には、その後の雇用形態などに応じ、下表の手続きが一般的です。

本採用への手続き

  • 当初の雇用契約書から変更がなければ口頭のみで可
  • 会社の慣習によりけじめをつける意味で本採用辞令交付も

①試用期間は契約社員として雇用
②試用期間終了後に正社員として採用するケース

  • ①有期雇用契約職員として契約締結
  • ②正社員として契約締結
  • 試用期間終了後に適性がないことが判明し、契約期間終了を通達する可能性に備える(最初に契約社員で雇用し、適性が認められない場合の対応を明記)


試用期間に関するよくあるトラブルと対処法

ここからは、試用期間に関するよくあるトラブルと対処法を紹介します。事前にチェックしておきましょう。

正当な理由なく本採用を拒否したケース

試用期間終了後に本採用を拒否することは、解雇になります。試用期間開始から14日以内の解雇であれば、解雇予告は不要ですが、それ以降の解雇では正当な理由が必要です。

正当な理由なく本採用を拒否すれば、不当解雇に該当する恐れがあります。不当解雇を言い渡された従業員が、労働基準監督署や弁護士に相談することも考えられます。

その場合は会社としても、法律の専門家である弁護士や労使関係に詳しい社会保険労務士に相談せざるを得ないでしょう。

一方的に試用期間を延長したケース

試用期間を延長するためには、従業員に仕事への能力や適性がなく正式採用に移行する諸条件が整わない方で、社会通念上相当と認められる合理的な理由がなければなりません。

上記の条件を満たさず、労使双方の合意を得ずに一方的に試用期間を延長したケースでは、労働関係調整法に規定される労働委員会から争議行為の調停などへ発展する恐れもあります。

企業の採用担当者レベルでは解決が難しいため、弁護士や社会保険労務士に相談してください。

各種保険に加入させなかったケース

社会保険の適用対象事業所の場合には、パート勤務で試用期間中でも社会保険の加入義務が発生します。給料が発生する雇用形態であれば、試用期間であるか否かを問わないからです。

意図したか否かを問わず社会保険をはじめとした各種保険に加入させなかったケースでは、企業の社会保険担当者は、一刻も早く当該保険を管轄する機関に相談するようにしましょう。

給与が最低賃金を下回っているケース

給与が最低賃金を下回っているケースは、最低賃金法による罰則規定の対象です。最低賃金法によると、最低賃金に達しない部分の賃金は無効となり、無効部分は最低賃金と同等の定めがあったとみなされます。

給与が最低賃金を下回ったケースでは、最低賃金との差額部分を直ちに支払うなど、適切な対処が必要です。

最低賃金の動向などについて詳しく知りたい採用担当者の方は、「2024年の最低賃金について徹底解説!」を確認してください。

参考:E-GOV法令検索「最低賃金法」(第4条)、厚生労働省「地域別最低賃金の全国一覧


パートの試用期間に関するよくある質問

試用期間は延長できる?

試用期間は延長が可能です。延長できる条件としては、従業員に仕事への能力や適性がなく、社会通念上相当と認められる合理的な理由がある場合です。無断欠勤や遅刻が多く、正式採用に移行する諸条件が整わない方(つまり、本採用が拒否できる程度の人)も含まれます。

試用期間の延長に際しては、従業員から同意を得て延長後の試用期間を明記した「試用期間延長通知書」などで合意を得ておきましょう。

試用期間で契約終了・クビにできる?

試用期間中は「解約権留保付労働契約」で、企業は労働契約を終了する権利を保留しています。試用期間中の解雇・契約終了に際しては、社会通念上相当であると認められる合理的な理由がなければなりません。

入社日から14日以内の解雇であれば、解雇予告と解雇手当は不要です。入社日から14日以降の解雇には、原則として30日前には解雇予告が必要です。

解雇予告を行わない場合は、30日分以上の平均賃金を支払う必要があります。

詳しく知りたい方は、「パートの契約更新をする・しない時の注意点|無期契約についても解説」の記事もあわせてチェックしてみてください。


まとめ

試用期間中の解雇に当たっては、社会通念上相当であると認められる合理的な理由が必要です。解雇する際の手続き方法は、入社日から14日以内か14日以降かで異なります。

社会保険の適用対象事業所であれば、パートやアルバイトが勤務する場合には、試用期間中でも社会保険の加入義務が発生するため、注意しましょう。

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監修:弁護士 青栁剛史
監修:弁護士 青栁剛史
電車庫通り法律事務所 弁護士 青栁剛史|保有資格:弁護士(第一東京弁護士会所属・登録番号53006)、海事代理士(関東支部)、海事補佐人|第一東京弁護士会所属。都内の上場企業等の顧問事務所を経て独立。中小企業の企業対応を中心に、相続、交通事故、犯罪被害者対応に重点を置いております。頼れる町のアドバイザーを目指しています。

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