
新卒採用サービス:多様化する採用ニーズに応える最新ソリューション
新卒採用を取り巻く環境は、学生の価値観の多様化や売り手市場の定着を背景に大きく変化しています。従来の「待ち」の姿勢から、企業が積極的に学生へアプローチする「攻め」の採用へとシフトが求められる今、多様化する採用ニーズに応える最新ソリューションが不可欠です。本記事では、母集団形成から採用ブランディングまで、企業が抱える課題を解決し、優秀な人材獲得を支援する最新サービスを徹底解説します。
新卒採用の現状と課題
従来の日本の新卒採用は、大手就職情報サイトへの求人広告掲載を中心とした、企業側が学生の応募を待つスタイルが一般的でした。しかし、現代においては、企業が積極的に学生にアプローチする姿勢が不可欠となっています。その背景には、学生の価値観の多様化や、求職者優位の市場環境の定着があります。企業は、自社の魅力を効果的に伝え、優秀な人材を獲得していく必要に迫られています。
多くの企業が、採用活動における応募者数確保に苦慮しています。そのため、就職情報サイト、合同企業説明会、マッチングイベントなど、様々なサービスが登場し、その内容も充実してきています。また、採用手法の多様化に伴い、採用ブランディングを目的としたブログや自社メディアの活用も増加傾向にあります。企業が自社の魅力を発信できる採用ページ作成サービスも注目を集めています。
新卒採用サービスの全体像
新卒採用サービスは、採用活動の一連の流れである「母集団形成→応募受付→選考実施→内定通知→入社」を支援する目的で提供されています。この記事では、数多くのサービスを、以下のカテゴリーに分類してご紹介します。
- 母集団形成支援サービス
- 選考支援サービス
- 内定者支援サービス
- その他(新卒採用コンサルティング、採用代行サービス、採用管理システム)
これらのサービスを効果的に活用することで、企業は採用活動の効率化、採用の質の向上、採用コストの削減といった効果が期待できます。母集団形成から内定までの全プロセスを網羅する採用管理システムや、新卒採用コンサルティング、採用アウトソーシングサービスについては、「その他」のカテゴリーでご紹介します。
母集団形成支援サービス:多様な選択肢を理解する
新卒採用において、最初に重要となるのが母集団形成です。ここでは、就職情報サイト、人材紹介サービス、合同企業説明会・マッチングイベント、リファラル採用支援、魅力的な採用ページ作成など、多岐にわたる母集団形成支援サービスについて解説します。企業は、自社のニーズやターゲット層を考慮し、最適なサービスを選択することが重要です。
就活サイト:ターゲットに合わせた選択
新卒採用で利用される就職情報サイトは、大きく分けて「オファー型」「総合型」「専門特化型」の3種類に分類できます。それぞれの特徴をしっかりと理解し、自社の採用戦略に合致したサイトを選びましょう。
オファー型就活サイト:スカウトで優秀な学生にリーチ
オファー型就活サイトは、企業側から学生へスカウトを送る形式が中心の就職活動支援サービスです。企業は、サイトに登録されている学生の情報を検索し、求める人材像に合致すると判断した学生に直接アプローチすることができます。この形式の就活サイトでは、企業が送信できるスカウトメールの数に制限が設けられている場合が多く、結果として学生側の開封率が高い傾向にあるのが特徴です。特に、知名度が高くない企業にとっては、優秀な学生に直接アプローチできる大きなメリットがあります。
ダイレクトリクルーティングの普及に伴い、企業による学生へのスカウトをサービスの中核とする就活サイトが増加傾向にあります。大手人材企業もこの分野に参入しており、就活サイトの新しい形として注目を集めています。
具体的なサービスとしては、Wantedly、CheerCareer、dodaキャンパス、iroots、OfferBox、TECH
OFFER、キミスカ、Re就活キャンパス、クリ博ダイレクトなどが挙げられます。これらのサイトはそれぞれ異なる特色を持っているため、企業のターゲットとする学生層や採用ニーズに合わせて最適な選択をすることが大切です。
例えば、Wantedlyは、ベンチャー企業での長期インターンシップを探している学生が多く、キャリアに対する意識の高い学生が集まる傾向があります。一方、dodaキャンパスは学生の登録者数が多く、中小企業から大企業まで幅広い企業が利用しています。
ただし、スカウトメールの配信には一定の作業工数が発生するため、採用担当者の負担が増加する可能性がある点には注意が必要です。
総合型就活サイト:広範囲な層へのアプローチ
総合型の就活サイトは、リクナビやマイナビといった、大手企業が運営する大規模なサイトを指します。登録している学生数が非常に多く、広範な層へのアプローチが可能です。多数の学生を採用したい大手企業や、知名度の高い企業にとっては、効果的な母集団形成の手段となります。しかし、採用コストに制約があったり、採用条件や企業認知度で劣る中小企業の場合、期待するほどの母集団形成ができないこともあります。
代表的なサービスとしては、アクセス就活、キャリタス就活、ダイヤモンド就活ナビ2026、ブンナビ!、マイナビ2026、リクナビ2026などが挙げられます。これらのサイトは情報量が豊富で、多くの学生が利用するため、企業は自社の情報を幅広く発信することができます。
一方で、多くの学生に向けた情報発信となるため、他社との差別化を図ることが難しいというデメリットも存在します。
特化型就活サイト:特定のターゲットに集中
特化型の就活サイトは、特定の属性を持つ学生に焦点を当てたサイトです。業種別(広告・マスコミ、コンサルティングファームなど)、ターゲット別(理系学生、女子学生など)、職種別(ITエンジニア、保育士など)といったカテゴリーが存在します。
新卒採用活動において独自の個性を打ち出したい、専門的なスキルを持つ即戦力に近い学生を採用したいといった企業のニーズに応えるのが、特化型の就活サイトです。業種別では、広告・マスコミ業界、コンサルティングファーム、映像・エンターテインメント業界、ファッション業界、デザイン業界などに特化したサイトがあります。
ターゲット別では、理系学生、大学院生、女子学生、体育会系学生、看護・薬学部生などを対象としたサイトが見られます。職種別では、ITエンジニアやプログラマー、保育士などに加え、近年ではインターンシップの募集に特化したプレ就活サイトとも言えるサービスも登場しています。
具体的なサービスとしては、Acaric、Brand-Career J、Career ForumNet、FactLogic、などが挙げられます。これらのサイトには、特定の分野に関心を持つ学生が集まるため、企業は効率的にターゲット人材にアプローチできます。
多様な特化型サイトを利用する際には、事前にサービスの利用実績を確認することが重要です。利用企業数や学生数、競合企業の掲載状況などを確認しましょう。また、料金体系を確認し、良質な母集団を形成するためのコスト的な優位性があるかどうかを見極めることも大切なポイントです。
人材紹介:プロの力を活用して効率的な採用を
新卒学生を対象とした人材紹介サービスも多数存在します。人材紹介は、人材紹介会社が企業の求める人材像に合致する学生を紹介するサービスであり、企業にとっては採用活動にかかる手間を削減できるというメリットがあります。母集団形成から選考プロセスの一部まで人材紹介会社に委託できるため、採用担当者が不足している企業にとっては有効な手段と言えるでしょう。
また、採用市場を熟知した担当者が、最新のトレンドや学生側の動向に合わせて柔軟に対応します。そのため、採用ノウハウが不足している企業にとっても大きなメリットがあります。ただし、人材紹介サービスは、内定が決定した段階で紹介手数料が発生する成功報酬型が一般的です。したがって、就活サイト経由での人材獲得にかかるコストと比較検討した上で利用を検討することが重要です。
合同説明会・マッチングイベント:直接的な出会いを創出
新卒採用における母集団形成の手段として、合同企業説明会は従来から就職情報サイトと同様に活用されてきました。この分野では、オンライン化の進展と、少人数制で特色あるマッチングイベントが増加傾向にあります。新型コロナウイルス感染症の拡大により、多くの合同企業説明会が延期や中止となり、各地で開催されていたイベントが一斉にオンラインへと移行しました。最近では感染者数の減少やワクチン接種の普及に伴い、対面での開催も徐々に再開されていますが、オンラインイベントとの組み合わせが進む状況です。
また、従来の合同企業説明会よりも規模が小さく、ユニークなマッチングイベントを提供するサービスも登場しています。学生の個性や趣味といった学業以外の強みを活かした選考を行うサービスや、企業の経営者や採用担当者との食事会を通じて相互理解を深めるマッチングサービスなどがあります。さらに、学生が気軽に就職相談できるOB・OG訪問のマッチングを、応募や選考につなげるサービスなど、その種類も多様化しています。
リファラル採用支援:社員の力を活用
採用市場における売り手優位の状況と労働人口の減少を背景に、採用活動におけるマッチングの重要性が高まり、リファラル採用への注目度が増しています。リファラル採用で入社した人材は、企業文化や業務内容への理解が深いため、ミスマッチが起こりにくく、早期退職につながるリスクを軽減できると考えられています。このような状況に対応するため、リファラル採用をサポートするサービスも提供されています。
これらのサービスの特徴は、これまで可視化が難しかったリファラル採用活動の状況を把握できる点にあります。部署や社員ごとに、リファラル採用への貢献度を定量的に把握することが可能です。また、社内の求人情報を全社員に周知したり、メールやSNSを通じて簡単に求人を紹介できる機能など、リファラル採用へのハードルを下げるための工夫も盛り込まれています。
リファラル採用支援サービスの導入により、社員の協力意欲向上や採用コスト削減といった効果につながっている事例も報告されています。
採用ページ作成:自社の魅力を発信する
採用手法が多様化する中で、採用ブランディングを目的としたブログやオウンドメディアの活用が増加しています。このような流れを受けて、企業が自社の魅力を効果的に発信できる採用ページ作成サービスも注目を集めています。採用ページ作成サービスの特徴は、応募者管理機能といった採用管理システムとしての機能に加え、求人検索エンジンでの優先表示など、付加価値の高い機能が提供されている点です。また、企業理念への共感や職場の雰囲気、働き方など、求職者のキャリア観が多様化していることから、採用広報に力を入れる企業が増加しています。自社への共感を深め、ファンを増やすことを通じた母集団形成は、新卒採用においても重要です。そのため、採用広報を実現できるプラットフォームであるWantedlyを採用活動に活用する企業が増えています。
選考支援サービス:ミスマッチを防ぐ
選考支援サービスは、企業が学生を選考する過程をサポートするものです。ここでは、多くの企業が選考プロセスで活用している適性検査を提供するサービスについてご紹介します。
適性検査:客観的データに基づく評価
終身雇用を前提とした従来の雇用形態では、組織における協調性を重視できる人材が不可欠です。新卒採用においては、応募者の性格や職場への適応能力を見極めることが重要となります。職務経験のない学生の潜在能力を評価するために、多角的な適性検査が活用されています。知的能力、適応性、ストレス耐性、職種適性など、多様な側面を測る検査が存在し、AIを活用して個人の気質や行動特性を分析するサービスも登場しています。
採用市場が求職者優位へと変化し、早期離職を抑制することが企業にとって重要な課題となる中、ミスマッチを防ぎ、より精度の高いマッチングを実現するための適性検査の重要性は高まっています。
内定支援サービス:内定辞退の抑制
内定支援サービスは、内定承諾者の辞退を防ぐことを目的としており、内定者フォローの一環として提供されます。
内定者フォロー:入社意欲の向上
求職者優位の状況が続く中で、優秀な学生ほど複数の内定を得やすい傾向にあります。そのため、内定を得たからといって確実に入社するとは限らず、他社へ流出する可能性も考慮しなければなりません。企業は、内定辞退を防ぐためのフォローアップに注力しており、そのニーズに応える形で内定者フォローサービスが生まれました。企業と学生間のコミュニケーションを促進する多様な機能が搭載されており、内定者研修をサポートする講座やグループワーク機能を提供するサービスも見られます。内定者フォローは、新卒学生の企業に対するエンゲージメントを高めるための重要なツールとして、そのサービス内容は進化を続けています。
その他の新卒採用支援サービス
ここでは、採用活動の全段階、すなわち母集団形成から選考、内定に至るまで、企業を総合的に支援するサービスとして、新卒採用コンサルティング、採用代行、採用管理システムについて解説します。
新卒採用コンサルティング:プロフェッショナルの視点
新卒採用コンサルティングとは、企業が抱える採用に関する課題をヒアリングし、採用計画の初期段階である母集団形成から、内定、そして入社に至るまで、外部の専門家が多角的に支援するサービスです。もし、自社内に十分な採用ノウハウがないと感じる場合は、新卒採用コンサルティングの利用を検討する価値があるでしょう。
採用代行:業務効率の大幅改善
求人広告の多様化、ダイレクトマーケティングの進化、採用広報の重要性など、採用手法が複雑化するにつれて、採用担当者の負担は増加の一途を辿っています。特に新卒採用においては、応募と選考の時期が集中するため、採用担当者の業務量が限界に達することも珍しくありません。そこで、採用活動の一部、または全てを外部に委託するのが採用代行サービスです。特に定型的な業務を中心に採用代行サービスを活用することで、採用担当者はより戦略的な採用コア業務に集中できるようになります。
さらに、採用戦略の策定や、候補者の資質を見極める面接、最終的な合否判定といった、採用における重要な業務までをカバーする採用代行サービスも存在します。
採用管理システム:情報の一元化で効率的な採用活動
採用活動における母集団形成から入社までの全プロセスにおいて、企業側で発生する様々な業務を一元的に管理するシステム、それが採用管理システム(ATS)です。採用管理システムは、採用活動の各段階を可視化し、効率化することを目的としており、応募者の情報、コミュニケーション履歴、タスク管理、面接日程の調整などを一元的に管理することが可能です。近年では、LINEやSlack、ChatWorkといったビジネスコミュニケーションツールとの連携や、主要な就職情報サイトとのデータ連携が可能なサービスが登場するなど、機能面も充実しています。
まとめ
この記事では、新卒採用サービスの全体像から、それぞれのサービスの詳細、そして自社に合ったサービスの選び方について解説しました。新卒採用市場は常に変化しており、企業は最新の動向を的確に捉え、自社のニーズに最適なサービスを柔軟に選択していく必要があります。この記事が、企業の皆様が新卒採用を成功させるための一助となれば幸いです。
よくある質問
Q1:新卒採用サービスにはどんな種類があるのでしょうか?
新卒採用をサポートするサービスは多岐に渡り、大きく分けて母集団形成支援(就職情報サイトへの掲載、人材紹介など)、選考プロセス支援(能力適性検査の実施)、内定者支援(内定者のフォローアップ)、そしてその他(新卒採用に関するコンサルティング、採用業務代行、採用管理システム導入支援)などがあります。
Q2:最適な新卒採用サービスを選ぶにはどうすれば良いですか?
自社の採用における課題、ターゲットとなる学生層、そして予算を総合的に考慮し、複数のサービスを比較検討することが不可欠です。それぞれのサービスが持つ特徴をしっかりと把握し、無料体験や資料請求などを積極的に利用して、自社にとって最も適したサービスを選び抜きましょう。
Q3:新卒採用サービス導入時に注意すべき点はありますか?
サービスを導入する前に、自社の採用目標を明確に定め、期待できる効果を具体的に設定することが非常に重要です。さらに、導入後の効果を定期的に測定し、必要に応じて改善策を検討していくことが成功への鍵となります。


