
ベンチャー、大手、外資系企業…中途採用でキャリアアップへの道筋
転職市場は常に変化し、キャリアアップを目指すあなたにとって、どの道を選ぶべきか悩ましい問題です。ベンチャー企業でスピード感あふれる成長を経験するか、大企業で安定した基盤を築くか、それとも外資系企業でグローバルな舞台に挑戦するか。本記事では、それぞれの企業の特性を踏まえ、あなたのスキルや経験を最大限に活かし、理想のキャリアを実現するための戦略を徹底解説します。成功への道筋を一緒に見つけ出しましょう。
中小企業における中途採用の現状
中小企業では、2013年以降、景気回復とともに人手不足が深刻化しています。経営課題として「人材確保の困難さ」を挙げる企業の割合は過去最高水準に迫り、「採用」は経営上の最重要アジェンダとして認識されています。2020年の新型コロナウイルス感染拡大によって一時的に人手不足割合は低下しましたが、2022年以降は再び人材獲得競争が激化しています*。中小企業白書によると、中小企業の経常利益も売上高と同様に、リーマン・ショック後に大きく落ち込んだものの、その後は回復傾向にありましたが、2020年にはコロナ禍の影響で減少しました。その後、2020年第3四半期を境に、中小企業の経常利益は再び増加傾向にあります。しかし、昨今の円安基調は中小企業のみならず、大企業や家計への影響も懸念されています。
出典:2024.10.帝国データバンク.人手不足に対する企業の動向調査(2024 年 10
月).https://www.tdb.co.jp/report/economic/20241113-laborshortage202410/
2024.7.18.中小企業庁.2024年版「中小企業白書」.https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/2024/PDF/chusho.html
中途採用とは:定義と新卒・キャリア採用との差異
中途採用とは、既に職務経験を有する人材を採用する手法です。急な人員補充や事業拡大に伴う即戦力確保に適しています。対象となるのは、高度なスキルや経験を持つベテラン人材だけでなく、社会人経験の浅い第二新卒や、職務経験のない既卒者も含まれます。新卒採用とは異なり、採用活動の時期は固定されておらず、必要に応じて随時募集を行います。厚生労働省の定義によれば、「中途採用」とは「新規学校卒業者以外の採用」を指します。
新卒採用との相違点
新卒採用は、卒業見込みの学生を採用する手法であり、一般的には卒業時期に合わせて集中的に行われます。新卒採用は、企業が将来にわたって事業を継続するための人材育成を目的とする一方、中途採用の目的は多岐にわたります。新卒採用では、スキルや経験よりも企業文化への適応力や将来性が重視される傾向があります。
キャリア採用との相違点
キャリア採用とは、特定の職務に必要な経験や技能をすでに有する人材を対象とした、即戦力としての採用活動を指します。一方、中途採用は、未経験者も応募可能なポテンシャル採用を含む場合があります。そのため、キャリア採用は中途採用の一つの形態と捉えることができます。ただし、「中途」という言葉が持つネガティブな印象を避けるために、単に中途採用をキャリア採用と表現するケースも見られます。
中途採用市場の動向と活性化の背景
近年の中途採用市場は、労働人口の減少と少子高齢化による新卒採用の限界、産業構造の変化や技術革新による新たな人材ニーズの発生、そして働き方の多様化と転職への意識変化といった複合的な要因が絡み合い、活況を呈しています。企業は、即戦力となる経験豊富な人材を求め、外部から新しい知識やスキルを持つ人材を獲得することで、競争力を維持・向上させようとしています。転職をキャリアアップの手段と捉える人が増え、より良い待遇や成長機会を求めて積極的に転職活動を行うようになったことも、企業が多様な人材にアクセスしやすくなった要因の一つです。これらの要因が相互に作用し、中途採用市場は今後も活発な動きを見せると予想されます。
中途採用市場が活況を呈する要因
近年の中途採用市場が活発化している主な要因は、以下の3点です。
- 少子高齢化による新卒採用の困難化:慢性的な人材不足を背景に、中途採用を主要な採用戦略とする企業が増加しています。
- デジタルトランスフォーメーション(DX)人材需要の拡大:グローバル化の進展に伴い、DXを推進する企業が増え、IT人材の不足が深刻化しています。
- 労働者の意識変化:終身雇用制度が形骸化し、キャリアアップやワークライフバランスの改善を求めて転職を選択する人が増加しています。
学情の調査によると、「転職で重視する点」として、「給与・年収の向上」「仕事のやりがい」「仕事内容」「残業時間の削減、休日の確保」「勤務地」などが上位に挙げられています。
中途採用のメリットとデメリット
中途採用には、企業にとって様々な利点と欠点が存在します。企業の採用ニーズに合致した最適な採用手法を選択することが重要となります。
中途採用のメリット
中途採用には、企業にとっていくつかの大きな利点があります。主に以下の3点が挙げられます。
- 即戦力となる人材の確保:すでに一定の経験やスキルを備えた人材を採用できるため、入社後すぐに活躍してくれることが期待できます。
- 必要な人材をピンポイントで補充:事業の状況に合わせて、必要なスキルや経験を持つ人材を必要なタイミングで採用できます。
- 新しい視点や知識の導入:これまで自社にはなかった知識やノウハウを持った人材を採用することで、組織全体の活性化に繋がります。
特に、同業他社からの転職者は、新しい仕事のやり方や専門知識をもたらし、新しいビジネスチャンスを創出する可能性を秘めています。また、他の企業で経験を積んだ人材は、組織に新しい風を吹き込み、固定観念にとらわれない柔軟な発想をもたらすことが期待できます。
中途採用のデメリット
一方で、中途採用には注意すべき点も存在します。以下に主なデメリットをまとめました。
- 採用にかかるコストが高くなる傾向がある:採用活動を行うたびに費用が発生し、特に専門性の高い人材を獲得しようとする場合には、高額なコストが必要となることがあります。
- 企業文化とのミスマッチが生じる可能性:企業の文化や価値観と、入社する人材の価値観が合わない場合、早期離職に繋がってしまうリスクがあります。
- 大人数をまとめて採用するには不向き:即戦力となる人材を個別に採用していくため、新卒採用のように大人数を一度に採用することは難しいです。
- 若手社員の成長機会を奪う可能性:経験豊富なベテラン人材ばかりを採用し続けると、若手社員の成長機会やキャリアアップの機会が失われてしまう可能性があります。
企業文化とのミスマッチを防ぐためには、採用活動の段階で企業の文化や価値観をしっかりと伝え、入社後のサポート体制を充実させることが重要です。
中小企業における中途採用課題と解決策
中小企業が中途採用を成功させるためには、大企業とは異なる特有の課題を克服する必要があります。例えば、人員や予算といったリソース不足、応募者数の不足、内定辞退の発生、採用コストの負担などが主な課題として挙げられます。
リソース不足の課題と解決策
中小企業では、採用担当者が他の業務と兼務していることが多いため、採用活動に十分な時間を割けない場合があります。また、「専任の採用担当者を置く余裕がない」「採用活動に時間をかけられない」「採用活動に十分な予算を割けない」といった理由から、本来であれば採用できていたはずの優秀な人材を逃してしまうケースも少なくありません。
解決策:組織全体で採用活動を推進する
従業員一人ひとりが採用の担い手となる体制を構築しましょう。例えば、配属希望部署の社員を面接官に加える、応募者に対する印象や意見を全社員で共有するなどの施策を通じて、人的資源の不足を補えます。さらに、事務処理や応募者対応といった業務を外部委託することで、人材選定に注力することも有効な手段です。
応募者不足の現状と打開策
中小企業は、大企業に比べて認知度が低いことから、応募者数が伸び悩む傾向にあります。そのため、能力の高い人材を効率的に採用することが難しいと感じている企業も少なくありません。この状況を打破するための対策をご紹介します。
解決策1:自社が求める人物像を明確にする
一見優秀に見える人材が、必ずしも自社にとって必要な人材とは限りません。最も重要なのは、「自社にとって不可欠な人材」を明確に意識して採用活動を行うことです。特に中小企業における中途採用では、能力を最大限に活かせる人材を適切なポジションに配置することが成功の鍵となります。募集部署が求める人材の「性格」「スキル」「経験」などを具体的に定義することで、採用時に本当に必要な人材を見極めることが可能になります。
解決策2:最適な求人広告媒体を選ぶ
現在利用している求人広告から十分な応募が得られない場合は、企業の採用ニーズと求人広告の特性が合致していない可能性があります。求人広告には多様な種類があり、それぞれに独自の特長と強みがあります。営業職や事務職の採用に強みを持つ媒体には、これらの職種を志望する人材が集まりやすく、エンジニア採用に特化した媒体には、エンジニアとしてのキャリアを希望する人材が集まります。そのため、企業は採用したい人材が多く集まる媒体を選定することで、採用成功の可能性を高めることができます。
内定辞退が多い課題と解決策
転職希望者は、応募する前に企業の評判や情報をインターネットで徹底的に調べます。もし情報が不足している場合、給与や福利厚生などの待遇面、社風、職場の雰囲気などが分からず、不安を感じて内定辞退につながってしまう可能性があります。名の知れた大企業は、転職サイトや自社のウェブサイトで詳細な情報を公開しており、企業の業績や事業内容、平均勤続年数などを事前に確認することができます。
解決策:採用時期を調整する
中途採用の時期を戦略的に変更するという選択肢があります。多くの企業が採用活動を活発に行う時期を避け、秋の採用活動に注力する方法です。秋は、春に比べて他の企業との採用競争が緩和され、自社の求人情報が多数の求人情報に埋もれてしまう可能性が低くなります。また、複数の内定を持っている転職希望者も比較的少ないと考えられ、企業としては内定辞退のリスクを軽減できます。
採用コストが増加する課題と解決策
求人広告を掲載しても、売り手市場の現状では、自社の情報が多くの企業の情報に埋もれてしまいがちです。その結果、採用にかかるコストが予想以上に増えてしまうことがあります。
解決策:ダイレクトリクルーティングを有効活用
ダイレクトリクルーティングとは、ビジネスSNSなどのデジタルツールを駆使して、企業が直接人材にアプローチする採用手法です。企業側から積極的にアプローチできるため、知名度が必ずしも高くない企業でも、自社が求める優秀な人材に直接コンタクトを取ることができます。大企業とは異なり、柔軟な採用活動が可能な中小企業の中途採用においては、費用対効果が高く、有効な採用戦略と言えるでしょう。
中途採用の流れと成功させるポイント
中途採用を成功に導くには、周到な準備と有効な戦略が不可欠です。採用計画の立案から、ターゲット層に合致した採用方法の選定、選考プロセスの迅速化、そして内定者への手厚いフォローまで、一連の流れを最適化することが重要となります。
中途採用の流れ
- 採用計画の策定:採用の目的と求める人物像を明確にし、関係者間で共通認識を持ちます。
- 母集団形成:ターゲット層に響く採用手法を選び、求職者からの応募を積極的に集めます。
- 選考:書類選考、面接、能力適性検査などを通じて、候補者を絞り込んでいきます。
- 内定:採用条件を提示し、内定承諾を得ることを目指します。
- 入社準備:入社前のフォローアップを丁寧に行い、スムーズな入社をサポートします。
中途採用を成功させるポイント
- ターゲットに合った採用手法を選ぶ:自社が求める人材に効果的な求人媒体や採用チャネルを慎重に選定します。
- 選考スピードを速くする:迅速な対応によって求職者の関心を維持し、競合他社への流出を防ぎます。
- 1to1のアプローチを心がける:個々の求職者に合わせたきめ細やかな対応で、企業に対する魅力を高めます。
- 応募者に十分な情報を提供する:企業の魅力や職場の環境を具体的に伝え、入社後のミスマッチを減らすように努めます。
- 内定者フォローを徹底する:内定から入社までの期間を大切にし、内定者の不安を解消し、入社意欲を向上させます。
- 中長期のキャリア支援を用意する:入社後のキャリアパスを明確にし、長期的な成長を支援する体制を整えることが重要です。
中途採用が適しているケース
中途採用は、その性質上、特定の状況において特に有効です。専門知識やスキルを持つ人材の採用、急な欠員補充、新卒採用だけでは充足できない場合などが、その代表的な例として挙げられます。
専門性の高い人材の獲得
高度な専門知識や特定の資格が求められる職種、例えば、弁護士や会計士などの専門職、システム開発エンジニア、データ分析のエキスパート、研究開発職などにおいては、即戦力となる経験者採用が効果的です。経験のない人材を育成する時間的な余裕がない状況にも適しています。
緊急の人員補充
中途採用は、比較的短い期間で採用活動を終えることができるため、予期せぬ退職などによる急な人員不足を解消するのに役立ちます。ただし、一度に多数の人員を必要とする場合には、別の方法も検討する必要があります。
新卒採用の代替策
少子高齢化の影響により、新卒採用が困難になっている現在、既卒者や第二新卒者を積極的に採用することで、新卒採用の不足を補う企業が増加傾向にあります。特に、20代の若い人材を年間を通して採用する「20代通年採用」の制度は、多くの企業で導入されています。
まとめ
中小企業が中途採用で成功を収めるためには、最新の採用市場の動向を把握し、自社の現状や課題に最適な戦略を構築することが不可欠です。人材やノウハウの不足、応募者数の伸び悩みといった課題を克服し、ターゲットとする人材に響く採用手法を選択し、選考プロセスを効率化することで、優秀な人材の確保に繋がります。さらに、内定後のフォローアップや入社後のキャリア形成支援を通じて、早期離職を防ぎ、定着率を高めることも重要です。この記事が、中小企業の人事担当者の皆様が中途採用を成功させるための一助となれば幸いです。
よくある質問
Q:中途採用とは?
中途採用とは、新卒一括採用とは異なり、既に社会人経験をお持ちの方を対象とした採用活動のことです。企業が求めるスキルや経験を備えた人材を、時期を問わず柔軟に採用する手法として広く用いられています。
Q2:中小企業が中途採用を成功させる秘訣
中小企業が競争の激しい中途採用市場で成功を収めるためには、いくつかの重要なポイントがあります。最初に、自社が抱える採用上の課題を明確にし、求める人物像を具体的に定義することが不可欠です。次に、そのターゲット層に効果的な採用手法を選択し、求人広告や人材紹介サービスなどを戦略的に活用します。応募者への迅速かつ丁寧な対応は、企業の印象を大きく左右します。自社の魅力や強みをしっかりと伝え、入社後のミスマッチを防ぐために、内定者フォローにも力を入れることが重要です。
Q3:中途採用の利点と注意点
中途採用の大きなメリットは、即戦力となる人材を迅速に確保できる点にあります。特定のスキルや経験を持つ人材をピンポイントで採用できるため、組織全体の能力向上に貢献します。また、新しい知識やノウハウを組織に取り込むことで、イノベーションを促進する効果も期待できます。しかし、採用コストが新卒採用よりも高くなる傾向があること、企業の文化や価値観とのミスマッチが生じるリスクがあること、一度に多数の人材を採用することが難しい場合があることなどは、デメリットとして考慮すべき点です。


