
研究概要書:就活を成功に導くための必須アイテム
就活戦線を勝ち抜くための秘密兵器、それが「研究概要書」です。特に理系学生の皆さんにとって、これは単なる書類以上の意味を持ちます。自身の研究内容を凝縮し、企業の求める能力を示す羅針盤となるのです。研究の背景から結果、考察までを明瞭に記述することで、あなたの専門知識、論理的思考力、そして何より問題解決能力を企業にアピールしましょう。さあ、研究概要書を最強の武器に、就活の扉を開きましょう!

研究概要書とは?
研究概要書は、自身の研究活動の内容を要約したもので、特に理系の学生が就職活動を行う際に企業に提出を求められる重要な書類です。研究の背景、目的、手法、成果、考察などをまとめ、自身の研究を企業側に伝える役割を果たします。企業は研究概要書を通じて、応募者の専門的な知識、筋道を立てて考える力、課題を解決する能力、コミュニケーションスキルなどを評価します。特に大学院生の場合、エントリーシートと同様に、企業が学生の潜在能力や情報伝達能力などを判断するために、研究概要書の提出を求めることがよくあります。
出典:2023/8/20 .【見本付き】理系就活における研究概要(A4 1枚/2枚、ES)の書き方と ...
.https://www.saint-createmirai.com/research-summary/
研究概要書が必要な理由
企業が研究概要書を必要とする主な理由は以下の3点です。
- 論理的思考力とコミュニケーション能力の評価:専門的な研究内容を、その分野に詳しくない人にも理解できるように説明できる能力を評価します。
- 課題解決能力の評価:研究を進める上で遭遇した困難や、それをどのように乗り越えたかを通して、問題解決能力を評価します。
- 面接での質問の準備:研究概要書の内容は面接時の質問の元となり、応募者の研究内容について、より深く理解するための手がかりとなります。
出典:2020/4/23 .【理系就活】研究概要書の作成①基本編|カルフ / Ph.D ... - note
.https://note.com/calfchallenge/n/nd597721435f0
研究概要書の種類
企業から求められる研究概要書には、主に以下の3つの形式があります。提出先の企業によって指定される形式が異なるため、指示に従い、適切な形式で作成することが重要です。
- テキスト形式のエントリーシートタイプ:文字数に制限があるエントリーシート形式で、要点を絞って情報を伝える必要があります。
- 図表などを活用する自由記述タイプ:図やグラフなどを効果的に使用し、視覚的に分かりやすく研究内容を説明します。
- プレゼンテーション資料タイプ:スライド形式で情報を整理し、プレゼンテーションを行うように研究内容を伝えます。
文字だけのエントリーシートタイプ
テキスト形式のエントリーシートタイプでは、指定された文字数の中で、研究の目的、方法、結果などを文章のみで明確に記述します。情報が具体的に記述されており、採用担当者に伝えたい情報を正確に伝えやすいという利点があります。ただし、視覚的な要素がないため、複雑なデータや結果を分かりやすく伝えるのが難しい場合があります。
図表を多用する形式
図表を多用する研究概要では、グラフや図解を用いて研究成果や分析結果を視覚的に示します。これにより、採用担当者は複雑なデータでも直感的に内容を把握しやすくなります。ただし、文章による説明が不足すると、重要な情報が十分に伝わらない可能性もあります。図やグラフを用いる際には、適切な文章による補足説明を心がけましょう。
プレゼンテーション形式
プレゼンテーション形式の研究概要では、スライドを用いて情報を整理し、視覚的な表現を効果的に活用します。スライドの構成やレイアウトを工夫することで、研究の流れを明確かつ分かりやすく伝えることができます。動画や音声などを組み込むことも可能で、採用担当者は研究の背景や結果について、より深い理解を得られます。ただし、過度な装飾は内容を分かりにくくする可能性があるため、文章と視覚要素のバランスを考慮することが大切です。
研究概要書の作成手順:7つのステップ
以下の7つのステップで研究概要書を作成することで、内容が整理され、分かりやすくまとめることができます。
- 題名:研究内容を簡潔に表現する題名を設定します。
- 研究概要:研究の要点を短い文章で記述します。
- 研究背景:研究の目的、重要性、研究を行う理由を説明します。
- 研究内容:研究の方法、実験の手順、既存の手法との相違点などを具体的に記述します。
- 課題と解決策:研究中に発生した問題点と、それに対する解決策を詳細に説明します。
- 研究結果・成果:研究によって得られたデータや成果を、具体的な数値を用いて示します。
- 考察、今後の展望、得られた知見:研究結果から導き出される考察、将来的な展望、研究を通して得られた知識や教訓を記述します。
① 題名
題名は研究の内容を正確に表し、専門知識がない人にも理解しやすい表現を心がけましょう。専門用語の使用は避け、具体的な内容が伝わるように工夫することが重要です。例えば、「〇〇地域における植物プランクトンの分布特性に関する研究」という題名であれば、「〇〇地域における植物プランクトンの生息状況と特徴についての研究」のように、より分かりやすい言葉に言い換えることが効果的です。
② 研究概要
研究概要は、研究の目的、実施方法、そして最も重要な結果を、一文に凝縮して示します。例として、「都市部における大規模地震の発生方向が、その揺れの伝わり方に与える影響を分析し、〇〇という知見を得ました」のように、研究の中核となる部分を的確に表現することが重要です。また、研究が将来的にどう発展していく可能性があるのかを示すことで、その潜在的な価値を伝えることができます。
③ 研究背景
研究背景では、なぜこの研究が必要とされたのか、その動機と目的を明確に記述します。既存の研究で未解決だった点や、研究が取り組むべき課題を具体的に説明することが大切です。例えば、「過去の災害を経験し、その教訓を活かして社会に貢献できる研究をしたいと考えた」といった個人的なきっかけを示すことで、読者の共感を呼ぶことができます。研究の意義と目的を明確にすることで、研究全体の理解を深めることができます。
④ 研究内容
研究内容では、どのような手法を用いて研究を進めたのかを詳細に記述します。単に手法を列挙するのではなく、なぜその手法を選んだのか、既存の手法と比べてどのような点が優れているのか、そしてどのような効果が期待できるのかを具体的に説明することが重要です。例として、「様々な場所で記録された地震データを独自のプログラムで分析し、都市部における揺れの伝播状況を詳細に調べました。従来使われていた〇〇という解析ツールでは△△という限界がありましたが、今回新たに開発した□□という手法を用いることで、より正確な分析が可能になりました」のように、具体的な情報を盛り込むことで、研究の独創性と優位性を際立たせることができます。
⑤ 課題とその解決策
研究を進める中で直面した困難や問題点、そしてそれらをどのように乗り越えたのかを具体的に記述します。課題を克服するためにどのような試行錯誤を重ねたのか、どのようなアプローチで解決策を見つけ出したのかを詳細に説明することで、自身の問題解決能力を示すことができます。例えば、「データ解析の過程で、予期せぬエラーが頻発し、解析が停滞する事態が発生しました。様々な原因を調査した結果、データの形式に不整合があることが判明し、データ形式を統一するプログラムを新たに作成することで、問題を解決し、解析を再開することができました」のように、具体的な事例を挙げることで、説得力を高めることができます。
⑥ 研究結果・成果
研究活動で得られた具体的なデータや成果を明記します。数値データやグラフなどを効果的に使用し、客観的な結果を示すことが大切です。得られた結果から何が明らかになったのか、どのような意味を持つのかを明確に記述します。例えば、「今回の調査によって、都市部を東西に横断する河川において、東部で採取した水サンプルは西部と比較して汚染物質の濃度が平均〇〇%高いことが判明しました。この結果は、上流部の工業地帯からの排水が影響している可能性を示唆しています」のように、具体的な数値を提示することで、結果の信頼性を高めることができます。研究が完了していない場合は、現時点での進捗状況と今後の計画について述べます。
⑦ 考察、今後の展望、研究から得た学び
研究結果に基づいた考察、今後の研究における展望、そして研究活動を通じて得られた学びを詳細に記述します。この部分は、採用担当者が特に注目するポイントであり、あなたの分析力、思考力、そして将来へのビジョンを示す上で非常に重要です。研究活動を通してどのようなスキルが向上したのか、そのスキルをどのように仕事に活かせるのかを具体的に説明することで、企業への貢献意欲を効果的にアピールできます。例えば、「データ分析の過程で、既存の統計ソフトでは処理できない大量のデータに直面し、Pythonを用いた独自のデータ処理プログラムを開発しました。この経験から、問題解決能力とプログラミングスキルが向上しました。入社後は、このスキルを活かし、データに基づいた戦略立案に貢献したいと考えています」のように、具体的な事例を交えて説明することで、説得力が増します。
研究概要書作成のポイント
研究概要書を作成する際には、以下の点を意識することで、より効果的な自己アピールに繋がります。
- 専門外の人にも理解できる言葉を選ぶ:専門知識がない読者にも理解できるよう、わかりやすい言葉で記述しましょう。
- 表現方法を統一する:「です・ます」調、または「だ・である」調のいずれかに統一しましょう。
- 図表を効果的に使用する:視覚的な情報を活用し、研究内容をわかりやすく伝えましょう。
- 研究を通して得た学びを明確にする:研究の過程で得られた知識やスキル、気づきを具体的に記述しましょう。
- 想定される質問への準備:面接で聞かれそうな質問を想定し、回答を準備しておきましょう。
① 専門外の人にも理解できる言葉を選ぶ
研究概要書は、必ずしも専門知識を持つ人が読むとは限りません。人事担当者や面接官など、専門知識を持たない読者にも理解できるよう、専門用語の使用は最小限に抑え、平易な言葉でわかりやすく記述することが重要です。もし専門用語を使用する場合は、その都度、簡潔な説明を加えることで、読み手の理解を助けるように心がけましょう。高校生が読んでも理解できるような言葉を選ぶことを意識しましょう。
② 表現の終わり方を統一する
研究概要を作成する際、文末表現は「です・ます」体、もしくは「だ・である」体のいずれかに統一することが大切です。どちらの文体を選ぶべきかは、提出先の企業からの指定があればそれに従い、特に指示がない場合は、研究概要全体の形式に合わせて選択します。学術論文のような形式であれば「だ・である」体、エントリーシートに添付するものであれば「です・ます」体を選択するのが一般的でしょう。表現のスタイルが一貫していると、文章全体が洗練され、格段に読みやすくなります。
③ 図表を効果的に活用する
研究概要に図やグラフを効果的に取り入れることで、視覚的な情報伝達が可能になり、文章だけでは理解しにくい内容もスムーズに伝えることができます。図表を使用する際は、必ず凡例や説明文を添え、内容が正確に伝わるように配慮しましょう。ただし、過剰な装飾や図表の多用は避け、簡潔で見やすい資料を作成することを意識してください。
④ 研究活動から得られた学びや発見を明記する
企業が研究概要で最も注目するのは、研究活動を通じてどのような知識や洞察を得られたかという点です。研究の成果そのものだけでなく、研究プロセスにおける自身の成長や変化を具体的に記述することで、効果的な自己アピールへと繋げることができます。習得した知識やスキルが、応募先の企業や職種でどのように貢献できるのかを明確に示すことが重要です。
⑤ 面接で想定される質問を事前に準備する
研究概要は、面接時の質問の出発点となることが多いため、作成段階で面接で尋ねられそうな質問を予測し、それに対する回答を準備しておくことが非常に有効です。研究の斬新さ、オリジナリティ、課題解決のプロセス、研究成果の応用範囲など、多角的な視点からの質問を想定し、的確に答えられるように準備しましょう。事前に質問と回答を整理しておくことで、面接本番でも自信を持って対応することができます。
研究概要を作成する際に注意すべき点
研究概要書を作成する際には、以下の点に注意することで、評価を下げてしまうことを防ぐことができます。
- ポイントが不明確で文章が長すぎる:簡潔にポイントを絞り、無駄な表現は使用しないように心がけましょう。
- 独りよがりな内容(読み手を考慮していない):専門知識のない人にも理解できるように、分かりやすい言葉で記述することが大切です。
- 専門的な言葉を頻繁に使用する:できる限り専門用語の使用を避け、誰にでも理解できる言葉で説明しましょう。
- 個人的な意見や考察がない:研究活動を通して得られた考察や学びを具体的に記述しましょう。
- 文末表現が統一されていない:「です・ます」体、もしくは「だ・である」体のどちらかに統一して使用しましょう。
研究概要の形式とサンプル
研究概要書には、主に「ポスター形式」と「テキスト形式」の2つの形式が存在します。どちらの形式を選択するかは、研究の内容や伝えたいポイントを考慮して決定することが重要です。
ポスター形式の構成例
ポスター形式は、図表をメインとした視覚的な表現方法です。通常、PowerPoint等を用いて作成され、デザイン性と分かりやすさが重要視されます。専門知識のない人にも理解しやすいように、図やグラフを積極的に活用し、文章は必要最低限に留めることがポイントです。
テキスト形式の構成例
テキスト形式は、文章を主体とした形式であり、一般的にWord等で作成されます。詳細な情報を伝えることができる反面、専門知識がない人には理解しにくいという側面があります。専門用語はできるだけ使用せず、平易な言葉で分かりやすく記述することが重要です。
出典:2021/3/31 .研究概要の書き方は3つ!基本的なルールと押さえておくべき要点
.https://acaric.jp/articles/1327
エントリーシート(ES)の研究概要例文
エントリーシートで研究概要を求められる際、多くの場合、字数制限があります。そのため、内容を的確にまとめることが大切です。研究の目的、プロセス、結果、そして研究を通して得られた学びを、指定された字数内で記述します。専門用語はできるだけ避け、易しい言葉で理解しやすい文章を心がけましょう。
例:化学反応を促進する触媒には、金属を含むものと含まない有機分子触媒があります。特に後者は、コスト面や環境への負荷が少ないだけでなく、水や空気に対する安定性も高く、工業的な価値があります。本研究では、その有機分子触媒の新たな開発を目指しました。触媒設計にあたり、独特な化学的性質を持つ「ハロゲン」に着目しました。中でも、反応中の特性が期待できる臭素原子を基軸とした触媒合成を試みました。実際にブロモニウム塩を合成し、いくつかの反応に触媒として用いたところ、特定の反応において高い収率で生成物を得ることに成功し、ブロモニウム塩が触媒として利用できることを世界で初めて示しました。今後は、触媒の構造を平面から立体構造へと進化させることで、さらなる新規触媒合成を目指すと共に、医薬品や農薬の合成反応に応用し、更なる価値を創造することが期待できます。(500文字以内)
研究概要書完成後のチェックポイント
研究概要書が完成したら、以下の2つの観点から内容を精査し、改善点があれば修正しましょう。
- 同じ研究分野の先輩や指導教員:専門的な内容に誤りがないか、論理構成が適切かなどを確認してもらいます。
- 専門外の人(特に文系の人):専門知識がない人にも理解できる内容になっているか、分かりにくい箇所はないかを確認してもらいます。
就活サービスを活用しよう
就職活動を有利に進めるためには、理系学生向けの就活支援サービスを積極的に利用しましょう。これらのサービスでは、研究内容を登録することで企業からスカウトが届いたり、理系学生を対象としたイベントに参加できたりと、様々な利点があります。
まとめ
この記事では、理系の就職活動における研究概要書の書き方と重要なポイントを解説しました。研究概要書は、あなたの研究内容を企業に伝えるための重要なツールです。企業が求めるポイントを把握し、分かりやすく魅力的な研究概要書を作成して、就職活動を成功させましょう。
よくある質問
質問1:まだ目に見える研究結果がない場合、研究概要はどのように記述すべきですか?
回答1:具体的な研究成果がまだ得られていなくても、研究活動を通じて得られた知識や経験、培われた問題解決スキルを強調することが重要です。研究の目的、アプローチ、現在の進捗状況、そして将来の見通しを明確に記述し、研究に対する情熱と意欲を示すことが不可欠です。研究活動を通じて磨かれた論理的思考力、分析能力、課題解決能力といったスキルをアピールしましょう。
質問2:研究概要を作成する際、文字数やフォーマットの指定がない場合、どのように作成すれば良いですか?
回答2:文字数やフォーマットに特に指示がない場合は、A4用紙1~2ページにまとめるのが一般的です。フォントはゴシック体または明朝体を使用し、文字サイズは10~12ポイント程度に設定すると、読みやすさが向上します。専門用語の使用は避け、わかりやすい言葉で記述することを意識しましょう。図表を効果的に使用することで、視覚的に情報を伝えることができます。研究の目的、手法、結果、考察をバランス良く記述し、あなたの強みや個性を際立たせることが大切です。
質問3:面接で研究概要について質問された場合、どのような点に注意して回答すれば良いですか?
回答3:面接で研究概要について尋ねられた際は、まず研究の目的と概要を簡潔に説明し、続いて研究方法、得られた結果、考察などを具体的に説明します。専門用語の使用は避け、平易な言葉で理解しやすい説明を心がけてください。面接官の反応を注意深く観察し、質問の意図を正確に把握し、的を射た回答をすることが重要です。研究を通じて得られた学びや経験、そして企業への貢献意欲をアピールすることも効果的です。

