外国人アルバイト採用成功ガイド：人手不足解消と多様な人材活用

深刻な人手不足に悩む企業にとって、外国人アルバイトの採用は有効な解決策の一つです。近年、留学生を中心に外国人アルバイトの採用は増加傾向にあり、その真面目さや勤勉さは多くの企業から評価されています。しかし、「採用プロセスが分からない」「言語の壁が心配」といった不安の声も少なくありません。本ガイドでは、外国人アルバイト採用の基礎知識から、採用を成功させるための具体的なステップ、定着支援のポイントまで、実践的なノウハウをわかりやすく解説します。多様な人材を活用し、人手不足を解消するための第一歩を踏み出しましょう。

外国人アルバイト雇用が拡大している背景

深刻な人手不足に見舞われているアルバイト市場において、外国人、特に留学生の活躍が目覚ましく、採用数が増加の一途をたどっています。多くの企業が、彼らの勤勉さや仕事に対する熱意を高く評価する一方で、「どのように採用すれば良いのか」「日本語能力に不安がある」といった懸念の声も上がっています。外国人労働者数は、過去10年間で2.5倍に増加しており、特にサービス業など特定の業界では、外国人労働者の存在が不可欠な戦力となっています*。有効求人倍率が高い状況が継続している現状を鑑みると、人材確保に苦慮する企業にとって、外国人アルバイトの採用は喫緊の課題と言えるでしょう。

出典：2024/01/26.「外国人雇用状況」の届出状況まとめ（令和５年10月末時点）https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_37084.html

外国人アルバイト採用のメリット

外国人アルバイトの採用は、単なる人手不足の解消策にとどまらず、企業の国際化を推進する原動力にもなり得ます。特に、留学生の採用は、労働力不足を補い、求職者優位の市場において人材を確保するための有効な手段となります。さらに、外国人アルバイトの母国語を活かした顧客対応は、増加傾向にある外国人観光客へのサービス向上に繋がり、新たなビジネスチャンスを創出します。企業が外国人を採用する理由としては、「人材不足の解消」が最も多く、次いで「真面目に仕事に取り組む姿勢」「日本人社員への良い刺激」「外国語スキルを必要とする業務への対応」などが挙げられます。

外国人アルバイトの在留資格：雇用条件と注意点

外国人アルバイトを雇用する際には、在留資格の確認が極めて重要です。外国人は、日本での滞在目的に合致した在留資格を所持している必要があり、在留資格の種類によって就労の可否や条件が細かく定められています。適切な在留資格を持たない外国人を雇用した場合、企業は不法就労助長罪に問われる可能性があります。そのため、採用を行う前に必ず在留カードを確認し、就労制限の有無や資格外活動許可の有無を慎重に確認することが不可欠です。

アルバイト可能な主な在留資格

アルバイトとして雇用が認められている在留資格には、就労制限が設けられていない「永住者」や「日本人の配偶者等」といった身分に基づいた在留資格と、就労に制限がある「留学」、「家族滞在」、「特定活動」などがあります。「留学」、「家族滞在」、「特定活動」の在留資格を持つ外国人は、事前に資格外活動許可を取得することでアルバイトを行うことが可能です。ただし、「技術・人文知識・国際業務」などの就労ビザを持つ外国人が、本業とは異なるアルバイトを行う場合にも、原則として資格外活動許可が必要となります。資格外活動許可には包括許可と個別許可の2種類があり、それぞれ許可を得るための条件が異なります。

資格外活動許可の種類と条件

外国人アルバイトの採用において、就労に必要な「資格外活動許可」には「包括許可」と「個別許可」の2種類が存在します。多くの留学生や家族滞在の在留資格を持つ外国人は、週28時間以内（長期休暇中は1日8時間以内）の労働が認められる包括許可を得ているため、アルバイト先が変わるたびに再申請する必要はありません。一方、個別許可は、勤務先や活動内容を特定して申請する必要があり、アルバイト先が変わるごとに改めて許可が必要です。これは、留学生や家族滞在の在留資格を持つ方が週28時間を超えるインターンや業務委託契約などで働く場合や、「文化活動」など、そもそも収入を伴う活動を目的としない在留資格を持つ方がアルバイトをする場合に適用されます。

在留資格確認の重要性

外国人アルバイトを採用する際には、在留カードに記載されている有効期限や内容を必ず確認するようにしましょう。特に留学生の場合、在留カードには「留学」と記載されていても、実際には学校を辞めているケースも考えられます。また、就労ビザを持っている外国人の場合、会社を退職した後にアルバイトをすることは原則として認められていません。そのため、在留資格と現在の状況が一致しているかどうかを慎重に確認することが非常に大切です。確認をしないで就労させ、その外国人が不法就労であった場合には、企業側にも過失であっても、罰則が科されることがあります。

外国人アルバイト採用の流れと必要な手続き

外国人アルバイトを採用する際の手順は、基本的な流れは日本人を採用する場合と変わりませんが、在留資格の確認や提出が必要な書類など、外国人特有の手続きがいくつか存在します。ここでは、採用の準備段階から採用後の手続きまで、順を追って詳しく解説していきます。

採用前の準備と確認

まず最初に、労働条件を明確に定めることが重要です。具体的には、労働契約の期間、勤務場所、仕事内容、労働時間、休日、給与、退職に関する取り決めなどを明確にし、書面にして提示する必要があります。給与については、日本人と同等の条件で設定し、最低賃金を必ず守るようにしましょう。留学生や家族滞在の在留資格を持つ外国人をアルバイトとして雇用する場合は、労働時間の上限（原則として週28時間以内）を超えないように注意が必要です。

採用選考における留意点

選考の際には、応募者のパスポートおよび在留カードを必ず確認し、日本での在留資格と、アルバイトを行うための資格外活動許可の有無を確かめることが不可欠です。在留カードの情報に加えて、現在の在籍状況（学校への在籍状況など）も確認することが大切です。日本語能力の評価も重要ですが、日本語能力試験（JLPT）の資格だけでなく、面接時のコミュニケーション能力も重視しましょう。日本語が堪能でなくても、熱心に努力し、学習意欲の高い人材であれば、入社後に急速に上達する可能性を秘めています。

採用後の手続きについて

採用が決定した後、必要に応じて社会保険に関する手続きを行います。外国人だからといって特別な手続きはほとんどなく、社会保険への加入、所得税や住民税の課税、労働基準法の適用など、基本的な部分は日本人採用と同様です。ただし、雇用保険の加入条件や扶養家族の考え方など、いくつかの相違点が存在します。採用後には、ハローワークに「外国人雇用状況の届出」を提出する必要があります。この届出は、採用時だけでなく、退職時にも必要となります。

外国人アルバイト採用における注意点と対策

外国人アルバイトを雇用する際には、労働時間、業務内容の制限、日本語の能力、文化的な背景の違いなど、考慮すべき点がいくつか存在します。これらの点に留意し、適切な対応策を講じることで、外国人アルバイトの雇用を円滑に進めることが可能になります。

労働時間と業務内容の制限

留学生や家族滞在の在留資格を持つ方は、原則として週あたり28時間以内の労働時間制限が設けられています。複数のアルバイトを掛け持ちしている場合、すべての労働時間を合計して28時間以内に収める必要があります。夏期休暇や冬期休暇などの長期休暇期間中は、1日8時間以内、週40時間まで就労が認められています*1。また、風俗営業に関連する業種（パチンコ店、ゲームセンター、スナックなど）でのアルバイトは法律で禁止されています。

出典：出入国在留管理庁「新しく入学した留学生の皆様へのお知らせ」https://www.moj.go.jp/isa/content/001350360.pdf

労働条件と法令順守

日本でアルバイトをする外国籍の方々にも、労働基準法を含む日本の労働関連法規が適用されます。給与、労働時間、休日などの労働条件は、日本人の従業員と同等かそれ以上に設定する必要があり、最低賃金を下回ることは認められません。また、国籍や民族による差別的な扱いは法律で禁じられています。

意思疎通と文化への理解

採用する際には、日本語のスキルだけでなく、コミュニケーション能力や異文化に対する理解度も重視することが大切です。採用後も、日本語学習のサポートや、日本の文化や習慣に関する情報提供など、外国人アルバイトが安心して働ける環境を整えることが重要となります。職場での円滑なコミュニケーションを促進するために、定期的な交流会やイベントなどを企画することも効果的です。採用に関する書類や業務マニュアルなどは、理解しやすい日本語で作成し、必要に応じて翻訳版を用意することも検討しましょう。（この場合、契約書などの重要な書類は、日本語版が優先する問い規定を必ず入れましょう）

不法就労への対策

不法就労を防ぐために、在留資格の確認は徹底して行う必要があります。在留カードの偽造や不法滞在のリスクを考慮し、不審な点があれば、出入国在留管理局に相談することを検討しましょう。就労資格がない外国人を雇用したり、許可された労働時間を超過して働かせたりすると、不法就労助長罪に問われる可能性があります。

外国人アルバイト採用に役立つサービス

外国人アルバイトの採用をサポートする多種多様なサービスが存在します。求人情報サイト、人材紹介サービス、ビザ申請代行サービスなどを利用することで、効率的に採用活動を進めることができます。

求人サイト

留学生の方々へアルバイト情報を効果的に届けるには、外国人留学生向けの求人サイトが役立ちます。一般的な求人サイト、例えばタウンワークやIndeedなどでも、外国人向けの情報を充実させることで、応募者数を増やすことが期待できます。求人広告を作成する際は、外国の方にも理解しやすい言葉遣いを心がけ、仕事内容や応募条件を明確に記載することが大切です。「和気あいあい」「家庭的」「食事つき」といった曖昧な表現は避け、具体的な業務内容や待遇を記述しましょう。

人材紹介・派遣サービス

企業のニーズに合致する外国人スタッフを効率的に探すには、外国人専門の人材紹介サービスや人材派遣サービスの利用が有効です。これらのサービスは、日本語能力やスキルはもとより、文化的背景や価値観といった要素も考慮した上で最適なマッチングを実現します。外国人材に特化したサービスとして、NLiss、GOWEL、フルキャストグローバルなどが挙げられます。

ビザ申請代行サービス

ビザ申請の手続きは複雑で専門的な知識が求められるため、ビザ申請代行サービスの利用も検討すると良いでしょう。行政書士などの専門家が、ビザ申請に必要な書類の作成や煩雑な手続きを代わりに行ってくれます。

アルバイトから正社員へのステップアップ

アルバイトとして採用した外国籍の方を、正社員として雇用することも可能です。特に留学生の場合、卒業後に就労ビザを取得することで、正社員として活躍してもらう道が開けます。正社員としての雇用を視野に入れる場合は、採用の段階から将来的なキャリアプランについて話し合っておくことが重要です。就労ビザ取得に必要な要件（学歴や職務経験など）を満たしているかを確認し、できるだけ早い段階から準備に取り掛かる必要があります。ビザ申請の手続きは非常に煩雑なため、専門家（行政書士など）への相談をおすすめします。

まとめ

人手不足の緩和や国際的な事業展開を後押しする上で、外国人アルバイトの雇用は効果的な選択肢となります。留意すべき点として、在留資格の確認、労働条件の明確化、文化的な背景への配慮などが挙げられますが、適切な対策を講じることで、外国人アルバイトの雇用を成功に導くことが可能です。求人情報サイト、人材紹介サービス、ビザ申請代行サービスなどを活用し、自社に最適な採用戦略を構築することが重要です。外国人アルバイトの採用を通じて、多様な能力を持つ人材が活躍できる職場環境を構築しましょう。

よくある質問

Q1:外国人アルバイトを雇用する上で、特に注意すべき点は何ですか？

最も重要な確認事項は、在留資格です。外国籍の方が日本で就労するためには、有効な在留資格が必須です。在留資格の種類によって、就労の可否や労働時間などが規定されているため、採用前に必ず確認しましょう。不法就労を助長した場合、企業側も処罰の対象となる可能性があります。

Q2:留学生をアルバイトとして雇用する場合、労働時間に制限はありますか？

原則として、1週間あたり28時間以内と定められています。ただし、夏期休暇や冬期休暇などの長期休暇期間中は、1日8時間以内、週40時間まで就労が認められています。労働時間の上限を超過した場合、企業が罰則を受ける可能性があります。

Q3:外国人アルバイト採用後には、どのような手続きが必要になりますか？

採用後、ハローワークへ「外国人雇用状況届出」を提出する必要があります。この手続きは、採用時のみならず、離職時にも必要となります。また、社会保険の手続きや、所得税・住民税の納税義務などについても、日本人従業員と同様の対応が求められます。