
有給休暇、金額はいくら?損しないための計算方法と注意点
「有給休暇」、それは働く私たちの当然の権利であり、心身のリフレッシュや自己啓発に欠かせません。しかし、いざ取得するとなると「有給中の給料はいくら?」「損しないためにはどうすれば?」と疑問に思う方もいるのではないでしょうか。この記事では、有給休暇中の賃金計算方法をわかりやすく解説し、損をしないための注意点を紹介します。あなたの有給休暇を最大限に活用し、より充実した日々を送るためにお役立てください。
有給休暇とは?
有給休暇(年次有給休暇)は、労働者の権利として法律で保障されている休暇制度です。これは、給与が差し引かれることなく休むことができる休暇であり、労働基準法によって定められています。一定の条件を満たす従業員が有給休暇を申請した場合、会社は原則としてこれを認めなければなりません。さらに、年間で10日以上の有給休暇が付与される従業員に対しては、会社は年間最低5日間の有給休暇を取得させる義務があります。
有給休暇取得時の賃金計算方法
有給休暇を取得した際に支払われる給与の計算方法については、労働基準法第39条において、以下の3つの方法のいずれかを用いることが定められています。企業はこの3つの方法からいずれかを選択することができます。選択した計算方法は就業規則や給与規程に明確に記載する必要があり、全従業員に対して一貫した計算方法を適用することが求められています。
通常の勤務をした場合と同じ金額を支払う方法
平均賃金を支払う方法
標準報酬日額を支払う方法(労使協定が必要)
なお、計算方法は労働者が都度自由に選べるわけではなく、就業規則で事前に定める必要があります。
1. 通常勤務と同じ賃金を支払う方法
有給休暇の取得時に通常の勤務と同様の給与を支払う方法について説明します。有給休暇を取得した日も通常通り勤務したものとみなし、通常の給与を支払うことが一般的です。会社側にとっては、有給休暇の取得状況や日数にかかわらず、給与計算を簡便に行える利点があります。
1-1. 時給・日給・月給制の場合:労働基準法施行規則第25条に基づき、あらかじめ定められた給与の支払期間を基準に計算します。例えば、週3日勤務で週給が3万円の場合、有給休暇1日あたりの給与は3万円を3日で割った1万円となります。
1-2. 出来高払制その他の請負制の場合:請負契約における有給休暇の賃金は、労働基準法施行規則第25条に基づいて計算されますが、契約内容により異なる場合があるため、具体的な契約内容を確認することが重要です。一般的には、有給休暇1日あたりの金額は「賃金総額÷総労働時間数×一日平均所定労働時間数」で計算されます。例えば、請負契約で1ヶ月に15日間、合計100時間労働し、報酬が15万円で、一日あたりの平均所定労働時間が7時間の場合、有給休暇1日あたりの金額は「15万円÷100時間×7時間」で計算され、1万500円となります。
2. 平均賃金による算出方法
有給休暇中の1日あたりの賃金は、過去3ヶ月間の賃金を基に算出されます。この計算方法は、月給制や週給制などの給与形態に関わらず、同じ基準に基づいて行われます。具体的には、以下の計算式が用いられます。
2-1. 平均賃金は、原則として直近3ヶ月間の賃金総額をその期間の総日数(休日を含む)で割った金額とし、直近3ヶ月間の賃金総額をその期間の労働日数で割った金額の60%と比較し、いずれか高いほうです。
例として、7月に有給休暇を取得する場合、4月から6月までの給与の合計が91万円で、その期間の労働日数が60日であった場合、計算は次のようになります。
91万円 ÷ 60日 × 0.6 = 9,100円となり、これが有給休暇1日あたりの支払額になります。
2-2. 直近3ヶ月の労働日数が通常よりも少ない場合は、以下の計算式が適用されます。例えば、直近3ヶ月の賃金がそれぞれ30万円、10万円、20万円で、合計50日間勤務した場合、(30万円 + 10万円 + 20万円) ÷ 50日 × 60% = 7,200円が算出されます。
ただし、具体的な支給条件は企業や業種によって異なることがあるため、詳細については必ず確認する必要があります。
3. 標準報酬日額を用いた支払い
有給休暇中の賃金を算出する方法の一つとして、健康保険料の算出基準となる「標準報酬月額」から「標準報酬日額」を導き出し、これを有給休暇1日分の賃金として支払うことが可能です。ただし、標準報酬日額を用いる場合は、労使協定の締結が必要です。
3-1.標準報酬日額は、健康保険法上の標準報酬月額を30で割ることで計算されます(健康保険法第40条第1項)。有給休暇の賃金計算に使用する基準は、健康保険の標準報酬月額です。さらに、労使協定を結ぶことで時間単位での有給休暇の利用が可能となります。この場合、1日分の賃金を会社が定める1日の労働時間で割った金額が、1時間あたりの有給休暇の賃金となります。なお、時間単位で取得できる有給休暇の日数の上限は年間5日までです。時間単位の有給休暇制度を導入する際には、労使協定の締結に加え、就業規則への明記が求められます。
出典:厚生労働省「年次有給休暇のポイント」
https://jsite.mhlw.go.jp/aichi-roudoukyoku/var/rev0/0119/6638/2016114113521.pdf
有給休暇中の通勤手当の取り扱い
有給休暇を取得した際の賃金に通勤手当が含まれるかどうかは、企業の就業規則や通勤手当の支給方法によって異なります。例えば、定期券代を支給する場合、有給休暇を取得しても支給額に変更はないため、通勤手当も賃金に含まれます。一方、実費精算形式を採用している場合や、賃金規定に「通勤手当は実際の通勤日数に応じて支給する」と明記されている場合には、有給休暇の取得日に対して通勤手当は支給されません。このため、通勤手当の支給条件や方法については、企業の賃金規定や就業規則に明確に記載しておくことが重要です。
有給休暇の取得義務と企業の役割
従業員が有給休暇を取得することは、法律で認められた権利です。企業は、従業員がためらうことなく有給休暇を利用できるような環境づくりに努める必要があります。特に、年間で10日以上の有給休暇が付与される従業員に対しては、企業は年間5日以上の有給休暇を取得させることが法的に義務付けられています。労働基準法では、原則として、従業員が希望する時期に有給休暇を与える必要があると定められています。ただし、企業の事業運営に支障が生じる、例えば「代替要員の確保が難しい」といった場合に限り、企業は有給休暇の時期を変更する権利を有します。
つまり、従業員側から見ると、特別な事情がない限り、希望する日に有給休暇を取得できると考えて差し支えありません。
まとめ
年次有給休暇は、労働者に認められた当然の権利です。原則として希望する日に取得でき、心身をリフレッシュするために大切な役割青果たしています。この記事でご説明した情報を参考に、有給休暇に関する正確な知識を身につけ、ワークライフバランスの両立を目指しましょう。
有給休暇の賃金算出方法を、途中で変更することは可能ですか?
有給休暇中の賃金計算方法は、原則として労働契約や就業規則に基づいて決定されます。賃金計算方法を変更する場合は、就業規則等を改定し、労働者へ周知する必要があります。不利益変更となる場合は、変更の必要性や不利益の程度等に照らして合理的であることが求められます。
パートタイマーにも有給休暇は与えられますか?
パートタイムで働く従業員(アルバイトを含む)にも、有給休暇は付与されます。週あたりの所定労働時間や年間所定労働日数に応じて、比例的に付与される日数が決まります。正社員と同様に、入社日から6ヶ月以上の継続勤務と、全労働日の8割以上の出勤という条件を満たせば、有給休暇が付与されます。
勤務先から有給休暇の理由を確認されることはある?
有給休暇の取得理由を申告する法的義務はありません。ただし、実務上は「私用のため」程度の記載を求められることがあります。詳細な理由を聞かれても答える義務はなく、会社が理由によって承認を拒否することは原則できません。





