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育休中の社会保険料免除:制度概要から手続き、注意点まで徹底解説

育休は、子育てを支援する重要な制度ですが、育休中の社会保険料免除については、複雑で分かりにくいと感じる方も多いかもしれません。本記事では、育休中の社会保険料免除制度の概要、具体的な手続き、必要な条件、注意点を詳しく解説します。制度を正しく理解し、安心して育休を取得するための参考にしてください。

育休(育児休業)とは?制度のあらまし

育休、すなわち育児休業は、育児・介護休業法という法律で定められた、お子さんを育てるための休業制度です。1歳に満たないお子さんを養育する従業員は、会社に申し出ることによって育休を取得することが可能です。なお、保育所に入所できない等の要件を満たす場合は、1歳6か月まで(再延長で2歳まで)延長できます。産休(産前産後休業)は出産された女性のみが対象ですが、育休は性別に関わらず取得できます。

育休の対象となる方と取得するための条件

育児休業(育休)は、通常、1歳未満のお子さんを育てる従業員が取得できます。育休を取得するための条件は以下の通りです。

1. 雇用保険加入者で、直近2年間に11日以上就労月が12ヶ月以上ある

2. お子さんが1歳の誕生日以降も引き続き雇用される見込みがあること

3. お子さんが2歳の誕生日の前日までに契約が更新されないことが明確でないこと

育休の取得可否は雇用形態や労使協定の有無で扱いが変わります。2022年4月の改正により、有期雇用の方の「1年以上勤務」という要件は原則撤廃され、契約満了時期等で判断する運用に変わりました。育休の対象かどうかは、勤務先の人事部署に確認することをおすすめします。

出典:厚生労働省「Ⅱ-1 育児休業制度 」

https://www.mhlw.go.jp/content/11909000/000355360.pdf

育休期間中の経済的なサポート:給付金と社会保険料の免除

育児・介護休業法に基づく育児休業期間中、育児休業を取得している従業員には、育児休業給付金と社会保険料の免除といった経済的サポートが提供されます。育児休業給付金は、一定の条件を満たす場合に支給され、その金額や支給期間は法律で定められています。

育児休業給付金

育児休業給付金は、雇用保険に加入している方が育児休業を取得している期間中に、国から受け取ることができる給付金制度です。育児休業開始から180日間は、賃金の67%(上限あり)を受け取ることができ、181日目以降は賃金の50%(上限あり)を受け取ることができます。具体的な金額は、個々の賃金に基づいて計算されます。

育児休業期間中の社会保険料免除(健康保険・厚生年金保険)

育児休業を取得している期間中は、健康保険や厚生年金保険などの社会保険料が免除される制度があります。通常、社会保険料は被保険者である従業員と勤務先が折半で負担しますが、育児休業期間中は双方の保険料が免除されます。この免除期間中でも、育児休業給付金が支給されるため、一定の収入を得ることができ、安心して育児休業を取ることが可能です。

育児休業終了後の標準報酬月額変更について

育児休業を終えた後、時短勤務などを選択し、給与が以前よりも下がった場合には、保険加入者である従業員が事業主を通じて保険者へ申請を行うことで、社会保険料の計算基準となる「標準報酬月額」を、減額後の給与に見合った額に変更することができます。これにより、毎月の社会保険料の負担を軽減することが可能です。

具体的には、育児休業終了後に時短勤務などで給与が低下し、3歳未満の子を養育している場合、従業員の申出により事業主が「育児休業等終了時報酬月額変更届」を提出します。 終了日の翌月から3ヶ月間の報酬平均(支払基礎日数17日未満の月除く)で標準報酬月額を算定し、4ヶ月目から適用されます。​

社会保険料は通常、給与から自動的に差し引かれるため、日常生活の中でその負担を実感しにくいことがあります。しかし、育児休業中に社会保険料が免除される制度があるため、条件を満たす場合、家計にとって大きな助けとなることがあります。

出典:厚生労働省「育児休業 、産後パパ育休や介護休業をする方を経済的に支援します」

https://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/pamphlet/pdf/ikuji_r02_01_04.pdf

社会保険料とは?その種類と概要

「社会保険」という言葉は、広い意味(広義)と狭い意味(狭義)の2つの意味合いで使用されます。広義では、病気や怪我、障害、失業など、万が一の事態が発生した際に生活を支えるための公的な保険制度全体を指します。日本では、すべての国民が何らかの社会保険に加入することが義務付けられています。社会保険は、主に会社員や公務員が加入する「被用者保険」と、自営業者や無職者が加入する「国民健康保険」に分けられます。さらに、「被用者保険」には、狭義の「社会保険」と「労働保険」が含まれます。育児休業期間中に保険料が免除されるのは、「社会保険(狭義)」に該当する「厚生年金保険」「健康保険」「介護保険(40歳以上の方のみ)」です。一方、「労働保険」の一種である「雇用保険」は、育児休業や介護休業を取得する労働者をサポートするための保険制度です。育児休業中の経済的な支援として支給される育児休業給付金は、この雇用保険から支払われます。

育児休業期間中の社会保険料免除:2022年10月からの変更点

育児休業期間中の社会保険料免除制度は、育児・介護休業法の改正に伴い、2022年10月から内容が一部変更されています。主な改正点は以下の通りです。

改正ポイント1:免除期間の拡大

これまでの制度では、育児休業開始月とその終了日の翌月が含まれる月の前月までが保険料免除の対象でした。改正後は、それに加えて、同一月内で14日以上育児休業を取得した場合、その月の保険料も免除されることになりました。具体例として、10月5日から育休を開始し、10月25日に復帰した場合、これまでは社会保険料の免除対象外でしたが、2022年10月1日以降は免除の対象となります。

改正ポイント2:賞与に係る保険料の免除要件変更

賞与(ボーナス)に対する社会保険料の免除は、ボーナスが支給された月の末日を含む連続した1ヶ月を超える育児休業を取得していることが条件です。例えば、10月5日に賞与を受け取り、10月15日から11月5日まで育休を取得した場合、育休の期間は1ヶ月未満のため、免除の対象にはなりません。一方、10月5日に賞与を受け取り、10月15日から11月25日まで育休を取得した場合は、育休期間が1ヶ月を超えるため、免除対象となります。また、育休期間の判断は、就業規則上の営業日ではなく、暦上の日数(カレンダーの日数)で行われるため、土日祝日も含まれることに注意が必要です。

改正ポイント3:連続する育児休業の扱い

育児休業は分割取得が可能ですが、社会保険料免除の判断は各月の状況に基づきます。原則として、育休開始月から終了日の翌日が属する月の前月までが免除対象で、同一月内に14日以上(就業予定日を除く)取得した場合はその月全体が免除されます。​

分割取得の場合、各育休期間ごとに免除を適用し、連続していても「各月で14日以上取得しているか」と「月末で休業しているか」という状況で判断します。 例えば、10月10日~11月10日と11月11日~25日の期間で育児休業を取得した場合、10月・11月ともに免除対象となり得ます。

出典:厚生労働省「育児休業、産後パパ育休や介護休業をする方を経済的に支援します」

https://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/pamphlet/pdf/ikuji_r02_01_04.pdf

社会保険料免除による年金への影響

育児休業期間中に社会保険料が免除されても、年金の納付記録は維持され、将来受け取る年金額が減少することはありません。免除期間中は被保険者としての資格が継続されるため、安心して育児休業を取得できますが、年金額に影響を与える要因が存在することを理解しておくことが重要です。

社会保険料が免除になる期間

育児休業中に社会保険料が免除されるのは、原則として育休を開始した月から、終了日の翌日が属する月の前月までです。さらに、同一月内で14日以上育児休業を取得した場合は、その月全体の保険料が免除対象となります。例えば、11月5日から翌年1月15日まで育休を取得した場合、11月分、12月分の社会保険料が免除されます(1月分は免除対象外)。社会保険料は月単位で計算されるため、免除の適用も月単位となります。

育休における社会保険料免除の手続き方法

社会保険料の免除申請は、事業主(会社)が「産前産後休業取得者申出書」または「育児休業等取得者申出書」を管轄の年金事務所に提出することで行われます。手続きの主な流れは以下の通りです。

申請の流れ

  1. 従業員から会社へ育休取得の申し出を行う

  2. 会社が申出書を年金事務所へ提出する

  3. 保険料の免除が開始される

育児休業の取得を決めたら、従業員本人が会社に対し、育休の開始日と終了日を明確に申し出ます。産前産後休業に続いて育休を取得する際は、産前産後休業に入る前に申請を行う必要があります。育休の開始日と終了日の翌日が同じ月になる場合は、育休を取得する日数も申出書に明記しなければなりません。

育休取得の申し出を受けた会社は、加入している健康保険組合や日本年金機構(事業所の所在地を管轄する年金事務所)へ申出書を提出します。申出書が受理されると、日本年金機構から会社宛てに確認通知書が送付されます。

手続きが完了すると、育休開始月から終了日の翌日が属する月の前月まで、月単位で社会保険料が免除されます。この免除措置は、従業員本人の負担分だけでなく、会社が負担する社会保険料にも適用されます。

育児休業が予定より早く終わった場合

育児休業の終了日よりも前に職場に復帰する場合、会社は日本年金機構に対して必要な手続きを行う必要があります。具体的には、育児休業等取得者終了届の提出が必要となる場合もありますが、企業や状況によって異なるため、各自の所属する会社の規定を確認することが重要です。

まとめ

育児休業は、企業に勤務する男女が共に利用できる制度です。育休中は通常の給与が支給されないことが一般的ですが、育児休業給付金が支給され、経済的なサポートが受けられます。また、育児・介護休業法の改正により、社会保険料の免除条件も見直され、より多くのサポートが提供されています。育休を検討している方は、安心して育休を取得できるよう、事前に制度について十分な情報を集めておくことが重要です。

育児休業中の社会保険料免除は、対象期間はいつからいつまでですか?

育児休業の社会保険料免除は、原則として育休開始月から育休終了日の翌月までが対象となります。また、育休開始月に14日以上の育児休業を取得した場合、その月の社会保険料も免除されます。この免除の詳細については、厚生労働省の公式資料等を参照してください。

ボーナスにかかる社会保険料も免除の対象になりますか?

はい、ボーナスにかかる社会保険料が免除されるケースがあります。2022年10月以降、育児休業を取得した場合、ボーナスを受け取った月の末日を含む連続した1ヶ月を超える期間において社会保険料が免除されることがあります。ただし、具体的な条件や手続きについては最新の法令を確認することが重要です。

育児休業期間中の社会保険料免除は、将来受け取る年金額に影響しますか?

ご安心ください。育児休業中に社会保険料が免除されたとしても、将来の年金額が減額されることはありません。免除期間中も保険料を納めたものとして扱われ、加入記録も継続されますので、安心して制度をご活用いただけます。

監修:社労士 柴田充輝
監修:社労士 柴田充輝
厚生労働省やハローワークに10年勤務した経験を持ち、社会保険や労働保険の実務を担当。現在は、今までの業務経験や社会保険労務士としての知識を生かし、人事労務や社会保険、労働安全衛生に関するコラムを執筆・監修している。社会保険関係や金融関係の記事を中心に、1,200記事以上を執筆・監修経験あり。

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