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有給休暇の時効とは?知らないと損する消滅ルールと対策

「有給休暇、ちゃんと消化していますか?」労働者の権利である有給休暇ですが、実は時効によって消滅してしまうことをご存知でしょうか?知らず知らずのうちに、せっかくの有給休暇を無駄にしているかもしれません。この記事では、有給休暇の時効の仕組みや、損をしないための対策をわかりやすく解説します。有給休暇のルールをしっかり理解して、賢く活用しましょう。

有給休暇の消滅時効とは

有給休暇(年次有給休暇)は、労働基準法で保障されている、賃金が減額されることなく取得できる休暇です。労働者が心身をリフレッシュするために設けられています。原則として、6ヶ月以上の勤務期間があり、出勤率が8割以上の労働者に対して、正社員・パートに関わらず有給休暇が付与されます。付与された有給休暇は、その年度内に全て消化できなくても、翌年に繰り越すことが可能です。ただし、有給休暇には消滅時効があり、繰り越せるのは翌年までです。消滅時効とは、権利を行使しない状態が一定期間続くと、その権利が消滅する制度です。消滅時効によって有給休暇の未消化分は翌々年には消滅してしまい、このように利用する権利を失うことを、有給休暇の消滅といいます。

有給休暇の有効期限と起算日

有給休暇の有効期限は、付与日から2年間です。労働基準法第115条において、この法律に基づく請求権の消滅時効は2年と定められています。したがって、有給休暇を消化しない場合、2年で期限切れとなり消滅します。有給休暇の時効は、労働者に有給休暇が付与された日を起算日として進行します。たとえば、2024年4月1日に入社した労働者には、2024年10月1日に10日間の有給休暇が付与されるとします。この場合、2024年10月1日が起算日となり、2年後の2026年10月1日に時効が成立し、有給休暇は消滅します。つまり、2026年9月30日までに有給休暇を取得する必要があるということです。なお、企業によっては入社後6ヶ月を待たずに、前倒しで付与するケースもあります。この場合、消滅時効の起算日も先ほどの例とは異なるため、注意が必要です。

労働基準法改正と有給休暇の時効

2020年4月1日に施行された改正民法では、消滅時効に関する規定が変更され、債権の種類にかかわらず、原則として「権利を行使できることを知った時から5年」、または「権利を行使できる時から10年」となりました。これと同時に、労働基準法も改正され、未払い賃金に対する請求権の時効が2年から5年(当面は3年)に延長されました。また、賃金台帳などの記録の保存期間も、3年から5年(当面は3年)に延長されています。これには、未払いの休業手当、残業代、給与、年次有給休暇中の賃金などが含まれます。これにより、労働者の権利は拡大し、過去の未払い賃金についても請求しやすくなりました。しかし、有給休暇の消滅時効は変わらず2年のままです。これは、労働基準法が労働者を保護するための法律であり、有給休暇の時効を延長することは、有給休暇の取得を妨げる可能性があるためです。有給休暇は、付与された年にきちんと取得し、リフレッシュすることを目的としているため、消滅時効の延長はその目的に反すると考えられています。法改正後も、有給休暇はこれまでどおり2年で消滅するため、期間内にしっかりと消化しましょう。

出典:日本労働組合総連合会 .労働・賃金・雇用 民法の消滅時効と賃金

.https://www.jtuc-rengo.or.jp/activity/roudou/seido/minpou.html

有給休暇の付与日数

有給休暇は、「雇い入れの日から6ヶ月間継続して勤務していること」と「その期間中の全労働日の8割以上を出勤していること」という2つの条件を満たす従業員に付与されます。有給休暇の付与日数は、所定労働日数などによって異なります。パートやアルバイトであっても、6ヶ月以上継続して勤務して全労働日の8割以上を出勤していれば、所定勤務日数に応じた有給休暇が付与されます。

正社員の有給休暇日数

正社員をはじめとするフルタイムで働く従業員には、継続勤務年数に応じて以下の表のように年次有給休暇が付与されます。

勤続年数

付与日数

6ヶ月

10日

1年6ヶ月

11日

2年6ヶ月

12日

3年6ヶ月

14日

4年6ヶ月

16日

5年6ヶ月

18日

6年6ヶ月以上

20日


多くの場合、有給休暇の起算日は入社日です(会社が就業規則等で基準日を統一して付与する場合もある)。

給与計算の締め日や勤務形態は関係ありません。例えば、4月1日に入社した場合、半年後の10月1日に10日間の有給休暇が付与されます。その後は毎年10月1日に、勤続年数に応じた日数(上記の表を参照)が付与され、最大で20日まで増加します。勤続年数が6年6ヶ月を超えた場合でも、年間の有給休暇付与日数は20日が上限となります。また、パートタイムやアルバイトの従業員であっても、週の労働時間が30時間以上、または週の労働日数が5日以上である場合は、上記の表に基づいた有給休暇が付与されます。

パート・アルバイトの有給休暇日数(比例付与)

パートタイマーやアルバイトなど、所定労働時間が短い従業員の場合、有給休暇の付与日数はフルタイム勤務者よりも少なくなります。具体的には、週の所定労働時間が4日以下、かつ週の所定労働時間が30時間未満の従業員に対して、以下の日数で有給休暇が付与されます。

週労働日数

6ヶ月

1年6ヶ月

2年6ヶ月

3年6ヶ月

4年6ヶ月

5年6ヶ月

6年6ヶ月以上

5日

10日

11日

12日

14日

16日

18日

20日

4日

7日

8日

9日

10日

12日

13日

15日

3日

5日

6日

6日

8日

9日

10日

11日

2日

3日

4日

4日

5日

6日

6日

7日

1日

1日

2日

2日

2日

3日

3日

3日


付与日数は、週ごとの所定労働日数が固定されている場合は「週所定労働日数」、それ以外の場合は「年間所定労働日数」に基づいて決定されます。なお、所定労働日数は、有給休暇が付与される時点での週所定労働日数で計算されます。

有給休暇の繰り越しと最大保有日数について

未使用の有給休暇は翌年度に繰り越すことが可能ですが、付与日から2年が経過すると時効により消滅します。適切な管理を行い、計画的な取得を心がけましょう。

有給休暇の最大日数と繰り越しの上限

法定の付与日数は年最大20日で、有効期間は付与日から2年です。そのため、法定どおりの運用であれば、未消化分を翌年度へ繰り越した結果として保有日数は最大40日程度になるのが一般的です。。例えば、6年6ヶ月以上継続して勤務しているフルタイム労働者に20日の有給休暇が付与され、そのすべてを消化せずに翌年度に繰り越した場合、前年度からの繰り越し分20日と、当年度に新たに付与された20日を合わせて、最大で40日の有給休暇を保有することになります。ただし、会社が有給休暇の付与基準日を途中で変更した場合(前倒しで付与した場合)や会社が法定を上回る付与(福利厚生)を上乗せした場合は、有給休暇の保有日数が最大で40日を超えることもあります。

取得日数のカウント方法と消化順序

有給休暇を取得する際、前年度の繰り越し日数と新規付与日数、どちらから消化するかは法律で定められていません。しかし、一般的には、時効が近い繰り越し分から優先的に消化されるのが一般的です。例えば、繰り越しが5日、付与が11日ある従業員が1日有給を取得した場合、原則として時効が近い繰り越し分から1日が差し引かれ、繰越残日数は4日となります。また、企業が従業員に取得を義務付けている年次有給休暇5日分には、この前年度繰越分から消化された日数も含まれます。有給休暇の消化順序は法律で定められているわけではありませんが、従業員にとって、繰り越した有給休暇を早めに消化する方が有利です。そのため、企業は新規付与分よりも繰越分を先に消化させるのが一般的です。

時間単位年休の繰り越し

時間単位年休は、年休としては繰越の対象になり得ますが、時間単位で取得できるのは、繰越分を含めて年5日以内です。。例えば、所定労働時間が8時間の企業において、ある従業員が通常の有給休暇を2日分、時間単位年休を5時間分、次年度に繰り越すとします。次年度に新たに11日付与される場合、最終的に保有する有給休暇は13日と5時間となります。しかし、時間単位年休として取得できるのは、あくまで5日分、つまり8時間×5日=40時間分までです。繰り越した5時間を加えて45時間分取得できるわけではない点に注意が必要です。

出典:厚生労働省 .改正労働基準法

.https://www.mhlw.go.jp/topics/2008/12/dl/tp1216-1l-04.pdf 

失効年休積立休暇

失効年休積立休暇とは、本来であれば時効によって消滅してしまう有給休暇を積み立てて、必要な時に利用できるようにする制度です。例えば、前年度の繰越分で消化しきれずに時効を迎える有給休暇を積み立てておくことで、病気などで長期休業が必要になった場合に、収入を減らすことなく休養に専念できます。積立休暇は法律で定められた制度ではありませんが、福利厚生の一環として導入し、有給休暇の有効活用を促している企業も見られます。

有給休暇の買い取りについて

原則として、有給休暇の買い取りは労働基準法上認められていません。これは、有給休暇の取得は労働者の権利であり、心身のリフレッシュを目的とするため、金銭で代替することは法の趣旨に反すると解釈されるためです。ただし、例外的に、退職時の未消化分の有給休暇や、法定以上の有給休暇を付与している場合の超過分については、買い取りが認められる場合があります。

例外的に有給休暇の買取が認められるケース

企業が法定で定められた日数を超えて有給休暇を与えている場合、買取が認められることがあります。労働基準法で定められている有給休暇の日数は、あくまで最低限の日数です。それよりも多い日数を付与することは、労働者にとって不利益にはならないため、認められています。例えば、入社半年後に法律で定められた10日ではなく、15日の有給休暇を付与するような場合です。このケースでは、法定の日数を超える5日分の有給休暇については、企業が買い取っても問題ないと判断されます。また、時効が成立した有給休暇を買い取る場合も認められます。時効によって消滅するはずだった有給休暇を買い取ることは、労働者にとって不利益になるどころか、むしろ利益になると考えられるためです。さらに、退職後の有給休暇の買取も認められるケースの一つです。退職すると、有給休暇を取得する権利は失われます。そのため、退職時に残ってしまった有給休暇を企業が買い取っても、退職者にとって不利益にはなりません。ただし、有給休暇の買取は、あくまで企業に「認められる」行為であり、企業に買取の「義務」があるわけではないことを理解しておく必要があります。

有給休暇買取時の注意点

有給休暇を買い取る際は、事前に条件を書面に明記し、双方の合意を得てから手続きを行うことが重要です。特に、金額に関するトラブルが発生しやすいため、買取金額については合意書や契約書などに明確に記載しておくことが望ましいでしょう。また、民法改正により、賃金の請求権の時効が5年(当分の間は3年)に延長されたため、有給休暇の買取について従業員と合意している場合でも、買取分の賃金は5年(当分の間は3年)で時効となる点に注意が必要です。

有給休暇の取得義務化

日本では、有給休暇を取得することに罪悪感を抱きがちな従業員が多く、休みたくても休めない労働環境の企業も少なくありません。日本の有給休暇取得率は、世界的に見ても低い水準にあります。このような状況を改善するため、日本では大企業・中小企業を問わず、2019年4月から「有給休暇の取得義務化」を盛り込んだ改正労働基準法が施行されました。これにより、年間10日以上の有給休暇が付与される労働者は、正社員やパートといった雇用形態に関わらず、年間5日以上の有給休暇を取得することが義務付けられました。

年間5日の時季指定義務

法改正により、企業は従業員に対して、年5日の有給休暇を時期を指定して取得させることが義務付けられました。そのため、企業が時期指定を行う場合については、就業規則に明記する必要があります。就業規則に記載がない場合、「30万円以下の罰金」が科せられる可能性があります。年5日の有給休暇を取得させなければならない期間は、基準日(年10日以上の有給休暇を付与した日)から1年間です。通常、基準日は入社日から6か月経過した日となりますが、前倒しで有給休暇を付与している場合は、その付与日が基準日となるため注意が必要です。例えば、4月1日入社の場合、通常は10月1日が基準日となりますが、入社日である4月1日に前倒しで付与した場合は、4月1日が基準日となります。中途入社が多い企業では、基準日が従業員ごとに異なる場合が多いため、それぞれの基準日を正確に把握しておくことが重要です。

会社が一方的に有給を消化させるのは違法?

有給休暇が余っているからといって、会社が勝手に消化させるのは、当然のことながら法律違反です。会社の都合で強制的に有給を消化させることは、労働者の権利を侵害する行為にあたります。会社から指示されて有給を取った経験がある方もいるかもしれませんが、労働者が自由に取得日を決められない有給消化は違法です。企業側も労働者側も、この点に注意する必要があります。ただし、会社が法律で定められた日数以上に有給休暇を与えることは問題ありません。例えば、「法律で定められた有給休暇に加え、リフレッシュ休暇を3日与えるといった措置は合法であり、有給休暇の消滅時効を会社が自由に設定することも可能です。また、労使協定による計画年休や時季変更権などのように、例外的に会社が時季に関与できる場面があります。

出典:2024/6/5 .労働問題の相談なら労働問題弁護士ガイド

.https://roudou-bengoshi.com/yasumi/22182/

有給休暇の扱いで違法となる事例

有給休暇の取り扱いを誤ると、法律違反となることがあります。違法となるケースを理解し、法律に沿った適切な取り扱いを心がけましょう。

会社の同意なしに出勤日を変更して消化させる

有給休暇には、労働者が持つ有給休暇のうち5日を超える日数について、労使協定によって定めた時期に取得させることができる「計画的付与」という制度があります。この計画的付与などの例外を除き、有給休暇は原則として労働者が希望する時期に取得させなければなりません。つまり、「有給休暇を取得するかどうか」「いつ取得するか」は、労働者の自由な意思に委ねられています。労働者の合意を得ずに、会社があらかじめ指定した日に有給休暇を取得させるような行為は認められません。

会社が有給休暇の有効期限を短くする

有給休暇の有効期限は、労働基準法第115条によって2年間と定められています。したがって、会社がこの期間を短縮することは法律違反となります。例えば、「有給休暇は、権利が発生した日から1年間で消滅する」といった規則があったとしても、それは無効です。ただし、有効期限を短縮することは認められませんが、法律で定められた期間よりも長く有給休暇を保有できる制度を設けることは、労働者にとって不利益にはならないため、問題ありません。

まとめ

有給休暇が時効に消滅すると、原則として権利は行使できません。有給休暇は労働者が心身の疲労を回復させ、リフレッシュするための重要な権利です。企業と労働者の双方で有給休暇の消滅時効を理解し、適切に取得できるようにしましょう。。また、従業員自身も自身の権利を正しく理解し、計画的に有給休暇を取得することが重要です。

よくある質問

質問1:有給休暇の時効は何年後ですか?

有給休暇の時効は、付与された日から数えて2年後です。つまり、2年以内に取得しなかった有給休暇は、その権利が失われます。

質問2:会社が有給休暇の有効期限を短くすることは可能ですか?

いいえ、それはできません。有給休暇の有効期限は労働基準法によって定められているため、会社がこれを短縮することは法律違反となります。

質問3:有給休暇を会社に買い取ってもらうことはできますか?

原則として、有給休暇の買い取りは認められていません。しかし、例外として、会社が法律で定められた日数よりも多い有給休暇を与えている場合や、退職する際に使い切れなかった有給休暇などは、買い取りが認められる場合があります。

監修:社労士 柴田充輝
監修:社労士 柴田充輝
厚生労働省やハローワークに10年勤務した経験を持ち、社会保険や労働保険の実務を担当。現在は、今までの業務経験や社会保険労務士としての知識を生かし、人事労務や社会保険、労働安全衛生に関するコラムを執筆・監修している。社会保険関係や金融関係の記事を中心に、1,200記事以上を執筆・監修経験あり。

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