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育休中の住宅ローン控除:年末調整と還付金、手続きのポイント

育児休業中、住宅ローンの支払いは続けていても、収入が減ることで税金の扱いはどうなるのか不安に感じる方もいるのではないでしょうか。特に住宅ローン控除は、年末調整でその恩恵を受けるもの。育休中は給与所得がない、または少ないという状況でも、控除は受けられるのか、還付金は発生するのか、複雑な手続きが必要なのかなど、疑問は尽きません。この記事では、育休中の住宅ローン控除に焦点を当て、年末調整の手続きや還付金の有無、注意すべきポイントをわかりやすく解説します。安心して育児に専念できるよう、住宅ローン控除の疑問を解消しましょう。

育児休業・産休中の年末調整の重要ポイント

育児休業や産前産後休業期間中に給与の支給がない場合でも、年末調整の手続きは非常に重要です。年末調整は、適用可能な所得控除などを考慮して正確な所得税額を算出するプロセスであり、育休・産休中であっても勤務先を通じて行われます。一定の条件を満たしていれば控除の対象となるため、所定の手順に従い必要な書類を提出することで、保険料控除や配偶者控除などの適用を受けられます。会社で年末調整を行うことで正確な所得税が計算され、払い過ぎた税金がある場合は還付を受けることができます。

年末調整で利用できる控除の種類

給与所得を計算する上で控除が適用されると、課税対象となる所得が減少し、結果として所得税額を軽減できます。育休・産休中であっても適用される可能性がある主要な控除は以下の通りです。

配偶者控除および配偶者特別控除

配偶者控除と配偶者特別控除は、特定の条件を満たす配偶者がいる場合に適用される控除です。配偶者控除は、配偶者の合計所得金額が58万円以下である場合に受けられます。配偶者特別控除は、配偶者の合計所得金額が58万円を超え133万円以下である場合に適用されます。これらの控除を受けるためには、納税者本人の合計所得金額が1,000万円以下であることが必要です。

保険料控除

保険料控除は、生命保険や地震保険などに加入している場合に、支払った保険料に応じて受けられる控除です。生命保険料の支払いは生命保険料控除、地震保険料の支払いは地震保険料控除の対象となります。生命保険料控除の控除額は、保険契約が2012年1月1日より前に締結されたもの(旧契約)と、それ以降に締結されたもの(新契約)で計算方法が異なります。

住宅ローン控除

住宅ローン控除とは、住宅を新規で購入したり、新築したりする際に住宅ローンを利用し、その返済を行っている人が受けられる税金の優遇制度です。適用されると、一定期間にわたり、毎年一定の金額を上限として、住宅ローンの年末時点での残高に応じて計算された金額が所得から控除されます。育児休業中であっても住宅ローン控除の適用条件を満たしていれば、控除を受けることができます。しかし、育休中で給与が支払われず所得税が少ない、もしくは発生しないため、全額控除できないケースも考えられます。

育休・産休期間中の給付金と年末調整との関係性

育児休業中や産前産後休業中には、健康保険や雇用保険から様々な給付金が支給されます。これらの給付金は、その支給理由によって年末調整における扱いが異なります。

出産手当金

出産手当金は、出産する健康保険の被保険者に対して健康保険から支給されるものです。出産のために産前産後休業を取得する必要があり、休業期間中の生活を保障する目的で支給されます。出産日または出産予定日以前42日間(多胎妊娠の場合は98日間)と、出産日の翌日から56日間のうち、給与が支払われなかった期間に対して支給されます。支給額は、標準報酬日額(年間平均)の2/3相当です。出産手当金は非課税であり、年末調整の対象外となるため、申告は不要です。

出産育児一時金

出産育児一時金は、健康保険の被保険者またはその被扶養者が出産した際に、健康保険から支給される給付金です。出産にかかる費用を補助する目的で支給されます。妊娠85日(4ヶ月)以上の出産に対し、出産児1人につき一定額が支給されます。ほとんどの場合、事前に手続きを行うことで、医療機関の窓口で高額な出産費用を支払う代わりに、保険者から医療機関へ直接支払われる直接支払制度が利用されます。出産育児一時金は非課税であり、年末調整の対象外となるため、申告は不要です。

育児休業給付金

育児休業給付金は、雇用保険制度の一環として支給される手当です。育児休業後の職場復帰を前提とし、休業期間中の経済的な負担を軽減することで、育児・介護休業法に基づく育児休業の取得を支援する目的があります。一定の要件を満たす雇用保険の被保険者が、定められた年齢に満たない子を養育するために育児休業を取得した場合に受給できます。支給額は所定の計算式に基づいて算出されます。育児休業給付金は非課税であり、所得税はかかりません。したがって、年末調整の対象外となり、確定申告も不要です。

育休取得者の年末調整の手順と注意点

年末調整には定められた手順と期限があり、育休中であっても例外ではありません。育休中は通常勤務時と異なり、会社への確認が容易でない場合も考えられるため、申請方法や期日を事前に把握しておくことが重要です。

育休中の年末調整の申請方法と提出期限

会社は原則として、一部の対象者を除き、全従業員に対して年末調整を実施します。育休中の従業員も、必要な書類を提出することで、他の従業員と同様に会社の年末調整を受けることが可能です。年末調整を受けるには、扶養控除等(異動)申告書などの書類に必要事項を記入し、確認に必要な書類を添付して提出する必要があります。通常、年末調整は年内最終給与の支払いの際に過不足分の精算が行われます。そのため、会社は給与を支給する前に従業員から必要書類を回収し、内容を確認する必要があります。年末調整の準備期間は従業員数や給与計算期間などによって異なり、一概に申請期限を定めることはできません。会社の定める申請期限を確認し、遅れないように対応することが重要です。

育休中で収入がない場合の年末調整の手続き

育休中で収入がない場合でも、必要な書類を提出することで年末調整を受けることができます。扶養控除等(異動)申告書などの書類に必要事項を記入して提出すれば、他の従業員と同様に年末調整が行われます。年末調整の対象期間に給与収入が全くない場合は、給与所得0円、源泉所得税0円として源泉徴収票が作成されます。給与や源泉徴収額がわずかでもある場合は、年末調整の計算結果に基づいて所得税の還付などが実施され、その内容が記載された源泉徴収票が作成されます。また、配偶者に所得がある場合は、配偶者の年末調整で源泉控除対象配偶者として申告できます。その際は、配偶者の扶養控除等(異動)申告書の配偶者欄にあなたの氏名を記入して申告してください。

年末調整に間に合わなかった場合の対応

所得税の精算を行う手続きとしては、年末調整の他に確定申告があります。会社員の方は通常、会社の年末調整で所得税が調整されますが、自営業の方には年末調整という制度はありません。確定申告は、主に自営業の方が正確な所得税を納めるために行う手続きですが、会社員の方でも医療費控除や、初めて住宅ローン控除を受ける際には確定申告が必要です。育児休業中に年末調整の手続きができなかった場合でも、確定申告を行うことで、所得税の還付を受けたり、不足分の納税をしたりすることが可能です。確定申告の期間は、原則として翌年の2月16日から3月15日までです。また、所得税の還付申告は、過去5年間に遡って申請することができます。

育児・産休期間中の住宅ローン控除

住宅ローン控除は、個人が住宅ローンを利用して住宅を新築・増改築し、自身が居住すること、そして一定の条件を満たす場合に、住宅ローンの年末残高に応じて所得税が控除される制度です。適用を受けるための主な条件は以下の通りです。

住宅ローン控除の適用条件

①住宅を自身が居住する目的で使用していること②控除を受ける年の合計所得金額が定められた金額以下であること③住宅の床面積が一定の広さ以上であり、その半分以上を居住用として使用していること④住宅ローンの返済期間が10年以上であることなどの条件を満たしていれば、住宅を取得した年分の確定申告を行うことで、住宅ローン控除の適用を受けることができます。

産休・育休中の住宅購入における注意点

共働きのご夫婦であれば、夫婦の収入を合算することで、より高額な住宅ローンを借り入れることが可能になります。夫婦で住宅ローンを組む方法としては、「連帯保証」「連帯債務」「ペアローン」の3つの形態が一般的です。

共働き夫婦の住宅ローン:連帯保証、連帯債務、ペアローンの相違点

共働きのご夫婦が住宅ローンを利用する際、連帯保証、連帯債務、ペアローンという主に3つの選択肢があります。それぞれのメリット・デメリットを把握し、ご家庭に合った最適な方法を選ぶことが大切です。

連帯保証

連帯保証とは、住宅ローンの契約者が返済できなくなった場合に、保証人が代わりに返済義務を負う制度です。金融機関は、主たる債務者に返済能力があるかどうかに関わらず、連帯保証人に返済を求めることができます。注意点として、連帯保証人は団体信用生命保険に加入できず、住宅ローン控除も受けられません。

連帯債務

連帯債務とは、一つの住宅ローンに対し、夫婦それぞれが全額の返済義務を負う形態です。団体信用生命保険は主債務者のみに適用されますが、住宅ローン控除は夫婦それぞれが一定の条件のもとで受けることが可能です。

ペアローン

ペアローンとは、夫婦それぞれが個別に住宅ローンを契約する形態です。例えば、3000万円の住宅ローンを組む場合、夫が2000万円、妻が1000万円といった形でそれぞれがローンを組みます。この場合、夫婦それぞれが債務者となります。互いのローンに対して連帯保証人となるため、どちらかが返済不能になった場合は、もう一方が返済義務を負います。夫婦それぞれが主債務者となるため、それぞれの借入額に対して団体信用生命保険が適用されます。上記の例で夫に万が一のことがあった場合、夫の2000万円分のローンは団体信用生命保険によって完済されますが、妻の1000万円のローンはそのまま残ります。また、住宅ローン控除もそれぞれの借入額に応じて受けることができます。ただし、ペアローンは契約が2本となるため、事務手数料や印紙代などの諸費用が2倍になる点に注意が必要です。

産休・育児休業中の住宅ローン審査

共働き夫婦の場合、一般的に世帯年収が多くなり、住宅ローンの借入可能額も増える傾向にあります。しかし、子育て世帯が住宅ローンを組む際には注意が必要です。産休・育休中の住宅ローン審査は、金融機関によって厳しく判断されることがあります。住宅ローンの借入可否や借入可能額は、金融機関だけでなく、個人の職業、勤続年数、年収によっても異なります。審査では、通常、源泉徴収票に基づいて年収が判断されるため、育休明けの時短勤務で収入が減少している場合は、その減額された収入に基づいて審査が行われる可能性があります。ただし、住宅ローン審査は個別対応も含まれるため、職場の在籍証明書、給与明細、保有資格など、有利な評価につながる資料を準備しておくことが重要です。

収入合算と返済能力

収入合算によって借入額を増やすことは可能ですが、当然ながら返済額も増加します。産休中の収入は休業前の約3分の2、育休中の収入は当初半年間が約67%、その後は50%に減少します。さらに、育休期間の延長など、配偶者が働けない状況が発生する可能性も考慮する必要があります。住宅ローンのプランニングにおいては、「お金を借りるだけでなく、確実に返済できるか」という点を十分に検討することが不可欠です。

ライフプランに応じた住宅ローン選択

連帯債務やペアローンを利用して住宅ローン控除を受ける場合、夫婦それぞれの負担割合に応じて住宅ローン控除が適用されます。住宅ローン控除が適用されると、年末時点の住宅ローン残高の一定割合に相当する金額が、支払った所得税から還付されます(控除しきれない場合は、翌年の住民税からも控除される制度があります)。この制度を利用することで、年間一定額を上限として、最長13年間住宅ローン控除の恩恵を受けることができます。しかし、住宅ローン控除は所得税や住民税が発生していることが前提となります。原則として、税金は収入がないと課税されません。つまり、産休・育休中に年収が一定額を下回ると、所得税や住民税が発生せず、住宅ローン控除の恩恵を受けることができない場合があります。

長期的な視点での住宅ローン検討

マイホーム購入後、産休や育児休業が想定される場合、住宅ローン控除による節税を最大限に活用できない可能性があります。例えば、保育園への入園が難しく、育休期間を延長せざるを得ない場合や、退職して専業主婦になる場合など、夫のみで住宅ローンを組んだ方が、結果的に住宅ローン控除の恩恵を最大限に受けられるケースも考えられます。将来のライフプランを考慮し、長期的な視点で住宅ローンを検討することが重要です。

産休・育休期間中の住宅ローン支援策

一方で、出産後の一定期間、例えば1年間、住宅ローンの金利を優遇したり、お子様一人につき最長2年間、元金の返済を猶予する制度を設けている金融機関も見られます。このような情報を積極的に収集し、賢く活用しましょう。将来の家族構成の変化や働き方の変化も視野に入れ、「無理なく返済できるか」を慎重に検討し、戦略的に住宅ローンを組み立てることが大切です。

育休中に住宅ローン控除の初回申請を行う場合、収入がなくても確定申告は必要?

結論としては、育休中で収入がない場合でも、確定申告は行っておくことをおすすめします。特に夫婦で住宅ローンを共同で借り入れている場合は、初年度に夫婦揃って確定申告を済ませておくことで、必要な書類を共有でき、準備もスムーズになります。育休から復帰後、給与所得が発生し、住宅ローン控除を受けられる状況になれば、2年目からは職場の年末調整で控除を受けることが可能です。もちろん、初年度に確定申告を行わず、2年目以降にまとめて申告することも可能ですが、住宅ローン控除を受けられる期間自体は変わりません。時間が経つほど書類の準備が煩雑になることや、申告を忘れてしまうリスクも考慮すると、早めに手続きを済ませておく方が良いでしょう。所得税は申告制ですので、忘れずに、できるだけ速やかに対応することが重要です。

住宅ローン控除が適用されない場合の対応

住宅ローン控除が適用されない場合、一時所得や雑所得(例:贈与や副業収入)を得て控除を受けるべきか、あるいはそのままにすべきか悩むかもしれません。所得を得ることで住民税が発生し、保育料にも影響が出る可能性があることは、所得を得るデメリットとして認識しておく必要があります。

まとめ

育児休業や産休期間中においても、通常の年末調整に加えて、住宅ローン控除など、いつもとは違う手続きが発生することがあります。この記事を参考に、ご自身の状況に合わせて必要な手続きを確実に行い、税制上の優遇措置を最大限に利用しましょう。住宅ローンを選ぶ際には、将来的なライフプランの変化を見据え、無理のない返済プランを立てることが大切です。

よくある質問

育休中でも年末調整は必須ですか?

はい、必須です。育児休業中であっても年末調整を行うことで、正確な所得税額が算出され、納めすぎた税金が還付される可能性があります。各種控除を受けるためにも、年末調整は非常に重要です。

各種手当や給付金は、年末調整の対象になりますか?

いいえ、産休中や育休中に支給される出産手当金、出産育児一時金、育児休業給付金といった給付金等は、所得税法上課税対象外のため、年末調整の対象とはなりません。

育児休業期間中に住宅ローン控除を利用するための要件は?

育休期間中であっても、住宅ローン控除の適用を受けるには、いくつかの条件を満たす必要があります。まず、住宅ローン控除を申請する年の所得合計額が定められた金額を超えないことが求められます。加えて、住宅が自身で居住するためのものであること、そして住宅ローンの返済期間が10年以上であることといった条件もクリアする必要があります。

監修:税理士 高谷武司
監修:税理士 高谷武司
同志社大学卒業後、有限責任監査法人トーマツやハウス食品株式会社、IPO準備企業などを経て、2021年に髙谷公認会計士・税理士事務所を開設しました。 事業会社で経営企画なども経験していることから、会計や税務はもちろん、経営の相談までできる会計事務所として、皆様のサポートをしております。

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