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育休2年目、無給期間を乗り越えるための知識と対策

育休2年目、それは愛おしい我が子の成長を間近で見守れる貴重な時間である一方、経済的な不安が頭をよぎる時期でもあります。育児休業給付金は原則1年まで。無給となる期間を、どのように乗り越えれば良いのでしょうか。本記事では、育休制度の基本から、無給期間を賢く乗り切るための知識と具体的な対策を徹底解説。安心して育児に専念できる未来のために、今からできることを一緒に考えていきましょう。

育児休業とは:制度の概要と原則無給について

育児休業、通称「育休」は、育児・介護休業法という法律によって定められた、従業員が子育てのために取得できる休業制度です。原則として、お子さんが満1歳になるまで取得できますが、保育園への入園が難しいなど特定の事情がある場合には、最長で2歳まで延長が認められています。育休期間中は、労働に対する対価である給料は原則として支払われません。ただし、育休中の経済的な負担を軽減するため、国から「育児休業給付金」というサポート金が支給されます。

育休中の賃金:企業からの支給と給付金の関係性

法律上、企業に育休中の給与の支払い義務はありません。しかし、企業によっては、従業員の福利厚生の一環として、育休期間中も給与の一部または全額を支給するケースがあります。ただし、給与と育児休業給付金の合計額が、休業前の賃金の8割を超過する場合には、給付金が減額または支給停止される仕組みとなっています。もし給与自体が休業前の賃金の8割を超える場合、育児休業給付金は支給されません。これは、休業中の収入が過剰になることを防ぐための調整措置です。

育休期間中の収入源:給付金と各種支援制度

育休期間中の主な収入源は、育児休業給付金と、出生時育児休業給付金(いわゆる「産後パパ育休」を取得した場合)です。育児休業給付金は、育休開始から最初の6ヶ月間は休業前賃金の67%、それ以降は50%が支給されます。出生時育児休業給付金は、産後パパ育休を取得した場合に支給され、その支給額は育児休業給付金と同様に、休業前賃金の67%です。産後パパ育休は、お子さんの出生後8週間以内に、合計4週間まで取得できる休業で、2回に分割することも可能です。また、出産時には、健康保険から出産育児一時金が支給されます。これは出産にかかる費用を補助するためのもので、令和5年4月以降の出産では50万円(産科医療補償制度に加入していない医療機関での出産の場合は48.8万円)が支給されます。

出典:厚生労働省「育児休業等給付の内容と支給申請手続」

https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/001461102.pdf

出典:厚生労働省「出産育児一時金等について」

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/shussan/index.html

育児休業給付金の受給要件:雇用保険と出勤日数

育児休業給付金を受け取るためには、雇用保険に加入している被保険者である必要があります。さらに、育休開始日の前2年間に、賃金支払いの基礎となった日数が11日以上ある(ない場合は賃金支払いの基礎となった時間数が80時間以上の)月が、合計で12ヶ月以上必要です。育休中は、原則として就労は認められていません。育児・介護休業法において、育児休業は、お子さんの養育を目的として、労働義務が免除される制度であるためです。しかし、労使間で合意があり、かつお子さんの養育に支障がない範囲であれば、一時的・臨時的に勤務することが可能です。ただし、育児休業給付金の受給を継続するためには、就労日数を月10日(10日を超える場合は就業時間が80時間)以下に抑える必要があります。また、就労日数が月10日以下であっても、育休中に継続的に勤務するなど、恒常的・定期的に働く場合は、育児休業とはみなされず、育児休業給付金の対象外となってしまうため注意が必要です。

育児休業給付の期間:原則1歳まで、延長の条件とパパ・ママ育休プラス

育児休業給付は、通常、お子さんが1歳の誕生日を迎える前日までが対象となります(法律上、満年齢は誕生日の前日に加算されるため、実際には誕生日の2日前まで)。給付金は、育児休業を取得した日数に応じて支払われるため、ご自身の判断で休業期間を短縮した場合、給付期間もそれに合わせて短くなります。ただし、保育園への入園を申し込んでいるにも関わらず、待機児童の問題などで1歳になっても入園できない場合などは、育休期間が1歳6ヶ月まで延長(最長で2歳まで延長)され、給付金の支給も延長されます。これらの条件に該当しない場合でも、「パパ・ママ育休プラス」制度を利用することで、お子さんが1歳2ヶ月になるまで育休を取得し、育児休業給付を受け取ることが可能です。

出典:厚生労働省「パパ・ママ育休プラス|育児休業制度」

https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyoukintou/ryouritsu/ikuji/plus/

育児休業給付金の計算方法と支給額について

育児休業給付金の額は、休業開始時の賃金に一定の割合をかけて算出されます。具体的な計算式は、育児休業給付金=休業開始時賃金日額×支給日数×67%となります。この67%という割合は、育休開始から最初の180日間に適用され、それ以降は50%に変わります。休業開始時賃金日額とは、育休開始前の6ヶ月間の賃金を180日で割った金額を指します。例えば、育休開始前の6ヶ月間の賃金が合計120万円(月額20万円)だった場合、休業開始時賃金日額は120万円÷180日=約6667円となり、1ヶ月あたりの支給額(育休開始日から180日目まで)は6667円×30日×67%=約13万4000円となります。

育休手当(育児休業給付金)2年目の延長条件と申請手続き

育児休業給付金は、原則としてお子さんが1歳になるまでの育児休業期間が対象です。そのため、特別な手続きをしなければ、1歳以降は給付がストップし、無給となります。しかし、以下のいずれかの状況に該当する場合は、育児休業は最長で2歳まで延長が可能です。それは、保育園に入園を希望しているにもかかわらず入園できない場合、またはお子さんの養育を行っている配偶者が死亡、負傷、病気などの理由により育児が困難になった場合などです。育休延長の申請に必要な書類(申請者)は、育児休業給付金支給申請書、保育園の入所保留通知などです。これらの書類を会社に提出し、会社がハローワークに申請することで、育休手当の継続手続きが進められます。また、2025年4月からは、育児休業給付金の延長手続きがより厳格になります。これは、給付金の不正受給を防ぐ目的で、例えば、給付金延長のためだけに保育所に利用申し込みするようなケースを抑制するためです。そのため、入所保留通知などに加えて、「保育所の利用申込書の写し」の提出が必要です。

出典:厚生労働省「育児休業給付金の支給対象期間延長手続き」

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000160564_00040.html

出生後休業支援給付による手取り10割相当の実現

2025年4月より、従来の育児休業給付金に加えて「出生後休業支援給付」が導入され、さらに育児休業中の社会保険料免除と合わせて、実質的に手取り10割相当の収入を受け取ることが可能になりました。「出生後休業支援給付」は、夫婦が共に育児休業を取得する場合に、育児休業給付金に上乗せして支給される制度です。支給要件は次の通りです。

  • 育休手当を受け取るための雇用保険被保険者を満たしていること
  • 子の出生直後の一定期間以内(男性は子の出生後8週間以内、女性は産後休業後8週間以内)に夫婦ともに14日以上の育児休業を取得すること

支給期間は最大28日間で、支給金額は休業開始時賃金日額の13%です。(出生時)育休手当を合わせて給付率は80%となり、社会保険料や税金の控除がないことを考えると休業前の手取り額とほぼ同じ給付を受けられることになります。

申請は、育児休業給付金と同時に行います。。

出典:厚生労働省「「出生後休業支援給付金」を創設しました」

https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/001372778.pdf

育児休業2年目の年末調整:手続きと還付の可能性

育児休業に入り、給与の支払いがストップした場合でも、年末調整の手続きは通常通り必要となります。年末調整とは、その年の所得に対する所得税を正確に計算し直すためのもので、給与から天引きされた所得税と、実際に納めるべき所得税の差額を調整するものです。育児休業によって給与の支払いが無い場合、源泉徴収票に記載される金額はわずかになりますが、その年の途中に給与所得があった場合は、年末調整の対象となります。年末調整によって税金の還付を受けられる可能性があります。また、妊娠中のつわりなどによる体調不良で医療費がかさむことも考えられます。年間で10万円を超える医療費を支払った場合は、医療費控除を利用できる可能性があるので、年末調整の対象とならない所得控除については確定申告しましょう。配偶者の扶養に入っている場合は、配偶者が年末調整で配偶者控除を受けることで、配偶者の所得税が軽減されます。

育児休業2年目の住民税:支払い義務と納付方法

住民税は、前年の所得に応じて課税される仕組みのため、育児休業中であっても支払い義務が生じます。例えば、2026年に育児休業を取得した場合、2025年の所得に基づいて計算された住民税を2026年度に支払う必要があります。これまで給与から天引きされていた方は、育児休業中は天引きがなくなるため、お住まいの自治体から送付される納付書を使用して納付することになります。ただし、1月1日から5月31日までに産休に入る場合は、産休前の最後の給与から5月までの住民税額(前年度住民税の未納分)が一括徴収されるのが一般的です。育児休業期間中に給与の支給が全くない場合は、翌年の住民税が減額されたり、非課税となる場合があります。

育児休業2年目の社会保険料:免除手続きと影響

育児休業期間中は、従業員本人と会社、双方の社会保険料(健康保険料と厚生年金保険料)が免除される制度があります。この免除を受けるためには、会社が所定の手続きを年金事務所に対して行う必要があります。育児休業中の社会保険料免除の手続きは、従業員の経済的な負担を軽減するだけでなく、会社の社会保険料の負担も軽減することにつながります。免除期間中は保険料を納付したものとして取り扱われるため、従来通り健康保険の給付を受けることができるとともに将来の年金額も減額されることはありません。

育児休業2年目の家計管理:自治体支援、パスポート、見直し、家計簿

育児休業中や子育て期間中の支出を抑えるための効果的な方法として、国や各自治体の子育て支援制度の確認(児童手当や子ども医療費助成など)、子育て支援パスポートの活用、通信費や生命保険料などの固定費の見直し、そして家計簿をつけることなどが挙げられます。国や多くの自治体では、子育て世帯に対する経済的な支援策として、様々な制度が用意されています。例えば、「児童手当」や「子ども医療費助成制度」などが代表的です。子育て支援パスポート事業は、地域全体で子育て家庭をサポートするための取り組みです。各都道府県や市区町村が発行するパスポートを提示することで、協賛店や施設において様々なサービスや割引を受けることができます。通信費や保険料の見直しは、家計における重要な節約ポイントです。特に、携帯電話料金や生命保険料は毎月固定で発生する費用であるため、見直しによって大きな節約効果が期待できます。家計簿をつけることは、家計の状況を把握し、無駄な支出を削減するために非常に有効な手段です。


育休に関する不安の解消と知識の重要性

育児休業期間中の経済的な不安を和らげるためには、利用できる給付金や支援制度、加えて育休中の年末調整や住民税の納付義務などについて、正しく理解しておくことが不可欠です。育休中は基本的に給与は支給されませんが、出産・育児に関連する給付金や各自治体の支援策を有効に活用することで、経済的なサポートを受けることが可能です。また、本記事でご紹介した支出を抑える工夫を実践し、無理のない育児を目指しましょう。

まとめ

育児休業期間は、かけがえのないお子様の成長を間近で見守ることができる貴重な時間です。経済的な不安を解消し、各種制度を上手に活用することで、より安心して育児に集中できる環境を整えることが重要です。本記事が、育休に関する疑問や不安を解消し、充実した育休生活を送るための一助となれば幸いです。

よくある質問

育休期間中は給料は出ないのでしょうか?

原則として無給となりますが、育児休業給付金や、企業独自の制度による給与の支給がある場合もあります。

育児休業給付金はいつ頃支給される?

最初の育児休業給付金は、一般的に育休開始日から3ヶ月程度で口座に振り込まれることが多いようです。

育休中の手当は2年目も支給される?

所定の要件を満たしていれば、お子さんが満2歳になるまで育休を延長できます。育休延長により育児休業給付金の支給期間も延長できます。

監修:社労士 西岡秀泰
監修:社労士 西岡秀泰
西岡 秀泰(にしおか ひでやす) 西岡社会保険労務士事務所 代表 生命保険会社に25年勤務しFPとして生命保険や損害保険等の販売。 その後、社労士事務所を開設し労働保険や社会保険を中心に労務全般について企業をサポート。日本年金機構の年金相談員を兼務。 「ひと」が抱えるさまざまなリスクや悩みに有効な制度や金融商品を、社会保険労務士とFPの立場から紹介します。

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