個人事業主が従業員を雇用する際に必要な手続きとは?人を雇うメリットや注意点も解説
こんにちは。スキマバイト募集サービス「タイミー」ライターチームです。
個人事業主は基本的にひとりで各業務を行う必要があるため、ときには負担が大きくなってしまうこともあるでしょう。そのような際に検討したいのが、従業員の雇用です。しかし、個人事業主の雇用においては明確なルールが設けられているため、内容を把握して適切な対応を行う必要があります。
本記事では、個人事業主の従業員雇用に関して、必要な手続きや雇用のメリット・注意点などを紹介します。ぜひ参考にしてみてください。
目次[非表示]
- 1.個人事業主が従業員を雇用する際に必要な手続き
- 1.1.労働条件の通知
- 1.2.労働保険・社会保険の手続き
- 1.3.税務署へ届出を出す
- 1.4.源泉徴収の手続き
- 2.個人事業主が従業員を雇用する際に利用できる助成金
- 3.個人事業主が従業員を雇用するメリット
- 3.1.生産性を向上できる
- 3.2.事業拡大につながる
- 3.3.繁忙期だけ仕事を任せられる
- 4.個人事業主が従業員を雇用する際の注意点
- 4.1.税務作業が増える
- 4.2.パートタイム労働法が設けられている
- 4.3.従業員の教育が必要
- 4.4.雇用人数によって保険の加入義務が生じることも
- 4.5.従業員が辞めた時のリスクも考える
- 5.個人事業主が従業員を雇用する際に最適な方法
- 5.1.Webに求人を出す
- 5.2.ハローワークを利用する
- 5.3.タイミーを利用する
- 6.個人事業主が任せやすい仕事内容
- 6.1.データ入力作業
- 6.2.経理
- 6.3.電話対応
- 6.4.専門的な知識が必要ない作業
- 7.まとめ
個人事業主が従業員を雇用する際に必要な手続き
個人事業主が従業員を雇用するには、以下の手続きが必要とされています。
労働条件の通知
個人事業主が従業員を雇用する場合、法人と同様に労働条件の通知が必要です。具体的には給料に関する規定、雇用形態、業務内容、休日休暇など、雇用される側が知るべき内容を通知します。
採用時に従業員が安心できるような労働条件を定めておくことは、個人事業主が雇用を行う際にも重要です。
労働保険・社会保険の手続き
個人事業主として人を雇う場合、労働保険や社会保険に加入する必要もあります。雇用保険、労災保険、健康保険、厚生年金に加入する必要があるため、以下の方法を参考に手続きを進めましょう。
- 雇用保険:保険関係が成立した日の翌日から起算して10日以内に雇用保険適用事業所設置届および雇用保険被保険者資格取得届をハローワークに提出する
- 労災保険:保険関係が成立した日の翌日から起算して10日以内に労働保険関係成立届を、同じく50日以内に労働保険概算保険料申告書を労働基準監督署に提出する
- 健康保険、厚生年金:従業員が5人以上になった日から、5日以内に新規適用届・新規適用事業所現況書・被保険者資格取得届・健康保険被扶養者届を社会保険事務所に提出する
参考:労働保険について|厚生労働省、事業主の行う雇用保険の手続き|厚生労働省、健康保険・厚生年金保険 保険料関係届書・申請書一覧|日本年金機構
税務署へ届出を出す
個人事業主がはじめて従業員を雇う場合、従業員に対して給与を支払うことの証明が必要です。具体的には「給与支払事務所等の開設届出書」を、はじめて従業員を雇った日から1か月以内に税務署へ提出しなければなりません。
個人事業主として新規で開業を行うと同時に従業員を雇用する場合には、開業届に記載することも可能です。
源泉徴収の手続き
個人事業主も企業と同様に、従業員の給与から税金を天引きして代わりに税務署へ納付する源泉徴収を行います。源泉徴収を実施するためには、従業員に「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を記入してもらわなければなりません。
申告書への記入は毎年行い、税務署から提出を求められた際には雇用した年数分の書類を提示します。
個人事業主が従業員を雇用する際に利用できる助成金
個人事業主が従業員を雇用する際には、いくつか利用できる助成金があります。条件を満たせば、以下の助成金を活用可能です。
- 雇用調整助成金:従業員の雇用を維持するために、休業手当などの手当の一部を支給する制度です。売上や生産量などが前年の同時期と比較して10%以上減少している(※)ことが、助成金を受け取る条件の1つとなります。
- キャリアアップ助成金:非正規で雇用していた従業員のキャリアアップを目的とした施策を行う場合、その一部を助成してもらえる制度です。複数のコースが設定されていて、例えば正社員化を行う場合には従業員1人あたり57万円が支給されます。
- 両立支援等助成金:育児休業、介護休業、不妊治療における休暇制度などを実施する、もしくはその相談に対応した個人事業主を対象に支給される助成金制度です。こちらにも複数のコースがあり、支援内容によって支給額が変わります。
※令和4年11月末までの「新型コロナウイルス感染症の影響に伴う特例措置」では条件が異なります。また、今後も雇用情勢などによって内容が変更になる可能性があります。
参考:雇用調整助成金(新型コロナウイルス感染症の影響に伴う特例)|厚生労働省
個人事業主が従業員を雇用するメリット
個人事業主が従業員を雇用することには、さまざまなメリットがあります。
生産性を向上できる
事業を手伝ってくれる従業員が増えれば、その分仕事の生産性が向上します。個人事業主1人では対応しきれない大きな案件を受注できるようになるため、仕事の幅を広げられるのがメリットです。
従業員を雇用すれば仕事を任せて休みやすくなるため、個人事業主のワークライフバランス改善にもつながります。
事業拡大につながる
個人事業主としてひとりで働く場合、できることには限界があります。そこで従業員を新規雇用して、軽作業などを任せることができれば、業務効率を高めることが可能です。
業務の効率化は結果的に事業拡大につながり、個人事業主として大きな利益をあげるきっかけにもなり得るでしょう。
繁忙期だけ仕事を任せられる
個人事業主は従業員を長期雇用するだけでなく、短期間だけ雇用することも可能です。短期間のみの雇用を実施すれば、繁忙期だけ仕事を任せて忙しさを緩和することもできるでしょう。
短期雇用であれば余計なコストを支払わずに、ピンポイントで業務効率化を進められます。ただし、従業員にノウハウが蓄積されないというデメリットもあるため、今後も働いてもらう可能性があるのなら長期雇用を検討しましょう。
個人事業主が従業員を雇用する際の注意点
個人事業主が従業員を雇用する際には、いくつかの注意点もあります。
税務作業が増える
個人で事業を行う場合には、基本的に決算書の作成と所得税の申告だけで税務作業が完了します。一方で、従業員を雇用する場合には年末調整や税金管理、住民税・所得税の天引きなど多くの工数をこなさなければなりません。
税務作業に関する手間が増えるため、場合によってはより多くの仕事を行わなければならなくなるケースも懸念されます。
パートタイム労働法が設けられている
パートタイム労働法とは、事業主が「昇給の有無」「退職手当の有無」「賞与の有無」を書面で交付し、従業員に明示しなければならないとする法律です。個人事業主としてひとりで仕事をしているときには関係のなかった法律が、業務上理解する必要が出てくる点も従業員を雇用するデメリットになります。
法律を守らないと事業者として問題があることを指摘される可能性が出てくるため、従業員の雇用を実施する際にはパートタイム労働法などへの認識を深める必要もあるでしょう。
従業員の教育が必要
個人事業主が従業員を雇用する場合、仕事の方法を指導する必要があります。基本的に個人事業主本人が従業員教育を行わなければならないため、ときには仕事の時間を削減する必要もあるでしょう。
教育に使える時間と体力の余裕がなければ、従業員の雇用による業務効率化を実現することは難しいです。
雇用人数によって保険の加入義務が生じることも
個人事業主が従業員を雇用する場合、健康保険と厚生年金保険に加入する必要があります。5人以上の従業員を雇うことになると、社会保険への加入も義務付けられるため、雇用する人数に注意が必要です。
雇用者が5人未満の場合には、社会保険への加入は任意となります。
従業員が辞めた時のリスクも考える
せっかく雇用した従業員が、採用後すぐに辞めてしまうケースも考慮しなければなりません。早期退職になると事務作業だけが増えてしまい、本来の事業を妨げる結果になる可能性もあるでしょう。
雇用には少なからずコストがかかるため、従業員がすぐに辞めてしまうリスクを考慮しつつ、仕事を続けてもらえるように求人の方法や面接のやり方を工夫するのがポイントです。
個人事業主が従業員を雇用する際に最適な方法
個人事業主が従業員を雇用する際には、さまざまな方法が検討できます。以下では、個人事業主が従業員を雇用する最適な方法について解説します。
Webに求人を出す
Web媒体に求人を出して、従業員を雇用する方法は最初に検討されるでしょう。Web媒体の求人サービスには無料で使えるものもあるため、まずは採用活動に慣れるために求人を掲載してみるのもおすすめです。
Web媒体の求人は無料で使えますが、有料のサービスを利用することで採用の可能性を高めることができます。かけられる予算次第では、有料のWeb求人サービスを中心に活用していくことも検討するのがよいでしょう。
ハローワークを利用する
厚生労働省管轄のハローワークを経由して求人を行うことも、個人事業主が従業員を雇う際の方法となります。ハローワークは完全無料で利用できる公共職業安定所であるため、コストをかけずに必要な人材を募集可能です。
国が管理しているため信頼性が高く、さまざまな年齢層・経歴の人が活用している点が特徴となっています。
タイミーを利用する
個人事業主が従業員を雇用する際には、スキマバイト募集サービス「タイミー」を利用するのもおすすめです。タイミーは無料で専用の管理画面を使い、すぐに求人募集の要件を作成できるサービスです。
既に600万人を超えるワーカーが登録しているため、前日・当日に行った求人でもマッチングした事例が多数あります。急遽人手が必要になったときや、ピンポイントで特定の時間・曜日に仕事をしてほしいときなどに役立つため、従業員を雇用する際にはまずタイミーを導入してみてください。
個人事業主が任せやすい仕事内容
個人事業主が従業員を雇用する場合、基本的には単純作業や仕事のサポートを任せることになるでしょう。そこで以下では、従業員に任せることがおすすめの仕事内容について解説します。
データ入力作業
データ入力や集計などの業務は、他の職場でも同様の作業を行っているケースが多いです。そのため従業員を雇用して作業を委託することで、一定レベルの人材を確保できる可能性が高くなるでしょう。
入力作業は煩雑な業務になりがちなため、従業員に任せることで多くのリソースを削減し、本来の業務にかける負担を減らせるのが魅力です。
経理
記帳業務、給料計算業務、年末調整業務、申告業務、売掛金・買掛金管理などの経理業務を依頼することも考えられます。あくまで経理部分の代行となるため財務は任せられませんが、それでも事業にかかる大きな負担削減となるでしょう。
経理業務に時間を取られて仕事が進まないということが多い場合には、経理担当の従業員を雇用するのがおすすめです。
電話対応
個人事業主にとって、電話対応は新しい仕事の獲得にもつながる重要な業務です。しかし、仕事中は電話に対応できないことも多く、機会損失に悩まされるケースも増えるでしょう。
電話対応が仕事の獲得につながることが多い事業の場合、業務を外注することも検討されます。その際にはあらかじめ応対すべき内容を伝えておき、セールスなど事業に関係のない電話を遮断するようにすることで、業務効率を大幅に高められます。
専門的な知識が必要ない作業
個人事業主が従業員を雇う場合、専門的な知識が必要ない作業を任せる方が、教育に欠ける手間が少なくて済みます。そのため基本的には、継続的に同じ作業を行う仕事を任せるのがおすすめです。
専門的な知識が必要な業務を任せる必要が出てきた場合には、資格や経験などをチェックした上で、高い能力を持つ人材を雇用するのがポイントです。
まとめ
個人事業主が従業員を雇用することには、さまざまなメリットがあります。その一方で、雇用のためには多くの準備が必要になるので、この機会に基本的な手続きについてチェックしておきましょう。
個人事業主が従業員をスムーズに雇う際には、スキマバイト募集サービス「タイミー」の導入がおすすめです。タイミーなら無料かつスピーディーに従業員とマッチングし、採用まで進むことができます。募集時には特定のスキルを持つことを採用条件として指定もできるため、即戦力で働けるワーカーをすぐに探し出せます。