派遣の5年ルールとは?3年ルールとの違いや派遣先企業の注意点も解説
こんにちは。スキマバイト募集サービス「タイミー」ライターチームです。
5年ルールとは、同じ企業に5年を超えて勤めた人が無期雇用になれるルールで、派遣労働者や契約社員など、すべての有期雇用労働者が対象です。
この記事は、企業担当者に向けて、5年ルールの基礎知識を具体例を交えて解説します。5年ルールに対応する際の注意点、企業側のメリット・デメリットなども解説しているので、ぜひ参考にしてください。
目次[非表示]
- 1.5年ルール(無期転換ルール)とは
- 2.5年ルール導入の目的・背景
- 3.5年ルールと3年ルールの違い
- 4.派遣雇用の5年ルールを具体例でチェック
- 4.1.契約期間が1年のケース
- 4.2.契約期間が3年のケース
- 4.3.同企業で事業所Aから事業所Bに異動した場合
- 4.4.無契約期間を挟むケース
- 4.5.同じ人材派遣会社で5年超勤めたケース
- 5.そもそも5年ルールで転換される無期雇用とは
- 6.5年ルール対応時の注意点
- 7.企業にとっての5年ルールのメリット
- 7.1.人材が長期間定着する
- 7.2.長期的な人材育成計画を立てられる
- 7.3.新たな教育コストが発生しない
- 8.企業にとっての5年ルールのデメリット
- 9.まとめ
5年ルール(無期転換ルール)とは
ここでは、5年ルール(無期転換ルール)とは何か、対象となる労働者、適用要件について解説します。
同じ企業に5年超働くと無期雇用になれるルール
じ企業に5年超働いた場合、本人から申し込みがあれば、無期雇用に転換しなければならないルールです。このルールは2012年の労働契約法改正で規定され、以下のように記されています。
”無期転換ルールは、同一の使用者(企業)との間で、有期労働契約が5年を超えて更新された場合、有期契約労働者(契約社員、アルバイトなど)からの申し込みにより、期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換されるルールのことです。”
対象者は派遣労働者・契約社員・アルバイトなどの有期契約労働者
5年ルールの対象者は、派遣労働者や契約社員、準社員、アルバイトなどの、すべての有期契約労働者です。企業によって独自の名称や区別があるかもしれませんが、有期契約ならば、すべて5年ルールの対象者となります。
5年ルール適用の条件は3つ
5年ルールが適用される条件は以下の3つです。
- 有期労働契約の通算期間が5年超(ただし途中で6か月以上契約がない場合は、それ以前は通算に含めません)
- 契約の更新回数が1回以上
- 現時点で同一の使用者(5年超契約した企業)と契約している
この3要件を満たすとき、有期契約労働者からの申し込みがあれば、5年ルールが適用されます。
5年ルール導入の目的・背景
5年ルールは、有期契約労働者の雇用を安定させ、より適切な雇用関係に変えるために導入されました。5年ルール適用前は、約3割の有期契約労働者が5年以上同じ企業で働き、毎年自動的に契約更新している状況でした。
こうした有期契約労働者の不安定な雇用状態や不合理な待遇格差が減るように、5年ルールが定められています。
5年ルールと3年ルールの違い
5年ルールは、有期契約者全般が無期雇用で働けるようになる権利を定めたものです。一方、3年ルールは登録型派遣として同じ派遣先で働ける最長期限を定めたものです。つまり、派遣社員が対象であり、契約社員やアルバイトなどは対象になりません。
派遣社員が3年を超えて派遣先で働きたい場合は、直接雇用してもらうか、派遣元と無期雇用契約を結びます。3年ルールは2015年9月に改正された労働者派遣法によって定められました。
派遣雇用の5年ルールを具体例でチェック
ここでは、5年ルールが適用されるケースを紹介します。はじめに通常の有期雇用のケースを紹介し、続いて派遣労働者の例を解説します
契約期間が1年のケース
まず有期契約の社員やアルバイトなどを長期間雇用するケースを考えます。契約期間が1年の場合は以下のようになります。
- 2020年4月1日、新規契約
- 2021年4月1日、1回目契約更新
- 2022年4月1日、2回目契約更新
- 2023年4月1日、3回目新規契約
- 2024年4月1日、4回目契約更新
この場合、5年ルールが適用されるのは、4回目の契約が終了した翌日の2025年4月1日以降です。雇用を続けたい場合、労働者から5年ルール適用の申込みがあれば、企業は無期雇用にしなければなりません。
契約期間が3年のケース
同じく有期契約の社員やアルバイトなどを、契約期間3年で長期雇用するケースを考えます。
- 2020年4月1日、新規契約
- 2023年4月1日、契約更新
この場合は契約更新時に5年超の就業期間になることが明確になっているため、契約更新の時点で5年ルールが適用されます。つまり、労働者は4年目の2023年4月1日から5年ルールの無期転換に申し込みできます。企業は労働者から無期転換の申し込みがあれば、無期雇用への変更が必要です。
同企業で事業所Aから事業所Bに異動した場合
同じ企業で事業所Aから事業所Bに異動しても、期間が通算されます。仮に3年契約で以下のように契約したとします。
- 2020年4月1日、新規契約(事業所A)
- 2023年4月1日、契約更新(事業所B)
契約更新で継続就業が6年間になるため、契約更新時に5年ルールが適用されます。
無契約期間を挟むケース
同じ企業で働き続けていても、途中で無契約期間が一定以上あると「クーリング期間」として扱われ、期間が通算されなくなります。
仮に無契約期間前の通算契約期間が10か月超なら、6か月以上の無契約期間があれば、それ以前の契約期間は通算対象外です。
例えば、以下のように有期契約労働者が働いたとします。
- 2020年4月1日から5年間、企業Aで就業
- 2020年4月1日~2021年3月1日まで無契約期間
- 2023年4月1日から、再び企業Aで就業
この場合、クーリング期間で通算期間がリセットされるため、新たに2023年4月1日から5年ルールの対象期間としてカウントされます。クーリング期間はやや複雑ですので、詳しくは厚生労働省のハンドブックを参考にしてください。
参考:無期転換ルールハンドブック~無期転換ルールの円滑な運用のために~|厚生労働省
同じ人材派遣会社で5年超勤めたケース
次に同じ人材派遣会社で働く派遣労働者のケースを考えます。例えば、同じ人材派遣会社で、派遣先Aで3年、派遣先Bで2年働いて通算5年間働いたあと、派遣先C社で1年間働くとします。この場合、C社で働いてもらうためには、雇用主である人材派遣会社が無期雇用しなければなりません。
そもそも5年ルールで転換される無期雇用とは
5年ルール適用の申し込みがあれば、労働者は有期雇用から無期雇用に転換されます。ここでは、改めて有期雇用、無期雇用とは何か解説します。
契約形態には無期雇用と有期雇用の2種類がある
労働者の契約形態を期間で区別すると、無期雇用と有期雇用の2つがあります。
無期雇用は期間の定めのない労働契約で、一般的に正社員はこの契約形態です。特別な問題がない限り雇用が継続するため、安定的な就業といえるでしょう。
一方、有期雇用は期間の定めがある契約です。具体的には日雇い労働者、単発のアルバイト、派遣労働者、契約社員などの雇用形態です。
5年ルールによる無期転換者は正社員とは限らない
5年ルールで無期雇用契約に転換しても、正社員になるとは限りません。例えば人材派遣会社が無期雇用契約をしても、福利厚生や給与などがまったく変わらないケースもあります。正社員のノルマやプレッシャーを負いたくない人もいるため、話し合って条件を決めましょう。
5年ルール対応時の注意点
5年ルールを回避するにしても、受け入れるにしても、企業側は手続きの際に注意が必要です。
5年ルール回避のための契約終了は慎重に
5年ルールを回避するために契約終了することは、望ましくないとされています。5年ルールは労働者を本来あるべき無期雇用にして、就業を安定させる制度であるからです。
意図的にクーリング期間をはさんで無期雇用を回避するような行為も、制度の悪用とみなされ、労働者とのトラブルになるケースもあります。また、契約途中の解雇は、やむを得ない事由がない限り認められていません。
5年ルールの権利について事前に通知しておく
5年ルールで無期転換する権利が生じることを、事前に労働者に通知しましょう。法律で通知義務はありませんが、労働者のためにも、また後のトラブルを予防するためにも、通知しておきます。
5年ルールの受け付けを口頭でしない
無期雇用転換の手続きを口頭ですると、「言った、言わない」のトラブルになるため、申し込みの受け付けと受理の通知は、原則として書面でしましょう。
以下に厚生労働省の「無期雇用転換申込書」と「無期雇用転換申込み受理書」のテンプレートがあるので、参考にしてください。
企業にとっての5年ルールのメリット
5年ルールによって労働者を無期雇用にするのは、企業にとってメリットがあります。
人材が長期間定着する
無期雇用にすると人材が長期間定着しやすくなり、人手不足の解消につながる場合があります。特に労働者が無期雇用を望んでいた場合や、正社員として給与や待遇が上がる場合は、長く働いてもらえる可能性が高いでしょう。
長期的な人材育成計画を立てられる
無期雇用でずっと働いてもらえると想定すると、経営者や人事担当者が長期スパンで人材育成計画を立てやすくなります。例えば、専門的なスキルを学んでもらったり、幹部候補として育成したりするなど、可能性が広がります。
新たな教育コストが発生しない
5年ルール適用者は、長期間自社で働いているため、業務に慣れています。中途採用者に対してのような教育コストがかかりません。今までどおり、即戦力として業務に加わってもらえます。
企業にとっての5年ルールのデメリット
5年ルールによって無期雇用への転換者を受け入れると、職場や業務分担などに混乱が生じる可能性があります。
正社員と5年ルールによる無期転換者の役割があいまいになるリスク
無期転換者を正社員にしない場合は、責任範囲や業務内容を明確にしておきましょう。「正社員と同じ業務なのに給与が低い、昇進できない」などのように、無期転換者の不満がたまる恐れがあるからです。等級制度や賃金制度などを見直すとともに、無期雇用者と正社員で仕事の分担を現場レベルで分類しておきます。
5年ルール後にパフォーマンスが下がる従業員がいる
無期雇用になって雇い止めの心配がなくなると、パフォーマンスが下がる社員もいます。特に給与が変わらず責任や業務負荷だけ増すようなケースでは、従業員のモチベーションが下がってしまうため注意が必要です。
人員調整しにくくなる
無期雇用にすれば自社都合での契約打ち切りは難しいため、人員を調整しにくくなります。このため、繁忙期と閑散期で必要な人員に差があるような企業では、人件費が増大するリスクもあるでしょう。
派遣労働者や契約社員などの無期転換が厳しい場合は、短期のアルバイトやパートの活用割合を増やしましょう。タイミーのようなマッチングサービスなら、必要な期間だけ、人材をスピーディーに確保できます。
まとめ
同じ企業で5年以上働くと5年ルールが適用され、労働者が希望した場合、企業は無期雇用に転換しなければなりません。5年ルールは長期的に人材を確保したい企業にとってはメリットですが、柔軟に人員調整したい企業にとっては重荷になる場合もあります。したがって、短期アルバイトやパートの存在は、今後も企業にとって重要になるでしょう。
5年ルールを気にすることなく、スピーディーに人材を雇用したい場合は、累計導入者数ナンバー1のスキマバイト募集サービス「タイミー」をご活用ください。応募者をほぼ確実に獲得できる自動マッチング機能によって、最短7秒で、希望の人材とコンタクトできます。