求人票の作成、困っていませんか?必須項目と法律に則した書き方ガイド
こんにちは。スキマバイト募集サービス「タイミー」ライターチームです。
求人票の作成は、職業安定法や労働基準法など多岐にわたる法律が基準です。
職業安定法の改正に伴って求人票に記載すべき事項が追加されるなど、従来と比較して求人内容は変化しています。
本記事では、求人票における従来の記載事項と改正職業安定法によって追加された事項を中心に、求人票の作成について解説します。
目次[非表示]
- 1.厚生労働省の求人ガイドラインを参照して「求人票」の必須項目を確認しよう
- 1.1.従来の記載事項
- 1.2.平成29年の改正職業安定法で追加された記載事項
- 1.2.1.裁量労働制に関する記載
- 1.2.2.固定残業代を採用する場合の記載
- 1.2.3.その他
- 1.3.令和4年の改正職業安定法で記載が義務付けられた事項め
- 2.職業安定法に定められている求人票の労働条件の明示|必要なタイミングは?
- 2.1.求人情報を掲載したとき・ハローワークに登録したとき
- 2.2.労働契約を締結するとき
- 2.3.明示した労働条件に変更が生じたとき
- 3.求人票の記載で注意するべきNG行為
- 3.1.性別による制限
- 3.2.年齢・身体的な特徴・国籍・居住地などによる制限
- 3.3.虚偽・誇大な内容の記載
- 3.4.最低賃金を下回る賃金額の設定
- 4.求人票の不備は法律違反!ペナルティの可能性も
- 5.まとめ
厚生労働省の求人ガイドラインを参照して「求人票」の必須項目を確認しよう
求人票に記載する項目は、厚生労働省の求人ガイドラインに定められています。
職業安定法や省令・指針の改正により、明示が必要な事項は変化するため、常に情報をアップデートしなければいけません。
ここでは、求人票における従来の記載事項と職業安定法の改正で追加された事項について解説します。
また、以下の記事では求人票の書き方について詳しく解説していますので、あわせてご確認ください。
従来の記載事項
求人票に最低限記載が必要とされている事項は以下の6つです。
- 業務内容(職種)
(例)一般事務、ルート営業 - 契約期間
(例)契約期間〇カ月、または期間の定めなし - 就業場所(住所)
(例)本社:〇県〇市〇町〇番地 〇階 - 就業時間・休憩時間・時間外労働・休日
(例)9:00~18:00(休憩12:00~13:00)、残業〇時間/月、土日祝休み - 賃金
(例)月給〇〇万円(試用期間は月給〇〇万円) - 加入保険
(例)各種社会保険完備(健康保険、雇用保険、労災保険、厚生年金)
求職者にとってわかりにくい表現は避け、正しい情報を正確に記載することが求められます。
平成29年の改正職業安定法で追加された記載事項
改正職業安定法で求人票への記載が新たに必須となった事項は、大きく分けて以下の3つです。
- 裁量労働制に関する記載
- 固定残業代を採用する場合の記載
- その他
ひとつずつ解説します。
裁量労働制に関する記載
裁量労働制を取り入れている場合、以下のような記載が必要です。
(記載例)
裁量労働制(企画業務型または専門業務型)
みなし労働時間〇時間/日
裁量労働制は、実際の労働時間ではなく「1日当たりに働いたとする時間分」を労働時間とする制度です。業務の遂行方法や労働時間の配分について会社から指示はなく、労働者本人が決められるため、勤務時間が長くても、短くても給与は変わりません。
通常の雇用のように「就業時間9:00~18:00」など、始業・終業時間を表記することはNGとなるため、注意してください。
固定残業代を採用する場合の記載
固定残業代を取り入れている場合、以下のような記載が必要です。
- 基本給〇〇円(固定残業代を除く)
- □□手当(時間外労働の有無に関わらず、〇時間分の時間外手当として△△円を支給)
- 〇時間を超える時間外労働分は割増賃金を別途支給
上記3点を踏まえた記載例は次の通りです。
(記載例)
基本給〇〇円
固定残業手当△△円(〇時間分)
〇時間分を超える時間外労働分は別途支給します
なお、固定残業代が最低賃金を下回らないよう注意しましょう。
固定残業代については、平成27年に若年雇用促進法が施行されたことで固定残業代を採用する場合に記載が義務化されていましたが、改正職業安定法によって基本給と固定残業手当それぞれを明示する必要が生まれた点が従来との大きな違いです。
その他
裁量労働制や固定残業代について記載するほか、以下4つの記載も必要です。
- 試用期間の有無
(例)試用期間〇カ月あり - 募集者の氏名または名称
(例)株式会社〇〇〇 - 派遣として雇用する場合の記載
(例)雇用形態:派遣労働者 - 受動喫煙防止措置の状況
(例)屋内禁煙、屋内原則禁煙(喫煙専用室あり)
なかでも受動喫煙防止措置についての記載は、平成30年7月に健康増進法が改正されたことを受けての追加です。施設形態により記載方法が異なるため、注意してください。
参考:厚生労働省「受動喫煙防止 のための取組を明示してください」
令和4年の改正職業安定法で記載が義務付けられた事項め
令和4年の改正職業安定法によって、新たに義務付けられた事項は以下の2つです。
- 求人や自社の情報などに関して、的確な情報を表示する
虚偽の表示や求職者に誤解を与えるような表示は避け、常に最新で正確な情報を表示する必要があります。
※求人メディアだけに限らず、新聞や雑誌、アプリ、テレビ・ラジオの放送など、さまざまな求人広告・連絡手段が対象です。
- 求職者の個人情報に関して、収集・使用・保管する目的を明示する
具体的には「収集した個人情報は、面接日程・合否の連絡のために使用します」など、求職者等が想定できる範囲内でわかりやすく明示することです。
職業安定法に定められている求人票の労働条件の明示|必要なタイミングは?
労働基準法では、労働契約を結ぶときに労働条件の明示を必要としていますが、職業安定法における労働条件の明示が必要なタイミングは3つあります。
ここでは、労働条件を明示する3つのタイミングについて解説します。
求人情報を掲載したとき・ハローワークに登録したとき
1つ目は、民間の人材紹介会社・人材派遣会社、自社ホームページなどに求人情報を掲載したときや、ハローワークに登録したときです。
基本的に労働条件は求人票にすべて記載しますが、求人票の規定によって文字が入り切らないなど正当な理由がある場合に限り、労働条件の一部を割愛することができます。
ただしその場合は、求人票に「詳細は面接時に伝えます」など、記載しなければなりません。
さらに、原則として「募集企業と求職者が初めて接触する(意思疎通を図る)時点」までに、初回の面接やメール・電話などの手段を通して労働条件をすべて明示しなければいけない決まりがあります。
裁量労働制や固定残業代の記載についてはトラブルへの発展を避けるため、特に留意する必要があると定められていることもポイントです。
労働契約を締結するとき
2つ目は、労働基準法と同じく労働契約を結ぶときです。
労働条件通知書や雇用契約書などの書類を用いて、求職者へ適切に労働条件を知らせる必要があります。
なお労働条件通知書の様式は、一般労働者用や短時間労働者用、派遣労働者用など雇用形態によって異なるため、厚生労働省のホームページからダウンロードして必要に応じて利用すると良いでしょう。
明示した労働条件に変更が生じたとき
3つ目は、明示した労働条件に変更が生じたときです。
具体的には以下いずれかに該当する場合、求職者へ迅速に変更内容を明示しなければいけません。
- 明示した条件とは「異なる条件を改めて提示」する
- 明示した条件の範囲内で「特定の条件のみを提示」する
- 明示した条件を「削除」する
- 明示していない条件を「新たに提示」する
なお雇用主は、求職者が変更内容を正しく理解できるよう努める必要があるとされていることから、明示する際は以下の対応をおすすめします。
- 比較対照できる書面を準備する
- 変更箇所にマーカーで下線を引く
- 変更箇所を着色して目立たせる
- 書面に脚注をつける
求職者が変更内容について「知らなかった」「聞いていない」などと、不利な状況にならないよう留意してください。
ただし新卒者などについては、内定までに原則「書面による明示を行う必要がある」としながらも、ひときわ配慮が必要との理由から、労働条件の変更は適していないとされています。
求人票の記載で注意するべきNG行為
求人票を作成する際に気を付けるべきことは、必須項目をきちんと記載することだけではありません。求人票へ記載してはいけない事項もあるため、注意すべきNG行為を押さえておく必要があります。
ここでは、求人票の記載で注意すべきNG行為を大きく4つに分けて解説します。
性別による制限
求人募集において、男女雇用機会均等法の観点から性別による差別は禁止されています。
募集や採用の対象から一方の性別のみを外したり、男女で採用条件が異なったりすることはNGです。
もちろん、どちらかの性別のみを優遇することも禁止されており、性別にかかわらず均等に機会を与えなければいけないとしています。
ただし例外として、一方の性でなければ業務を遂行できないと判断される職種の募集についてはこの限りではありません。
職場で女性労働者が全体の4割以下になっているなど、男女の労働者間の格差を是正するために女性を優遇して採用する「ポジティブ・アクション」も認められています。
年齢・身体的な特徴・国籍・居住地などによる制限
年齢や身体的な特徴、国籍、居住地などによって募集・採用を差別することは禁止されています。
特に年齢は「20~30代歓迎」「応募資格:40代までの方」など、気が付かないうちに求人情報内に記載していることもあるため要注意です。
ただし例外として、業種や深夜勤務など法律により年齢制限が認められているケースや、若年層を採用し長期キャリア形成を図ることを目的とするために年齢制限が認められるケースもあります。
例外事由や詳しい表記方法などは厚生労働省のホームページやリーフレットを確認し、記載時には十分注意してください。
参考:厚生労働省「その募集・採用 年齢にこだわっていませんか?」
虚偽・誇大な内容の記載
求人情報で虚偽または誇大な内容を記載することは禁止です。
一見当たり前と思われる行為ではあるものの、少しでも企業の印象を良くしようと見栄を張ってしまうケースがあります。
例えば「正社員の募集で、試用期間中は契約社員である旨を記載しない」「交通費規定支給のところ、交通費全額支給と記載する」など。
求職者が騙されたと感じてトラブルに発展することも考えられるため、求人情報は事実のみを正確に記載しましょう。
令和4年10月1日に施行された改正職業安定法においても「求人情報や自社に関する的確な情報の表示」が義務付けられ、虚偽の表示・誤解を生じさせる表示をしてはならないとしています。
虚偽内容を記載するつもりはなくても、情報が古く実際の情報と異なっていることなども考えられるため、求職者へ正確かつ最新の情報を与えられるよう意識しましょう。
明示している求人情報の内容に変更が生じた場合は、速やかに求人情報の提示を終了したり、内容を変更したりする必要があります。
求人募集で求人メディアなどを利用している場合は、募集終了や変更内容の反映を求人メディアへ依頼するなど措置を講じることが大切です。
最低賃金を下回る賃金額の設定
最低賃金を下回る賃金額の設定・記載は禁止です。
最低賃金は各都道府県によって定められており、毎年10月を目途に改定されるため、最低賃金ギリギリで給与を決定している企業は特に注意しましょう。
最低賃金が改定されたことに気付かず、従来通りの金額で募集をしていたらいつの間にか最低賃金を下回っていたということもあり得ます。
最低賃金は時給だけでなく日給や月給・出来高払制なども対象となるため、留意しましょう。
求人票の不備は法律違反!ペナルティの可能性も
求人情報を正確に記載することは、求職者とのトラブルや法的なペナルティを回避する上でも重要です。
求人票の記載事項・ルールは、職業安定法や男女雇用機会均等法、労働基準法などさまざまな法律によって定められているため、求人票の不備は法律違反につながります。
求人票の内容が虚偽であると判明した場合、職業安定法65条8項では、6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられます。
法的なペナルティを受けるだけでなく、企業イメージや信頼の低下につながる可能性もあるため、求人票の作成はルールを守り、不備がないよう努めましょう。
まとめ
求人票の内容は、改正職業安定法によって記載すべき項目が追加されたり、表示が義務化されたりと、年々変化しています。常にアンテナを張り、正しい情報で求職者に呼びかけられるよう努めましょう。
明示している労働条件に変更があった場合は、速やかに求人情報の提示を終了したり、明示内容を変更したりするなど、適切な対応を心掛けてください。
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