アウトソーシングとは?派遣との違いやメリットなどを解説
こんにちは。スキマバイト募集サービス「タイミー」ライターチームです。
人手不足や経営効率化の要請などにより、自社の業務をアウトソーシングする企業が増えています。この記事ではアウトソーシングの概要、活用のメリットをはじめ、、どのような業務が向いているのか、導入前に自社で準備すべき内容、さらには活用事例などを解説します。
自社でアウトソーシングを検討されている担当者の方は、ぜひ参考にしてください。
目次[非表示]
- 1.アウトソーシングとは
- 2.アウトソーシングが重要視されている背景
- 2.1.企業のアウトソーシング導入率
- 3.アウトソーシングのメリット
- 3.1.業務効率化につながる
- 3.2.専門知識・ノウハウを外部から取り入れられる
- 3.3.コア業務に社内のリソースを割ける
- 3.4.人件費・固定費を自由に調整できる
- 4.アウトソーシングのデメリット
- 4.1.専門知識・ノウハウを社内に蓄積できない
- 4.2.情報漏えいなどのリスクがある
- 4.3.コストが肥大化する可能性がある
- 5.【ジャンル別】アウトソーシングに向いている業務
- 5.1. IT・技術関連
- 5.2.管理・事務
- 5.3.製造・物流
- 5.4.カスタマーサービス
- 5.5.マーケティング・営業
- 5.6.人事・教育
- 5.7.法務・コンプライアンス
- 5.8.施設管理
- 5.9.研究開発
- 5.10.金融・会計
- 6.アウトソーシングを活用する前に準備しておくべきこと
- 6.1.現状の課題の把握・分析
- 6.2.アウトソースする業務の選別
- 6.3.パートナーの基準の策定
- 7.【導入事例】アウトソーシングを活用した企業
- 8.アウトソーシングの今後の展望
- 9.まとめ
アウトソーシングとは
アウトソーシングとは、企業などの業務の一部を外部に委託する経営手法です。ただし、業務をマニュアル通りに進める外注ではなく、企業価値を維持・向上させるため、戦略的に活用するニュアンスで使用されています。
委託する業務の企画・設計・運営まで含めて、専門性やコンサルティングなど受託側にも高い戦略性が要求されます。
アウトソーシングと派遣の違い
アウトソーシングは、企業が業務の一部を外部の事業者と業務委託契約を結び業務を委託し、受託者が成果物を提供し、委託者が対価を支払います。受託者は業務の進め方や人員管理について委託者の指示を受けません。
一方、派遣は派遣会社と契約し、必要な労働力を確保します。派遣社員の雇用主は派遣会社ですが、実務では派遣先の指揮命令に従います。
業務成果を重視するならアウトソーシング、労働力確保なら派遣が適しています。
人材派遣については、「人材派遣を導入するメリットとデメリットとは?」や「人材派遣で対応できる業種とは?」の記事で詳しくまとめています。本記事と併せて参考にしてください。
アウトソーシングの手法(BPaaS・BPO・ITO・KPO)
アウトソーシングには、業務内容や範囲などにより、さまざまな手法があります。ここでは4つの手法を紹介します。
BPaaSの手法
BPaaS(Business Process as a Service、ビーパース)は、後述するBPOと、SaaS(Software as a Service)のようなソフトウェア提供を掛け合わせた手法です。
BPOの強みとITツールを組み合わせ、BPOの業務効率化を図ります。
BPOの手法
BPO(Business Process Outsourcing、ビジネスプロセスアウトソーシング)は、企業の業務プロセスを一括して外部に委託する手法です。
対象となる業務は、例えば受付、コールセンターに加え、総務・経理・人事などのバックオフィス全体を委託するケースも増えています。
昨今では、少子高齢化に伴う労働力不足やITなど専門知識を求められる事業が増加し、BPO市場は成長が見込まれています。
ITOの手法
ITO(IT Outsourcing、ITアウトソーシング)は、企業のITに関する業務を外部の業者にアウトソーシングする手法です。多くの企業はITを業務に取り入れていますが、社内でSEやプログラマーなど専門知識を有する人材を雇用できる企業は一部でしょう。
したがって、ITOを提供する事業者は増加しています。
KPOの手法
KPO(Knowledge Process Outsourcing、ナレッジプロセスアウトソーシング)は、例えば情報収集やデータ処理や加工、レポーティングなど、マニュアル化が難しい知的業務処理をアウトソーシングする手法です。
データの収集・分析など専門性の高い業務が中心で、株式調査、ビジネスにおける市場調査、医薬品開発のための治験データ収集などがあります。
アウトソーシングが重要視されている背景
アウトソーシングが重要視されている背景には、人材不足と競争環境の激化が考えられます。
少子化に伴い若手人材の採用難がある一方、限られた人材で競争力や生産性を維持しなければなりません。そのため、コア業務には自社の社員を充て、定型的で労働集約的な業務を外部に委託する傾向が強まっています。
また、グローバル化に伴う海外競争の激化も一因です。ノンコア業務は外部委託することで、コスト競争力を高める動きが加速しています。
例えば、製造業では製品設計・開発を社内で行い、製造工程は外部に委託するファブレス経営が進んでいます。
企業のアウトソーシング導入率
アウトソーシングを導入する企業の割合は、製造委託以外で導入する割合は年々増加し、51〜52%の範囲で推移しています。
参考:厚生労働省「新しい時代の働き方に関する研究会 報告書 参考資料」(31ページ)
アデコ株式会社が実施したアンケート調査では、IT・保守運用やウェブ、データ入力・マニュアル作成・翻訳、事務などの業務が多い結果となっています。また、同社の結果では、企業規模が大きくなるほど導入率が高い傾向が見られました。
参考:アデコ株式会社「【アンケート結果】アウトソーシングの導入状況・メリット・デメリットなど」
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アウトソーシングのメリット
業務にアウトソーシングを導入するメリットを4つ紹介します。経営効率化や柔軟性など戦略的に活用しましょう。
業務効率化につながる
アウトソーシングを活用すれば、企業は業務の効率化につながります。特にマニュアルに沿って行う定型業務を外部に委託できれば、社内のリソースを他の部門に効率的に配分できます。
また、ITなど専門性が高い業務は、ITアウトソーシングなどに委託すれば作業の質も向上し、結果として生産性の改善が期待できる分野です。
専門知識・ノウハウを外部から取り入れられる
アウトソーシングは、企業が自社に不足している専門知識・ノウハウを外部から効率的に取り入れる手段にもなります。
高度な技術や特定分野の知識・資格を持つ外部専門家を活用すれば、業務の質も一段とアップするでしょう。社内の人材にこうした専門知識を身に着けさせようとすると、教育や研修にかける時間やコストが多額に発生します。
コア業務に社内のリソースを割ける
人手不足で労働力が足りないなど、企業側は社内の人的リソースの最適化が課題です。アウトソーシングの活用により、企業はコア業務に集中する時間とリソースの投入が可能になります。
ノンコア業務を外部に委託し、社内の人材は戦略的な業務や高付加価値でイノベーティブな活動に専念でき、企業の競争優位性を高められます。
人件費・固定費を自由に調整できる
アウトソーシングの導入により、企業は人件費や固定費を自由に調整できます。固定費である正社員の給与や福利厚生費を削減し、必要なときに必要な分だけアウトソーシングを活用するなど、コストの最適化が可能です。
例えば、物流業務をBPOする場合、倉庫・車輛など固定資産の取得や維持費など固定費も不要となります。固定費率が低いと景気の変動や業績に応じた柔軟な経営ができ、財務体質の強化にも寄与します。
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アウトソーシングのデメリット
アウトソーシングの導入に関するデメリットも3つ紹介します。デメリットを認識した上で事前準備すれば、欠点も軽減できるでしょう。準備については後ほど紹介します。
専門知識・ノウハウを社内に蓄積できない
アウトソーシングの最大のデメリットは、専門知識やノウハウが社内に蓄積できない点です。企業の成長機会が減少し、社員のスキルアップやキャリア開発が進まない可能性があります。
さらに、委託先が当該業務から撤退したり、経営破たんなどに陥ったりした場合、社内での業務が停滞し、業績にも大きく支障をきたしかねません。
情報漏えいなどのリスクがある
アウトソーシングを行う際には、情報漏えいのリスクも大きな課題です。外部の企業や専門家に機密情報や顧客データを提供すれば、データ漏えいや不正利用のリスクが高まります。
委託先が情報漏えいなどを起こした場合でも、顧客への責任は委託元企業です。委託元企業の信用は失墜し、訴訟や他の顧客から信頼も損なうリスクが生じるでしょう。
コストが肥大化する可能性がある
アウトソーシングの利用は、コストが肥大化する可能性も考えておくべきです。契約更新時のコスト増加、追加作業に対する料金などが予想外に発生するケースもあります。
委託先のサービス品質が悪い場合、業者の再選定や内部で修正作業が必要となり、最終的にはコストアップになるでしょう。業務委託の内容や範囲を事前に検討し、契約内容の詳細を確認してコスト管理も怠らないようにしてください。
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【ジャンル別】アウトソーシングに向いている業務
かつては、給与計算など定型的な業務がアウトソーシングに向いているといわれていました。しかし、今では広範囲にわたり、さまざまな領域で活用されています。
IT・技術関連
システム開発やインフラ構築、セキュリティ対策などのIT・技術関連業務は、専門知識や技術が求められるため、アウトソーシングに向いています。
専門的な作業をアウトソーシングできれば、社内リソースをコア業務に集中させ、業務効率がアップします。
管理・事務
給与計算、経理、データ入力などの管理・事務業務は、定型的かつ反復的な作業が多いため、アウトソーシングに適しています。
外部の専門サービス業者は、作業も正確でより効率的なノウハウを低コストで提供してくれるでしょう。より専門的・かつコアな業務に集約できます。
製造・物流
製造・物流業務は、設備投資や人員配置が大きな負担となるため、アウトソーシングによるコスト削減効果が大きいです。
製品の組み立てや倉庫管理、配送業務などを外部委託すれば、運営コストを抑えつつ、サービスの質も維持できます。また、従来固定費だった業務を変動費化できるなど、需要変動にも柔軟に対応できるでしょう。
カスタマーサービス
カスタマーサービスは、顧客対応の質が企業の評判に直結します。顧客対応を熟知したコールセンターやチャットサポート業者は、プロフェッショナルな業務遂行が可能です。
24時間体制の対応など、顧客満足度の向上につながります。コスト削減と業務効率化が両立できるでしょう。
マーケティング・営業
マーケティング・営業業務は、マーケットリサーチ、記事・動画などのコンテンツ制作、テレマーケティングなど専門的で最新の情報や手法が求められます。
アウトソーシングにより、効果的なマーケティング戦略を迅速に実施できます。
人事・教育
人事・教育業務は、採用活動や社員教育、福利厚生代行サービスなど多岐にわたります。特に、社員研修やキャリア開発プログラムにおいて、外部講師は最新の教育手法やトレーニングプログラムを有し、社員のスキルアップを支援します。
福利厚生代行サービスは、自社で実施するよりもかえって広範囲で便利なプランの提供が可能です。
法務・コンプライアンス
法務・コンプライアンス業務は、法律の専門知識が必要であり、リスク管理が重要です。外部の法律事務所やコンサルティング会社に委託すれば、最新の法規制に対応し、リスクを最小限にできます。
契約書の作成や法的アドバイス、コンプライアンス研修などを専門家に依頼できれば、企業の法的リスクの軽減が可能です。
施設管理
施設管理業務には、建物の維持管理や設備の保守、清掃など定期的な作業があります。管理専門会社などにアウトソーシングできれば、社内の管理負担を軽減できるでしょう。
また、緊急時の対応や定期的なメンテナンスなど、施設の運営も適切に行います。
研究開発
研究開発業務は、専門的な知識と技術やそれを活用する人材が必要となるため、アウトソーシングが有効です。製薬会社の新薬開発や臨床検査などは、外部の専門機関に委託できれば、低コストで効率的に研究開発が進められます。
研究開発後における実験データの分析、分析後の技術文書のレポーティングなども行います。
金融・会計
金融・会計業務は専門知識が求められるため、外部の専門家に委託すれば、正確かつ効率的な業務運営が可能になります。
特に税務申告、会計監査などの業務は有資格者への外部委託に適しています。法改正や会計基準の変更への対応も迅速です。
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アウトソーシングを活用する前に準備しておくべきこと
アウトソーシングを活用する前に、以下の3つの点を自社内で整理しておきましょう。
- 現状の課題の把握・分析
- アウトソーシングする業務の選別
- パートナーの基準の策定
しっかり準備して、戦略的にアウトソーシングを活用してください。
現状の課題の把握・分析
まず、自社の業務を見渡し、現状の課題を把握・分析します。例えば、部門内で社員が苦手としている業務や専門性の高く対応が難しい業務などが課題だとすれば、アウトソーシングで補完できるでしょう。
逆に、マニュアルなどで定型化している業務などは外部委託し、その分人材を他部署に再配置するなどで人材不足をカバーできます。
アウトソースする業務の選別
次に、アウトソースする業務の選別を行います。自社がこれからアウトソーシングを導入しようとしている場合、まずは、「ノンコア業務」を委託するようにしてください。
自社にとって成果や利益を生む重要な業務を「コア業務」、直接利益を生まないが、コア業務を支える業務が「ノンコア業務」です。
ノンコア業務は、定型化しやすく再現性も高いため、アウトソーシングに適しています。
パートナーの基準の策定
委託すべき業務が決まったら、パートナーとなるアウトソーシング業者の選定基準をあらかじめ決めておきましょう。
- 委託する業務に対する専門性
- 自社の業界・地域などでの実績
- 相手の企業規模
- コンプライアンス・セキュリティ体制
- 価格の妥当性
などを基準とするといいでしょう。実績・信頼・価格のバランスがポイントです。
【導入事例】アウトソーシングを活用した企業
あるメーカーの総務部では、広い構内にさまざまな施設があり、構内には従業員数も多く、多岐にわたる業務を抱えています。このため作業が複雑化し、作業の属人化が進んでいました。
人事異動により新しい総務担当者は前担当者の属人的な業務を覚えるのに時間を要するなど、本来注力すべき業務に十分時間が割けない点が課題です。
そこで、総務業務の一部をBPOとして外部業者に委託したところ、業務を改善してマニュアルを作り、総務をサポートしてくれました。
BPO業者は、各担当者に、現状の困っている点、改善点や要望をヒアリングし、当社の現状に沿った業務改善を実現しました。マニュアル作りにはBPO業者のノウハウ・知見も生かされ、新しい総務部は「サポートオフィス」として一新され、構内でも評判です。
アウトソーシングの今後の展望
アウトソーシングの今後の展望を考える上でも、AI(人工知能)は活用できる期待が高まっています。
AIの特徴とアウトソーシングから、以下の点が予想されます。
- AIによるアウトソーシングの進化:予測分析とそのスピード・精度がアップし、業務の自動化が加速
- 高度な分析と意思決定支援:大量のデータを迅速に分析し、経営陣などに的確で高度な意思決定支援を提供
- サービスの質と一貫性の向上:カスタマーサービスなど24時間365日体制で対応し、人為的なミスがなくなり顧客満足度が改善
一方で、AIによる提案内容などデータプライバシーやAI使用の規定上の課題なども留意しましょう。
まとめ
アウトソーシングは業務の一部を外部に委託し、自社業務の効率化や自社にない専門的なスキルを導入する場合などに用いられています。
派遣は、派遣会社と契約して労働者を提供してもらいます。アウトソーシングは、自社が希望する成果物、サービスを提供してもらう点が違います。
アウトソーシングにはさまざまな手法があり、委託する業務も多岐にわたります。導入前には自社で活用する場合の準備をし、メリットを最大限に生かしましょう。
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