エンパワメントアプローチとは?意味・種類・実践方法を徹底解説
こんにちは。スキマバイト募集サービス「タイミー」ライターチームです。
価値観の多様化が進む現代社会では、企業の在り方も日々見直す必要があります。特に企業の成長において、欠かせない要素となるのがエンパワメントアプローチです。この方法により、社員一人ひとりに主体性を持たせるのが望ましいとされています。
しかし主体性は、社員だけの意識付けで定着するものではありません。この記事ではエンパワメントアプローチの意味を説明しつつ、実践する上で企業が心がけるべきポイントを紹介します。
目次[非表示]
- 1.エンパワメントアプローチとは
- 2.エンパワメントアプローチの2つの主要タイプ
- 2.1.構造的エンパワメントアプローチ
- 2.1.1.構造的エンパワメントアプローチの特徴と要素
- 2.1.2.構造的エンパワメントアプローチのメリットとデメリット
- 2.2.心理的エンパワメントアプローチ
- 2.2.1.心理的エンパワメントアプローチの特徴と要素
- 2.2.2.心理的エンパワメントアプローチのメリットとデメリット
- 3.ビジネスシーンにおけるエンパワメントアプローチ
- 3.1.1. 企業でのエンパワメントアプローチの適用方法
- 3.2.2. 成功事例と効果
- 3.3.3. 導入時の課題と対策
- 4.福祉・介護・看護分野におけるエンパワメントアプローチ
- 5.エンパワメントアプローチの実践ステップ
- 5.1.現状分析とゴール設定
- 5.2.適切なアプローチの選択
- 5.3.実施計画の策定
- 5.4.フィードバックと改善
- 6.エンパワメントアプローチの効果測定
- 7.エンパワメントアプローチの最新トレンド
- 8.エンパワメントアプローチ実践のためのポイント
- 9.エンパワメントアプローチに関するよくある質問
- 9.1.エンパワメントアプローチと従来の管理手法の違いは?
- 9.2.小規模組織でもエンパワメントアプローチは有効?
- 9.3.エンパワメントアプローチの導入にかかる期間は?
- 9.4.エンパワメントアプローチと組織文化の関係は?
- 10.まとめ
エンパワメントアプローチとは
エンパワメントアプローチとは個人に力を発揮させ、自己決定力を高めさせる方法です。当該方法が誕生したきっかけは、1950〜60年代のアフリカ系アメリカ人による公民権運動です。
公民権運動では、キング牧師が尽力し人種差別や法の下の平等を取り戻しました。こうして個を尊重する考え方が、福祉や心理の分野で根付いたのが始まりとされています。
エンパワメントアプローチには、大きく分けて4つの次元(個人・対人・組織・社会政策)があります。最初は個人にアプローチしながらも、ゆくゆくは組織および社会の成長につなげるのがポイントです。エンパワメントについては、「エンパワメントとは?最新動向やメリット・進め方などを徹底解説」の記事でも詳しく説明しています。
ビジネスシーンにおけるエンパワメントアプローチの意味
ビジネスシーンでは、エンパワメントアプローチは「能力開花」「自律」の意味で使われます。一方的に指示を与えるのではなく、個人が自ら判断できるように支援する意味合いです。
また人事業務においては、組織開発の視点でもこの言葉が使われます。一人ひとりの能力開花や自律を促進させる風土が、企業に根付くのが望ましいとされています。
エンパワメントアプローチの目的と重要性
企業がエンパワメントアプローチを取り入れる主な目的は、社員に当事者意識を持たせることです。現代では少子高齢化の影響もあり、労働人口が全体的に少なくなっています。
したがって、社員は若いうちから、戦力の一人として企業に貢献することが重視されます。そのためにも当事者意識を持たせ、仕事に対するモチベーションアップを促さなければなりません。
エンパワメントアプローチの2つの主要タイプ
エンパワメントアプローチには、大きく分けて「構造的」と「心理的」の2つのタイプがあります。人材育成においては、それぞれのタイプを理解しておくことが重要です。これらのアプローチがどのように区別されるのかを解説しましょう。
構造的エンパワメントアプローチ
構造的エンパワメントアプローチとは、社員の自己決定を促すための要素を組織に組み込む方法です。主に上司やチームリーダーが、部下に対して権限を委譲します。当事者意識としての役割や責任を覚えさせ、スキル開発を促すのが主な目的です。
構造的エンパワメントアプローチの特徴と要素
構造的エンパワメントアプローチには、以下の要素があります。
- 権限の委譲
- 役割および責任の明確化
- スキルの開発や成長の機会を促す
- 評価体制を整える
- 個の力を生かし、チームに貢献できるよう促す
この方法の特徴は、組織構造から見直しを図る点です。部下にも権限を与える組織にして、スキル開発ができるチャンスを作り、その間企業は評価体制を整えます。個人の意思や判断に委ねつつ、企業全体で成長を図る手法です。
構造的エンパワメントアプローチのメリットとデメリット
構造的エンパワメントアプローチのメリットは、組織構造さえ見直せば比較的簡単に実践できる点です。上司の権限を委譲させるのが主なやり方であるため、考え方は至ってシンプルでしょう。
一方で、方法を誤ると、企業の目標や方向性を見失うリスクも高まります。権限を与える範囲は適切か、タイミングとして早過ぎないかを入念にチェックしてください。
心理的エンパワメントアプローチ
心理的エンパワメントアプローチとは、従業員の自己肯定感や価値観に焦点を当てた考え方です。心理学における「内発的動機づけ」に近い要素を持っています。このアプローチ法を成功させるには、上司と部下でコミュニケーションを深めることが大切です。
心理的エンパワメントアプローチの特徴と要素
心理的エンパワメントアプローチの要素として、以下の内容が挙げられます。
- 自己肯定感を促進させるための関わり合い
- 適切なフィードバック
- 組織の目標とのすり合わせ
- 目標達成や課題解決における自己決定を促す
このアプローチ法において意識すべきポイントは、社員の主体性を尊重することです。社員が主体的に行動できれば、組織全体が活性化しやすくなります。社員のモチベーションを高められるよう、上司は接し方に注意してください。
心理的エンパワメントアプローチのメリットとデメリット
心理的エンパワメントアプローチのメリットは、定着率の向上にも寄与することです。仕事に対するモチベーションが高まれば、目標を見失うなどのネガティブな理由による離職を防ぎやすくなるでしょう。
しかし人間の特性もさまざまであり、アプローチにおける難易度が高いのがデメリットです。よかれと思って行った指導・教育が、むしろモチベーションを下げる場合もあります。
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ビジネスシーンにおけるエンパワメントアプローチ
元々は福祉や心理で発達したエンパワメントアプローチですが、ビジネスシーンでの活用方法を紹介します。加えて成功事例や導入時の課題についても触れるので、企業で取り入れる際の参考にしてください。
1. 企業でのエンパワメントアプローチの適用方法
企業でエンパワメントアプローチを実践するには、特に環境づくりが大切です。社員のチャレンジ精神を尊重し、新たな取り組みを応援するような風土を根付かせましょう。
ただし、段階を踏まずに、大きな権限を社員に委譲させるのは望ましくありません。急な変化は組織の混乱を招くので、段階を踏んで少しずつ適用させるのが有効です。
2. 成功事例と効果
エンパワメントアプローチを成功させた代表例として、「星野リゾート」が挙げられます。宿泊・リゾート業界を代表する企業の1つですが、これまでは離職率が高いことに悩まされていました。
星野リゾートは、トップダウン式の経営体制が要因と考えます。上から一方的に指示するのではなく、全社員が同じ目線で情報や目標を共有しました。その結果、社員の定着率も上がり始めたようです。
3. 導入時の課題と対策
エンパワメントアプローチの導入において、注意しなければならないのはミスやトラブルが増えることです。失敗が生じる要因として、権限を持つのにプレッシャーを感じ、正常な判断ができなくなることが挙げられます。
こうした課題を克服するには、事前にフォロー体制を構築する必要があります。社員が自信を持ってチャレンジできるようにアプローチしましょう。
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福祉・介護・看護分野におけるエンパワメントアプローチ
ここでは、介護・看護分野(福祉分野)におけるエンパワメントアプローチも見ていきましょう。利用者や患者への実践法を取り上げつつ、スタッフの戦略も紹介します。これらの分野での実践法も、ビジネスで活用する際のヒントにしてください。
福祉分野でのエンパワメントアプローチの特徴
福祉分野でのエンパワメントアプローチの特徴は、利用者と患者との信頼関係を築く目的があることです。施設に任せきりの状態にせず、自ら課題解決できるよう促します。
アプローチする上では、施設側が「利用者・患者にはできない」と思い込んではいけません。一人の人間として、課題に立ち向かう姿を全力でサポートすることが大切です。
利用者・患者へのエンパワメントアプローチ実践法
利用者や患者が自ら課題解決に取り組むには、孤立する人をゼロにする必要があります。施設全体で仲間意識を芽生えさせ、全員で支え合う環境づくりが重要です。
利用者や患者に限らず、人間が一人だけで課題に向き合うのは簡単ではありません。そこでグループを作りつつ、ときには仲間同士で協力するよう促します。
スタッフへのエンパワメントアプローチ戦略
スタッフが心がけるべきポイントは、利用者や患者が自発的に課題解決できるような体制づくりです。スタッフ全員にエンパワメントの理解がなければ、実際の現場で取り入れても成功する確率は低くなります。
エンパワメントの必要性を施設側が理解できるよう、研修やセミナーも活用しながら浸透させるのが望ましいでしょう。
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エンパワメントアプローチの実践ステップ
エンパワメントアプローチを実践するには、大きく分けて4つのステップがあります。
- 現状分析・ゴール設定
- アプローチ法の選択
- 計画策定
- フィードバック・改善
それぞれで意識したいポイントを解説しましょう。
現状分析とゴール設定
まずは企業の現状について、細かく分析します。離職率などの指標を用いたり、社員にアンケートを取ったりして、今の企業に何が足りないのかを調べます。
分析データが得られたら、社員一人ひとりと企業全体のゴール(目標)を設定しましょう。このゴールが、企業の課題克服に役立ちます。目標は高過ぎず低過ぎず、ある程度努力すれば達成できる程度が望ましいです。
適切なアプローチの選択
目標を決めたら、エンパワメントアプローチの方法を選択します。構造的アプローチで権威を委譲するのか、心理的アプローチで面談やフィードバックの機会を増やすのかを決めましょう。
とはいえ、情報が共有されていない状態では、適切なアプローチ法を見い出せません。アプローチ法を決めたら、社内で今後の取り組み方を共有してください。
実施計画の策定
エンパワメントアプローチの方法を決めても、しっかりとした計画がないとうまく活用できません。確実に成果を上げられるよう、実施計画を策定しましょう。
エンパワメントアプローチで、企業全体のパフォーマンスを急激に向上させることは難しいです。企業や社員が成長するには、課題を1つずつ克服する必要があります。実施計画の策定では、企業が掲げたゴールまでのプロセスを具体的に描いてください。
フィードバックと改善
実際にエンパワメントアプローチを取り入れれば、うまくいかないことも出てくるでしょう。仮に失敗したとしても、定期的にフィードバックしながら焦らず改善策を見いだしてください。
この取り組みでやりがちなミスとして、部下に仕事を任せたままにするケースが挙げられます。部下にある程度判断を任せつつも、そのサポートをするのは上司や責任者の役目です。フィードバックする際には、部下と綿密にコミュニケーションを取るように心がけましょう。
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エンパワメントアプローチの効果測定
エンパワメントアプローチを取り入れたら、定期的にどこまでの成果を上げられたのかを効果測定してください。主な方法として、社員に対する満足度調査や実施回数の測定が挙げられます。
満足度調査は「1〜5」までの数字を使った評価のみならず、自由回答欄を設けて取り組みに対する意見を述べてもらいます。このように定量的指標と定性的指標の2点から、分析するとよいでしょう。実施回数の測定は、1カ月〜半年に1回のペースが理想です。
エンパワメントアプローチの最新トレンド
エンパワメントアプローチの最新トレンドの1つが、テクノロジーを活用した方法です。テクノロジーの身近な例として、リモートワークが挙げられます。リモートワークが企業に取り入れられたことで、場所や時間に縛られずコミュニケーションが取れるようになりました。仕事の自由度も高まり、モチベーションの向上も期待されています。
さらにテクノロジーで注目されているのが、メタバース(仮想空間)です。バーチャルの技術により、デジタル資産やコンテンツなどと新たなニーズも誕生しました。個人がクリエーターとなり、スキルを遺憾なく発揮するのが重視されています。
エンパワメントアプローチ実践のためのポイント
エンパワメントアプローチを実践するには、チーム全体が必要性を理解しなくてはなりません。先ほども紹介した星野リゾートの事例は、書籍として出版されています(「社員の力で最高のチームをつくる」、ダイヤモンド社)。エンパワメントアプローチを学びたい人は、購入することをおすすめします。
また、オンラインによる講習やコンサルティングサービスも有効です。これらのサービスを活用する際には、上司のみならず部下にも参加してもらいましょう。社内全員が当該方法の必要性を理解できれば、エンパワメントアプローチの導入もスムーズに進みます。
エンパワメントアプローチに関するよくある質問
最後にエンパワメントアプローチでよくある質問を紹介します。回答を参考にして、当該方法への理解をより深めてください。
エンパワメントアプローチと従来の管理手法の違いは?
従来の管理手法は、どちらかというとトップダウン式が主流でした。部下には、上司からの命令を確実にこなす能力が求められていました。一方でエンパワメントアプローチでは、部下が自律して行動できるように促します。
小規模組織でもエンパワメントアプローチは有効?
小規模組織でも、エンパワメントアプローチは有効です。むしろ小規模組織のほうがチームの人数が少なく、一人ひとりに役割が与えられやすいので、効果が出る可能性も高まるでしょう。大人数の組織と比べて機動力が高くなる点も、その一因として挙げられます。
エンパワメントアプローチの導入にかかる期間は?
エンパワメントアプローチは、導入するまで数カ月〜数年を要すると考えてください。企業の風土にもよりますが、方法を押さえたからといって簡単に根付くものではありません。失敗を繰り返しながら、徐々に社員全員で意識付けしましょう。
エンパワメントアプローチと組織文化の関係は?
エンパワメントアプローチは、組織文化にも大きく関係します。このような方法を組織が受け入れなければ、たとえ実践してもうまく機能しないでしょう。業務で取り入れる際には、組織文化を根本的に見直す必要があります。
まとめ
エンパワメントアプローチを成功させるには、そもそも社員と企業の方向性が合致していなければなりません。互いの方向性を合わせるには、採用の段階でミスマッチを防ぐことが大切です。
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