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賞与の社会保険料の計算方法|注意点や便利ツールも紹介

こんにちは。スキマバイト募集サービス「タイミー」ライターチームです。

賞与には給与と同様に、社会保険料や所得税がかかります。給与とは、異なるルールが適用され、支給回数によっても取り扱いに違いがあるので注意が必要です。ここでは、健康保険・厚生年金・雇用保険・介護保険に分け、賞与から控除される社会保険料の計算方法と、注意点を解説します。

目次[非表示]

  1. 1.賞与からも社会保険料は控除される?
  2. 2.賞与にかかる4つの社会保険料と計算方法
    1. 2.1.健康保険料
    2. 2.2.厚生年金保険料
    3. 2.3.雇用保険料
    4. 2.4.介護保険料
  3. 3.賞与の社会保険料を計算する際の注意点
    1. 3.1.社会保険料がかからないケースがある
    2. 3.2.社会保険の対象となる賞与額に条件がある
    3. 3.3.同月内に2回以上賞与がある場合は計算方法が異なる
    4. 3.4.年に4回以上賞与がある場合は「報酬」になる
    5. 3.5.雇用保険料は年度末に精算する必要がある
  4. 4.給与支払い後に会社側が行う手続き
    1. 4.1.賞与明細書を発行する
    2. 4.2.賞与支払い届を提出する
  5. 5.賞与の社会保険料を計算できる便利ツール2選
    1. 5.1.ke!san
    2. 5.2.イージー給料計算
  6. 6.まとめ

賞与からも社会保険料は控除される?

賞与からも社会保険料は控除されます。2000年以前は、社会保険料の控除は毎月の給与からだけで、賞与からは徴収されていませんでした。当時は賞与から控除される「特別保険料」がありましたが、これは従業員本人の年金に反映されず、高齢者へ支払われる年金に充てられる仕組みとなっていました。
この場合、支払っている本人の年金に保険料が反映されません。2000年の法改正で特別保険料は廃止され、給与・賞与の合計額を月数で割って算出する「総報酬制」が2003年から導入されました。総報酬制導入後は賞与からも社会保険料が控除されることになったため、給与を削り、賞与を増額して保険料を逃れることができなくなりました。
社会保険加入義務の条件などについて詳しく知りたい方は「アルバイトの社会保険加入義務の条件や注意点とは?わかりやすく解説! | 欲しい時間の即戦力がすぐ見つかる」の記事を参考にしてください。


賞与にかかる4つの社会保険料と計算方法

賞与から控除される社会保険料は、健康保険料・厚生年金保険料・雇用保険料・介護保険料の4種類です。それぞれに計算方法が異なります。

健康保険料

健康保険料の控除額は、賞与の総支給額から1,000円未満を切り捨てた「標準賞与額」に健康保険料率をかけ、企業と従業員で折半します。

標準賞与額は、賞与に対する保険料を計算する基礎となる金額です。健康保険と厚生年金保険で上限が異なり、健康保険では年間累計573万円が上限となります。

健康保険料率は、事業所の所在地域や加入している健康保険組合により異なり、毎年見直されます。また、標準報酬月額の上限に該当する者が、3月31日現在で全被保険者の1.5%を超えた場合、政令でその年の9月1日からの標準報酬月額の上限を改定できます。

厚生年金保険料

厚生年金保険料は、賞与の標準賞与額に対して設定された保険料率をかけて計算され、企業と従業員で折半します。保険料率は、年金制度改正により段階的に引き上げられてきましたが、平成29年9月以降18.3%で固定されています。

厚生年金保険では、賞与額の上限金額は1カ月当たり150万円です。

雇用保険料

賞与にかかる雇用保険料は、総支給額に雇用保険料率を掛けて計算されます。雇用保険料率は業種によって異なりますが、半分以上は企業が負担しています。

令和6年度の場合、一般の事業では労働者負担が1,000分の6ですが、事業ごとに負担割合が違います。年度ごとに見直されるので、詳細は、厚生労働省の雇用保険率についてのページを確認してください。

雇用保険料は他の保険料とは違い、賞与の総支給額を用いて計算されます。間違いやすいので注意が必要です。

介護保険料

介護保険料は、40歳以上65歳未満の従業員が対象です。都道府県など地域で定められた保険料率を基にしています。

標準賞与額の上限は健康保険料と同じく、573万円で、4月1日から3月31日までの年間累計額によって決定されます。保険料率は、毎年見直されるため、確認が必要です。

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賞与の社会保険料を計算する際の注意点

賞与の社会保険料を間違いなく計算するには、社会保険料がかからない場合や、複数回支給があるケースなどに該当していないかについて注意する必要があります。以下に、まとめて紹介します。

社会保険料がかからないケースがある

以下の場合、賞与から社会保険料が控除されません。

  • 産前産後・育児休業を取得している場合
  • 退職予定で賞与を支給する月が資格喪失月になる場合

産前の42日(多胎妊娠では98日)と産後56日のうちで、妊娠または出産を理由に勤務していなかった期間には、健康保険料や厚生年金保険料の支払いが免除されます。また、育児休業などの開始日が属する月から育児休業などが終了する日の翌日が属する月の前月までの期間も、毎月の報酬にかかる保険料が免除されます。
退職予定者は、賞与支給日が退職後となった場合には、社会保険料の対象外です。

社会保険の対象となる賞与額に条件がある

健康保険と介護保険では、賞与の社会保険料計算には、年間累計573万円の上限があります。上限を超過した部分の標準賞与額は0円とみなされ、標準賞与額は一律に573万円として社会保険料が計算されます。

この場合、支払った日から5日以内に、事業者は管轄の保険者に「標準賞与額累計申出書」を提出する必要があります。なお「標準賞与額累計申出書」を提出した後で、同一年度内に賞与などが支払われた場合には、その都度、基準賞与額累計申出書の提出が必要です。

また、厚生年金保険では1カ月当たり150万円が上限です。月ごとに支給される賞与の額が150万円以内であれば、全額に保険料がかかります。

同月内に2回以上賞与がある場合は計算方法が異なる

同じ月に賞与を2回以上支給する場合には、これらを合算して1回分の賞与として扱います。つまり、賞与を合計した額の1,000円未満を切り捨てた額が「標準賞与額」となり社会保険料が計算され、上限額も適用されます。

これは、厚生年金保険料も同じです。例えば、同月に80万円ずつ賞与が支給された場合は厚生年金保険料の上限を超過し、150万円として厚生年金保険料が計算されます。

年に4回以上賞与がある場合は「報酬」になる

たとえ賞与という名目だったとしても、制度上、4回以上の支給は「報酬」として扱われます。賞与の支給は年3回以内です。ただし、基本給に連動した給与と業績に連動した賞与、決算時の賞与のように、性質が違えばカウントされません。

この区分は社会保険料の計算に直接影響し、毎月の給与と同様に社会保険料が算定されます。この場合、賞与としての社会保険料率が適用されず、月々の給与とともに標準報酬月額に反映されるので注意が必要です。

なお、7月2日以降に賞与にかかる規定を新設した場合、年間を通じて4回以上の支給になっていても、次期標準報酬月額の定時決定 (7月)と、8月または9月の随時改定による標準報酬月額が適用されるまでの間は「報酬」ではなく「賞与」として取り扱えます。

雇用保険料は年度末に精算する必要がある

雇用保険料は、毎年4月1日から翌年3月31日までの1年間を単位として概算として計算されます。その額は全ての労働者に支払われる賃金の総額に、その事業ごとに定められた保険料率を乗じて算定した数値です。

これは、従業員に対しては年間を通じて賞与や給与から控除されますが、企業の負担分はまとめて計算されます。その後、年度末に企業が精算する仕組みです。

この精算で、従業員に返金が発生したり追加の控除が行われたりすることがあります。

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給与支払い後に会社側が行う手続き

給与支払い後も、手続きが必要です。以下では、賞与の支給後に必要な手続きや必要書類について紹介します。

賞与明細書を発行する

賞与を支給する場合、給与と同様に「賞与明細書」を発行しなければなりません。

所得税法では「国内において給与等、退職手当等又は公的年金等の支払をする者は、財務省令で定めるところにより、その給与等、退職手当等又は公的年金等の金額その他必要な事項を記載した支払明細書を、その支払を受ける者に交付しなければならない」と規定されており、賞与明細書の発行は、給与を支払う者の義務です。

賞与明細書には、賞与の支給額や控除された税額、社会保険料の詳細などを記載しますが、給与に記載されなければならない住民税控除の項目はありません。これは、賞与が住民税控除の対象とならないためです。

近年では、賞与明細書の発行をシステム化し、作成・配布し、効率化している企業も増えてきました。

賞与支払い届を提出する

賞与を支払ったら、企業は「賞与支払届」を年金事務所に提出しなければなりません。

賞与支払届には、賞与の支給額が記載され、社会保険料を納付するために必要です。賞与から控除される社会保険料は、賞与の金額に応じて決まる仕組みになっており、給与とは計算方法が違います。そのため、従業員に賞与を支払ったときには、必ずこの賞与支払届の提出が必要です。

賞与を支給したら、原則5日以内に日本年金機構へ賞与支払届を提出してください。提出先は、管轄の年金事務所か年金機構広域事務センターです。

提出方法は、以下の4種類から選択できます。

  • 窓口への提出(年金事務所のみ)
  • 郵送
  • 電子申請
  • CDまたはDVDなどの電子媒体

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賞与の社会保険料を計算できる便利ツール2選

賞与の社会保険料計算は複雑で、正確な控除額を計算するには専門知識が必要です。最近では、システム化して省力化する企業も増えています。ここでは、無料の計算ツールである「ke!san」と「イージー給料計算」を紹介します。

ke!san

ke!san」はカシオが提供するオンライン計算ツールです。記念日を割り出す日数計算から、税金の計算、ウェブの費用対利益、惑星の出没計算、座標点で囲まれる多角形の面積など、さまざまな計算をこなしてくれます。計算の正確さ、使いやすさ、楽しさを追及した実務にも趣味にも使える、総合的な計算ツール集です。

また、以下の賞与社会保険料計算システムも無料で提供されています。

  • 健康保険料の計算:給与や賞与の報酬額から健康保険料、介護保険料を計算する
  • 厚生年金保険料の計算:給与や賞与の報酬額から厚生年金保険の保険料および従業員の折半額を計算する
  • 雇用保険料の計算:給与や賞与の総支給額から雇用保険料(労働者負担と事業主負担額)を計算する

賞与額が変動する場合などにも柔軟に対応できるので、人事担当者にとって便利なツールです。

参考:ke!san 生活や実務に役立つ高精度計算サイト

イージー給料計算

イージー給料計算」は、給与や賞与の社会保険料計算に対応したオンライン計算ツールで、シンプルで使いやすいインターフェースが特徴です。最大で253人の給与計算業務が行えます。基本的にはExcelソフトで、賞与支給額を入力すれば、自動的に社会保険料や所得税の計算結果が表示されます。
従業員の基本情報や給与情報を入力するだけで、自動的に給与明細書を生成してくれる上、複数の従業員の賞与を一度に計算することも可能です。手作業のミスを減らし、効率化も実現できます。また、結果はExcelで保管できるので、データの管理や保管にも便利です。
参考:イージー給料計算 賞与 社会保険料

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まとめ

賞与にも給与と同様に健康保険、厚生年金、雇用保険、介護保険の社会保険料がかかります。それぞれに異なる計算方法や上限額があるので、きちんと理解した上で計算し、間違いなく賞与の支給業務を進めましょう。
スキマバイト募集サービス「タイミー」なら、賞与に関する事務負担は必要ありません。その上、急な欠員や繁忙期にも高確率でワーカーを呼ぶことが可能です。
求人難に悩んでいる経営者や担当者の方は、ぜひ検討してみてください。タイミーの利用料や募集できる仕事内容などに関する問い合わせは、お問合せフォームから簡単にできます。

  【タイミー】問合せフォーム https://go.timee.co.jp/register?utm_source=blog&utm_medium=business_top&utm_campaign=blog318_card


監修:社労士 涌井好文
監修:社労士 涌井好文
涌井社会保険労務士事務所 社労士 涌井好文|平成26年より神奈川県で社会保険労務士として開業登録し、企業の人事労務や給与計算のアドバイザーとして活動。退職時におけるトラブル相談など、労働者からの相談にも対応し、労使双方が円滑に働ける環境作りに努めています。近時は活動の場をWeb上にも広げ、記事執筆や監修などを通し、精力的に情報発信を行っています。

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