
労働時間が週40時間超の場合はどうなる?違法性や残業代について解説
こんにちは。スキマバイト募集サービス「タイミー」ライターチームです。
正社員かアルバイトかなど雇用形態を問わず、労働時間は1週間で40時間までです。当記事では、40時間の計算方法や残業代、36協定との関連について解説します。週に40時間といっても、計算方法によっては40時間を超えていない場合もあるので、注意が必要です。
正しく仕組みを理解することで、従業員や労働監督署とのトラブルが起こりにくい企業を目指しましょう。
目次[非表示]
- 1.1週間の労働時間は40時間以内
- 1.1.週40時間超えたらどうなる?違法?
- 1.2.違反・トラブルが起きた時に取る対応
- 2.週40時間超の勤務が与える影響
- 3.【ケース別】「週40時間」の計算方法・数え方
- 3.1.月をまたぐ週の場合
- 3.2.祝日がある週の場合
- 3.3.土曜出勤がある週の場合
- 3.4.変形労働時間制の場合
- 3.5.フレックスタイム制の場合
- 3.6.裁量労働制の場合
- 3.7.ダブルワーク(副業)の場合
- 4.週40時間超の場合の残業代・割増賃金の計算方法
- 5.週40時間超の労働時間と36協定の関係について
- 6.週40時間超勤務を減らすために企業ができる施策
- 7.まとめ
1週間の労働時間は40時間以内
労働基準法の定めにより、従業員の1週間の労働時間は40時間以内と決められています。
労働時間には「所定労働時間」と「法定労働時間」があります。所定労働時間は社内で決められている労働時間であり、法定労働時間は労働基準法で決められている上限のことです。このうち、法定労働時間が1日8時間、1週間で40時間以内の必要があります。
また8時間以上働く場合は、60分以上休憩をしなくてはなりません。なお、6時間以上8時間未満の場合でも45分の休憩取得が必要なので、注意しましょう。正しく休憩を取得できない場合は、違法となります。
休憩時間や通勤時間を含めず、労働時間のみで8時間に収めてください。例えば9時から18時までの9時間勤務であれば、12〜13時の1時間を休憩にすることで、労働時間は8時間となります。
週40時間超えたらどうなる?違法?
結論から述べると、週40時間を超えると違法です。
違法にならないためには、1日8時間、および週40時間を超える場合は、労働組合または労働者の代表者(過半数以上の支持を得ている人)と労使の間で「36協定」を締結し、労働基準監督署への提出が必要です。
36協定を締結した場合でも、労働時間には上限があります。
- 時間外労働は月に45時間まで
- 時間外労働は年に360時間まで
特別条項付きの上限も含め、上限を超えてしまうと罰則(6か月以下の拘禁又は30万円以下の罰金)が生じます。
違反・トラブルが起きた時に取る対応
週40時間を超える勤務時間について違反やトラブルが起きた場合には、以下の対応をしてください。
- 従業員への謝罪
- 労働環境の整備
- コンプライアンス体制の強化
まずは従業員に対し、適切なルールを順守させる仕組みがなかったことを謝罪しましょう。
労働環境の整備も重要です。勤怠管理方法の見直しや休暇取得の促進など、労働時間が増えにくい環境にしていくことで、法律を守る意識が高い企業体質になります。
また第三者機関への対応に向けて、コンプライアンス体制を強化しておくことも重要です。
週40時間超の勤務が与える影響
1日8時間、週40時間超の勤務によって、従業員の体調に悪影響を及ぼします。
従業員は、疲労の蓄積やストレスの増加を感じるようになるでしょう。また勤務時間が長引けば生活習慣も乱れやすくなり、食事時間が遅くなる、睡眠時間が短くなるなど負の影響があります。
従業員の体調に悪影響を及ぼすことで、業務効率にも影響が生じるでしょう。従業員は集中力やモチベーションを維持しにくくなり、ミスを犯す確率が上がる、アイデアが思い浮かびにくいなどの影響が出てきます。
従業員への悪影響により、業務効率の低下や競争力の低下など、結果的には組織全体に悪影響を及ぼすことになります。正しい労働時間の管理で週40時間を超えないよう、環境を整えるようにしましょう。
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【ケース別】「週40時間」の計算方法・数え方
労働時間の週40時間は、計算に迷う場合もあります。以下のケース別に計算方法を解説します。
- 月をまたぐ週の場合
- 祝日がある週の場合
- 土曜出勤がある週の場合
- 変形労働時間制の場合
- フレックスタイム制の場合
- 裁量労働制の場合
- ダブルワーク(副業)の場合
月をまたぐ週の場合
結論から述べると、月をまたぐ週の場合でも、1週間単位で計算してください。
月をまたぐと1週間を前の月で計算するのか、後の月で計算するのか迷ってしまうかもしれません。しかし、1週間として計算すれば問題ありません。
例として10月27日(日)から11月2日(土)の週を考えてみましょう。10月28日(月)から11月1日(金)で1日8時間、週に40時間になっていれば問題ありません。もしこの週で40時間を超えた場合は、翌月に割増賃金を払うことで相殺できます。
月をまたぐ週であっても、特に気にせずに計算してください。
祝日がある週の場合
祝日がある週の場合は祝日に勤務するか否かのパターンを、それぞれ解説します。
まず祝日に勤務しない場合、祝日は所定休日として定めることができるので、休日扱いとなります。1週間に40時間ではなく、祝日の日数分×8時間を上限から減らしましょう。
祝日に勤務する場合は注意が必要です。祝日が所定休日の場合は勤務時間として1週間のトータルで計算します。祝日を含めた1日8時間×週5日勤務で40時間、という計算をすることになります。
なおこの場合、祝日の勤務は「法定内残業」の扱いです。時間外労働にはなりませんが、法定内残業の労働時間に応じた賃金を支払うことに注意しましょう。祝日の勤務により週40時間を超えた場合は、時間外労働の割増賃金を支払います。
土曜出勤がある週の場合
普段土日が休みの従業員が土日に出勤がある場合、土曜日と日曜日に片方出勤したか、両方出勤したかで、計算方法が異なります。
片方にのみ出勤した場合には、土日の片方は基本的に所定休日の扱いのため、勤務時間は週40時間の計算に含めます。この日に勤務した時間分は、法定内残業の割増賃金を支払わなくてはなりません。この勤務によって週40時間を超えた場合は、時間外労働の割増賃金も必要です。
一方で、両方に出勤した場合には、片方は法定休日に出勤した扱いになります。この場合は「休日労働」という別の扱いです。日曜の労働時間は週40時間の計算には含めません。なお、日曜の労働時間は法定内残業とは異なり、休日割増賃金(基礎賃金の35%以上)を支払う必要があります。
この取扱いは、使用者ごとに、就業規則で法定休日を指定しているかどうかによっても異なります。法定休日を定めていない場合には、週1回の休日を与えればよいことになります。法定休日が就業規則で定まっている場合には、その曜日に働かせた場合には、休日労働にあたることになります(ただ、従業員に対するわかりやすさの点や、行政通達においても、法定休日はできるだけ特定したほうが望ましいとされています。)。
変形労働時間制の場合
変形労働時間制の場合は、対象期間内で1週間の平均労働時間が40時間に収まっていれば、時間外労働の割増賃金は発生しません。
変形労働時間制は、事前に決めた1カ月、または1年間での単位で労働時間を計算します。例として1カ月の場合、4週間あり1週間で60時間勤務をした場合でも、同じ月の別の週で労働時間が20時間以内であれば問題ありません。よって、1カ月単位で見て総労働時間が8時間×勤務日数であることが目安となります。
変形労働時間制の場合、1週間単位での計算も大切ですが、1カ月単位で計算することで時間外労働の発生の有無が分かりやすくなります。なお、変形労働時間制の導入手続自体を適法に行っておく必要があります。
フレックスタイム制の場合
フレックスタイム制の場合は、週40時間をあまり考える必要がありません。
フレックスタイム制であれば、対象期間内で総労働時間が超えない限り、基本的に時間外労働賃金は発生しません。
これまでの解説では、労働時間が1日8時間、週40時間を超えると時間外労働割増賃金が発生することを解説してきました。しかし、フレックスタイム制ではこれが当てはまらず、1日8時間、週40時間を超えても割増賃金は発生しません。
ただし、対象期間が1カ月を超えて3カ月以内の場合、月ごとに週平均が50時間を超えると時間外労働扱いになるので、この点だけ注意しましょう。
フレックスタイム制であれば、週40時間を気にしなくても大丈夫です。
裁量労働制の場合
裁量労働制の場合は、基本的には週40時間を気にする必要はありません。
裁量労働制は勤務時間ではなく、「勤務による成果」に対して報酬が支払われる制度です。裁量労働制の勤務時間は「みなし労働時間」分の勤務があったものとして扱われます。みなし労働時間が1日8時間の場合、週40時間を超えないので、時間外労働の割増賃金は発生しません。
注意が必要なのは、みなし労働時間が8時間を超えている場合です。例えば1日9時間をみなし労働時間としている場合は、毎週45時間分勤務していることになるので、毎週5時間分の割増賃金が発生します。
裁量労働制の場合は、みなし労働時間を労働者と労使間で正しく認識を合わせておくことで、トラブルが発生しにくくなります。
ダブルワーク(副業)の場合
ダブルワークの場合は、週の労働時間は合算して計算します。なお、合算して40時間を超えた場合に割増賃金を支払うのは、基本的に後から契約をした事業者です(所定内労働時間に収まっている場合)。
ダブルワークをする場合、各企業の労使と労働者が労働契約をします。この時の労働時間の定めが重要です。
先に契約した企業の労働時間が1日7時間×週5日であれば、すでに週35時間分の労働が確保されています。この状態で後から労働契約をした企業との勤務時間合計が40時間を超えたら、超えた分の割増賃金は後から契約をした企業が払います。
例として1日3時間×週4日であれば、1週間の契約済みの労働時間は47時間です。7時間分の割増賃金は、後から契約した企業が払うことになります。
先に契約した企業が割増賃金を支払うケースは、その分だけで週40時間を超える場合や所定外労働時間を行った場合です(所定外労働をさせた場合、1日8時間までは契約の先後ではなく、実際にその日勤務した先後で先に勤務した会社が法定内残業扱いとなり、それを越える部分が法定外残業扱いとなります。)。しかしこの場合でも、後から契約した企業も割増賃金を支払うことに変わりはありません。
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週40時間超の場合の残業代・割増賃金の計算方法
週40時間を超えた場合の残業代・割増賃金の計算方法は、以下に分けられます。
- 法定内残業
- 法定外残業
- 深夜勤務
- 1カ月60時間超の時間外労働
法定内残業の場合、割増賃金は発生しません。例えば7時間勤務の契約をしている人が8時間勤務しても、1時間分は法定内残業の扱いです。ただし8時間を超えた分に対しては、法定外残業の割増賃金を支払います。
法定外残業は、割増率25%以上で計算します。週40時間を超えた場合には、法定外残業の割増賃金を支払わなくてはなりません。
深夜勤務(22時から翌5時)には深夜割増賃金(25%以上)が発生します。深夜勤務が法定外残業の場合は、50%以上の割増が必要です。
1カ月60時間超の時間外労働の場合も、割増率50%以上の割増賃金を支払うことになります。
残業代について詳しく知りたい方は「パートの残業代の計算方法は?支払い条件・手当・割増賃金についても解説」の記事もご覧ください。
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週40時間超の労働時間と36協定の関係について
従業員とのトラブルを防げるように、週40時間を超えた労働時間と36協定について以下を確認しておきましょう。
- 労働時間が週40時間超の場合は締結が必須
- 時間外労働には月45時間・年360時間の定めがある
- 特別な事情がある場合でも上限は決まっている
労働時間が週40時間超の場合は締結が必須
週40時間を超える場合は労働組合か、労働者の代表者(過半数以上の支持を得ている人)と労使の間で、36協定を締結する必要があります。また締結した内容は、労働基準監督署に提出しなくてはなりません。
1日8時間、週40時間を超える勤務は、基本的に違法だと覚えておきましょう。その上で労働者と労使間で36協定の締結をし、労基による認定をもらえれば例外が認められます。
労働時間には、着替えや強制参加の社内研修などの時間も含むことに注意してください。休憩の取得も忘れないように管理する必要があります。
また、36協定を締結していない場合は残業代を払わなくてよいのか、というと、そんなことはありません。
時間外労働には月45時間・年360時間の定めがある
先述したように、36協定を締結した場合でも、1カ月の時間外労働は月45時間まで、かつ年間360時間までと決められています。
36協定を締結し、労働基準監督署から認められても労働時間には上限があります。上限を超えると罰則が適用されるので、十分に注意してください。
なお管理監督者の場合は、36協定による上限が適用されません。よって管理監督者は月45時間、年360時間の上限はなく、残業代や休日出勤などの手当も発生しない特徴があります。
特別な事情がある場合でも上限は決まっている
特別な事情がある場合の時間外労働の上限は、月100時間までです。
特別な事情がある場合、36協定の上限が一部変更されます。「特別な事情」とは、「通常予見することのできない業務量の大幅な増加」があった場合で、臨時的措置として認められるもので、この協定は、いわゆる「特別条件付き」の36協定です。それでも、時間外労働が月45時間を超えてよいのは年に6回までで、2〜6カ月の平均時間外労働時間が80時間以内に収まっている必要があります。
この特別条件付きの36協定であっても、年間の時間外勤務時間は720時間までです。また、労働者と使用者間の取り決めによる時間外勤務時間は7、20時間未満に設定できます。その場合は労使間の取り決めが優先されるので、その時間を超えると違法になります。
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週40時間超勤務を減らすために企業ができる施策
労働時間や残業時間について解説してきましたが、基本的には残業がなく、労働時間が週40時間未満で終わることが望ましいでしょう。当項では、労働時間を短縮するために企業ができることを解説します。
企業ができることとして、以下があります。
- 働き方改革
- フレックスタイム制
- リモートワークの推進
- 勤務管理システムの導入
- 労働時間管理システム
- 勤務状況管理システム
- 従業員の業務負担の軽減
- 人員の増加
- 業務内容や配置の見直し
- 業務自動化の検討
上記を導入し、週40時間を超える勤務が発生しないように工夫を凝らしましょう。
まとめ
週40時間を超える勤務をする場合には、事前に労使間で36協定を締結しておき、労働基準監督署への提出が必要です。36協定を締結していない場合は違法となるので、注意しましょう。
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