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採用SNSで企業の未来を拓く!成功への道標

企業の未来を担う人材獲得競争は、激化の一途を辿っています。そんな中、注目を集めているのが「採用SNS」の活用です。SNS採用は、企業の魅力をダイレクトに伝え、潜在的な求職者層にリーチできる有効な手段として、多くの企業で導入が進んでいます。本記事では、採用SNSを成功させるための戦略と具体的なステップを解説し、企業の未来を拓く道標となる情報をお届けします。

SNS採用(ソーシャルリクルーティング)とは?

SNS採用、別名ソーシャルリクルーティングは、企業がSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)を駆使して、理想的な人材の発掘から採用までを効率的に行う戦略です。具体的には、広く利用されているFacebook、X(旧Twitter)、Instagramといったプラットフォームを効果的に用い、求職者への企業ブランディング、企業認知度の向上、魅力的な求人情報の提供、そして積極的なスカウト活動など、多岐にわたる採用活動を展開します。

東海ビジネスサービスが実施した調査によると、2023年現在、すでに約6割の企業が採用活動にSNSを活用しているというデータがあります(*1)。この傾向は今後さらに強まり、SNS採用を実施しない企業はごく少数派になる可能性も考えられます。

出典:就職みらい研究所 .就職白書2024
https://shushokumirai.recruit.co.jp/white_paper_article/20240424001/

SNS採用が注目される背景

SNS採用が企業から熱い視線を集める背景には、人材獲得競争の激化と、SNS利用者数の目覚ましい増加という、二つの重要な要因が深く関わっています。少子高齢化が進む現代において、労働人口の減少は避けられず、企業は優秀な人材の確保に日々苦心しています。従来の採用手法だけでは、十分な成果を上げることが難しくなってきているのが現状です。そのような状況下で、インターネットとスマートフォンの普及に伴い、SNSの利用者数は飛躍的に増加しており、企業はSNSを通じて、これまで以上に多くの潜在的な求職者に対して効果的にアプローチできるようになりました。

採用競争の激化

日本社会は現在、少子高齢化という大きな課題に直面しており、労働力人口の減少が深刻化しています。採用市場においては、2014年以降、求職者の数を求人数が上回る「売り手市場」が続いており、企業は優秀な人材を獲得するために、これまで以上の努力を求められています。従来の採用手法、例えば合同説明会への参加や求人サイトへの広告掲載だけでは、人材獲得競争を勝ち抜くことは非常に困難です。特に、多くの企業が求める若年層や、高度な専門スキルを持つ人材の獲得においては、従来とは異なる、差別化されたアプローチが不可欠となっています。

SNSを採用活動に戦略的に取り入れることで、企業はターゲットとする求職者層にダイレクトに訴求し、従来の型にはまらない、自由な表現方法で自社の魅力を余すところなく伝えることが可能です。さらに、企業のウェブサイトや従来の求人メディアなどの一方的なコミュニケーション手段と比較して、SNSが持つ双方向性は、求職者の企業への愛着や共感を育む上で非常に有効です。このような背景から、SNS採用を導入する企業が増加の一途をたどっていると言えるでしょう。

出典:厚生労働省 .令和5年版 労働経済白書https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/roudou/23/dl/23-1-1-2_03.pdf

SNSの利用者数の増加

近年のインターネットの急速な普及に伴い、特に若年層を中心にSNSの利用者数が著しく増加しています。総務省の調査データによると、2022年時点で日本のSNS利用者数は約1億200万人に達し、これは総人口の約75%に相当します*。今後もSNS利用者数が増加する可能性があると予測されていますが、具体的な数値についてはさらなる調査が必要です。この事実は、企業がSNSを効果的に活用することで、効率的かつ効果的にターゲット層へアプローチできる絶好の機会が拡大していることを意味します。また、企業がSNSを「採用活動」のツールとして活用するのと同様に、求職者もSNSを「就職・転職活動」の情報収集や自己PRの場として積極的に利用しています。企業は、求職者がSNS上で発信するスキル、経験、興味関心などの情報を参考に、自社に最適な人材をより容易に見つけ出すことが可能になります。例えば、LinkedInのようなプラットフォームでは、専門的なスキルや職務経歴が詳細に掲載されているため、企業側は具体的で質の高い情報を直接確認し、採用のミスマッチを減らすことができます。このように、SNS利用者数の増加は、企業がSNS採用を導入する大きな動機の一つとなっています。

出典:総務省 .令和5年版 情報通信白書 ICT白書https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r05/pdf/00zentai.pdf

SNS採用のメリット

SNSを活用した採用活動は、情報の広がりやすさ、まだ転職を考えていない層への訴求力、会社の特色を伝えやすさ、コストを抑えて実施できる点、手軽に情報を発信できる点、企業と求職者間のコミュニケーションが取りやすい点など、多くの利点があります。これらの利点を最大限に活用することで、企業は効率的かつ効果的な採用活動を行い、優秀な人材の獲得に繋げることが可能です。

拡散力

多くのSNSプラットフォームに搭載されている「いいね」や「シェア」機能は、情報拡散の強力なツールとなります。企業はこれらの機能を活用することで、短時間で広範囲なターゲット層へ情報を届け、特に採用活動における認知度向上や応募者数増加のプロセスを効率化できます。また、多くの反応(いいね、シェア、コメントなど)を集める投稿は、多くの人々からの支持の証となり、求職者からの企業イメージ向上にも貢献するでしょう。

潜在層へのアプローチ

多くのSNSは公開された情報が流通する場であるため、ユーザーは友人や知人の投稿やシェアを通じて、これまで知らなかった企業を認知する機会があります。現在転職を考えていなくても、偶然目にした投稿がきっかけで企業に関心を持つ可能性があります。企業がSNSを効果的に活用することで、従来の求人媒体や採用イベントだけではリーチできなかった潜在的な人材層にアプローチでき、採用戦略の効果を大きく向上させることが期待できます。

企業の魅力の発信

企業は、文章だけでなく写真や動画を用いて、職場の環境や企業文化を具体的に伝えることができます。これにより、求職者は会社の雰囲気を直接的に感じ取ることができ、興味を持つきっかけとなります。例えば、社員インタビューの投稿やオフィス紹介動画を共有することで、企業の日常の様子を伝え、求職者との関係性を深めることができます。このように、求人情報に加えて、より詳細なコンテンツを提供することで、企業の魅力を効果的にアピールすることが可能です。SNSを戦略的に活用することで、企業は人材獲得競争において独自の魅力を発揮し、優秀な人材を引き寄せる絶好の機会を得ることができます。

費用を抑えた採用活動

自社のSNSアカウントを通じて、求人情報や社内の雰囲気を積極的に発信し、魅力的な人材に直接アプローチすることは、基本的にコストをかけずに行えます。

また、広告を利用する場合でも、X(旧Twitter)やFacebookなどのプラットフォームでは、少額の予算から広告掲載が可能です。詳細なターゲティング機能を活用することで、求める人材層に絞って広告を表示し、費用対効果を高めることができます。

特に中小企業や立ち上げ段階の企業にとって、限られたリソースを最大限に活用し、優秀な人材を獲得するための有効な手段となるでしょう。

手軽な情報発信

多くの人事担当者や採用担当者が日頃から使い慣れているSNSの操作画面を利用できるため、特別なスキルや専門知識は不要です。投稿内容は、短い文章、写真、動画などが中心となるため、迅速な情報発信やリアルタイムでの情報更新が容易に行えます。これにより、状況に応じた柔軟な採用活動が実現し、企業にとっては迅速かつ効果的な情報発信ツールとして活用できます。

また、投稿内容が簡潔であるため、企業は頻繁に採用に関する情報を発信しやすく、求職者とのコミュニケーションを深めることができます。

相互的な対話

SNSのコメント機能やメッセージ機能を通じて、企業は求職者からの質問を受け付けたり、意見や感想を収集したりすることができます。また、それらの質問やフィードバックに対して、手軽に回答することが可能です。

このような双方向のやり取りを通じて、求職者は企業に対して親近感や信頼感を抱きやすくなり、企業への興味を持つきっかけとなります。さらに、相互コミュニケーションを通じて、求職者が企業の文化や価値観をより深く理解することで、入社後のミスマッチを防ぎ、採用の質を高めることが期待できます。

SNS採用の注意点

SNSを活用した採用活動は多くの利点がある一方で、期待した効果が得られない場合や、企業のイメージを損なうリスク、運用に必要な人員の確保といった課題も存在します。これらの注意点を認識し、適切な対策を講じることで、SNS採用の効果を最大限に引き出すことができます。

効果を実感しにくい

SNSを活用した採用活動は、多くの潜在的な求職者層にリーチできる有効な手段ですが、明確な戦略なしに運用していると、本当に効果があるのか疑問を感じてしまうことがあります。企業が何度か情報を発信したからといって、すぐに採用応募が増えるといった直接的な結果が得られるとは限らず、効果を実感するまでには時間がかかることが一般的です。

効果的な対策としては、事前にKPI(重要業績評価指標)を設定することが不可欠です。これにより、SNS採用戦略を継続的に見直し、改善していくことが可能になり、効果を実感しにくいという問題を克服できます。具体的なKPIの指標については、「SNS採用(ソーシャルリクルーティング)導入のステップ:ステップ4.KPIを決める」をご参照ください。

企業イメージを損なうリスク

SNSはその情報拡散力の高さから、悪意のある書き込みや誤解を招くような情報が瞬く間に広がり、企業のブランドイメージに悪影響を与える可能性があります。

このリスクを最小限に抑えるためには、まず企業としてSNS利用に関する明確なルールとポリシーを策定し、全従業員に徹底的に周知することが重要です。最近では、従業員が会社の代表としてSNSで情報を発信するケースも増えています。従業員の協力を得ることで採用ブランディングを強化できますが、ルールを遵守してもらうことが不可欠です。

また、緊急の対応が必要な状況に備えて、潜在的なトラブルに迅速に対処できる体制を整えておく必要があります。これにより、企業イメージの低下を防ぎながら、効果的なSNS採用活動を進めることができます。

運用にかかる人的負担

SNS採用は、投稿自体は比較的簡単に行えますが、そのプロセス全体にはそれなりの人的リソースが必要です。具体的には、投稿内容の計画・準備、フォロワーとのコミュニケーション、効果測定など、継続的な作業が求められます。また、投稿内容の質を高めるためには、コンテンツマーケティングの専門家やデザイナーの協力が必要となることもあります。さらに、リアルタイムでの対応が求められる場合もあり、日常業務とのバランスを取ることが難しいこともあります。

したがって、SNS採用を成功させるには、明確な役割分担と十分なリソース確保が不可欠です。全工程を自社で管理すると負担が大きいため、代行サービスの活用で業務効率化や品質向上が期待できます。

主要なSNSの種類と採用への活用方法

各種SNSはそれぞれ独自の特徴を持っており、ターゲット層や目的に合わせて最適なプラットフォームを選ぶ必要があります。以下に、主要なSNSプラットフォームの特徴と採用への活用方法について解説します。

LINE

LINEは、日本国内で圧倒的なユーザー数を誇るコミュニケーションツールです。他のSNSとは異なり、メッセージングアプリとSNSの両方の性質を兼ね備え、日々の友人や家族とのやり取りに広く利用されている点が特徴です。

LINEの国内アクティブユーザーは約9400万人に達し、全世代の平均利用率は9割を超えます(2022年時点)。採用活動の主要ターゲット層となる20代から30代に限ると、ほぼ全員が利用していると言えるでしょう。

具体的な活用法としては、タイムリーな求人情報の配信、面接日の調整、面接前後のフォローアップなどが考えられます。特に、多くの候補者との同時進行的なコミュニケーションが求められる新卒採用において、LINE公式アカウントへの登録を促し、積極的に活用する企業が増えています。

LINEの強みは、ダイレクトなメッセージでリーチできる点であり、通常のSNS投稿では見過ごされがちな情報も確実に届けられる可能性が高いことです。また、LINE公式アカウントを通じた求人情報の配信は、普段使い慣れたLINEの操作感と変わらず、比較的容易に運用できると感じる人が多いでしょう。

ただし、注意点として、LINEはプライベートなコミュニケーションが中心であるため、情報拡散を目的とする場合は適していません。また、メールや電話と比較するとカジュアルな印象を与えやすいため、公式な連絡やフォーマルなやり取りには不向きな場合があり、状況に応じた使い分けが重要です。

出典:.LINE Business Guide(2023年4月〜9月期版)https://www.lycbiz.com/sites/default/files/media/jp/download/LINE%20Business%20Guide_202304-09.pdf

X(旧Twitter)

X(旧Twitter)は、短いテキスト投稿による情報発信が特徴的なSNSです。そのリアルタイム性の高さが大きな魅力となっています。

Xの国内ユーザー数は約5773万人で、全世代平均の利用率は45%を超えます(2022年時点)。特に20代の利用率は8割近くに達し、非常に親和性が高いと言えます。30代、40代の利用率もそれぞれ半数を超えており、幅広い層へのアプローチが可能です。

このように広範なユーザー層を抱えるXは、多様な人材へのアクセスを可能にする強力なプラットフォームとなります。

具体的な活用方法としては、「#採用募集」や「#エンジニア募集」といったハッシュタグを活用して求人情報を目立たせたり、他社とは一線を画すユニークな募集投稿で拡散を狙ったりすることが挙げられます。

Xのメリットは、ユーザーのリアルタイムな関心が反映されやすい点であり、時流に乗った採用活動を展開できることです。例えば、その時々のトレンド(話題)となっているハッシュタグを活用することで、短期間で広範囲に求人情報を拡散できます。また、拡散力にも優れているため、魅力的な投稿は広範囲なリーチが期待できます。

デメリットとしては、投稿の寿命が短く情報が埋もれやすい点が挙げられます。投稿内容が他の情報に埋もれてしまうリスクがあるため、定期的な更新や人目を引くコンテンツの作成が不可欠です。また、ネガティブな反応を招く「炎上」のリスクも比較的高いため、事前の対策が重要です。

出典:総務省 .令和5年版 情報通信白書https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r05/pdf/index.html

Instagram

Instagramは、視覚的な要素を重視したSNSであり、イメージを効果的に伝えるのに適しています。さらに、「ストーリーズ」機能の登場により、リアルタイム性も向上しています。

Instagramの国内ユーザー数は約6,600万人に達し、全世代平均の利用率は56.1%となっています(2023年時点)。10代、20代、30代の利用率はそれぞれ72.9%、78.8%、68.0%と、若年層を中心に高い利用率を示しています。若年層へのリーチにおいてはXと同等かそれ以上の強みを持っています。

具体的な活用方法としては、企業のビジュアルコンテンツを活用し、求職者に対して一貫したブランディングを行うことが効果的です。また、24時間限定で縦型の静止画や動画を共有できる「ストーリーズ」機能は、多くのユーザーに利用されており、社内外のイベントの様子をリアルタイムで発信するのに役立ちます。

Instagramの利点は、画像や動画を多用した情報発信を通じて、企業の文化や職場の雰囲気を視覚的にアピールできることです。例えば、オフィス風景、社員の働く姿、イベントの様子などを投稿することで、求職者は企業の内部事情をよりリアルに感じ取ることができます。

一方で、注意点としては、テキスト情報よりも視覚情報を重視するプラットフォームであるため、企業に関する詳細な情報を伝えるのには不向きであるという点が挙げられます。また、魅力的なビジュアルコンテンツの作成には手間がかかるため、計画的な準備が必要となるでしょう。

出典:総務省 .令和5年 情報通信に関する現状報告の概要https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r05/pdf/n4200000.pdf

Facebook

Facebookは、世界中で多くのユーザーを持つ、ビジネスシーンに強いSNSです。実名登録が基本であるため、ユーザー情報の信頼性が高いという特徴があります。

Facebookの国内ユーザー数は約2600万人で、全世代平均の利用率は30%弱です(2022年時点)。30代、40代の利用率はそれぞれ4割強、4割弱となっています。10代から20代の利用率は比較的低い傾向にあります。

具体的な活用方法としては、企業ページを開設し、新しい求人情報、社内イベントの写真、社員インタビュー動画などを積極的に投稿することで、定期的な読者を獲得できます。また、イベントページの作成機能を利用して、求人イベントの参加者を募集することも可能です。さらに、ターゲティング広告を活用して、求人ページへ直接誘導する企業も多く見られます。

Facebookのメリットは、実名登録制であるため、「年齢」「大学」「会社」といった詳細な情報に基づいた、精度の高い広告ターゲティングが可能なことです。これにより、効率的にターゲット層にアプローチすることができます。また、グループ機能やイベント機能を通じて、親密なコミュニティを形成することもできます。

一方で、若年層(特に10代から20代)へのアプローチには不向きであるというデメリットがあります。新卒採用など、若い世代をターゲットとした採用活動を行う場合は、他のSNSツールとの併用が推奨されます。

出典:総務省 .令和4年通信利用動向調査https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/statistics/statistics05.html

YouTube

YouTubeは、世界中で最も利用されている動画共有プラットフォームであり、あらゆるジャンルの動画が公開されています。ビジネスシーンから個人の趣味まで、幅広いコンテンツが揃っているのが特徴です。

日本国内におけるYouTubeのユーザー数は約7100万人に達し、全年代の平均利用率は87.1%(2022年時点)となっています。特に10代から30代の利用率は90%を超え、40代、50代でも80%以上が利用しており、テレビに匹敵するほどの強い影響力を持っています。

YouTubeを活用することで、文章では伝えにくい職場の雰囲気や従業員の様子を動画で効果的に伝えることができます。例えば、会社の歴史や理念を紹介する動画、社員のインタビュー動画、オフィスツアー動画、1日の仕事の流れを紹介する動画などが考えられます。また、YouTube
Liveの機能を利用すれば、リアルタイムで会社説明会や質疑応答セッションを開催することも可能です。YouTubeのメリットは、視覚と聴覚に訴えることで、企業の魅力を効果的にアピールし、ブランディングを強化できる点です。さらに、幅広い年齢層が利用しているため、多くの潜在的な応募者にリーチできます。

一方、デメリットとしては、採用活動に利用する場合、5分から30分程度の長い動画になることが多く、制作に高いコストと時間がかかる点が挙げられます。また、多くの企業がすでにYouTubeを活用しているため、他社との差別化を図る必要があります。

出典:総務省 .令和6年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書

https://www.soumu.go.jp/main_content/001017240.pdf

TikTok

TikTokは、短尺動画による創造的な自己表現が盛んなSNSです。日本でのサービス開始は2017年と比較的最近ですが、若い世代を中心に急速にユーザー数を増やしています。

TikTokの国内ユーザー数は約2700万人で、全年代平均の利用率は28.4%(2022年時点)です。30代以降の利用率は2~3割程度ですが、10代では66.4%、20代では47.9%と高い利用率を誇っています。

YouTubeと同様に、職場の雰囲気や従業員の様子を動画で伝えるのに適していますが、TikTokでは15秒から60秒という短い時間で、見る人の興味を惹きつける必要があります。「会社の一日」をテーマにしたショートムービーや、「社員に聞く!この会社で働く魅力」といったシリーズ動画、社内イベントやユニークな福利厚生の紹介などが効果的です。

TikTokのメリットは、若年層へのリーチ力が非常に高いことです。新卒採用に特に有効で、広告業界やクリエイティブ業界との相性が良いでしょう。また、手軽に視聴できるため、ユーザーのエンゲージメントが高く、情報が拡散されやすい傾向があります。

デメリットは、伝えたい情報を15秒から60秒に凝縮する必要があるため、動画編集スキルが求められることです。また、ユーザーは次々と動画を閲覧するため、印象に残るように工夫しなければ、すぐに忘れられてしまう可能性があります。

LinkedIn

LinkedInは、ビジネスに特化したプロフェッショナル向けのSNSです。ユーザーは、職務経歴、スキル、学歴などを詳細に記載したプロフィールを作成し、ビジネス上のつながりを築きます。採用活動との親和性が非常に高いのが特徴です。

LinkedInは世界中で10億人以上のユーザーを抱えていますが、日本国内のユーザー数は約300万人と、まだ成長の余地があります(2022年時点)。年齢層については、2019年のデータでは20代の利用率が6.4%と最も高く、次いで30代が5.1%となっています。

LinkedInでは、企業の公式ページを作成し、企業情報、ニュース、求人情報などを発信します。フォロワーを増やし、企業の認知度を高めることが重要です。有料機能を利用すれば、求人広告の掲載や、ターゲットとなる求職者へのスカウトなど、採用活動に特化した機能を利用できます。

LinkedInのメリットは、企業が必要とするスキルを持った人材を効率的に見つけ出し、直接アプローチできることです。特にIT、金融、コンサルティング業界などの専門職の中途採用に非常に有効です。

一方、デメリットとしては、日本国内のユーザー数が他のSNSに比べて少ない点が挙げられます。しかし、特定の専門分野の人材をターゲットとする場合は、競争が少ないという利点にもなり得ます。

Wantedly

Wantedlyは、企業の理念やビジョンに共感する人材を募集することに特化したSNSです。

ユーザー数は400万人、登録企業数は4万社を超えています(2024年時点)。ユーザー層は20代から30代が全体の72%を占めており、若年層への訴求力が高いのが特徴です。また、上位校を中心に約10.5万人の学生が登録しており、新卒採用やインターン採用にも活用できます。登録企業にはベンチャー企業やスタートアップ企業が多く、これらの企業に興味を持つ求職者が集まりやすい傾向があります。

Wantedlyでは、企業ページで企業のビジョン、ミッション、カルチャーなどを詳しく紹介し、求職者に企業の魅力を伝えます。「ストーリー」と呼ばれるブログ機能があり、採用担当者だけでなく、社員自身が企業の魅力を発信することができます。これにより、企業のカルチャーが組織全体に浸透していることをアピールできます。

Wantedlyのメリットは、給与や福利厚生などの条件面よりも、企業のカルチャーやミッション・ビジョン・バリューを重視した採用・求職を前提としているため、採用後の満足度や定着率が高い傾向があることです。大企業と条件面で競争することが難しい中小企業やスタートアップ企業にとって、競合他社との差別化を図り、採用効果を高めるチャンスとなるSNSです。

デメリットとしては、利用者が若手やスタートアップ志向の求職者に偏っている点が挙げられます。ただし、そのような層を中心に採用したい企業にとっては、他のSNSよりも効率的に候補者を見つけ出すことができるでしょう。

SNS採用導入のステップ

SNSを活用した採用を成功に導くには、目的の明確化から始まり、ターゲット設定、プラットフォームの選択、KPIの設定、コンテンツの計画、広報戦略、そして効果測定という、一連の流れを段階的に実行することが重要です。各ステップを丁寧に積み重ねることで、効果的なSNS採用戦略が確立され、理想とする人材の獲得へと繋がります。

ステップ1. SNS採用の目的を明確にする

SNS採用を始めるにあたって、最も重要なのは、その目的をはっきりと定めることです。明確な目的を持つことで、その後の媒体選定、コンテンツ設計、そして実施後の効果測定がスムーズに進みます。

目的の例としては、企業認知度の向上、応募数の増加、特定のスキルを持つ人材の獲得などが挙げられます。必ずしも一つの目的に絞る必要はありませんが、自社の採用における課題を明確にし、最も期待する効果を定めることが大切です。

ステップ2. 採用ターゲット・ペルソナを明確にする

SNS採用(ソーシャルリクルーティング)を導入する上で、採用ターゲット、さらに詳細なペルソナを明確にすることが不可欠です。

採用ターゲットは、年齢や専門分野といった大まかな属性で設定されがちですが、より効果を高めるためには、ペルソナ、つまり具体的な人物像まで落とし込むことをお勧めします。

ペルソナを作成する際には、年齢、性別、職務経歴、スキル、趣味や関心事などの要素を組み合わせます。例えば、データサイエンティストを採用する場合、その人物の業界経験、得意なプログラミング言語、関心のある技術トレンド、SNSの利用状況などを具体的に設定します。これにより、ターゲット層に対して、より的確なアプローチが可能になります。また、企業の文化や価値観に合致する人物像を描くことで、入社後のミスマッチを防ぎ、長期的な雇用関係の構築に貢献します。ペルソナの明確化は、SNS採用を成功させるための基盤となり、採用活動全体の効率と効果を飛躍的に向上させます。

ステップ3. どのSNSを活用するかを決める

次に、明確になった採用ターゲットに最適と思われるSNSプラットフォームを選定します。

ステップ1で定めたSNS採用の目的と、ステップ2で設定したペルソナを基に、どのSNSが自社にとって理想的な人材と出会える可能性が最も高いのかを検討します。各SNSの特性やメリット・デメリットについては、後述の「主なSNSの種類と採用への活用方法」のセクションを参照してください。

よく見られる失敗例として、とにかく多くの人にリーチしようとして、複数のSNS運用に手を広げてしまうケースがあります。「SNS採用(ソーシャルリクルーティング)のデメリット」でも触れているように、SNS採用には相応の労力がかかります。同じ内容の投稿を使い回せば良いと考えがちですが、SNSの種類によって、ユーザーに響く投稿の形式は異なります。特にSNS採用を初めて導入する際は、1つまたは2つのSNSに絞って始めるのが賢明です。

ステップ4. KPIを設定する

続いて、SNS採用におけるKPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)を明確に設定します。

SNSを活用した採用活動で頻繁に用いられるKPIの例をいくつかご紹介します。

どのKPIを測定するかは、採用の目的やSNSの利用範囲に合わせて検討することが重要です。例えば、母集団形成を主目的とするのであれば、「リーチ数とエンゲージメント率」、そして「応募者数と採用者数」は必ず測定すべきKPIと言えるでしょう。あるいは、広告運用によって採用効率を高めることを目指す場合は、「広告費用対効果(ROI)」や「ターゲティングの精度」が重要な指標となります。

ステップ5. コンテンツ方針を定める

次に、どのようなコンテンツを発信していくのか、その方針を決定します。

SNS採用では、ターゲットとなる求職者にとって魅力的であり、かつ一貫性のある情報発信が不可欠です。少なくとも、以下の項目については明確に定めておきましょう。

ステップ6. 広報計画・スケジュールを立てる

次に、SNS採用における広報計画と具体的なスケジュールを作成します。

事前の計画がないと、途中で発信するコンテンツが枯渇し、更新が滞ってしまう事態になりかねません。これは求職者に対してネガティブな印象を与えてしまうため、必ず計画を立てるようにしましょう。

具体的には、投稿の頻度、最適な投稿タイミング、コンテンツの種類などを、1日単位の詳細なスケジュールで計画し、ターゲット層に最も効果的なタイミングで情報を届けられるようにします。さらに、自動投稿ツールを導入することで、計画に基づいた継続的なコンテンツ配信を実現できます。

ステップ7. 定期的な効果測定を行う

採用活動におけるSNS運用が安定してきたら、1ヶ月後、3ヶ月後など、定期的なタイミングで効果測定を実施しましょう。

まず、ステップ4で設定したKPIに基づいて、自社の投稿のパフォーマンスを詳細に分析します。このデータをもとに、現在の戦略において成功している点、改善が必要な点を明確に特定します。仮説を立て、検証を繰り返すことで、自社にとって運用しやすく、期待する効果に繋がる最適な運用方法を見つけ出すことが重要です。

定期的な効果測定を通じて継続的な改善を図り、最終的には質の高い応募者を獲得するための強固な基盤を構築することができます。

SNS採用成功のポイント

SNSを活用した採用は注目度が高い一方で、競争も激化しています。そこで重要となるのが、明確な採用コンセプト、組織全体の協力体制、そして採用期間外でも継続的な情報発信という3つの要素です。これらを意識することで、SNS採用の効果を最大限に引き出し、優秀な人材獲得へと繋げることが可能になります。

採用コンセプトを明確にする

最も重要なポイントの一つは、採用コンセプトを明確に定義することです。

SNS採用に限らず、どのような採用手法を用いる場合でも、求職者に響くメッセージの内容こそが重要です。求職者は、企業が発信するメッセージに共感できるかどうかで応募を判断します。

自社の魅力を明確にし、求職者に効果的に伝える活動全体を「採用ブランディング」と呼びます。SNS採用は、採用ブランディングにおける情報発信手段の一つと捉えることができます。採用ブランディングにおいては、必ず「採用コンセプト」を設定します。企業のミッション、ビジョン、バリュー、そして他社と比較した際の強みや魅力を言語化したものが採用コンセプトです。SNSで発信する個々のメッセージは、この採用コンセプトに基づいていることで一貫性が生まれ、企業の魅力を効果的に伝えることができます。

会社全体の協力を得る

2つ目のポイントは、会社全体で協力体制を築くことです。

例えば、求職者に響くコンテンツを作成するためには、社員のリアルな声が不可欠です。そのためには、経営層、マネージャー、そして一般社員へのインタビューが必要となるでしょう。また、会社の雰囲気を伝える動画を制作するのであれば、撮影への協力が求められます。さらに、社員自身がSNSを通じて情報発信するのも効果的な手法です。

協力体制を築くためには、まず全社的な意識改革が必要です。SNS採用の重要性を全社員に理解してもらうための教育や研修を実施しましょう。優秀な人材の獲得、職場全体のモチベーション向上、業績アップによる社員への還元など、SNS採用が社員にもたらすメリットを明確に伝えることが重要です。

その上で、定期的な情報共有会議を開催することが効果的です。会議を通じてSNS採用の進捗状況や具体的な成果を共有し、課題や改善点を明確にすることができます。

社員全員が一丸となって採用活動に関わることで、SNS採用の効果は飛躍的に向上します。

採用期間外も継続的に発信する

3つ目のポイントは、採用期間外でも継続的に情報発信を行うことです。

多くの企業では採用活動を強化する時期がありますが、その期間だけでなく、採用活動を行っていない期間も継続的に自社の魅力を発信し続けることが重要です。

SNS採用のメリットとして「潜在層へのアプローチ」が挙げられます。SNSを利用しているのは、現在就職・転職を考えている人だけではありません。今、企業のファンになった人が、将来的に優秀な人材として応募してくれる可能性は大いにあります。実際に、働きがいのある会社として認定されている企業の中には、「採用者の7割が元々自社のファンだった」と答えている企業もあります。

長期的な視点で人材プールを拡大する意識を持ち、SNS採用に取り組んでみてください。

まとめ

SNSを活用した採用活動は、企業にとって優秀な人材の発掘に繋がる有効な手段と言えます。しかし、その効果を最大限に引き出すためには、以下の点を意識して戦略的に取り組む必要があります。明確な目標設定、ターゲット人材の絞り込み、適切なプラットフォームの選択、KPIの設定、魅力的なコンテンツ企画、効果的な広報戦略、そして詳細な効果測定。これらの7つのステップを着実に実行することが重要です。さらに、採用コンセプトの明確化、企業全体の協力体制の構築、採用期間外でも継続的な情報発信を行うことも、成功の鍵となります。これらのポイントを踏まえ、自社に最適なSNS採用戦略を構築することで、競争の激しい採用市場において、求める人材を確実に獲得し、優位性を確立することができるでしょう。この記事が、貴社のSNS採用戦略の一助となれば幸いです。

よくある質問

質問1:SNS採用は本当に効果があるのですか?

はい、戦略的にSNSを活用することで、非常に高い効果が期待できます。特に、ターゲットとする人材層が日常的にSNSを利用している場合、企業はSNSを通じて直接的なアプローチが可能となり、企業の認知度向上、興味関心の喚起、そして最終的な応募へと繋げることができます。実際に多くの成功事例が存在しており、適切なKPIを設定し、効果測定を行うことで、投資対効果を最大化することが可能です。

質問2:どのSNSを選べば良いかわかりません。

どのSNSプラットフォームを選択するかは、ターゲットとする人材の属性と、企業の採用目標によって大きく異なります。例えば、若年層をターゲットとする場合は、InstagramやTikTokが効果的でしょう。一方、経験豊富なビジネスプロフェッショナルを採用したい場合は、LinkedInが適しています。また、より広範な層へのリーチを目指すのであれば、FacebookやX(旧Twitter)が有効です。各プラットフォームの特性を十分に理解し、自社のニーズに最も適したものを選択することが重要です。

質問3:SNS運用の知識がありません。どうすれば良いですか?

SNS運用の知識がない場合は、まずは基礎知識の習得から始めることをお勧めします。オンライン上には、様々なコースやセミナーがあります。

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