
外国人インターンシップとは?受け入れ手順や注意点を解説
外国人インターンシップは、海外の大学生や日本在住の留学生に日本企業での実務経験を提供する重要な機会です。これにより、参加者は専攻分野を活かしながらビジネススキルを向上させ、日本語能力や日本文化の理解を深めることができます。一方で、企業にとっては国際人材を発掘し、組織の活性化や新たな視点の導入につながる多くのメリットがあります。本記事では、外国人インターンシップの概要やその多様な形態、参加することの利点について詳しく解説します。
外国人インターンシップとは
外国人インターンシップとは、海外または日本の大学に在籍する学生が企業などで一定期間の職業体験を行う制度を指します。この制度の主な目的は、学生が専門分野に関連する実践的な経験を積むことにあり、企業が独自に企画・運営するケースが多いです。参加する学生は、日本語や日本の文化を学び、社会人としての立ち居振る舞いを身につけながら、グローバルなビジネスパーソンとして成長することを目指します。企業側にとっても、国際的な人材の採用や社内の国際化の推進、社員の育成といった多くの利点が存在します。特に、異なる文化や視点を持つ人材を受け入れることで、企業全体のイノベーションを促進する可能性があります。
外国人インターンシップの種類
外国人インターンシップは、大きく分けて2つのタイプが存在します。
日本の大学に在籍する外国人留学生を対象としたインターンシップ
日本の大学に在籍する外国人留学生は、日本人学生と同様にインターンシップに参加することができます。ただし、在留資格が「留学」であるため、給与が支払われるインターンシップに参加する場合は、「資格外活動許可」を取得する必要があります。この許可には、労働時間に関する「包括許可」と「個別許可」の2種類があります。包括許可では、原則として、1週間に28時間までの就労が認められていますが、長期休暇中は1日8時間まで働くことができます。28時間を超えて働く場合は、「個別許可」を申請する必要があります。この際、大学または大学院に在籍していること、インターンシップを行う年度末に卒業予定であること、学部生の場合は卒業に必要な単位をほぼ取得していることなどの条件を満たす必要があります。具体的な手続きについては、外国人雇用サービスセンターなどで確認することをおすすめします。
出典:
・出入国在留管理庁 . インターンシップをご希望のみなさまへ . https://www.moj.go.jp/isa/applications/resources/nyuukokukanri07_00109.html
・出入国在留管理庁 . 「留学」の在留資格に係る資格外活動許可について . https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/nyuukokukanri07_00003.html
・厚生労働省 . 外国人雇用サービスセンター一覧(Employment Service for foreigners) . https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_12638.html
海外の大学に在籍する学生を対象としたインターンシップ
海外の大学に在籍している学生が日本でインターンシップを行うためには、特定の在留資格が必要です。一般的には「特定活動(告示9号)」が利用されますが、これを取得するためにはいくつかの条件を満たす必要があります。まず、その活動が教育課程の一部であること、大学と受け入れ企業の間でインターンシップに関する契約が締結されていること、報酬が伴う場合、1回のインターンシップの期間が1年を超えないこと、インターンシップの合計期間が在籍する海外大学の修業年限の半分を超えないこと、学生の専門分野とインターンシップの内容が関連していること、受け入れ企業がインターンシップ生の受け入れ・指導体制を整えていることが求められます。また、無給のインターンシップに関しては、「文化活動」や「短期滞在」の在留資格を利用することができますが、その場合は報酬がないことが前提となります。
出典:
・出入国在留管理庁 . インターンシップをご希望のみなさまへ . https://www.moj.go.jp/isa/applications/resources/nyuukokukanri07_00109.html
・2020/5 . 出入国在留管理庁 . 外国の大学の学生が行うインターンシップ(在留資格「特定活動」(出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の規定に基づき同法別表第一の五の表の下欄に掲げる活動を定める件第9号))に係るガイドライン . https://www.moj.go.jp/isa/content/930005575.pdf
・出入国在留管理庁 . 在留資格「特定活動」(インターンシップ・サマージョブ) . https://www.moj.go.jp/isa/applications/status/designatedactivities03.html
外国人インターンシップの利点
外国人インターンシップは、企業にとっても学生にとっても、非常に有益な機会となります。外国人インターンシップのメリットをご紹介します。
企業が得る利点
海外からのインターンシップ生を受け入れることで、企業は社員の成長を促進し、組織全体の能力を高め、将来的な人材の確保に繋げることができます。社員は、外国人インターンシップ生とのコミュニケーションを通して、語学力を磨くことが期待できます。また、多様なバックグラウンドを持つインターンシップ生は、企業に新たな発想や視点をもたらし、革新的な取り組みや問題解決能力の向上に貢献します。さらに、インターンシップ期間中に学生の潜在能力や適性を見極めることができるため、採用後のミスマッチを減らし、将来の戦力となる人材を獲得するチャンスを広げます。
学生が得る利点
外国人インターンシップ生にとっての利点は日本のビジネス慣習に対する理解を深め、日本語運用能力を向上させることができる点です。日本のビジネス文化や職場のルールを実際に体験することにより、異文化への理解が深まり、日本企業へのスムーズな適応が期待されます。さらに、インターンシップでは日常会話に加えてビジネスシーンで必要とされる日本語も学ぶ必要があり、その結果、日本語能力が向上することが見込まれます。これらの経験は、将来的に日本企業への就職を希望する学生にとって大きな強みとなるでしょう。ただし、各インターンシップ生の経験や成果には個人差があることも留意すべきです。
外国人インターンシップ生の受け入れ手順
外国人インターンシップ生を受け入れるためにはまず募集活動を行い、その後在留資格に関する必要な手続きを進める必要があります。
募集
外国人インターンシップ生の受け入れには、国が提供する様々な支援制度があります。具体的には、厚生労働省が管轄する外国人雇用サービスセンター(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_12638.html)が、企業のニーズと留学生の希望を結びつけるマッチングサービスやインターンシップ参加前のオリエンテーションを実施しています。また、経済産業省の国際化促進インターンシップ事業に企業登録をすると、事務局からのマッチング支援を受けることができます。さらに、人材紹介会社や地方自治体によるマッチングプログラム、外国人留学生が多く在籍する大学への依頼も有効な手段です。詳しくは各省庁の公式情報を参照してください。
在留資格の手続き
海外大学に在籍する学生をインターンシップ生として受け入れる場合、外国人本人または企業が、入国前に「在留資格認定証明書」の交付を申請する必要があります。証明書が交付された後、外国人は自国にある日本大使館または総領事館でビザを申請し、ビザが発給されれば日本に入国できます。日本の大学に在籍する留学生を受け入れる際には、報酬の有無に応じて「資格外活動許可」の申請が不可欠です。海外大学に在籍する学生をインターンシップ生として受け入れる場合、外国人本人または企業が、入国前に「在留資格認定証明書」の交付を申請する必要があります。この証明書は、受け入れ企業と学生の出身大学との間で正式な契約がある場合に交付されます。証明書が交付された後、外国人は自国にある日本大使館または総領事館でビザを申請し、ビザが発給されれば日本に入国できます。また、日本の大学に在籍する留学生をインターンシップとして受け入れる際には、「資格外活動許可」の申請が必要です。留学生は通常、週28時間以内で働くことが可能ですが、週28時間以上働く場合には「個別許可」が求められます。さらに、インターンシップの内容は留学生の専攻分野と関連している必要があります。
出典:
・出入国在留管理庁 . インターンシップをご希望のみなさまへ . https://www.moj.go.jp/isa/applications/resources/nyuukokukanri07_00109.html
・出入国在留管理庁 . 「留学」の在留資格に係る資格外活動許可について . https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/nyuukokukanri07_00003.html
・2025/2/10 . 外務省 . 海外渡航・滞在 ビザ(査証) . https://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/visa/
・出入国在留管理庁 . 在留資格「特定活動」(インターンシップ・サマージョブ・国際文化交流) . https://www.moj.go.jp/isa/applications/status/designatedactivities03.html
・外務省 . 就労・長期滞在査証(ビザ)手続きチャート . https://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/visa/nagare/chouki.html
外国人インターンシップ生受入れの注意点
外国人インターンシップ生を受け入れる際は在留資格と職務内容の整合性、異文化理解に基づいた対応が重要になります。
在留資格と業務の関係
外国人が行う活動は、その保有する在留資格によって制限されます。「特定活動(告示9号)」に基づくインターンシップを行う場合、業務内容は本人の専門分野と密接に関連している必要があります。また、日本の大学に通う留学生が給与を受け取るインターンシップに参加する場合は、「資格外活動許可」の申請が必須です。この許可がない場合、留学生が不法就労と見なされる可能性があります。さらに、許可された労働時間を超えて働くことは禁じられており、企業側も「不法就労助長罪」に問われることがありますので、注意が必要です。具体的な労働時間の制限については、必ず最新の情報を確認してください。
出典:出入国在留管理庁 . インターンシップをご希望のみなさまへ . https://www.moj.go.jp/isa/applications/resources/nyuukokukanri07_00109.html
異文化理解と尊重
海外からのインターンシップ生を受け入れる上で、異文化への理解と尊重は欠かせません。社員への事前説明や、相互理解を深めるための施策を通じて、受け入れ環境を整備しましょう。インターンシップに対する考え方も、日本の学生と海外の学生とでは異なる場合があることを考慮する必要があります。
外国人インターンシップに必要なビザ
インターンシップを実施する際に必要なビザは、外国人の国籍、居住国、給与の有無、インターンシップの期間などによって異なります。具体的には、「特定活動」ビザや「技術・人文知識・国際業務」ビザが一般的に必要とされることがありますので、詳細な条件については出入国在留管理庁の公式情報を確認することをおすすめします。
外国人インターンシップ生の税金と社会保険
外国人インターンシップ生に給与を支払う際には、税金や社会保険の取り扱いについて注意しなければなりません。
税金
インターンシップで給与が発生する場合、それは所得として扱われ、所得税が課されます。税金の計算方法は、インターンシップ生が居住者(日本国内に住所がある、または1年以上日本に住んでいる人)であるか非居住者であるかによって異なります。居住者の場合、通常のアルバイトと同様に源泉徴収と年末調整が行われます。非居住者の場合、原則として20.42%の税率で源泉分離課税が適用されますが、具体的な税率や手続きは租税条約の有無によって異なることがあるため、事前に専門家に確認することが重要です。
出典:
・2024/4/1 . 国税庁 . No.2875 居住者と非居住者の区分 . https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2875.htm
・2024/4/1 . 国税庁 . No.2884 非居住者等に対する源泉徴収・源泉徴収の税率 . https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2884.htm
・2024/4/1 . 国税庁 . No.2885 非居住者等に対する源泉徴収のしくみ . https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2885.htm
社会保険
インターンシップ生が1週間の労働時間と1ヶ月の労働日数が正社員の4分の3を超える場合、社会保険への加入義務が生じます。ただし、社会保障協定を締結している国から来るインターンシップ生については、加入が免除される場合もありますが、その適用には特定の条件があります。
出典:
・2024/3/8 . 日本年金機構 . 社会保障協定 . https://www.nenkin.go.jp/service/shaho-kyotei/shaho.html
・2022/3/18 . 厚生労働省 . 短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の更なる適用拡大に係る事務の取扱いについて . https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tc6578&dataType=1&pageNo=1
まとめ
海外からのインターンシップ生の受け入れは企業と学生の双方にとって非常に価値のある経験となります。関連する制度や手続き、留意点をきちんと把握し、実りあるインターンシッププログラムを設計することで、企業の国際化を促進し、将来有望な人材育成に貢献できるでしょう。この記事が、外国人インターンシップの導入を検討されている企業にとって少しでもお役に立てれば幸いです。
よくある質問
質問1:外国人インターンシップ生を受け入れるにあたって、どのような準備をする必要がありますか?
外国人インターンシップ生を受け入れる際には、まずインターンシップの目的と具体的な内容を明確にすることが重要です。具体的には、インターンシップ生に担当させる業務内容、期間、給与、求められるスキル、社内でのサポート体制を整える必要があります。さらに、在留資格の申請手続きに関する法律や、税金、社会保険についての知識も必要です。これらの準備を通じて、スムーズなインターンシップの実施を目指しましょう。
質問2:外国人インターンシップ生への報酬はどのように決定すれば良いでしょうか?
外国人インターンシップ生への報酬は、インターンシップの内容や期間、インターンシップ生の能力を考慮し、企業の方針に基づいて決定する必要があります。最低賃金法を遵守することは必須であり、同様の業務を行う日本人学生と同等の水準での報酬支払いが望ましいですが、具体的な報酬額はインターンシップの性質や企業の方針によって異なることがあります。
質問3:外国人インターンシップ生と円滑な意思疎通を図る上で、留意すべき点は何でしょうか?
外国人インターンシップ生との円滑な意思疎通を図るためには、異文化理解と敬意を持つことが不可欠です。日本語の習熟度を考慮し、平易な言葉を用いて明確に伝えることが重要です。また、インターンシップ生の文化的背景を理解し、彼らが気軽に質問できる環境を整えることで、積極的な対話を促進することができます。具体的には、定期的なフィードバックを行ったり、文化交流の場を設けたりすることも効果的です。





