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休職手当とは?受給条件、期間、金額を徹底解説

「休職」という言葉を聞いたことはあっても、休職手当について詳しく知っている方は少ないのではないでしょうか。日本の法令上、「休職手当」という全国一律の公的給付があるわけではありません。休職手当は、傷病手当金や休業手当など、求職中における生活を保障するための給付全般を指します。病気やケガ、家族の介護など、様々な理由で休職せざるを得ない状況になった際に、経済的なサポートを受けられる制度です。しかし、受給には条件があり、期間や金額も一律ではありません。この記事では、休職手当の概要から、受給条件、期間、金額までを徹底的に解説します。休職を検討している方、あるいは休職手当について詳しく知りたい方は、ぜひ参考にしてください。

休職の定義

休職とは、従業員が個人的な理由により、雇用契約を維持したまま、会社から労働義務を免除されることを指します。

具体的には、以下のような特徴があります(詳細な規定は企業ごとに異なる)。

  1. 長期的な休み: 従業員は、会社の就業規則に基づき、個人の都合で長期間休暇を取得することができます。

  2. 労働義務の免除: 休職中、従業員は業務を行う義務がなくなります。

  3. 給与の扱い: 休職中の給与は基本的に発生しませんが、企業によっては独自の給与補償制度が存在する場合があります。

  4. 社会保険の継続: 休職中も社会保険は原則として継続され、会社は会社負担分の社会保険料を支払い続けます。無給だと給与天引きできないため、本人負担分は会社から別途請求される(振込等)運用が一般的です。

  5. 就業規則での規定: 休職制度は法定の一律制度ではなく、就業規則等に基づき運用されます(ただし法令に反しない範囲)。

休職は、欠勤や休業とは異なる概念です。欠勤は労働義務が免除されない短期的な休みを指し、休業は主に会社都合や法令に基づく休みを指します。

出典:厚生労働省「モデル就業規則」

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku/0000118951.pdf

休職と類似の制度:欠勤、休業、離職との相違点

欠勤、休業、休職には以下のような相違点があります。

欠勤

欠勤とは、労働義務のある日に従業員が自己都合で勤務を全く欠くことを指します。

  • 労働義務は免除されない

  • 基本的に給料が支払われない

  • 通常は短期間(1日単位)の休み

  • 申請なく勤務しないこと

休業

休業は、会社側または労働者側の特別な事情により、業務免除を命じられて取得する休暇です。

  • 会社都合や法律で認められた理由(育児休業、介護休業など)による

  • 会社都合の場合、平均賃金の60%以上の休業手当を支給する必要がある

  • 自然災害など会社に責任がない場合は、手当支給の義務なし

休職

休職は、従業員の個人的な事情により、会社から許可を得て長期間労働を免除してもらう制度です。

  • 会社に正式に申請し認められる必要がある

  • 通常、数か月から1年以上の長期間

  • 雇用契約を維持したまま労働義務が免除される

  • 原則として賃金支払義務は発生しない

これらの違いを理解することで、各制度の適切な運用と管理が可能となります。

休職理由の種類:病気、自己都合、留学、公務など

休職が認められる理由は多岐にわたりますが、代表的な理由として以下の7つが挙げられます。

  • 病気休職: 業務外の病気やケガにより就業が困難な場合に、治療を目的として取得する休職です。医師の診断書が必要であり、復職時にも再度診断が必要になることがあります。精神的な疾患(うつ病など)も含まれますが、具体的な条件については企業の就業規則に依存します。

  • 自己都合休職: 従業員自身の事情による休職で、ボランティア活動や家庭の事情などが該当します。ただし、企業によっては特定の理由が必要な場合もあります。

  • 留学休職: 従業員が自主的にキャリアアップ(語学、資格取得、専門知識の習得など)を目的として海外留学する場合の休職です。企業からの指示ではなく、職場復帰が前提となりますが、具体的な取り決めは企業によって異なります。

  • 公職就任休職: 地方公共団体の議員や国会議員などの公職に就任し、公職業務と通常の業務との両立が困難になった場合に利用できる休職です。

  • 事故欠勤休職: ケガや病気以外の理由(例えば、刑事事件への関与による身柄拘束など)による休職です。このカテゴリーには、他の理由に該当しない個人的な事情による欠勤も含まれます。

  • 起訴休職: 刑事事件で起訴された場合に、企業の社会的信用を維持するために休職を命じられることがありますが、必ずしも起訴休職となるわけではなく、企業の判断に依存します。

  • 組合専従休職: 労働組合の役員が組合活動に専念するために取得する休職です。組合専従者への給与支払いは労働組合法により原則として禁止されていますが、具体的な取り決めは企業によって異なることがあります。

休職期間中の給与と手当:傷病手当金について

休職期間中は原則として給与は支払われません。ただし、業務外の病気やケガで休職する場合、健康保険から傷病手当金が支給されることがあります。傷病手当金は、休職中の生活を支えるための重要な給付金です。支給要件を満たせば、給与の一部を補填する形で手当金を受け取ることが可能です。

なお、業務上(労災)の病気・けがは、健康保険の傷病手当金ではなく労災保険の対象です。

傷病手当金の受給要件:加入状況、就労不可、待機期間

傷病手当金を受け取るためには、以下の条件を満たす必要があります。

  • 健康保険への加入: 勤務先の健康保険(社会保険)に加入していることが求められます。ただし、国民健康保険加入者に、傷病手当金の制度はありません。

  • 就労不能状態: 病気や怪我により、従来の業務を遂行できない状態である必要があります。医師の診断書や意見、実際の業務内容を考慮して判断されます。美容整形など、保険適用外の治療を目的とした休業は一般的に対象外です。

  • 連続する3日間の待機期間: 3日間連続で休むことで待機期間が完了し、4日目から傷病手当金が支給されます。待機期間には土日祝日、有給休暇、欠勤日も含まれます。

  • 給与の不支給: 休業期間中に会社から給与が支払われていないことが条件です。一部給与が支払われている場合は、傷病手当金との差額が支給されることがあります。なお、有給休暇を取得している間は、傷病手当金は支給されません。具体的な適用条件については、各自治体の規定を確認することが重要です。

傷病手当金の支給期間:上限は1年6か月

傷病手当金が支給される期間は、同一の病気または怪我につき、最長で1年6か月です。支給開始日から通算して1年6か月となります。受給期間中に会社を退職した場合でも、退職日までに継続して1年以上の被保険者期間があれば、残りの期間について引き続き受給することが可能です。

傷病手当金の計算方法:標準報酬月額を基に算出

傷病手当金の1日当たりの支給額は、以下の計算式で算出されます。

(支給開始日以前12か月間の各標準報酬月額の平均額)÷ 30日 × (2/3)

標準報酬月額は、月々の給与を一定の範囲で区切った金額で、勤務先で確認できます。この計算式により、傷病手当金は、おおよそ普段の給料の3分の2程度が支給されることになります。

休職中の社会保険料と住民税:継続する支払い義務

休職期間中も、社会保険料(健康保険料、厚生年金保険料)および住民税の納付義務は継続します。社会保険料は、会社を辞めていない限り、健康保険の加入者であるため納めなければなりません。住民税は前年の所得に応じて課税されるため、休職して給与がなくても納付義務が発生します。通常、これらの費用は給与から天引きされますが、休職中は自身で納める(あるいは勤務先に建て替えてもらう)必要があるので注意が必要です。

休職の申請方法と手続き:会社への申請と必要書類

休職を申し込む際の手順は、勤務先によって異なりますが、一般的には下記のような流れで進みます。

  1. 会社への相談: まず、直属の上司や人事部に休職したい旨を伝えます。休職する理由や希望する期間を具体的に伝え、会社の制度や手続きについて確認しましょう。

  2. 休職願の提出: 会社指定の休職願(または休職届)に必要事項を記入し、提出します。休職理由、休職期間、休職中の連絡先などを明確に記載します。

  3. 診断書の提出: 病気やけがによる休職の場合、医師の診断書が必要になります。診断書には、病名、症状、休養が必要な期間などが記載されていることが求められます。

  4. 会社からの承認: 会社は提出された休職願と診断書の内容を審査し、休職の可否を決定します。承認後、休職中の連絡方法や復職に関する手続きの説明を受けます。

休職後の復職:準備と手続き、リハビリ出勤

休職からの職場復帰は、休職の理由や期間によって異なりますが、通常は以下のステップで進みます。

  1. 復職の意思表示: 復帰が可能になった時点で、会社に対して復職したいという意思を明確に伝えます。この際、各企業の規定に従うことが重要です。

  2.  医師の診断: 病気で休職していた場合は、復職可能であることを証明する医師の診断を受け、診断書を会社に提出します。診断書の内容や形式は、企業によって異なる場合があるため、事前に確認が必要です。

  3. 復職面談: 上司や人事担当者と復職に向けた面談を行います。この面談では、復帰後の働き方や業務内容について具体的に話し合い、必要に応じてリハビリ出勤や時短勤務などの措置を検討します。

  4. 復職: 会社が復職を承認した場合、具体的な復職日が決定されます。復職後は、健康状態や業務に対する適応を随時確認しながら、円滑な職場復帰を目指します。

復職後の注意点:再発防止、フォローアップ体制

職場復帰後は、再発を避けるために、以下の点に注意することが大切です。

  • 体調管理: 規則正しい生活を送り、十分な睡眠時間を確保することは、健康維持に不可欠です。日々の生活リズムを整えることで、心身の健康を保ちましょう。

  • ストレス管理: ストレスの原因を特定し、自分に合ったストレス解消法(運動、趣味、リラクゼーションなど)を見つけることで、ストレスを効果的にコントロールできます。

  • 周囲との連携: 上司や同僚と積極的にコミュニケーションを取り、問題があれば相談することで、職場内での良好な人間関係を築くことが重要です。

  • フォローアップ: 企業によっては、産業医やカウンセラーによるサポート体制が整っていることがあります。このようなリソースを積極的に活用し、自分自身でも心身の健康を維持するための再発防止策を講じましょう。

休職と退職:選択肢と判断基準

休職期間が終了しても復職が難しい場合や、休職中に退職を希望する場合には、退職という選択肢も考えられます。退職を判断する基準として、以下の点が挙げられます。

  • 体調の回復状況: 復職後に十分に業務をこなせる状態であるかどうか。

  • キャリアプラン: 今後のキャリアプランと合致しているかどうか。

  • 生活状況: 休職中の収入や生活費を考慮し、経済的に安定した生活を送れるかどうか。

退職を選択する場合は、会社の就業規則に従って退職手続きを進めることが重要です。また、退職後の生活設計についても十分に検討し、必要に応じて専門家に相談することをお勧めします。

まとめ

休職とは、従業員が様々な事情により一時的に業務を行うことが難しい場合に、雇用関係を維持しながら、安心して生活を送るための制度です。休職の理由、期間、給与、申請方法など、様々な側面がありますが、この記事では、休職の定義から職場復帰までの必要な情報を幅広く解説しました。休職制度をきちんと理解し、必要に応じて活用することで、心身の健康を保ちつつ、より豊かな職業生活を送ることができるでしょう。

休職中に別の仕事はできますか?

休職中に別の仕事ができるかどうかは、休職の理由や会社の規則によって異なります。病気や怪我による休職の場合、治療に専念することが求められるため、一般的には別の仕事を行うことは認められません。一方、自己都合による休職の場合、会社の規則に応じて別の仕事が許可されることもありますので、事前に会社に確認することをお勧めします。

休職期間は勤務年数に加算されますか?

休職期間が勤務年数に加算されるかどうかは、会社の就業規則によって決まります。多くの場合、休職期間の一部または全部が勤務年数に加算されますが、会社によっては加算されないこともあります。休職する前に、会社の就業規則を確認しておくことが大切です。

傷病手当金は、どんな流れで請求するのですか?

傷病手当金の請求手続きは、概ね以下の通りです。

  1. ご加入の健康保険、もしくは協会けんぽに、申請に必要な書類を求めます。

  2. 申請書に所定の事項を記入し、担当医師による証明、そして事業主による証明をそれぞれ受けてください。

  3. 作成が完了した申請書類を、健康保険組合、または協会けんぽへ提出します。

申請の際には、医師の診断書や出勤状況を示す書類など、添付書類が必要となるケースがあります。詳細については、加入されている健康保険組合、または協会けんぽに確認するようにしてください。

監修:社労士 柴田充輝
監修:社労士 柴田充輝
厚生労働省やハローワークに10年勤務した経験を持ち、社会保険や労働保険の実務を担当。現在は、今までの業務経験や社会保険労務士としての知識を生かし、人事労務や社会保険、労働安全衛生に関するコラムを執筆・監修している。社会保険関係や金融関係の記事を中心に、1,200記事以上を執筆・監修経験あり。

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