
産休・育休の計算方法を徹底解説!
「そろそろ産休・育休について考え始める時期かな?」そんなあなたに向けて、最新の産休・育休に関する情報を徹底解説します。複雑に感じる計算方法も、この記事を読めば大丈夫。手当金の受給資格や計算方法などわかりやすくステップごとにご紹介します。安心して出産・育児に臨むための第一歩を、ここから始めましょう!
産休手当(出産手当金)とは?
産休手当(出産手当金)は、会社員などが加入する健康保険から、出産のために仕事を休んだ際に支給される給付金です。正式には出産手当金と呼ばれます。これは、出産に伴う休業期間中の収入減少をサポートし、経済的な負担を軽減することを目的としています。労働基準法第65条では、出産予定日の6週間前(多胎妊娠の場合は14週間前)から産後8週間までの休業が認められていますが、この期間中の賃金は必ずしも支払われるとは限りません。そのため、産休手当は、休業中の生活を支える上で非常に重要な役割を果たします。
出典:厚生労働省「出産手当金 - 働く女性の心とからだの応援サイト」
https://www.bosei-navi.mhlw.go.jp/glossary/provide02.html
産休手当の計算方法:日額と標準報酬月額
産休手当の金額は、日額を算出し、それを支給対象となる日数に乗じて計算します。具体的な計算式は以下の通りです。
1日あたりの産休手当 = 標準報酬日額 × 2/3
標準報酬日額は、以下の計算式で算出します。標準報酬日額 = 支給開始日以前12か月間の標準報酬月額の平均額 ÷ 30日
もし、支給開始日以前の期間が12か月に満たない場合は、以下のいずれか低い方の金額が用いられます。
支給開始日の属する月より前の、継続した各月の標準報酬月額の平均額
一定額(32万円:令和7年4月1日以降に支給が開始される場合)
標準報酬月額とは、月々の給与などの報酬額を一定の範囲で区切った金額のことです。標準報酬月額とは、毎月の給与等(報酬月額)を区切りのよい幅で区分した等級(区分)です。毎年4月~6月の3か月間の報酬平均額(支払基礎日数17日以上の月を基準)を計算し、標準報酬月額表で該当等級の額に当てはめたもので、社会保険料や各種給付の計算の基礎になります。
産休手当の支給条件:健康保険への加入と休業
産休手当を受け取るには、いくつかの条件を満たす必要があります。
健康保険への加入:勤務先の健康保険(協会けんぽ、健康保険組合、共済組合など)に加入していることが必要です。パートやアルバイトの方でも、条件を満たせば加入できます。
妊娠4か月(85日)以上の出産:健康保険における「出産」とは、妊娠85日以降の出産(早産を含む)、死産、人工妊娠中絶を指します。そのため、妊娠4ヶ月未満での流産の場合は支給対象外となります。
出産のために会社を休み、給与が支払われていないこと:原則として、出産のために休業し、その期間に給与が支払われていないことが条件です。もし給与が支払われている場合でも、その金額が産休手当よりも少ない場合は、差額が支給されます。
支給対象は、(出産が予定日後の場合は予定日を起点として)出産日以前42日(多胎は98日)から、出産の翌日以後56日までの範囲内で、会社を休み給与の支払いがない日です。なお、出産が予定日より遅れた場合は、その遅れた期間も支給対象になります。
産休手当が支給されないケース
出産手当金(産休手当)が支給されない主なケースは以下の通りです。
国民健康保険加入者: 自営業者や個人事業主など、国民健康保険の被保険者は制度の対象外です。会社員が退職後、国民健康保険に切り替えた場合も同様です。
健康保険の被扶養者: 配偶者の健康保険の扶養に入っている場合、被保険者本人が出産しても支給対象外です。扶養者ではなく被保険者自身が制度を利用する必要があります。
健康保険の任意継続被保険者: 退職後、任意継続制度で健康保険に加入している場合、原則として支給対象外です。ただし、退職時点で要件を満たしているなど「資格喪失後の継続給付」に該当する場合は、任意継続であっても出産手当金を受け取れることがあります。
休業中に給与が支払われる場合: 産休期間中に給与が「標準報酬月額の平均÷30日×2/3」を超える場合や、公務員など産休中も全額有給の場合は支給されません。ただし、給与が手当金額より少ない場合は差額が支給されることがあります。
申請期限の経過: 支給申請は「出産のため労務に服さなかった日ごとにその翌日から2年以内」が期限です。これを過ぎると権利を喪失します。
勤務先の健康保険(協会けんぽ・健康保険組合等)の被保険者でない場合(被扶養者、国民健康保険など)は出産手当金の対象外です。
退職後・退職予定の場合の産休手当
退職後に健康保険の資格を失うと、基本的には産休手当(出産手当金)を受け取ることができません。しかし、以下の2つの条件を両方とも満たしている場合には、退職後も受給が可能です。
退職日までに1年以上継続して健康保険に加入していたこと。
退職日に出産手当金の支給要件を満たしていること(具体的には、産休が既に始まっている状態であること)。
これらの条件を満たすことで、退職後も産休手当の受給資格を得ることができます。ただし、詳細については勤務先や加入している健康保険組合なに確認することをお勧めします。
産休手当の申請方法と流れ
産休手当を申請するには、以下の手順で進めます。
従業員による必要書類の準備:「健康保険出産手当金支給申請書」を用意します。この申請書は、勤務先の労務担当部署から受け取るか、協会けんぽや健康保険組合のホームページからダウンロードできます。
従業員による申請書への記入: 申請書に、被保険者である従業員自身の情報を記入します。
医師・助産師による証明: 申請書の一部を医師または助産師に渡し、出産に関する証明を記載してもらいます。
会社による証明と提出: 従業員から提出された申請書に、会社(事業主)が事業主証明欄を記入し、協会けんぽまたは健康保険組合に提出します。
産休手当の申請期限:申請は2年以内
産休手当(育児休業給付金)は、育児休業の開始日から2年以内に申請することが必要です。2年を超えると、受給権が消滅してしまうため注意が必要です。育児休業期間を分けて申請することは可能ですが、その都度、事業主の証明書が必要となります。
育休(育児休業)とは?
育児休業、通称「育休」は、従業員が原則として1歳に満たないお子さんの育児のために取得できる制度です。産後休業とは異なり、育休は従業員からの申請に基づいて取得するもので、男女問わず利用できます。育休期間中は、所定の要件を満たすと、雇用保険制度から育児休業給付金が支給されます。
育休の対象者
育児休業(育休)の対象者は以下の条件を満たす労働者です。
基本条件
1歳未満の子を養育していること。
子が1歳6ヵ月になる日まで労働契約が継続する見込みがあること。
養育する子には実子・養子・特別養子縁組中の子・里親委託中の子が含まれます。
雇用形態別の要件
正社員・パート・アルバイト(無期雇用):雇用保険の加入条件(週所定労働時間20時間以上、31日以上の雇用見込み)を満たし、上記の基本要件を満たせば対象となります。
有期契約労働者:上記の基本要件に加え、子が1歳6か月(保育所等で保育の実施が行われないなどの理由で、それ以降も育児休業を取得する場合は2歳)に達する日までの間に、労働契約の期間が満了することが明らかでないこと が必要です。
派遣社員:派遣元企業で雇用保険に加入しており、上記の要件を満たせば対象となります。申請は派遣元企業を通じて行います。
労使協定を締結している場合、以下の労働者は育児休業の対象から除外される可能性があります。
入社1年未満の従業員
申出の日から1年(延長の場合は6か月)以内に雇用関係が終了することが明らかな従業員
1週間の所定労働日数が2日以下の従業員
ただし、労使協定を締結していない場合は、会社は育児休業の取得を拒めません。育児休業が取得できても、雇用保険の被保険者期間の要件を満たさなければ給付金は支給されない点に注意が必要です。
なお、育児休業給付金は男女を問わず取得可能であり、要件を満たせば男性・女性ともに取得でき、育休手当を受け取れます。企業は正当な理由なく育児休業の申請を拒否することはできません。
男性の育休と産後パパ育休の違い
男性が取得できる育休には、通常の育児休業に加えて、「産後パパ育休(出生時育児休業)」という制度が存在します。産後パパ育休は、お子さんの出生後8週間以内に、最大4週間(28日間)を2回まで分割して取得できる制度で、通常の育休とは別に利用可能です。
通常の育休と産後パパ育休の主な違いは以下の通りです。
取得期間:育休は原則としてお子さんが1歳になるまでですが、産後パパ育休は出生後8週間以内という短い期間に限られます。
就業の可否:育休中は基本的に就業できませんが、産後パパ育休は労使間の合意があれば就業が認められます。
育休期間の計算方法
育休を取得できる期間は、原則としてお子さんが1歳になる日の前日までです。ただし、保育園に入園できないなどの事情がある場合は、1歳6ヶ月、または2歳まで延長が可能です。育休の開始日は、出産した本人(母親)の場合、一般的には産後休業の終了後です。一方で、父親の育休(出生時育児休業を含む)など、開始時期は家庭・雇用状況により異なります。
出典:厚生労働省「Ⅱ-1 育児休業制度」
https://www.mhlw.go.jp/content/11909000/000355360.pdf
育児休業給付金とは?
育児休業給付金とは、育休期間中に会社から給与が十分に支払われない場合に、雇用保険から支給されるお金のことです。この給付金は、出産した女性だけでなく、夫である男性も条件を満たせば受け取ることができます。
育児休業給付金の計算方法
育児休業給付金の金額は以下の計算式で決まります。
育休開始から180日まで:休業開始時賃金日額 × 支給日数 × 67%
育休開始から181日以降:休業開始時賃金日額 × 支給日数 × 50%
休業開始時賃金日額は、原則として、育児休業開始前6か月間の総支給額(保険料等控除前、賞与除く)を180で除した額です額を指します。この賃金には、残業代や通勤手当が含まれる場合もありますが、具体的には実態や状況に応じて異なるため、事前に確認が必要です。
育児休業給付金の上限と下限
育児休業給付金には、支給される金額に上限と下限が定められています。賃金日額の上限額は16,110円、下限額は3,014円であり、これは2025年8月からの情報で、2026年7月31日までの期間に適用されます。実際に支給される給付金の額は、これらの上限額と下限額を考慮して計算されますが、法律や制度の変更により見直される可能性があるため、最新の情報を確認することが重要です。
2025年4月の育児休業給付金制度変更のポイント
2025年4月の雇用保険法改正により、育児休業給付金制度に以下の重要な変更が導入されます。
1. 給付率の引き上げ(手取り10割相当)新設される「出生後休業支援給付金」と従来の育児休業給付金を併用することで、最大28日間の支給率が賃金額面の80%(手取り10割相当)に向上しています。
現行制度:育休開始後6ヶ月間は賃金の67%(手取り約8割)
新制度:両親が子の出生後8週間以内に14日以上の育休を取得した場合、13%が上乗せ。
2. 支給条件の拡充
配偶者が専業主婦(夫)の場合やひとり親家庭では、単独での取得でも給付率引き上げが可能になります。
対象期間:男性は子の出生後8週間以内、女性は産後休業終了後8週間以内
3. 延長手続きの厳格化保育所入所不承諾を理由とした延長申請時、以下の要件が追加されます。
保育所申込が「速やかな職場復帰のため」と認められること。
申込書の写し等の客観的証拠の提出が必須になります。
延長申請時には、保育所等の利用申込書の写しや入所不承諾通知書等の写しなど、市区町村発行の入所不可に関する証明が必要になりました。対象は「子が1歳/1歳6ヶ月に達する日が2025年4月1日以降」のケースです。
4. 制度名称の変更「育児休業給付」から「育児休業等給付」に名称変更し、新たに2つの給付が追加されます。
出生後休業支援給付金:共働き世帯の収入源を補填。
育児時短就業給付金:時短勤務中の所得を補償。
出生後休業支援給付金は、2025年4月から開始された制度で、子の出生直後の一定期間に夫婦ともに14日以上の育休を取得した場合に支給される雇用保険の給付金です。
支給額は休業開始時賃金日額×休業日数(最大28日)×13%で、育休給付金(67%)と合わせて賃金の80%(手取り10割相当)になります。
育児時短就業給付金は、同じく2025年4月開始で、2歳未満の子を養育するための時短勤務による賃金低下を補う給付金です。
雇用保険被保険者が2歳未満の子養育のため1週間の所定労働時間を短縮し、賃金が低下した場合に支給されます。なお、支給額は原則時短中賃金の10%(賃金90%超の場合調整)です。
注意点
上限額:休業開始時賃金日額には上限が設定(2025年8月以降で1日16,110円)されています。
非課税扱い:給付金には所得税・社会保険料が課されません。
これらの改正は、少子化対策として育休取得の経済的負担軽減を図り、特に男性の育休取得を促進する目的で設計されています。
出典:厚生労働省「育児休業を取得予定の方、育児休業給付の手続きを行う事業主の皆さまへ」
https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/001372778.pdf
人事部門の業務効率化がなぜ重要なのか
従業員が安心して産前産後休業や育児休業を取得し、出産や育児に集中できる環境を整えるためには、企業側の支援が不可欠です。人事・労務担当者は、関連制度や申請方法の説明、手続きのサポートなど、多岐にわたる業務を担います。これらの業務をスムーズに進めるために、人事部門の業務効率化を支援するシステムの導入を検討することが重要となります。
人事関連業務を効率化するシステムを導入することで、申請手続きや給与計算などの業務にかかる時間や手間を削減し、人事・労務担当者がより従業員一人ひとりの状況に合わせたサポートに力を注げる体制を構築できます。
まとめ
産休中に受け取れる手当と育休中に受け取れる手当は、出産・育児期間中の経済的な負担を軽減するための重要な公的制度です。これらの制度について正確に理解し、適切な時期に申請を行うことで、経済的な心配を減らし、安心して出産・育児に専念できます。企業側も、制度に関する情報提供や申請の支援、人事関連業務の効率化などを通じて、従業員の出産・育児を積極的にサポートしていくことが求められます。
産休手当はどのくらいで振り込まれますか?
産休手当は、申請書類に不備がない場合、地域や雇用主により異なりますが、一般的には申請後1〜2ヶ月程度で指定の金融機関口座に振り込まれることが多いです。出産後、必要書類を迅速に準備し、早めに申請手続きを行うことをお勧めします。具体的な手続きについては、勤務先に確認することが重要です。
産休手当と出産育児一時金は何が違うのですか?
産休手当は、健康保険に加入している被保険者が出産のために会社を休業した場合に、休業期間中の収入を一部補填する目的で支給されるものです。一方、出産育児一時金は、健康保険の被保険者またはその扶養家族が出産した際に、出産にかかる費用の一部を補助するために支給されるものです。出産育児一時金の額は、子ども1人あたり原則50万円です(産科医療補償制度に加入していない医療機関での出産や妊娠22週未満の出産などの場合は488,000円)。
このように、産休手当と出産育児一時金は支給対象者や支給の目的が異なります。
育児休業給付金は、育休期間を通して一定額が支給されるのでしょうか?
育児休業給付金は、育休開始日から180日までは休業開始時賃金の日額の約67%、181日以降は約50%に減額されます。2025年4月からの改正により、新たに「出生後休業支援給付金」が導入され、これを従来の育児休業給付金と併用することで、最大28日間の支給率が賃金の80%に向上しています。





