人材派遣における二重派遣とは?禁止の理由や違反時の罰則・見極める方法を解説
こんにちは。スキマバイト募集サービス「タイミー」ライターチームです。
人材派遣を利用する場合、二重派遣に注意が必要です。二重派遣とは、派遣先の企業が派遣スタッフを他の企業へ再び派遣することを意味しています。
この記事では、二重派遣が禁止されている理由や違反した場合に科される罰則を解説します。二重派遣に該当するかどうか見極める方法についても解説するため、ぜひ役立ててください。
目次[非表示]
- 1.そもそも人材派遣業とは
- 2.二重派遣とは
- 2.1.二重派遣の事例
- 3.二重派遣が法律で禁止されている理由とは
- 3.1.派遣スタッフの労働条件が変わる可能性がある
- 3.2.責任の所在が不明確になる
- 3.3.派遣スタッフが不利益を被る恐れがある
- 4.二重派遣を行った場合の罰則とは
- 5.二重派遣を見極める方法とは
- 5.1.派遣スタッフに雇用契約を結んでいる会社を確認する
- 5.2.契約内容を確認する
- 6.雇用契約に関する用語の違いを解説
- 7.まとめ
そもそも人材派遣業とは
人材派遣とは、派遣元企業に所属する労働者が、派遣先企業のもとで労働することです。派遣スタッフは派遣元の企業と雇用契約を結んでいますが、実際に働く際は派遣先の企業から指示を受けます。派遣先の企業が派遣元の企業へ派遣料金を支払い、派遣元の企業が派遣スタッフに給与を支払う仕組みです。
人材派遣には期間の上限が定められており、1つの派遣先で同じ派遣スタッフを受け入れられる期間は原則3年までです。ただし、派遣先の過半数労働組合または派遣先労働者の過半数を代位表する人の意見聴取によっては、3年を限度として派遣期間を延長できます。その場合、同じ組織内では就業できないため、派遣スタッフは他の部署などへ異動する必要があります。
二重派遣とは
二重派遣とは、派遣スタッフを受け入れている企業が別の企業へ派遣スタッフを再派遣することです。通常の派遣では、派遣元の企業と派遣スタッフが雇用契約を結んだうえで、派遣先の企業へ派遣されています。派遣元の企業と派遣先の企業も契約を結んでおり、派遣元の企業は派遣料金を受け取っています。
二重派遣は法律によって禁止されている行為です。二重派遣は派遣スタッフにとって不利な状況を作りやすい特徴があり、禁止されている詳しい理由については後述します。なお、二重派遣が行われているケースでは、派遣先の企業が再派遣先の企業から仲介手数料を受け取っている場合もあります。
二重派遣の事例
システム開発を行っているある企業は、システムエンジニアを二重派遣していました。業務委託として派遣スタッフを受け入れた後、再び業務委託契約を締結して別の企業へ派遣していた事例です。この企業には、東京労働局から事業改善命令が出されました。
二重派遣が法律で禁止されている理由とは
二重派遣は法律により禁止されています。ここでは、その理由を詳しく解説します。
派遣スタッフの労働条件が変わる可能性がある
通常、派遣スタッフは派遣元の企業と雇用契約を結び、そこで定められた範囲内で業務に従事します。具体的には、勤務時間、残業の有無、休日、契約期間、業務内容などについて明確な条件が定められています。派遣先の企業は、この条件に沿って派遣スタッフへ指示を出さなければなりません。
二重派遣が行われている場合、再派遣先となる企業はもとの雇用契約に関与していません。そのため、雇用契約の範囲を逸脱する指示を出す恐れがあります。例えば、派遣スタッフは雇用契約で定められていない業務に従事することになったり、給与が勤務時間に見合わなかったりするリスクがあります。
このようなトラブルが発生しても派遣スタッフは立場上抗議しにくく、不当な条件で働き続けてしまう可能性が高いです。
責任の所在が不明確になる
二重派遣では、責任の所在も曖昧になります。通常は、派遣元の企業と契約している派遣先の企業が派遣スタッフに指示を出します。この場合、派遣スタッフと雇用契約を結んでいる派遣元の企業は、派遣スタッフが実際に働いている環境について確認しやすいです。
しかし、二重派遣が行われると、派遣元の企業は派遣スタッフが実際にどのような環境で働いているのか把握しにくくなります。
その結果、派遣スタッフの雇用についてどの企業が責任を持つべきなのかはっきりしなくなるでしょう。何らかのトラブルが発生しても、派遣先の企業や二重派遣先の企業が責任を押し付け合い、問題を解決しにくくなります。
派遣スタッフが不利益を被る恐れがある
すでに触れたとおり、二重派遣においては派遣先の企業が二重派遣先の企業から仲介手数料を得る場合もあります。その手数料分の金額が派遣スタッフの給与から差し引かれているケースもあり、派遣スタッフにとって不利益になります。
二重派遣を行った場合の罰則とは
二重派遣を行うと、どのような罰則が科されるのでしょうか。以下で詳しく解説します。
労働基準法への抵触
派遣スタッフの二重派遣は、労働基準法の定めに抵触する恐れがあります。労働基準法第6条では中間搾取の禁止について定められており、違反すれば1年以下の懲役もしくは50万円以下の罰金が科されます。
労働基準法第6条に違反するのは、派遣先の企業が二重派遣を行い、二重派遣先の企業から仲介手数料を受け取っているケースです。この場合、派遣先の企業が派遣スタッフと二重派遣先の企業の間に入り、中間搾取を行っているとみなされる可能性があります。二重派遣をしている認識がなくても罰則の対象になるため、注意が必要です。
職業安定法への抵触
二重派遣を行っている場合、職業安定法にも抵触する可能性があります。二重派遣は労働者供給事業に該当しますが、職業安定法第44条では第45条で規定している以外の労働者供給事業を禁じています。
労働者供給事業に該当するかどうかは、雇用契約の有無が大きなポイントです。通常の派遣は派遣スタッフと派遣元の企業が雇用契約を結んでいるため、労働者供給事業には該当しません。派遣元の企業は、派遣事業を行うために厚生労働省の許可も得ています。
一方、二重派遣においては、派遣スタッフと派遣先の企業が雇用契約を結んでいません。単なる支配関係のもとで再派遣が行われるため、職業安定法第44条により禁止されている労働者供給事業に該当します。この場合、1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金が科されます。
罰則の対象者
二重派遣の罰則の対象者は、それぞれの法律によって異なります。労働基準法第6条に違反した場合に罰則の対象となるのは、派遣スタッフを再派遣した派遣先の企業です。一方、職業安定法違反第44条に違反した場合に罰則の対象となるのは、派遣スタッフを再派遣した派遣先の企業と、再派遣であることを知ったうえで受け入れた企業の両方となっています。
罰則の対象にならないようにするには、契約内容などを事前によく確認することが大切です。
二重派遣を見極める方法とは
二重派遣を見極めるには、どうすればよいのでしょうか。ここでは、二重派遣を見極める方法について解説します。
派遣スタッフに雇用契約を結んでいる会社を確認する
二重派遣かどうか確かめるには、はじめに派遣スタッフと雇用契約を締結している会社を確認しましょう。例えば、派遣元の企業A社と派遣スタッフが雇用契約を結んでおり、派遣先の企業B社で派遣スタッフが働いていれば、通常の派遣だと判断できます。
しかし、派遣元の企業A社と派遣スタッフが雇用契約を結んでおり、B社が派遣先の企業となっているにもかかわらず別のC社で派遣スタッフが働いている場合は、二重派遣が行われている可能性があります。
契約内容を確認する
なかには、労働者が派遣契約とみなされる働き方をしているにもかかわらず、契約内容は請負契約や委任契約などになっているケースもあります。契約内容と実態がそぐわない場合、偽装請負に該当するため要注意です。偽装請負も二重派遣と同じく罰則の対象となるため、見極めが必要になります。
雇用契約に関する用語の違いを解説
二重派遣を見極めるためには、雇用契約に関する用語の違いを理解しておくことが大切です。押さえておきたい用語について、以下で解説します。
業務委託
業務委託とは、企業の一定の業務を他の企業や個人に委託して対応してもらうための契約です。基本的に、業務を依頼した企業が直接指揮命令を出すことはできません。業務委託で仕事を請け負った企業や個人は、契約内容に沿って仕事を進めます。
業務委託の契約方法は、請負契約と委任契約、準委任契約の3つです。請負契約は仕事の完遂が条件となっており、成果物に対して報酬が支払われます。一方、準委任契約は仕事の遂行が条件であり、成果が出なくても報酬が発生します。また委任契約は、法律行為を委託する契約です。
出向
出向は、雇用契約を保ったまま、社員を関連企業や事業所の業務に従事させることです。給与は雇用している企業が支払いますが、指揮命令権は出向先の企業が持ちます。出向は一時的に社員を別の企業で働かせる方法であり、将来的に再び自社で働くことを前提としています。
まとめ
二重派遣は派遣スタッフに不利益を被らせる行為であり、法律で禁止されています。派遣で人材を確保する際は、二重派遣に該当しないか慎重に判断しなければなりません。雇用契約としては派遣以外にもさまざまな種類があるため、自社の状況に応じて最適なものを選択しましょう。
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