
会社役員の社会保険加入は義務?加入条件などを分かりやすく解説
こんにちは。スキマバイト募集サービス「タイミー」ライターチームです。
会社役員が社会保険に加入する必要があるかどうかは、役員が常勤か非常勤か、報酬の有無によって異なります。さらに、役員が家族を扶養として社会保険に加入が可能か否かや、社員との違いも気になる点でしょう。
本記事では、役員の社会保険に関する基本的な仕組みや、加入義務の条件、扶養に関する手続きについて詳しく解説します。役員としての立場を理解し、社会保険における責任と義務を把握するために、ぜひ参考にしてください。
目次[非表示]
- 1.社会保険とは?
- 2.役員と社員の社会保険適用の違い
- 3.役員の社会保険の加入条件
- 4.役員は社会保険の加入義務はある?
- 5.常勤役員と非常勤役員の判断基準
- 6.社会保険に加入できる事業所とは?
- 7.2024年10月の社会保険に関する法改正について
- 8.役員に昇格した場合は社会保険などの手続きを行う必要はある?
- 8.1.社内から役員に就任した場合
- 8.2.社外から役員に就任した場合
- 8.3.兼務役員に就任した場合
- 9.従業員の社会保険の加入条件
- 9.1.パートとアルバイトの加入条件
- 9.2.派遣労働者の加入条件
- 10.役員が家族を社会保険の扶養に入れることは可能?
- 10.1.扶養に入れるための条件
- 10.2.扶養に関する手続き
- 11.まとめ
社会保険とは?
社会保険とは、働く人々とその家族が安心して生活を送るための公的な保障制度です。病気、けが、老後生活、失業など、さまざまなリスクに対応する仕組みとして「健康保険」「厚生年金保険」「雇用保険」「労災保険」「介護保険」の5つが含まれます。
健康保険は医療費負担を軽減し、厚生年金保険は将来の生活費を支え、雇用保険は失業などの場合の生活支援、労災保険は業務中の事故に備えるなど、それぞれに異なる目的があります。
これらの保険は、会社と従業員が共同で保険料を負担し、社会全体で生活リスクを支える仕組みです。企業は、法律に基づいて従業員を適切に社会保険に加入させなければなりません。
役員と社員の社会保険適用の違い
役員と一般社員では、社会保険の適用基準が異なる場合があります。社員は通常、勤務時間や日数に応じて加入が義務付けられますが、役員の場合は職務内容や報酬によって加入の要否が判断されるケースが少なくありません。
加入条件は、役員と社員のそれぞれの立場に応じて異なるため、会社としては正確な基準に基づいて手続きを進める必要があります。
社員の場合
社員の場合、原則として週所定労働時間および1か月の所定労働日数が正社員の4分の3以上に該当するケースは、社会保険に加入が必要です。正社員だけでなく、所定労働時間が基準を満たすパートやアルバイトも含まれます。
雇用保険や労災保険は、勤務形態に関係なく適用され、従業員の健康や失業時の生活を守るために制度が整備されています。企業は従業員の雇用形態や勤務状況を踏まえ、適切に手続きを行うのが責務です。
また、一定の基準を満たすパート・アルバイトも社会保険の対象であり、加入させなければなりません。
役員の場合
役員の場合、社員と異なる基準で社会保険の適用が判断されます。常勤で一定の報酬を得ている場合には、法人の役員として社会保険(健康保険・厚生年金)に加入しなければなりません。
企業規模や従業員数に関係なく、条件を満たす全ての役員に適用されます。一方、非常勤や報酬が基準を下回る役員については、社会保険の加入対象外であるケースが一般的です。
役員は労働者ではないため、通常は雇用保険の適用外です。企業は役員の職務内容や報酬額に基づき、適切な加入手続きについて確認してください。
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役員の社会保険の加入条件
役員が社会保険に加入する必要があるかは、主に「常勤か非常勤か」「報酬の有無とその金額」によって決まります。
常勤で会社において日常業務に従事し、一定以上の報酬を得ている場合、企業規模にかかわらず健康保険や厚生年金への加入が必要とされます。非常勤や無報酬の役員は、一般的に社会保険の対象にはなりません。
具体的には、非常勤役員や無報酬役員は社会保険の対象から除外されるケースが一般的です。また、役員は雇用契約に基づく「労働者」と見なされないため、通常は雇用保険に加入できません。企業側は、役員ごとの勤務形態と報酬額を確認し、社会保険の手続きを適切に行いましょう。
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役員は社会保険の加入義務はある?
役員が社会保険に加入する義務は、常勤でかつ一定の報酬がある場合に発生します。健康保険や厚生年金への加入が求められるのは、常勤であり、かつ報酬が一定基準を超える役員が対象です。
一方、非常勤や無報酬の場合は、社会保険への加入義務が免除されるケースが少なくありません。役員が法人に所属する場合、従業員数に関係なく条件を満たせば社会保険の加入が必要です。
会社は役員の就労形態を把握し、基準を満たす場合は適切に手続きしてください。
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常勤役員と非常勤役員の判断基準
常勤役員と非常勤役員の区別は、主に勤務の実態に基づき判断されます。常勤役員とは、通常の勤務時間に会社の業務に従事し、経営や意思決定に積極的に関与する役員を指します。このような役員には、社会保険の加入が義務付けられる場合が多いでしょう。
非常勤役員は、特定の会議のみ出席したり助言を行うなど、限定的な業務に携わる役員を指します。非常勤役員は通常、社会保険の対象外と考えられているため、加入義務が発生しないケースが一般的です。
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社会保険に加入できる事業所とは?
社会保険に加入する事業所は、法律に基づき「強制適用事業所」と「任意適用事業所」に分類されます。強制適用事業所では、条件を満たした従業員が社会保険に加入する義務があり、会社の状況に応じて加入手続きを行わなければなりません。
強制適用事所
強制適用事業所とは、事業主や従業員の意思に関係なく社会保険の加入が義務付けられた事業所です。例えば、法人(株式会社や合同会社など)であれば、企業規模に関係なく社会保険が適用され、条件を満たした役員や従業員は加入する必要があります。
個人事業所でも、サービス業や商業などで常時5人以上の従業員を雇用している場合には、強制適用と見なされるので注意しましょう。強制適用事業所は、従業員やその家族に対する医療や年金の保障を確保する責任を負うため、保険料を適正に支払う義務が生じます。
任意適用事業所
任意適用事業所とは、社会保険へ加入が義務付けられてはいませんが、条件を満たし、厚生労働大臣の承認を得れば加入ができる事業所です。
従業員が常時5人未満の個人事業所が対象で、事業主と従業員が合意を得て申請を行い、認可が下りれば社会保険に加入できます。
加入すれば、従業員は医療や年金保障を受けられるようになります。任意適用事業所は脱退も認められており、事業主と従業員の合意により、再び厚生労働大臣の認可を得れば脱退も可能です。
2024年10月の社会保険に関する法改正について
2024年10月に施行予定の法改正によって、特定適用事業所の範囲が拡大され、これまでよりも多くの短時間労働者が社会保険に加入することになりました。具体的には、従業員数51人以上の事業所であればも、次の条件を全て満たす短時間労働者が健康保険や厚生年金に加入できます。
- 週の所定労働時間が20時間以上30時間未満
- 月額賃金が8.8万円以上
- 2カ月を超える雇用見込みがある
- 学生ではない
この改正により、条件を満たす短時間労働者も社会保険に加入できるようになり、医療保障や年金制度が利用できるようになります。企業は該当する従業員を把握し、必要な手続きを進める義務があります。
役員に昇格した場合は社会保険などの手続きを行う必要はある?
役員に昇格する場合、従業員として加入していた社会保険の資格喪失手続きや、役員としての新しい社会保険手続きが必要です。
手続きは、「社内昇格」「外部からの就任」「従業員と役員を兼務」といった役員就任のパターンによって異なります。以下でそれぞれに応じた手続き方法を説明します。
社内から役員に就任した場合
社内で従業員から役員に昇格する際には、まず雇用保険の資格喪失手続きが必要です。役員は一般的に「労働者」として認められないため、雇用保険の適用外です。
健康保険や厚生年金については、従業員としての加入が継続されるので、改めて手続きする必要はありません。役員として社会保険に加入するためには、「常勤」であり、「一定額以上の報酬を受け取っている」のが条件です。
非常勤や報酬が基準を下回るケースでは、社会保険の適用外とされる場合もあります。役員に昇格した際には、役員としての勤務形態や報酬の確認が求められます。
社外から役員に就任した場合
社外から新たに役員として就任する場合には、その会社での社会保険加入手続きが必要です。常勤で報酬が一定基準以上の場合、健康保険や厚生年金の加入対象になります。
非常勤役員や、報酬が一定額に満たない場合は、社会保険の適用外となるケースが多いでしょう。さらに、複数の企業で役員を務めている場合は、原則として「主たる勤務先」でのみ社会保険に加入が認められています。
企業は役員の勤務実態や報酬を確認し、条件に応じて正確に手続きしてください。
兼務役員に就任した場合
従業員として業務を続けながら役員も兼務する場合、社会保険の適用は勤務の指揮命令関係など勤務実態が重要です。従業員としての業務が主で、役員の業務が副次的であると証明できれば、健康保険や厚生年金は従業員として継続加入できます。その場合、「兼務役員雇用実態証明書」をハローワークに提出しなくてはなりません。
一方、役員としての役割が主要な場合には、雇用保険は適用外となり、社会保険の適用も異なります。企業は兼務役員の業務実態を把握し、証明書類を適切に準備しましょう。
従業員の社会保険の加入条件
従業員の社会保険加入条件には、勤務時間、賃金、雇用期間の他、事業所規模なども関係します。従業員が常時51人以上の事業所では、パートやアルバイトも条件を満たせば社会保険への加入が義務付けられています。
パートとアルバイトの加入条件
パートやアルバイトであっても、週所定労働時間と月の所定労働日数が正社員の4分の3以上であれば、社会保険(健康保険・厚生年金)に加入する必要があります。また、この条件を満たさないパートやアルバイトであっても、所定労働時間が週に20時間以上であって、以下の条件を全て満たす場合、加入義務が生じます。
- 月額賃金が8.8万円以上
- 雇用期間が2カ月を超える見込みである
- 学生ではない
- 従業員が51人以上の事業所で勤務している
以上の条件をクリアすれば、パートやアルバイトなど短時間勤務者も医療保障や年金制度の適用となります。企業側は該当者に対し、適切に手続きしてください。
「アルバイトの社会保険加入義務の条件や注意点とは?わかりやすく解説!」の記事も参考にしてください。
派遣労働者の加入条件
派遣労働者も、週所定労働時間と月の所定労働日数が正社員の4分の3以上であれば、社会保険(健康保険・厚生年金)への加入が必要です。派遣労働者の場合、派遣元(派遣会社)が加入手続きを行います。また、パートやアルバイトと同様に原則となる4分の3要件を満たさない場合であっても、派遣元企業が従業員数51人以上であれば、以下の条件を満たせば加入可能です。
- 週の所定労働時間が20時間以上
- 月額賃金が8.8万円以上
- 雇用期間が2カ月を超える見込みである
- 学生ではない
- 年齢が厚生年金は70歳未満、健康保険は75歳未満
以上の条件を満たす場合、派遣先の規模に関係なく、派遣元が社会保険へ加入手続きを行わなければなりません。派遣労働者も医療や年金制度の保障が受けられ、福利厚生が充実します。
役員が家族を社会保険の扶養に入れることは可能?
役員であっても、一定の条件を満たす場合は家族を社会保険の扶養に入れることは可能です。他の健康保険における加入状況や収入、生活状況が基準に合致すれば、役員の家族も扶養に入れます。
扶養に入れるための条件
役員が家族を扶養に入れるためには、家族の収入と生活実態をもとにした条件を満たす必要があります。原則として、扶養対象者の年収が130万円未満、かつ被保険者である役員収入の半分以下が対象者です。
ただし、60歳以上または障害者は年収180万円未満が対象です。同居していない家族でも、生活費の仕送りが証明できる場合には扶養に入れると解釈されます。
一時的に年収が130万円を超えた場合でも、収入が安定的に基準内に収まると判断されれば扶養が認められるケースもあります。扶養の基準は健康保険組合によって異なるため、事前に確認し、必要な証明書類をそろえておきましょう。
扶養に関する手続き
家族を扶養に入れる手続きは、加入している健康保険組合または年金事務所を通じて行います。具体的には「健康保険被扶養者(異動)届」の提出が必要で、扶養家族の収入証明や生活実態を証明する書類も添付しなくてはなりません。
保険組合ごとにそろえる書類は異なるケースも想定されるため、事前に確認して手続きを進めてください。扶養が認められると、家族も医療保障の対象に含まれます。
まとめ
会社役員の社会保険加入義務は、社員とは異なる条件で判断されます。役員が常勤で一定額以上の報酬を得ている場合、従業員数にかかわらず健康保険と厚生年金への加入が義務付けられます。
非常勤や無報酬の役員は対象外となる場合が少なくありません。従業員と役員を兼務している場合は、実際の勤務内容に応じて加入条件が変わるため、証明書類が必要です。
扶養に関しても役員には一定の条件があり、家族を扶養に入れる場合には基準に基いて確認しましょう。
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