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管理職の残業代は出ない?請求できるケースや定義を解説

こんにちは。スキマバイト募集サービス「タイミー」ライターチームです。


「管理職=残業代なし」という話を耳にしたことがある人も多いのではないでしょうか。しかし、全ての管理職が残業代を支給されないわけではありません。労働基準法では、「管理監督者」に該当する場合に限り残業代の支払いが免除されると規定しており、管理監督者に該当するかどうかは単なる役職や肩書だけでは決まらないのです。

本記事では、管理職に残業代が支給されない理由や、労働基準法上の管理監督者の定義、管理職で残業代が認められた事例などについて詳しく解説します。

目次[非表示]

  1. 1.管理職に残業代が支給されない理由とは?
    1. 1.1.管理監督者は基本的に残業代は支給されない
    2. 1.2.深夜の時間帯における勤務には深夜手当が支給される
    3. 1.3.管理職と管理監督者の違い
  2. 2.管理職の深夜手当の計算方法
  3. 3.労働基準法における管理監督者に該当するケース
    1. 3.1.会社の経営に関わる業務を行っている
    2. 3.2.責任や権限を委ねられている
    3. 3.3.勤務形態にとらわれない働き方をしている
    4. 3.4.責任や権限に見合った待遇を受けている
  4. 4.管理監督者に該当しない場合は残業代を支払わなくてはならない
    1. 4.1.肩書はあるが重要な業務と決裁権限を与えられていない
    2. 4.2.早退や遅刻によって減給される
  5. 5.管理職の残業を減らすための対処法
    1. 5.1.組織全体の意識を改善する
    2. 5.2.業務状況を把握する
  6. 6.管理職で残業代が認められた事例
  7. 7.管理監督者に該当しないのに残業代が支払われない場合の対処法
    1. 7.1.名ばかり管理職の証拠を集める
    2. 7.2.会社に通知書を送付して交渉する
    3. 7.3.交渉が難しい場合は労働審判や訴訟に
  8. 8.まとめ

管理職に残業代が支給されない理由とは?

「管理職=残業代が出なくなる」と聞いたことがある方も多いでしょう。しかし、実際には「管理監督者」に該当する場合のみ、残業代の支給が免除されます。ここでは、管理監督者が残業代を支給されない理由を解説します。

なお、労働基準法の内容についてさらに詳しく知りたい方は「労働基準法とは?給料・休憩・違反した時の罰則など分かりやすく解説」の記事も併せてチェックしてみてください。

管理監督者は基本的に残業代は支給されない

労働基準法では労働者の働き方を守るために、労働時間や休日に関する基準が定められています。その基準を超えて働いた場合、企業は社員に時間外手当や休日出勤手当を支払う義務があります。しかし「管理監督者」に該当する場合には、この規定が適用されません。

管理監督者とは、労働基準法第41条で「労働条件の決定その他の労務管理について経営者と一体的な立場にある者」と定義されています。つまり、単に管理職という肩書だけではなく、経営に深く関わる立場であることが求められます。

こうした立場にある管理監督者は自らの裁量で働くことが多く、残業や休日の概念が適用されないのです。

参考:日本労働組合総連合会「労働基準法の「管理監督者」」 

深夜の時間帯における勤務には深夜手当が支給される

管理監督者だからといって、時間外手当が一切支給されないわけではありません。労働基準法では、午後10時から午前5時までの労働に対して「深夜手当」の支給を企業に義務付けています。この深夜手当は通常の賃金に25%以上の割増率が加算されるため、深夜の労働が通常勤務と同じ扱いになることはありません。

では、なぜ残業手当や休日出勤手当が適用されない一方で、深夜手当が支給されるのでしょうか。その背景には、深夜労働が労働者の健康や生活に与える影響を軽減する目的があります。夜間の勤務は生活リズムを乱し、健康リスクを高める可能性があることから、特別な配慮が求められているのです。これにより、企業には夜間の労働を慎重に管理する責任が課されています。

管理職と管理監督者の違い

「管理職」と「管理監督者」を混同するケースは少なくありませんが、この2つには明確な違いがあります。管理職は企業内での役職を指し、部長や課長などの肩書を持つ従業員を指す場合が多いでしょう。ただし、管理職には法律上の明確な定義がなく、企業ごとの規定に委ねられているため、どの役職を「管理職」とするかは会社によってまちまちです。

一方、「管理監督者」は労働基準法上の用語であり、労働時間や休憩、休日の規定が適用されない特殊な立場とされています。注意しなければならないのは、管理職の全てが管理監督者に該当するわけではないということです。不当に管理監督者扱いを受けている、いわゆる「名ばかり管理職」の問題が発生するケースもあり、これが労働トラブルの原因になることも少なくありません。

適切に判断するには、役職名ではなく、実際の職務内容や待遇を基に管理監督者かどうかを見極める必要があるでしょう。


管理職の深夜手当の計算方法

管理監督者が深夜勤務をした場合、具体的にどの程度の手当が支給されるのかを見ていきましょう。

深夜手当の計算方法は、一般職と管理監督者で異なります。

一般職の深夜残業では、「時間外勤務の割増率1.25+深夜勤務の割増率0.25=1.5」の割増率が適用されます。しかし、管理監督者には「残業」という概念がないため、時間外勤務の割増は適用されません。そのため、管理職の深夜勤務における計算は、深夜勤務の割増分だけが加算される形です。

例えば、時給が3,000円の管理職が深夜勤務をした場合、その深夜勤務手当は、基本給に0.25倍を掛けた750円(3,000円×0.25)が1時間分の手当となります。一般職であれば、時間外勤務も加わって1.5倍の割増となり、4,500円の深夜勤務手当ですが、管理職の場合は深夜手当のみが支給されます。

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労働基準法における管理監督者に該当するケース

管理監督者は、経営者と一体的な立場で職務を遂行する存在とされています。しかし、この「経営者と一体的な立場」とは具体的にどのようなものなのでしょうか。

ここからは、管理監督者に該当するかどうかを判断する際の4つの観点について詳しく説明します。

会社の経営に関わる業務を行っている

管理監督者と認められる条件の1つは、会社の経営に深く関与していることです。ただ部下を管理・監督するだけでなく、人事権や意思決定にかかわる特別な権限を持っていることが求められます。

例えば、部下の採用や解雇、昇進の判断に直接携わり、成績評価を含む人事に関する重要な決定を行っているかどうかが判断基準となります。また、部門の予算や重要な施策の決定を自ら行い、その内容について経営会議で意見を述べたり、社長や経営陣に報告したりする立場であるかどうかも重要なポイントです。

一方、指示や命令を遂行する役割にとどまり、経営に関する発言力がない場合は、管理監督者として認められません。一般社員の業務範囲を大きく超え、会社の中核的な意思決定に貢献するポジションにあるかどうかが管理監督者の要件の1つです。

責任や権限を委ねられている

業務上の責任や権限をどれだけ委ねられているかも、重要なポイントです。管理監督者は、経営者に近い立場として、自らの判断で物事を進められる裁量を持つことが求められます。単に上司の指示を実行するだけのポジションでは、この条件を満たしているとはいえません。

一方で、課長や係長であっても部門全体の業績を左右する重要な決定を下せる立場にある場合や、部下の採用・配置・評価を含む人事に関する最終的な判断を任されている場合は、管理監督者に該当します。

勤務形態にとらわれない働き方をしている

勤務形態の自由度も判断基準の1つです。管理監督者は、組織の中で柔軟かつ迅速な意思決定が求められるため、勤務時間に厳密な制限が設けられていないことが一般的です。必要に応じて早朝や深夜に重要な会議を行うこともあり、一般社員のように厳しく出退勤を管理されることはありません。

残業時間が制限されている、あるいはタイムカードで細かく勤怠を管理されている場合は、勤務形態が管理監督者の条件に合致しているとはいえないでしょう。

責任や権限に見合った待遇を受けている

責任や権限に見合った待遇を受けているかどうかも重要です。管理監督者は経営者と同等の業務を行うため、一般社員とは賃金や報酬が異なります。ところが、役職手当が支給されない、あるいは年収が一般社員とほとんど変わらないなどがあれば、管理監督者には該当しません。

また、役員クラスになると役員報酬が支給されるほか、家賃の免除や生命保険の負担といった待遇があることもあります。これらの点を考慮し、管理監督者としての条件を満たしているか確認することが大切です。

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管理監督者に該当しない場合は残業代を支払わなくてはならない

管理監督者に該当しない場合、労働基準法に基づき、企業は従業員に適切な残業代を支払わなくてはなりません。ここからは、管理監督者として認められない具体的なケースを解説します。

肩書はあるが重要な業務と決裁権限を与えられていない

管理職の肩書を持っている場合でも、その職務に実質的な責任や決定権が伴っていない場合、労働基準法上では「管理監督者」とは認められません。

例えば、営業活動で肩書が有利に働く場合や、上司の承認を得る必要がある場合など、形式的な肩書だけでは、実際に管理監督者とはいえないのです。

もし、経営に影響を与えるような重要な業務や決定権が与えられていないのであれば、それは一般の従業員と同じと見なされることになるため、企業はその管理職に対して残業代を支払う義務が生じます。

早退や遅刻によって減給される

管理監督者の立場にある場合、勤務時間については自由に調整でき、遅刻や早退によって給与が減額されることは基本的にありません。これは、管理監督者が一般従業員とは異なる待遇を受けるべき立場であるからです。

しかし、実際に遅刻や早退で給与が減額されるといった場合には、その従業員は管理監督者ではなく、労働基準法の保護を受けるべき一般社員として扱われることとなります。この場合は当然、企業に残業代の支払い義務が生じます。

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管理職の残業を減らすための対処法

管理職の残業を減らすためにはどうすればいいのでしょうか。ここからは、その具体的な方法を2つ解説します。

組織全体の意識を改善する

日本の企業には、長時間労働を美徳とする文化が根強く残っています。特に管理職世代は、そのような風土の中で働いてきた人が多いため、まずは「必要のない日は定時で帰る」という習慣を職場全体で定着させることが重要です。

また、残業削減には社員全体の意識統一が欠かせません。なぜ残業を減らす必要があるのかその目的やメリットを、管理職を含めた従業員全員に丁寧に説明することで、残業削減への理解を深められます。

目的を理解すれば、忙しさに流されるのではなく、効率的に働こうとする意識が高まるでしょう。

業務状況を把握する

管理職の残業を減らすには、管理職の業務状況を正確に把握することも大切です。「どのような業務を、どの程度の量こなしているのか」を明確にすることで、負担軽減のための具体的な対策が見えてくるでしょう。

正確な労働時間を把握するには、勤怠管理システムの導入が効果的です。例えば、パソコンのログイン・ログアウト時間や、社員証に搭載されたICカードで入退室時刻を記録する仕組みを導入することで、自己申告に頼らない労働時間の把握が可能になります。

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管理職で残業代が認められた事例

管理職の残業代支給に関する事例として、2008年に注目を集めた日本マクドナルドの店長に対する判決があります。

この裁判では、同社の直営店店長が労働基準法上の「管理監督者」に該当するかどうかが争点となりました。店長はアルバイト従業員の採用や勤務シフトの決定など、店舗運営において一定の権限を持っていましたが、商品の価格設定や仕入れ先の選定など、企業全体の経営方針に関与する立場ではありませんでした。また、長時間労働を課されていた上に、賃金面で下位職位との差がほとんどないなど、待遇面でも問題がありました。これらを踏まえ、東京地方裁判所は店長を「管理監督者」と認めず、未払い残業代約750万円の支払いを命じる判決を下しました。

この判決は、名ばかり管理職の問題に一石を投じ、企業が労働環境を見直す契機となった重要な事例の1つです。

参考:全国労働基準関係団体連合会「日本マクドナルド事件


管理監督者に該当しないのに残業代が支払われない場合の対処法

管理監督者に該当しないにもかかわらず、残業代が支払われていない場合、未払いの残業代をさかのぼって請求できます。

請求手順は、以下の通りです。

  1. 名ばかり管理職の証拠を集める
  2. 会社に通知書を送付して交渉する
  3. 交渉が難しい場合は労働審判や訴訟に

1つずつ詳しく見ていきましょう。

名ばかり管理職の証拠を集める

まずは、自身が「名ばかり管理職」であることを示す証拠を集めましょう。

具体的には、雇用契約書や労働条件通知書を用意し、雇用時の合意内容を確認できるようにしておきます。また、給与明細やタイムカードなど、労働時間を証明する資料も重要です。

ただし、名ばかり管理職は「管理職」として扱われているがゆえに、タイムカードの記録がないことも少なくありません。こうした場合は、自身の業務日報、メール履歴、または日々の作業メモなど、実際の勤務時間を証明できる記録を集めてください。

会社に通知書を送付して交渉する

「名ばかり管理職」であることを示す証拠がそろったら、会社に内容証明郵便を送付します。なお、未払い残業代の請求権は3年で時効となるため、勤務年数が3年以上の場合は退職後、速やかに対応してください。

その後、労働条件や残業時間の記録をもとに正確な未払い額を算出し、会社側と交渉を行います。交渉が円滑に進み、支払額について合意に至れば、その時点で解決となります。しかし、会社側が労働者の能力不足を理由に反論してくる場合も考えられます。

こうした交渉の過程は精神的にも時間的にも負担が大きいため、弁護士や労働問題に詳しい専門家に相談し、サポートを受けた方がいいかもしれません。

参考:e-Gov法令検索「労働基準法附則143条3項

交渉が難しい場合は労働審判や訴訟に

会社との交渉がうまく進まない場合は、次の手段として労働審判の利用を検討してみてください。労働審判は、訴訟よりも短期間で解決を目指す手続きで、双方の和解を促す場として機能します。

しかし、労働審判では双方が譲歩することが前提となるため、全ての未払い残業代を回収できない可能性もあります。そのため、未払い残業代に加え、遅延損害金や付加金などのペナルティを含めた支払請求をしたい場合には、訴訟を選択した方がよいでしょう。


まとめ

本記事では、管理職に残業代が支給されない理由や、労働基準法上の管理監督者の定義、管理職で残業代が認められた事例などを解説しました。

一部の企業では、管理職の立場を利用し、残業代を支払わずに長時間労働を強いるケースが見られます。「会社の規定だから」と説明されると、反論できず泣き寝入りしてしまう人も少なくありません。しかし労働基準法に基づけば、名ばかり管理職として不当に残業代が支払われていない場合、適切な請求が可能です。自力での交渉が難しい場合には専門家に相談することも検討してみましょう。

なお、採用に要する手間やコストをできるだけ抑えたい場合は、スキマバイト募集サービス「タイミー」の利用がおすすめです。

タイミーなら従来必要だった採用プロセスが短縮され、効率的な人材確保が可能になります。タイミーの料金やサービスの詳細について気になる方は、「お問合せフォーム」からご連絡ください。

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