近年、副業への関心が高まっていますが、依然として副業を禁止または制限する会社もあります。会社が副業を禁止する背景には、副業によるさまざまなリスクが関係していることが考えられます。
本記事では、企業が副業を禁止する主な理由をくわしく解説します。また、副業が法的にどのように扱われているのか、就業規則に違反した場合はどうなるのかなど、副業を始める前に知っておきたいポイントも紹介します。
企業が副業を禁止にする理由とは
会社が副業を禁止にする主な理由は、以下のとおりです。
・生産性が下がる恐れがあるため ・労働時間の管理が煩雑になるため ・情報漏洩のリスクが生じるため ・本業との利益相反につながる可能性があるため |
それぞれくわしく解説します。
生産性が下がる恐れがあるため
会社が副業を禁止する理由の一つは、生産性低下への懸念です。副業によって睡眠時間が削られたり、疲労が蓄積したりすれば、本業での集中力や判断力が低下し、パフォーマンスに悪影響を及ぼすかもしれません。
さらに、副業に熱中するあまり、本業でのスキルアップや昇進への意欲が薄れてしまう可能性も考えられます。そのため、多くの企業が副業を制限または禁止する方針を取っているといえます。
労働時間の管理が煩雑になるため
労働時間の管理が複雑化することも、会社が副業を禁止する大きな要因の一つです。労働基準法における「1日8時間、週40時間まで」という労働時間の制限は、副業にも適用されるため、会社は従業員の本業と副業の労働時間を合算して管理しなければなりません。
平日に8時間の本業がある場合、勤務後や週末に副業をすると法定労働時間を超えてしまう可能性があります。副業先での正確な労働時間の把握は難しいことから、副業を禁止していることが考えられます。
情報漏洩のリスクが生じるため
従業員が副業を行うことで、意図せず機密情報や企業秘密が外部に漏れ出す可能性が高まります。お客様情報や取引先の詳細などはもちろん、自社の経営や営業の戦略、技術情報などが競合他社・関連企業に流出してしまうと、会社にとって大きなダメージとなるでしょう。
このようなリスクを回避するために、多くの企業は就業規則で副業を禁止しています。
本業との利益相反につながる可能性があるため
利益相反とは、一方の立場では利益となることが、ほかの立場では不利益になる状況のことです。副業においては、個人で請け負った仕事が本業で勤めている会社の不利益につながることがあります。
例えば、ITエンジニアが本業の取引先から個人的に仕事を請け負うケースなどが利益相反に該当します。利益相反を防ぐために、会社は副業を全面的に禁止したり、一定の制限を設けたりしています。
副業禁止は違法になる?
日本国憲法第22条では職業選択の自由が保障されており、これには副業も含まれると解釈できます。一方、会社は就業規則で独自の副業ルールを設けることが可能であり、副業の可否は会社ごとに異なるのが現状です。
ただし、無条件の副業禁止は労働者の権利を過度に制限する可能性があります。裁判所の過去の判例においては、以下のようなケースで副業の禁止・制限が認められています(※)。
・労務提供上の支障がある場合 ・業務上の秘密が漏洩する場合 ・競業により自社の利益が害される場合 ・自社の名誉や信用を損なう行為や信頼関係を破壊する行為がある場合 |
(※)引用元 厚生労働省「副業・兼業の促進に関するガイドライン」
副業禁止の就業規則に違反したらクビになる?
一般的に、就業規則で副業禁止が明確に記載されていない場合、業務に支障をきたしていない限り、原則として会社がペナルティを課すことはできません。
ただし、信義則上の競業避止義務や秘密保持義務に反した場合にはペナルティを受けることがあります。就業規則で明確に副業が禁止されているケースでは、会社の規則違反として警告やけん責など、規定に基づいた処分を受ける可能性もあります。
副業が発覚した際は、注意等で済む可能性もあります。しかし、注意・警告を受けたにもかかわらず依然として続けている場合や、注意等を受けていなくとも副業によって会社に著しい不利益を被らせた場合などには、損害賠償請求を受けたり、最悪の場合懲戒解雇に至ったりする可能性もあります。
副業が会社に知られる原因
副業が会社に知られる主な原因は、住民税の変動です。企業は従業員の住民税をまとめて支払う仕組みを採用しており、各従業員の給与額と住民税額を正確に把握しています。
副業によって収入が増えると、会社支給の給与額が変わらないのにもかかわらず、住民税額だけが増えるため、会社側に副業の事実を察知されてしまいます。
多くの人は、収入が20万円以下であれば確定申告が不要だと考え、副業を隠せると思いがちです。しかし、所得税の申告義務がなくても、住民税の計算のために自治体への総収入申告は必要になります。
申告を怠ると給与額と総収入額の不一致により、会社が追加の住民税の支払いを求められることがあるため、副業が会社に知られてしまいます。
副業をする際の注意点
副業をしたいからといって、安易に始めると思わぬトラブルに巻き込まれる可能性があります。本業との両立や法的な問題、税金の扱いなど、考慮すべき点は多いです。ここでは副業を始める際、とくに注意すべきポイントを4つ紹介します。
会社の就業規則や労働契約を確認する
副業を始める前に、会社の就業規則や労働契約を確認し、副業に関するルールを把握しておくことが重要です。会社によって副業に対する方針は異なり、完全に禁止している場合もあれば、業種や労働時間に制限を設けていることもあります。
仮に、同僚が副業をしている場合でも、必ず自分の目で就業規則や労働契約を確認し、わからない点があれば上司や担当部署に確認をしましょう。
また、競業禁止義務や秘密保持義務など、信義則上の義務についても確認しておく必要があります。
副業を始める前に許可をとる
副業が許可制の場合、事前の届け出や承認が必要なケースがあります。副業の許可を求める際は、人事部門や上司に相談し、正式な手続きを確認することが大切です。
副業が本業に支障をきたさないこと、会社の利益と相反しないことを明確に示しましょう。
本業に支障が出ない程度に副業する
副業によって本業の業務効率が低下したり、質が落ちたりすれば、会社との信頼関係を損なう可能性があります。そのため、副業による疲労が本業に影響しないよう、十分な休息を取ることを心がけましょう。
また、本業の繁忙期には副業を控えるなど、状況に応じて柔軟な対応も求められます。
副業の所得によっては確定申告が必要になる
副業の年間所得が20万円を超えた場合は、確定申告が必要です。また、20万円以下でもクライアントによって源泉徴収されているケースでは、確定申告をすると還付金を得られる可能性があります。
確定申告をしないと、追徴課税や加算税などのペナルティが課されることがあるため必ず申告しましょう。
副業を始めるなら「タイミー」がおすすめ
スキマ時間で副業をしたいなら、「タイミー」がおすすめです。「タイミー」は地域や日付を選んで仕事に申し込めて、条件を満たせば履歴書・面接なしですぐに働けます。働いたあとはアプリから振込申請すれば、手数料無料で報酬を受け取れます。
また、アプリ内の「マイページ」から給与所得の源泉徴収票を確認・印刷できるため、確定申告に必要な書類の管理も簡単です。
副業を始めたいと考えている人は、ぜひ「タイミー」を利用してみてください。
まとめ
本記事では、会社が副業を禁止にする理由から、副業が知られる原因や就業規則に違反したときのペナルティについて、くわしく解説しました。
副業を禁止する法律はありませんが、生産性の低下、労働時間管理の複雑化、情報漏洩のリスク、利益相反などの観点から、副業を禁止している会社が多いのが実態です。
細かいルールは会社によって異なるため、始める前に就業規則や労働契約を必ず確認しましょう。