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労働三法とは?いつできた?3法律それぞれの内容をわかりやすく解説

こんにちは。スキマバイト募集サービス「タイミー」ライターチームです。

労働三法とは、労働基準法・労働組合法・労働関係調整法の3つの法律の総称です。本記事では、労働三法と労働三権の違いや関係性も分かりやすく解説しています。

記事を読むと、労働三法の概要が分かるようになります。労働三法に関して企業の人事担当者が意識しておくべき知識・罰則・相談先を紹介しているので、最後までご覧ください。

目次[非表示]

  1. 1.労働三法とは?それぞれの法律についてわかりやすく解説
    1. 1.1.労働基準法
    2. 1.2.労働組合法
    3. 1.3.労働関係調整法
  2. 2.労働三法と労働三権の違い・関係性
  3. 3.労働三法はいつ何のためにできた?
  4. 4.労働三法①労働基準法に含まれる内容
    1. 4.1.労働条件について
    2. 4.2.労働時間・法定休日について
    3. 4.3.賃金について
    4. 4.4.解雇通告について
  5. 5.労働三法②労働組合法に含まれる内容
    1. 5.1.不当労働行為について
    2. 5.2.組合費について
  6. 6.労働三法③労働関係調整法に含まれる内容
    1. 6.1.争議行為について
  7. 7.労働三法に関して企業の人事が意識しておくこと
    1. 7.1.それぞれの法律に関する最低限の知識は持っておく
    2. 7.2.違反した場合の罰則について理解しておく
    3. 7.3.困ったときの相談先を理解しておく
  8. 8.まとめ

労働三法とは?それぞれの法律についてわかりやすく解説

労働三法とは、労働者を守るために制定された下記の3つの法律のことです。

  • 労働基準法
  • 労働組合法
  • 労働関係調整法

以下では、労働三法についての概要を紹介します。

労働基準法

労働基準法は、最低の労働条件を定めた労働者保護のための法律です。使用者は、この最低の労働条件を理由として労働条件を下げてはならず、むしろ向上を図ることが努力義務とされています。

労働基準法に規定されている主な項目は、次のとおりです。

  • 労働契約
  • 賃金
  • 労働時間・休憩・休日・年次有給休暇
  • 年少者・妊産婦等の保護
  • 就業規則

労働基準法には、男女同一賃金の原則についての規定があり、使用者は女性であることを理由として、賃金差別を行ってはなりません。

労働者保護でも重要な解雇の制限・予告は、下記の通りです。

解雇制限

労働基準法第19条

休業期間中・休業期間後30日・産前産後期間中・産前産後期間後30日の解雇制限

解雇の予告

労働基準法第20条

原則として30日前の予告が必要

他にも、労働基準法には、災害・休業・遺族補償についての規定があります。

労働組合法

労働組合法は、ストライキなどについて定めのある法律です。日本国憲法第28条には「勤労者の団結する権利」「団体交渉」「団体行動をする権利」を保障する旨の規定があります。

労働組合法は、日本国憲法第28条の規定を受け次の労働三権を具体的に示す記述がみられます。

団結権

労働者は労働条件の維持・改善を図り、使用者とは対等な立場で交渉するために、労働組合を結成する権利を有する

団体交渉権

労働者は使用者と労働組合を通じて団体で交渉する権利を有する

団体行動権

  • 労働者は使用者に対して、労働条件の維持・改善を達成するために団体行動する権利を有する
  • ストライキも団体行動権の1つとして保障されている

上記の通り労働組合法は、労働組合を作ることで企業側と話し合いを行う機会を保障した法律です。

労働関係調整法

労働関係調整法は、公正に労働関係の調整を図り、労働争議を未然に防ぐとともに解決を目指すことを規定した法律です。

使用者と労働者との間では、争い事が生じることもあり、当事者間では解決に至らないケースもあります。労使当事者間による話し合いの結果で解決が困難な場合には、外部組織である労働委員会が間に入ることで解決に向けた手続きを定めています。

労働関係調整法に規定されている主な項目は、次のとおりです。

労働委員会の設置

  • 中央労働委員会は厚生労働大臣が特別調整委員を置く
  • 都道府県労働委員会は都道府県知事が特別調整委員を置く

斡旋(あっせん)

労働委員会はあっせん候補者名簿を作成

調停

労働委員会による労働争議の調停

仲裁・緊急調整

労働委員会が仲裁などを行う

争議行為の制限禁止等

争議行為の制限の例示

労働関係調整法には、ストライキやサボタージュなどの争議行為を調整する手段が規定されています。

参考:厚生労働省「キャリア教育実践講座」(第2章労働法制と社会保障制度)


労働三法と労働三権の違い・関係性

労働三法とは、上述の3つの法律「労働基準法」「労働組合法」「労働関係調整法」です。

一方で、労働三権とは日本国憲法第28条で規定された次の3つの権利のことです。

  • 団結権
  • 団体交渉権
  • 団体行動権

日本国憲法で定めた労働三権について、労働組合法で具体化されました。

争議行為では「主体・目的・手続・態様」が正当か否かにより、労働者に刑事責任や損害賠償責任が生じる可能性があります。

「主体・目的・手続・態様」が正当でない

刑事免責や民事免責が認められない(ケースによっては責任が問われる可能性もあります)

「主体・目的・手続・態様」が正当である

刑事免責や損害賠償免責が認められる

争議権の全てが保障されているわけではない点には、注意しましょう。

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労働三法はいつ何のためにできた?

労働三法が施行された年と制定に至った理由は下表の通りです。

法律名称

施行

制定された理由

労働基準法

1947年

労使間の労働関係で労働者を保護するため

労働組合法

1949年

  • 日本国憲法で定めた労働三権を具体的に保障するため
  • 労働者が対等な立場に立って使用者と交渉するため

労働関係調整法

1946年

  • 労使間における労働関係において公正な調整を図るため
  • ストライキなどの労働争議を予防・解決するため

労働三法が制定された背景としては、大正時代に労働組合運動が盛んになったことを受けて政府は労働組合法の実現を試みたものの、実現には至りませんでした。労働関係調整法・労働基準法・労働組合法の順に労働三法が制定されたのは、第二次世界大戦終了後です。

労働三法が制定された狙いは、戦前の工場労働者を中心とした粗悪な労働環境を改善し、労働者を保護する権利や整備を明文化することでした。

企業と労働組合は、頻発していたストライキによる強い要求によって対立していた時代もありましたが、現在は対話によって労働環境の向上を図る労働組合が主流です。

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労働三法①労働基準法に含まれる内容

労働基準法に含まれる以下の内容について、詳しく解説します。

  • 労働条件について
  • 労働時間・法定休日について
  • 賃金について
  • 解雇通告について

最初に、労働基準法での労働条件の記載内容を見ていきましょう。

労働条件について

労働基準法では、使用者である企業は労働条件について労働契約の締結に当たり、労働条件を明記する必要があります。

原則として書面での提示が必要なのは、主に以下の事項です。

  • 労働契約期間
  • 就業場所・従事する業務
  • 始業・終業の時刻
  • 所定労働時間を超える分の労働の有無
  • 休憩時間・休日・休暇
  • 就業時転換の事項(労働者を2組以上に分けて就業させるケース)
  • 賃金決定、計算・支払方法、賃金締切時期、支払時期
  • 昇給
  • 退職(解雇事由も含む)

ただし、労働者がファクスや電子メールなどを希望すれば書面の交付は不要です。

労働者が、労働契約を履行しなかった場合の違約金の取り決めなどは、労働契約の禁止事項に該当するので注意しましょう。(労働基準法第16条)

労働時間・法定休日について

企業の中でも常時10人以上の労働者を使用している使用者には、就業規則の作成と届出が必要です。原則として就業規則の届出先は、営業所ごとに管轄する労働基準監督署です。

就業規則には、労働時間(始業・就業の時刻)と法定休日などを記載する必要があります。(労働基準法第89条)

労働時間と法定休日は、労働基準法で以下の通り記載されています。

労働時間

労働基準法第32条

  • 週に40時間を超える労働は原則禁止
  • 1日に8時間を超える労働は原則禁止

労働基準法第36条

  • 上記を超過して労働させる場合には36協定の締結が必要
  • 36協定を締結しても時間外労働の上限の規定は「月に45時間・年に360時間」

法定休日

労働基準法第35条

  • 法定休日は、使用者が労働者に必ず与えなければならない休日をいう
  • 使用者は原則として、労働者に毎週少なくとも1回の休日1日を与える
  • 4週間に4日以上の休日があれば週休1日の原則は適用されない

法定休日について詳しく知りたい採用担当者の方は、「法定休日とは?労働基準法や36協定との関連性などわかりやすく解説」の記事をご確認ください。

参考:厚生労働省石川労働局労働基準部監督課「就業規則作成・届出に関する FAQ

賃金について

賃金は、労働の対価として企業である使用者が労働者に支払うもの全てをいいます。すなわち給料・手当・賞与などの名称を問いません。(労働基準法第11条)

近年は賃金のデジタル払いの動きもありますが、労働基準法第24条では賃金の支払方法について以下の記載があります。

通貨払いの原則

  • 通貨で全額の支払
  • 労働協約などでの定めがあれば現物支給も可能
  • 労働者の同意があれば銀行振込も可能

直接払いの原則

労働者本人への直接支払いで代理人は不可

全額払いの原則

全額支払いが原則。ただし条件を満たせば控除も可能

毎月1回以上を定期的に支払う原則

例)月末締めの翌月25日払い

最低賃金の動向などについて詳しく知りたい採用担当者の方は、「2024年の最低賃金について徹底解説!いつ決まる?引上げ予想も」の記事も合わせてお読みください。

解雇通告について

解雇とは、使用者の側からの申し出により労働者との労働契約を解除します。
労働基準法第20条では、解雇予告には原則として30日前の予告が必要です。解雇予告を行わない場合には、30日分以上の平均賃金を支払わなければなりません。

解雇は入念に行う必要があります。客観的に合理的な理由がなければ、社会通念上相当であるとは認められずに権利の濫用(らんよう)から、無効になってしまうためです。

上述の休業期間・産前産後期間以外にも、労働基準法で禁止されている主な解雇事由には以下のものがあります。

国籍・信条・社会的身分を根拠に解雇すること

労働基準法第3条

労働基準監督署へ申告したことをもって解雇すること

労働基準法第104条

解雇事由は、就業規則か労働契約書、労働条件通知書に明記していなければなりません。

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労働三法②労働組合法に含まれる内容

労働組合法は「団結権・団体交渉権・団体行動権」の労働三権を保障し、団体交渉とその手続きを助成する法律です。労働組合法に含まれる、以下の2つの内容を中心に解説します。

  • 不当労働行為について
  • 組合費について

不当労働行為とは何かについて見ていきましょう。

不当労働行為について

不当労働行為とは、日本国憲法第28条で保障する勤労者の団結権などを担保するため、労働組合法第7条で禁止している以下の行為です。

禁止行為

禁止行為の例

組合員を理由にした解雇・不利益な取り扱いをする

労働組合への加入を理由にした解雇・賃金差別など

正当な理由なく団体交渉を拒否する

交渉のテーブルにつかない、形式的に交渉に応じるが実質的には誠実な交渉を行わないなど

労働組合の運営などへの介入・経費を援助する

組合からの脱退を勧めたり、労働組合を懐柔する目的で運営経費に経費面で補助を行うなど

労働委員会への申し立てを理由に不利益な取り扱いをする

労働委員会の調査などで労働者の証拠提出・発言を理由として、不利益な取り扱いを行うなど

使用者が不当労働行為を行ってしまうと、労働組合や労働者は労働委員会に対して救済の申し立てが可能です。労働委員会は、不当労働行為の事実が認められる場合には、使用者に救済命令を発出します。

組合費について

労働者が労働組合に加入すると、組合費がかかります。厚生労働省「平成30年労働組合活動に関する実態調査」によると、2018年(平成30年)の1人当たりの平均月間組合費は3,707円で2016年の3,574円に比べ133円上昇しました。

組合費は、企業規模が大きくなるほど高くなる傾向にあります。2018年の調査では、企業規模5,000人以上の大企業で1人当たりの平均月間組合費は4,165円でしたが、それに比べ100人未満の中小企業では2,605円と約63%でした。

組合費の階級別でみると、4,000円以上5,000円未満が17.6%で最も多くなりました。

参考:厚生労働省「平成30年労働組合活動に関する実態調査

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労働三法③労働関係調整法に含まれる内容

労働関係調整法は、労働組合法とともに労働関係の調整を図り、労働争議の予防・解決を目的としています。ここでは、企業と労働者でのトラブルにつながりやすい争議行為について見ていきましょう。

争議行為について

争議行為とは、労働関係の当事者が主張を貫徹するために行う行為およびこれに対抗する行為です。争議行為は業務の正常な運営を阻害するもので、労働関係調整法第7条に主に下記の行為が規定されています。

同盟罷業

ストライキともいわれ、労働組合全体の意思に従い労働力の提供を拒否する行為

怠業

サボタージュともいわれ、労働者が生産性を低下させることで企業に賃金アップなどを主張する際に行う行為

作業所閉鎖

  • ロックアウトともいわれ、争議行為に対抗する行為で、使用者である企業が事業所の閉鎖により労働者を締め出す行為
  • 目的は賃金の支払い拒否にある

運輸事業などの公益事業が争議行為をする際には、争議行為を行う少なくとも10日前には労働委員会などへの通知が必要です。


労働三法に関して企業の人事が意識しておくこと

ここまで労働三法について解説しましたが、企業の人事として意識しておくことを次の視点から紹介します。

  • それぞれの法律に関する最低限の知識は持っておく
  • 違反した場合の罰則について理解しておく
  • 困ったときの相談先を理解しておく

注意すべきポイントを順に見ていきましょう。

それぞれの法律に関する最低限の知識は持っておく

企業の人事担当者は、労働関係法令に関する最低限の知識は必要です。

事前の解雇予告を知らずに解雇してしまうと、日数に応じた平均賃金の出費がかさみます。企業の都合だけで採用の内定を取り消すと、社会通念上相当な理由と客観的に合理的な理由が認められず、採用の内定は無効になってしまいます。

従業員とのトラブル未然防止や企業側の損失回避のためにも、法律に関する最低限の知識はポイントを中心に押さえておきましょう。

違反した場合の罰則について理解しておく

本来あってはなりませんが、ここでは法律違反となった場合の罰則を3つ紹介します。

違反内容

遵守すべき根拠法令

罰則内容

賃金・労働時間などの労働条件を明示しない

労働基準法第15条第1項

30万円以下の罰金

救済命令などが確定判決で支持され違反があった

労働組合法

1年以下の禁錮もしくは100万円以下の罰金、または両方

運輸事業などの公益事業が争議行為をする際に、10日前は労働委員会などへの通知をしなかった

労働関係調整法第34条

10万円以下の罰金

罰則を受ける事態になると、企業価値が損なわれるので十分に注意しましょう。

困ったときの相談先を理解しておく

労働三法の法令解釈に迷ったときには、労働基準監督署に確認した方が確実です。

企業が困ったときの相談先には、弁護士や社会保険労務士などがあります。トラブルに発展する可能性がある場合には弁護士、就業規則や労使協定の作成では社会保険労務士が相談先に向いているといえるでしょう。

インターネットからの都道府県が実施している専門家によるオンラインの労働相談には、労働者に限定せずに事業主からの相談を受け付けているところもあります。

普段から労働関係の情報収集に努め、困ったときの相談先をリストアップしておきましょう。

参考:愛知県「労働相談のご案内


まとめ

労働三法は、「労働基準法」「労働組合法」「労働関係調整法」の3つの法律です。労働三権は、団結権・団体交渉権・団体行動権の3つの権利で日本国憲法で保障されています。

労働三法に関して困ったときの相談先には、相談目的に応じ労働基準監督署・弁護士・社会保険労務士などがあります。

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監修:弁護士 青栁剛史
監修:弁護士 青栁剛史
電車庫通り法律事務所 弁護士 青栁剛史|保有資格:弁護士(第一東京弁護士会所属・登録番号53006)、海事代理士(関東支部)、海事補佐人|第一東京弁護士会所属。都内の上場企業等の顧問事務所を経て独立。中小企業の企業対応を中心に、相続、交通事故、犯罪被害者対応に重点を置いております。頼れる町のアドバイザーを目指しています。

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