アセスメントとは?意味や福祉・医療・介護などにおける重要性を解説
こんにちは。スキマバイト募集サービス「タイミー」ライターチームです。
人材育成においては、客観的なデータの分析が欠かせません。その姿勢を持つ上で、上司らが意識しなければならないのがアセスメントの実施です。
この記事では、アセスメントの意味や活用事例についてのほか、実施する上で、企業が心がけたいポイントも取り上げます。人材育成に悩んでいる人は、記事を参考にしながらアセスメントへの理解を深めてください。
目次[非表示]
- 1.アセスメントとは
- 2.各分野におけるアセスメントの意味と重要性
- 2.1.福祉(介護)分野におけるアセスメント
- 2.2.医療(看護)分野におけるアセスメント
- 2.3.心理分野におけるアセスメント
- 2.4.教育分野におけるアセスメント
- 2.5.保育分野におけるアセスメント
- 3.アセスメントのプロセス
- 4.人事評価でアセスメントを実施するメリット
- 4.1.リーダーを育成できる
- 4.2.適切な人材の抜てきに役立つ
- 4.3.採用のミスマッチを防げる
- 4.4.従業員のモチベーションを向上できる
- 5.企業でアセスメントを実施する際のポイント
- 5.1.目的を明確にする
- 5.2.フィードバックを行う
- 5.3.継続的に実施・評価する
- 5.4.適切な評価項目を設定する
- 5.5.複数の手法を組み合わせる
- 5.6.評価者のトレーニングを行う
- 5.7.プライバシーへ配慮する
- 6.企業でのアセスメントに活用できる便利なツール
- 6.1.適性検査(NMAT・JMATなど)
- 6.2.360度評価
- 6.3.エニアグラム
- 6.4.性格検査(16PF、Big Fiveなど)
- 6.5.コンピテンシー評価
- 6.6.アセスメントセンター方式
- 7.AIによるアセスメントへの影響・トレンド
- 8.まとめ
アセスメントとは
アセスメントとは、人物や物事に対して客観的な評価を行うことです。評価者の主観的な判断にとらわれないよう、ときには外部機関の力も借りながら実施されます。
英語の「assesment」が名称の由来であり、和訳すると「評価」「査定」「判断」を意味します。元々は20世紀初頭の心理学や教育学で使われており、個人の能力や特性を客観的に評価する手法でした。
1920年には軍隊での人格検査にも用いられます。戦後はビジネスにおいて人材評価の手法として活用され、本格的に企業でも取り入れられるようになりました。
各分野におけるアセスメントの意味と重要性
アセスメントは福祉・医療・心理・教育・保育などと、多くの分野に採用されています。ここでは、各分野における意味と重要性について紹介しましょう。
福祉(介護)分野におけるアセスメント
福祉分野においては、介護施設の利用者やその家族の聞き取りから情報収集、および分析を行うのが基本です。具体的には「施設を利用するに当たって何か困っていることはないか」「体調は悪くないか」などを確認します。
現在の状況を把握するだけではなく、今後のサービスにおいて要望をくみ取れるかどうかを判断する上でも有効です。福祉の業界では「アセスメントシート」(項目は厚労省が指定したもの)を作成し、専門職にもヒアリングしながら解決法を見いだします。
医療(看護)分野におけるアセスメント
看護分野では、患者に聞き取りして容態の情報収集、ならびに分析を行います。医師や看護師が集めた情報を参考にして、看護計画が作成されます。看護計画は目標を達成すべく、どのようなアプローチでケアするのかを記すのが特徴です。
また医療においては、医師側の問診や検査の結果(客観的情報)と患者側の容態の感じ方(主観的情報)が異なる場合もあります。これら双方の観点から、適切な診断や計画策定を行うのが医療分野のアセスメントの狙いです。
心理分野におけるアセスメント
心理分野におけるアセスメントとは、クライアントに最適な支援をするために採用する分析のことです。面接や心理検査を重ねながら、対象者の状況をより深く理解する目的で行われます。
ただし心理的アセスメントにおいても、一方的に対象者を知ろうとするのは望ましくありません。セラピストとクライアントが密にコミュニケーションを深めていきながら、徐々に相手を理解しようと努めるのがよいとされています。
教育分野におけるアセスメント
教育分野におけるアセスメントの目的は、学習者が自身の掲げた目標達成に向けて成長できるようにすることです。この目的は、教育者が学習者に対して一方的に授業するだけではクリアできません。学習者自身が授業の必要性を見いだし、自ら積極的に参加する姿勢を育む必要があります。
教育分野のアセスメントでは、学習者だけではなく教育者の成長を促す点でも重要です。教育者はアセスメントの結果を振り返りながら、授業内容や進め方を改善することが求められます。
保育分野におけるアセスメント
保育分野のアセスメントでは、アセスメントシートを用いて保育者と保護者が子どもにアプローチします。生活や発達の記録を残し、今後の保育における計画書づくりに役立ちます。この計画書は小学校へ進学する際にも重要な情報になるので、しっかりと記録しなければなりません。
具体的な情報としては、子どもが何に興味を持っているか、反対に何を苦手としているかを記録します。ときには専門機関の力も借りながら、継続的に支援するのがポイントです。
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アセスメントのプロセス
アセスメントを行うプロセスには、大きく分けて以下の5つの方法があります。
- 情報収集
- 原因の分析
- 分析結果から何が起こるかを予測する
- 計画を策定する
- 計画の評価を行う
まず評価者が行わないといけないのが、情報収集です。本人の心境のみならず、周囲との人間関係もしっかりと確認しましょう。
情報収集の結果、何か問題が見られたら、その原因を分析します。例えば本人のパフォーマンスが落ちている場合、同僚との関係悪化が大きな原因となっている可能性もあるので、幅広い視点から分析してください。
さらに分析した結果から、近い将来にどのようなトラブルが起こるかを予測します。仮に同僚との関係にヒビが入っていたら、対象の社員が離職するリスクも高まるでしょう。未来を予測することで、具体的な対処法がイメージしやすくなります。
分析および予測結果を集めたら、問題を改善するための具体的な計画案をつくりましょう。配置転換を検討する、1on1ミーティングで一人ひとりの悩みを聞くなどの対策ができます。計画策定まで進んだら、一連のプロセスを振り返ってください。
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人事評価でアセスメントを実施するメリット
人事評価においてアセスメントを実施すると、さまざまなメリットが得られます。具体的なメリットの内容について見ていきましょう。
リーダーを育成できる
まず考えられるメリットの1つが、リーダーを育成できる点です。アセスメントを行うと、数値化されたデータをもとに、どの社員にリーダーの気質があるかが判断できます。
また、将来リーダーになる場合を想定して、強みや今後改善しなければならないポイントも見つけやすくなります。偏見や主観を捨てて、その人の成果や取り組み方を客観的に評価するよう心がけましょう。
適切な人材の抜てきに役立つ
アセスメントを実施することで、適切な人材の抜てきにも役立ちます。客観的なデータをもとに社員の適性を分析すれば、パフォーマンスをより発揮できる部署に配置しやすくなるためです。
例えば、多くの顧客とつながりを持っているというデータがあれば、コミュニケーション能力を見込んで営業に配属させる選択肢があります。
採用のミスマッチを防げる
採用の段階でアセスメントを活用すれば、企業と求職者とのミスマッチも減らしやすくなります。面接のときには評価シートを用いつつ、客観的に分析した状態で採用するのがいいでしょう。
評価シートを使わないと、基準が曖昧になり、ミスマッチも生じやすくなります。採用担当者の主観で決めてしまう恐れもあるので、面接前にしっかりと準備してください。
従業員のモチベーションを向上できる
従業員のモチベーション向上につながるのも、アセスメントを実施するメリットの1つです。得られた指標をもとに仕事を割り振れば、従業員自身の得意な分野に着手できるので捗りやすくなるでしょう。
従業員のモチベーションを高い状態で維持できれば、離職率の低下にもつながります。貴重な人材を簡単に失わないためにも、アセスメントを重視してください。
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企業でアセスメントを実施する際のポイント
アセスメントにもさまざまな手段があり、どう実践すればよいか悩んでしまう人もいるでしょう。ここでは、実施する際に意識したいポイントをいくつか紹介します。
目的を明確にする
アセスメントを実施する際には、まずは目的を明確にします。日々の仕事を数値化して評価されることは、従業員にとってもプレッシャーに感じるでしょう。
目的を告げず、ただ実施するだけでは従業員に不快感を持たれる恐れがあります。全員がベストパフォーマンスを発揮できないとアセスメントの効果も薄れるので、目的を明確にして意図を理解してもらってください。
フィードバックを行う
アセスメントを実施することで、企業にどのような効果を得られたのかも定期的にフィードバックします。評価はただ相手に伝えるのではなく、今後の成長につなげるものでなければなりません。
フィードバックを適切に行わなければ、従業員も何のために取り入れているのか理解に悩むでしょう。フィードバックについては「【例文あり】フィードバックとは?意味や使い方を分かりやすく解説」の記事でも詳しく取り上げているので、参考にしてください。
継続的に実施・評価する
アセスメントは1度きりで終わらせるのではなく、継続的に実施することが大切です。何度も分析を重ねないと、一人ひとりの特性を正しく理解するのは難しいでしょう。
むしろ1度きりの評価にとらわれてしまい、逆に主観的な判断を下す恐れもあります。1回で完ぺきなデータを得ようとするのではなく、何度も繰り返して100%に近づけられるよう取り組んでください。
適切な評価項目を設定する
アセスメントにおいて設定される項目が適切かどうかも、重視したいポイントの1つです。自社がどのような人材を求めているのかを軸に、評価項目を決めましょう。
評価項目は、スキル・性格・知識・行動など幅広い観点から設定しなければなりません。この点を意識しないと、分析が偏ってしまうので注意が必要です。
複数の手法を組み合わせる
従業員もしくは求職者を評価するには、アセスメントにとらわれず多くの手法を取り入れるとよいでしょう。数値化されたデータだけではなく、直接会話することで抱いた違和感なども重要だからです。
また複数の手法を試せば、より対象者のスキルや特性などを理解しやすくなります。相手を評価するその他の手法として挙げられるのが、適性検査・面接・ロールプレイングなどです。
評価者のトレーニングを行う
アセスメントを正しく実施するには、評価者側もトレーニングしなければなりません。「評価」の本質を理解しなければ、適切に従業員や求職者を見るのが難しくなるためです。
主なトレーニング方法として、研修やセミナーへの参加が挙げられます。アセスメントを行う上では、評価者自身のスキルが必要になることをしっかりと押さえてください。
プライバシーへ配慮する
アセスメントを取り入れる際は、プライバシーには十分に注意する必要があります。従業員のネガティブな情報が外部に漏れれば、最悪の場合訴訟トラブルにもつながりかねません。
アセスメントで得られたデータは、責任者だけが閲覧できるフォルダーに保管します。無関係の人が勝手に閲覧できないように、パスワードを設けて厳重に管理してください。
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企業でのアセスメントに活用できる便利なツール
ここでは、企業でのアセスメントに活用できる便利なツールを紹介します。より正確に分析するためにも、これらのツールも積極的に採用しましょう。
適性検査(NMAT・JMATなど)
アセスメントで取り入れたいツールの1つが、適性検査です。
適性検査を行うのに便利なツールとしては、リクルートマネジメントソリューションズのNMAT(管理者適性検査)やJMAT(中堅社員適性検査)があります。これらは結果が偏差値で表示され、社内だけではなく全国の管理者や中堅社員の適性を比較できるのが強みです。
360度評価
360度評価とは、上司や同僚などの複数の人物による評価システムのことです。評価者を複数人設けることで、偏見や思い込みに基づいた評価を防ぎやすくなります。
360度評価において意識したいのは、上司のみならず部下側の意見も参考にすることです。また複数人に頼っているとはいえ、評価しているのは「人」であるため、主観的な評価を完全に避けられるわけではありません。
エニアグラム
エニアグラムとは、人間には9つの本質があると捉えた上で従業員の性格を診断する方法です。自分はどのタイプに属するかを押さえることで、自己理解を深められると期待されています。
日本エニアグラム協会では、独自に90問回答式チェックを導入しています。また、同協会のプライマリーコースに登録すれば、より性格のタイプを細かく把握できます。
性格検査(16PF、Big Fiveなど)
性格検査でおすすめなツールとして挙げられるのが、16PFとBig Fiveです。
16PFは、キャッテル心理学に基づく16段階人格テストを指します。Big Fiveは、性格は5つの因子(開放性・誠実性・外向性・協調性・神経症的傾向)によってもたらされるとする考え方です。
相手の性格を細かく分析することで、特性や強みをより理解できるようになります。
コンピテンシー評価
コンピテンシーは、成果を出せる社員の行動特性です。単純にスキルや知識を評価するのではなく、どのような行動が成果に結びついているかに着目します。
社内で実践するには、コンピテンシー項目を設けて実際の行動モデルを作成する必要があります。導入までのハードルは高いですが、地道にヒアリングや分析を繰り返しながら取り入れてみるのも選択肢の1つです。
アセスメントセンター方式
アセスメントセンター方式とは、社員の能力が仕事にどう生かされるかをさまざまな角度から評価する手法です。部下の能力を見るだけではなく、管理者としての資質を測る目的でも使われます。
主に、グループディスカッションやロールプレイングといったシミュレーションにより、対象者の行動を観察します。評価者を複数人置き、1、2日を通して観察した上で分析するのがポイントです。
AIによるアセスメントへの影響・トレンド
現代では、AIを使ったアセスメントが注目を集めています。アセスメントのAIの活用自体は、10年以上前から考えていた分野もありました。近年ではAIが目覚ましく発展し、さまざまな機能を活用できるのではないかと期待されています。
ただしAIも絶対的な存在ではなく、アセスメントに取り入れるには課題もいくつかあります。ツール会社が社員のプライバシーを侵害したり、不良データによってバイアスがかかったりするなどという問題点にも向き合わなければなりません。
まとめ
この記事では、人材育成や採用にも使えるアセスメントについて詳しく紹介しました。客観的に相手を分析することで、社内全体の能率向上も期待できます。実践できそうな方法を試しつつ、部下や管理者の資質を確認する際に活用しましょう。
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