社員やアルバイトの定着率を上げるには?採用・教育コスト削減で企業に必要な施策も解説
こんにちは。スキマバイト募集サービス「タイミー」ライターチームです。
「採用や教育コストをかけて採用しても、人材がなかなか定着しない」と、悩んでいる企業は少なくありません。
この記事では、人手不足に悩む企業担当者に向け、定着率の概要や定着率を上げるメリットを解説します。定着率を上げる施策や成功事例と合わせて、ぜひ参考にしてください。
目次[非表示]
- 1.定着率の概要
- 1.1.定着率とは?
- 1.2.定着率と離職率の関係
- 2.定着率の定義
- 3.近年の定着率の平均
- 3.1.就職後3年以内の平均定着率
- 3.2.業界別の平均定着率
- 4.定着率が高いことのメリット
- 4.1.人材が流出しにくい
- 4.2.採用・教育コストが抑えられる
- 4.3.従業員のモチベーション向上
- 4.4.人材の採用がしやすくなる
- 5.定着率が上がらない原因
- 5.1.労働環境への不満
- 5.2.業務内容とのミスマッチ
- 5.3.人間関係の不和
- 6.定着率を上げるためにできること
- 6.1.ワークライフバランスの改善
- 6.2.人事制度を見直す
- 6.3.福利厚生を充実させる
- 6.4.コミュニケーションの活性化
- 6.5.能力開発支援の提供
- 6.6.入社前とのギャップ軽減
- 7.定着率を向上させた事例
- 8.まとめ
定着率の概要
定着率とは、端的にいうと何なのでしょうか。定着率の概要について、離職率との関係と一緒に解説します。
定着率とは?
定着率とは、企業や組織の従業員がどれだけ離職しなかったか(定着したか)の割合を示す指標です。一般的に働きやすい企業の離職は少なく、働きにくい企業の離職は多くなります。
したがって定着率は、企業の健全運営の指標になると考えられています。
日本企業の平均的な定着率を知るには、厚生労働省の「雇用動向調査」が参考になります。例えば2020年の調査結果は、以下のようになっています。
入職率:13.9%(前年比マイナス2.8ポイント)
離職率:14.2%(前年比マイナス1.4ポイント)
入職超過率:-0.3ポイント(9年ぶりの離職超過)
※参考:令和2年「雇用動向調査」の調査結果を公表します~入職率、離職率ともに低下~|厚生労働省
定着率と離職率の関係
定着率と関係する数値として、離職率があります。
離職率とは、従業員の離職割合を示す指標であり、定着率と離職率の割合を合わせると100%になります。
企業の離職率が定着率より高い場合、人材不足や優秀な人材の流出が深刻な状況になっている可能性が高いと言えます。
人手不足についてはこちらの記事も参考にしてみてください。
バイトが人手不足になる原因とは?解消方法とおすすめの求人募集サービスを紹介
定着率の定義
定着率には、どのような法的な定義があるのでしょうか。定着率の計算方法と合わせて、その定義を解説します。
定着率の法的な定義
定着率は企業の運営状況を把握する上で便利な言葉ですが、はっきりとした法的な定義はありません。明確な算出方法も決まっていないため、データによって定着率の計算手順が異なる可能性が高くなります。
定着率の計算方法
先述した通り、定着率には法的な定義がありません。したがって、明確に決められた計算方法もありません。
定着率の計算方法は複数ありますが、ここでは一般的に使われる計算式を紹介します。
(入社者の合計-退職者の合計)÷入社者の合計×100=定着率(%)
たとえば、10人入社して2人退職した場合の定着率は、(10-2)÷10×100=80となり、定着率は80%です。
近年の定着率の平均
近年の定着率の平均は、どのような実情となっているのでしょうか。就職後3年以内の平均定着率と、業界別の平均定着率を解説します。
就職後3年以内の平均定着率
厚生労働省によると、令和2年度における新規学卒就職者(平成30年3月卒業者)の就職後3年以内の離職率は、3~4割ほどになりました。学歴別の離職率は、大学が31.2%、短大などが41.4%、高校が36.9%です。つまり定着率は、6~7割とわかります。
業界別の平均定着率
上述した厚生労働省の資料によると、離職率が高い業種は、以下の通りです。
- 宿泊業・飲食サービス業:大学51.5%・高校61.1%
- 生活関連サービス業・娯楽業:大学46.5%・高校56.9%
- 教育・学習支援業:大学45.6%・高校50.1%
- 医療、福祉:大学38.6%・高校46.2%
- 小売業:大学37.4%・高校47.8%
定着率が高いことのメリット
定着率が高いと、企業にどのようなメリットがあるのでしょうか。代表的なメリットを解説します。
人材が流出しにくい
定着率の向上は、従業員が入社後もそれだけ長く働き続けることを意味します。人材が流出しにくくなると、労働力の確保が可能になり、経営の安定が実現しやすくなるためです。
仕事に慣れ、業務習熟度が上がると、短時間でスムーズに仕事をこなせるようになります。このように労力や時間に対する成果の割合の向上も期待できます。
採用・教育コストが抑えられる
従業員の離職が多いと、人員補充のためにさらなる採用コストや手間がかかります。いくら教育コストをかけても、入社後に従業員がすぐに辞めてしまったら、かけたコストがムダになります。
定着率が上がり、余計な採用・教育コストがかからなくなれば、その分の予算を企業の成長のために回すことが可能です。
従業員のモチベーション向上
定着率が高い企業では多くの場合、従業員にとって働き続けやすい職場環境が整っています。安定して勤務できる職場では、従業員のモチベーションが上がりやすい点が特長です。
その企業で働くことに意義を感じているため、周囲のモチベーションにも高く影響します。従業員の意欲が高いと、業務効率が上がり、結果として業績アップにもつながります。
人材の採用がしやすくなる
定着率は従業員にとって、働きやすさのバロメーターです。定着率の高い企業は、働きやすい職場として広く認知されるため、求職者からの需要も上がります。
また定着率の高い企業では「リファラル採用」もしやすくなる点がメリットです。リファラル採用とは、すでに企業で働いている従業員からの紹介をベースに、人材を採用することを指します。
定着率が上がらない原因
なぜ企業の定着率は低くなるのでしょうか。定着率が上がらない要因として考えられる、一般的な理由を解説します。
労働環境への不満
「給与が低い」「有給休暇が取得しにくい」など、待遇面に関する不満は、従業員が退職を考える要因の1つです。また長時間労働が続くと、心身のダメージが大きくなり、従業員の健康を害す場合もあります。
キャリアアップが望めない場合も、従業員が転職するきっかけにつながります。労働環境を整えることは、生産性向上の観点からも重要です。
業務内容とのミスマッチ
業務内容が苦手分野である場合、従業員の離職を招くきっかけになりやすいといわれています。また、希望するキャリアと業務のミスマッチも、転職要因の1つです。
人材配置は適材適所を心がけ、配置前には従業員本人に希望を聞くことが大切です。将来希望するキャリアビジョンや、チャレンジしたい職種など、従業員の意思を確認しましょう。
人間関係の不和
同僚とのコミュニケーションの不足や、上司の高圧的な態度など、職場の人間関係の悩みを理由とした離職も少なくありません。
職場の人間関係が悪いと、業務効率が下がってストレスがたまるだけでなく、従業員のメンタルヘルスの不調にもつながります。
定着率を上げるためにできること
定着率を上げるために、企業側は従業員にどのように働きかけるとよいのでしょうか。具体的な対策を解説します。
ワークライフバランスの改善
ワークライフバランスとは、仕事と生活(プライベート)との調和を意味します。近年、健康で豊かな生活を送るために、仕事と生活の2つの時間が、バランスよく両立された状態を重視する労働者が増えています。
例えば時短勤務やフレックスタイム、テレワークの導入などが、ワークライフバランスを改善するうえで効果的です。
人事制度を見直す
従業員が人事制度や評価方法に関して不満を抱いている場合、評価制度を見直しましょう。例えば、希望部署の移動に関する申告制度を整える、評価の透明化を図る、資格取得支援を充実させるといった取り組みがあげられます。
適切な評価を受けられると感じる職場では、従業員の意欲が向上し、優秀な人材の離職を防げます。
福利厚生を充実させる
従業員が待遇に不満を感じている場合、福利厚生の充実は定着率の向上に有効です。例えば、住宅手当や育児支援、レジャー施設の割引、休暇制度の充実などに関して、従業員の意見を参考しながら、ニーズに合った福利厚生を提供できます。
三井不動産、NTT都市開発、阪急阪神ホールディングス、東宝、東映などは、定着率の高さに定評のある企業です。福利厚生をリサーチする際の参考にするとよいでしょう。
コミュニケーションの活性化
社内のコミュニケーションを活性化できるると、働きやすい職場の実現につながります。例えば、社内SNSの活用やランチ会・飲み会の実施、それらの補助などが、従業員同士のコミュニケーションの促進に効果的な場合もあります。
ただし、必要なコミュニケーションは職場によって異なるため、ニーズに合った施策を選ぶことも大切です。
能力開発支援の提供
優秀な人材ほどスキルやキャリアの向上に関心があり、成長を感じられない職場では、モチベーションが低下する傾向にあります。
優秀な人材の定着率を上げるには、従業員が成長を感じられる環境を提供することが重要です。
例えば、能力開発支援のために勉強会やセミナーを開催すると、従業員のモチベーション低下を防ぎ、エンゲージメントの向上や能力開発に役立ちます。
入社前とのギャップ軽減
入社前に期待していた仕事内容や待遇と実態が異なっていた場合、従業員の退職につながりやすくなります。このような入社前のギャップを防ぐには、求人広告で仕事内容について記載する際、仕事での苦労や実際の社内環境などを、正直に伝えることが大切です。
また入社前の職場見学や就業体験などの実施も、定着率を上げる有効な手段です。
定着率を向上させた事例
定着率はどのように向上させられるのか、企業の具体的な取り組み事例を解説します。
鳥貴族【部門を超えた連携で定着率アップ】
焼き鳥チェーンを展開する「鳥貴族」では従来、新しく従業員が入社した際、各店舗に教育を任せていました。しかしその後、定着率向上の取り組みとして、面接官による入社後1か月のチェックをスタートさせました。
すると、人事部が店長の代わりに、従業員の不安や懸念を早期にキャッチできるようになりました。結果、部門の垣根を超えた連携が生まれ、定着率の向上につながったといいます。
辞める場合にも、きちんとヒアリングし、辞めた理由が明確になったことで、対策を講じることが可能になっています。
参照:【定着率の裏に理念あり】離職率が業界平均を大きく下回る鳥貴族の秘密|リクナビNEXTジャーナル
レオパレス21【研修に力を入れ定着率アップ】
不動産会社の「レオパレス21」は、研修を見直して定着率を向上させた企業です。従来は研修にコストをかけず、教育は現場任せでしたが、従業員へのアンケート結果から、教育に関するニーズが高いことが判明しました。
そこで研修内容を従業員のニーズに合わせて充実させたところ、成果を上げる従業員が増加したといいます。不動産業界は一般的に定着率が低い傾向にありますが、業界水準を上まわる定着率につながった好事例です。
参照:3年間で離職率が劇的に改善! レオパレス21はなぜ変われたか?|リクナビNEXTジャーナル
まとめ
従業員の定着率を上げるには、労働環境の不満を解消し、業務内容のミスマッチを防ぎ、人間関係の不和をなくす取り組みが必要です。定着率が向上することで、採用や教育のコスト削減や経営の安定につながります。
採用でのミスマッチを防ぎ、スムーズに採用を進めるには、スキマバイト募集サービス「タイミー」の利用がおすすめです。
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この機会にタイミーのメリットをご確認いただき、自社の採用活動にぜひ導入してみてください。