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嘱託社員とは?契約社員・派遣社員との違いなどもわかりやすく解説

こんにちは。スキマバイト募集サービス「タイミー」ライターチームです。

嘱託社員とは、有期雇用契約を締結して正社員と異なる非正規雇用の労働者です。本記事では、契約社員など他の雇用形態との違いと採用後のポイントも解説します。

記事を読むと会社側と従業員側から見た、嘱託社員ならではのメリット・デメリットが分かります。

目次[非表示]

  1. 1.嘱託社員とは?他の雇用形態との違いは?
    1. 1.1.契約社員との違い
    2. 1.2.派遣社員との違い
    3. 1.3.アルバイト・パートとの違い
  2. 2.嘱託社員の働き方・雇用形態をわかりやすく解説
    1. 2.1.労働時間
    2. 2.2.給与・賃金
    3. 2.3.賞与(ボーナス)
    4. 2.4.有給休暇
    5. 2.5.社会保険・労働保険
      1. 2.5.1.①社会保険(健康保険・厚生年金保険)
      2. 2.5.2.②労働保険(労災保険・雇用保険)
    6. 2.6.退職金
  3. 3.嘱託社員ならではのメリット
    1. 3.1.【会社側】嘱託社員を雇うメリット
      1. 3.1.1.雇用期間が定められていないため雇用の調整が可能
      2. 3.1.2.採用時のミスマッチを防ぎやすい
      3. 3.1.3.人件費の削減に繋がる
    2. 3.2.【従業員側】嘱託社員になるメリット
      1. 3.2.1.ワークライフバランスを確保しやすくなる
      2. 3.2.2.働き慣れた職場でスキルを発揮しやすい
      3. 3.2.3.定年後も安定した収入を得やすい
  4. 4.嘱託社員ならではのデメリット
    1. 4.1.【会社側】嘱託社員を雇うデメリット 
      1. 4.1.1.契約更新時に手続きを行う手間がかかる
      2. 4.1.2.嘱託社員のモチベーションが低下する恐れがある
    2. 4.2.【従業員側】嘱託社員になるデメリット
      1. 4.2.1.契約が更新されない場合は失職となる
      2. 4.2.2.契約満了による退職は自己都合退職となる
      3. 4.2.3.これまでの役職から離れる可能性が高い
  5. 5.嘱託社員に「何歳まで」「定年後のみ」という年齢制限はある?
  6. 6.嘱託社員の「無期転換ルール」について
  7. 7.嘱託社員の事例
  8. 8.嘱託社員を採用した後のポイント
    1. 8.1.スキルが活かせる業務を任せる
    2. 8.2.人材育成に携わってもらう
  9. 9.まとめ

嘱託社員とは?他の雇用形態との違いは?

嘱託社員とは、正規の社員と異なる雇用形態で働く社員のことです。有期雇用契約を締結し、大きく分けると非正規雇用の労働者に入ります。行政機関などでは、単に「嘱託」と呼ばれることも多いです。

法令には嘱託社員についての特段の規定はなく、高度な専門的業務に従事する社員や定年退職後に再雇用する社員を嘱託社員と呼んでいます。

以下では、他の3つの雇用形態との違いを解説します。

  • 契約社員との違い
  • 派遣社員との違い
  • アルバイト・パートとの違い

最初に嘱託社員と契約社員との違いから見ていきましょう。

契約社員との違い

契約社員とは、嘱託社員と同様に有期雇用契約を締結して働く社員のことです。一般的には、嘱託社員のように高度な専門的業務のスキルは持ち合わせていません。非正規雇用の労働者として勤務します。

勤務時間はさまざまですが、フルタイムで勤務する契約社員が多いです。有期雇用契約の社員のうち、定年退職後に再雇用する社員を嘱託社員とし、それ以外を契約社員とするケースも多いでしょう。

派遣社員との違い

派遣社員は、派遣会社に登録して雇用契約を締結し派遣された会社のスタッフとして働きます。嘱託社員とは、雇用契約の締結先が異なります。

嘱託社員が雇用先の会社と直接雇用契約を締結するのに対し、派遣社員は雇用契約の締結先の派遣会社が給料の支払者で指揮命令権者です。派遣会社によっては、昇給や賞与があります。

アルバイト・パートとの違い

アルバイトやパートの形態で働く方は、短時間労働者とも呼ばれています。1時間単位で働く従業員はパート従業員に該当し、アルバイト・フリーターなどの呼称があります。

アルバイトやパート従業員には、嘱託社員と同様に有期雇用契約を締結しています。嘱託社員との大きな違いは、給与体系です。嘱託社員は月給制ですが、アルバイトやパート従業員は、時給制が原則です。 


嘱託社員の働き方・雇用形態をわかりやすく解説

嘱託社員は、非正規雇用として有期雇用契約を締結します。有期雇用契約内容によって、労働条件が決まります。契約の締結時には、以下の労働条件を労使双方がしっかりと確認するようにしましょう。

労働時間

労働基準法に抵触しない範囲内であれば、嘱託社員の労働時間は柔軟に決めることができます。専門的な知識やスキルのある嘱託社員であれば、繫忙期に労働時間を長くして会社を支えてもらう働き方も可能です。

定年退職後に再雇用する嘱託社員の場合には、年齢や体力を考慮した労働時間にすることもできるでしょう。残業がない勤務や1週間の勤務日を少なくすることが可能です。嘱託社員ならではの働き方といえるのではないでしょうか。

給与・賃金

2021年4月に全面改正された「パートタイム・有期雇用労働法」によって、中小企業でも同一労働・同一賃金が導入されています。有期雇用労働者である嘱託社員も適用対象です。業務内容や責任の範囲が同じであれば、正社員か嘱託社員かにかかわらず同等の賃金を支払わなければなりません。

会社側は同一労働を行う正社員と嘱託社員との間に、不合理な待遇差が生じないように日頃から注意しましょう。基本給などの賃金格差は、業務内容や責任の範囲の違いなどで合理性が認められる場合に限り適法です。

参考:厚生労働省「パートタイム・有期雇用労働法

賞与(ボーナス)

賞与とは、定期的に毎月支払われる給与とは別に会社から支給される報酬をいいます。賞与は社員のモチベーションの向上に繋がり、日頃の社員の会社への貢献度への報酬です。

賞与は、大別すると以下の3種類です。

基本給与連動型

基本給 × 数カ月分として算出

業績連動型

会社の業績・個人の成果に応じた査定で算出

決算賞与

決算月前後の会社の業績に応じ算出

一般的には嘱託社員の賞与は、正社員と比べると低い傾向が見られます。

有給休暇

嘱託社員は、労働基準法に規定する労働者に該当します。会社は、継続勤務年数に応じた年次有給休暇を付与しなければなりません。以下の2つを満たすことが、有給休暇を付与する要件です。

  • 雇入れの日から6カ月以上継続して勤務
  • 全労働日のうち8割以上の出勤

上記の要件は、雇用形態にかかわらず全ての労働者が対象です。定年退職者を嘱託社員で再雇用した場合には、原則定年退職前から通算した継続勤務としての取り扱いが必要になります。

参考:「労働基準法第39条」(年次有給休暇)

社会保険・労働保険

①社会保険(健康保険・厚生年金保険)

定年後に再雇用した嘱託社員が継続して被保険者の資格取得基準を満たす場合、定年退職日の翌日に社会保険の資格喪失と再取得の手続きを同時に行うことができます(同日得喪)。

同日得喪では、再雇用された月から再雇用後の給与に応じた標準報酬月額に改定されます。

②労働保険(労災保険・雇用保険)

嘱託社員は一般労働者に該当するため、労災保険の適用対象です。

雇用保険が適用される要件は次の通りです。

週の労働時間:20時間以上
31日以上の継続雇用の見込み

2つの要件を満たすと、嘱託社員の希望の有無にかかわらず適用されます。

参考:厚生労働省大阪労働局「労働保険の適用単位と対象となる労働者の範囲

退職金

嘱託社員は、定年退職後に再雇用されるケースが比較的多いです。多くの場合は、定年退職時に退職金を支給済みです。

嘱託社員は有期雇用契約のため、契約期間終了後に契約が更新されれば勤務を継続し、更新されなければ退職となるでしょう。

退職金は、必ずしも嘱託社員に支払う義務はありません。

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嘱託社員ならではのメリット

嘱託社員ならではのメリットを以下の2点から見ていきましょう。

  • 【会社側】嘱託社員を雇うメリット
  • 【従業員側】嘱託社員になるメリット

会社側のメリットから解説します。

【会社側】嘱託社員を雇うメリット

雇用期間が定められていないため雇用の調整が可能

嘱託社員には、雇用期間が定められていないため雇用の調整が可能な点はメリットです。雇用期間の定めがないと、契約更新しない選択肢があり雇用の調整ができるためです。

会社の業績が思わしくなければ、正社員のように雇用を続ける必要がありません。

また、会社の方向性を大きく転換する際には、これまでの嘱託社員が持つ高度な専門的知識とスキルが不要になる可能性もあります。

採用時のミスマッチを防ぎやすい

定年退職後に再雇用した嘱託社員であれば、採用時のミスマッチが防ぎやすくなる点はメリットです。長期間にわたって、一緒に働いていた方であれば気心も知れています。

嘱託社員が持っている専門的な知識とスキルに加えて、人柄も分かった上で採用すればミスマッチが防げます。

人件費の削減に繋がる

嘱託社員の採用が、人件費の削減に繋がりやすい点もメリットです。一般的に定年退職後の再雇用であれば、給与が低くなるためです。

これまで培ったノウハウやスキルも持っているため、再雇用は人件費削減とも併せて、嘱託社員ならではのメリットといえるでしょう。

【従業員側】嘱託社員になるメリット

ワークライフバランスを確保しやすくなる

嘱託社員になれば、ワークライフバランスを確保しやすくなる点はメリットです。一般的には嘱託社員になると、残業がない勤務や1週間の勤務日が少ない働き方を選べるためです。

正社員として働いている間は、働き方改革といわれても業務量が多ければ、ワークライフバランスの観点からの働き方は難しいです。

働き慣れた職場でスキルを発揮しやすい

嘱託社員であれば、働き慣れた職場でスキルを発揮しやすい点はメリットです。これまでに培ったスキルを継続して生かせるためです。

今まで通りの職場なので、新たな人間関係を構築する必要もありません。引き続き、安心して働くことができるでしょう。正社員として働いていた間のスキルと人間関係を継続して生かせるのは、嘱託社員ならではのメリットです。

定年後も安定した収入を得やすい

嘱託社員として働き続ければ、定年後も安定した収入を得やすい点はメリットです。正社員時代より収入は低くなるものの、継続して定職に就いていられるからです。

仮に65歳で退職したとして、安定した収入がある新しい職業を探すことは特別のスキルや人脈がなければ難しいでしょう。収入が減ったとしても、継続して安定して稼げることは、嘱託社員ならではのメリットです。

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嘱託社員ならではのデメリット

嘱託社員ならではのデメリットを以下の2点から見ていきましょう。

  • 【会社側】嘱託社員を雇うデメリット
  • 【従業員側】嘱託社員になるデメリット

嘱託社員での雇用はメリットだけではありません。

【会社側】嘱託社員を雇うデメリット 

契約更新時に手続きを行う手間がかかる

嘱託社員では、契約更新時に手続きを行う手間がかかる点はデメリットです。嘱託社員は、有期雇用契約の契約更新ごとに更新手続きが必要になるためです。人事・採用担当者には負担がかかってしまいます。

契約書の作成にとどまらず、面談やヒアリングも必要になるでしょう。

嘱託社員のモチベーションが低下する恐れがある

嘱託社員のモチベーションが、低下する恐れのある点はデメリットです。嘱託社員になれば、正社員に比べると給与が減り、賞与が支給されない可能性も高いからです。

また、かつての部下が上司になる可能性もあるでしょう。会社の主幹業務から補助的な業務に変わるケースもあり、モチベーションの低下に繋がってしまいます。

【従業員側】嘱託社員になるデメリット

契約が更新されない場合は失職となる

嘱託社員の契約が更新されない場合に、失職する点は大きなデメリットです。有期雇用の契約が、必ずしも更新されるとは限らないからです。

たとえ子どもの教育費を稼ぐために強く契約更新を希望しても、会社の都合で更新が打ち切られる可能性があるのは大きなデメリットといえるでしょう。

契約満了による退職は自己都合退職となる

嘱託社員の契約満了に伴う退職が、自己都合退職となる点はデメリットです。場合によっては、失業手当がもらえない可能性もあり得ます。

自己都合退職と会社都合の退職では、下表の通り失業手当の受給要件が異なります。

自己都合退職

過去2年間の雇用保険の被保険者加入期間が12カ月以上

会社都合退職

過去1年間の雇用保険の被保険者加入期間が6カ月以上

単年度の契約で自己都合退職になれば、失業手当がもらえないケースもあるので注意しましょう。

これまでの役職から離れる可能性が高い

嘱託社員になると、これまで管理職だった方でも役職から離れる可能性が高い点はデメリットです。1度は苦労して手に入れた役職でも、手離さざるを得なくなるでしょう。

正社員時代と違って働く期間も短くなるケースが多いため、有期雇用の契約社員である以上は昇給や昇進は困難になってしまいます。契約期間中に成果が出ても、次の契約の評価に繋げるのは難しいでしょう。

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嘱託社員に「何歳まで」「定年後のみ」という年齢制限はある?

嘱託社員と聞くと、退職後の再雇用で勤務しているイメージが強いです。年齢にかかわらず嘱託社員として働くことは、思ったよりも難しくありません。

実際に求人サイトで調べると、多くの求人は年齢による線引きはされていません。建築構造設計・施工管理などの技術職、弁護士などの士業、営業販売職、管理人の職種が多くみられました。

自身のスキルや専門的な知識に特化した働き方をしたい方やワークライフバランス重視で働きたい方には、嘱託社員は選択肢の1つになるでしょう。

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嘱託社員の「無期転換ルール」について

無期転換ルールとは、同一企業との間で有期契約労働者からの申し込みによって、期間の定めのない労働契約へ転換するルールです。有期労働契約が5年を超えて更新された場合、無期転換の申し込みをすると、会社は断ることができません。

有期契約労働者は、基本的には雇用期間の定めのある全ての労働者が対象となり、嘱託社員にも無期転換ルールが適用されます。

ただし、以下の方には無期転換申込権が発生しない特例があるので注意しましょう。

  • 高度な専門的な知識などを有している有期雇用労働者
  • 定年後継続して雇用される有期雇用労働者

特例の適用を受けるためには、本社を管轄する都道府県労働局長に対する申請が必要です。

参考:厚生労働省「無期転換ルールについて


嘱託社員の事例

ここでは、嘱託社員の専門性の高さとプロジェクトへの戦力になることが評価された事例を紹介します。

職種

事例の内容

非常勤講師

  • 大学・専門学校・短期大学などの教育機関での非常勤講師
  • 講義・実習・研究指導などを担当

M&Aのプロジェクトの担当者

  • M&Aの経験者
  • 事業統括・M&Aに必要な調査・分析および交渉などを担当

海外事業責任者

  • 海外進出・事業展開
  • 地域特有ルール・文化・法律などの深い理解を持つ責任者として現地のビジネス展開を担当

専門性の高い嘱託社員は、契約期間満了後も雇用契約が継続する場合もあります。プロジェクトへの戦力として採用された嘱託社員は、プロジェクト終了後に雇用契約が終了することが多いでしょう。


嘱託社員を採用した後のポイント

嘱託社員を採用した後のポイントは、以下の2つです。

  • スキルが活かせる業務を任せる
  • 人材育成に携わってもらう

嘱託社員のモチベーションが低下しないように処遇しましょう。

スキルが活かせる業務を任せる

これまでに長年にわたり培ってきた、スキルや知見が生かせる業務を任せることがおすすめです。この場合には、以下の点に気を配りましょう。

  • 嘱託社員には成果自体を求めず、若手社員の成果が出るようサポート役として期待する
  • 会社が期待している役割・振る舞いを伝達し理解を求める
  • 働きへの感謝を言葉に出して明確に伝える

嘱託社員には、やりがいを感じてもらえるように十分なコミュニケーションを取る必要があります。

人材育成に携わってもらう

前述の通り若手社員のサポートをしてもらった後には、会社の人材育成にも携わってもらうといいでしょう。一歩踏み込んだ関与をすることが嘱託社員のモチベーションアップにも繋がります。

嘱託社員に現場で活躍し続けてもらうためには、定期的な研修の機会も必要になるでしょう。嘱託社員同士が議論を活性化し意見交換することは、若手のさらなる育成に有効な手段です。


まとめ

嘱託社員は、年齢や体力を考慮して残業がない勤務や1週間の勤務日を少なくすることができます。

嘱託社員には、雇用期間が定められていないため雇用の調整が可能な点は会社にとってメリットです。一方で、給与の減額により嘱託社員のモチベーションが低下する恐れのある点はデメリットです。

嘱託社員を採用した後には、モチベーションが低下しないように処遇しましょう。

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監修:社労士 涌井好文
監修:社労士 涌井好文
涌井社会保険労務士事務所 社労士 涌井好文|平成26年より神奈川県で社会保険労務士として開業登録し、企業の人事労務や給与計算のアドバイザーとして活動。退職時におけるトラブル相談など、労働者からの相談にも対応し、労使双方が円滑に働ける環境作りに努めています。近時は活動の場をWeb上にも広げ、記事執筆や監修などを通し、精力的に情報発信を行っています。

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