パートの契約更新をする・しない時の注意点|無期契約についても解説
こんにちは。スキマバイト募集サービス「タイミー」ライターチームです。
パートは「短時間労働者」とも呼ばれ、期限をあらかじめ設定した有期労働契約を結んでいるケースが多いです。採用する場合には労働条件の同意を得ることが必要で、雇い止めの際にも雇用契約書に明記された内容によっては無効になることがあります。
この記事では、人事担当者がパート契約の更新や雇い止めをする際に注意したいポイントについて解説します。無期転換申込権や法改正について気になっている方も、ぜひ参考にしてください。
目次[非表示]
- 1.パートは基本的に有期労働契約を結んでいる
- 1.1.有期労働契約と無期労働契約の違い
- 1.2.有期労働契約と業務委託契約の違い
- 2.パート(有期労働契約)のメリット・デメリット
- 2.1.【企業側】メリットとデメリット
- 2.1.1.①柔軟に労働者を確保できる
- 2.1.2.②コストカットできる
- 2.1.3.③忠誠心が低くなる
- 2.1.4.④教育コストが必要
- 2.1.5.⑤雇用契約が煩雑になる
- 2.2.【労働者側】メリットとデメリット
- 2.2.1.①仕事を辞めやすい
- 2.2.2.②キャリアを柔軟に考えられる
- 2.2.3.③仕事の継続に不安がある
- 2.2.4.④福利厚生が少ない
- 2.2.5.⑤専門的なスキルが構築しにくい
- 3.パート契約の更新をする時に企業が注意すべき点
- 3.1.新たに雇用契約を締結する
- 3.2.労働条件を変更する場合は労働者の合意を取る
- 3.3.2024年に行われる法改正に注意する
- 4.パート契約の更新をしない時に企業が注意すべき点
- 5.パートの契約更新に関するQ&A
- 6.まとめ
パートは基本的に有期労働契約を結んでいる
有期雇用のパートは「短時間・有期雇用労働者」とも呼ばれます。契約期間に期限があり、契約を維持するためには更新が必須です。
パートタイム労働者にはさまざまな呼称がありますが、同じ事業所に雇用される通常の労働者が働く1週間の所定労働時間に比べて短い有期労働契約を結んでいれば、パートタイム・有期雇用労働法(短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律)の対象です。
つまり、「パートタイマー」「アルバイト」「嘱託」「契約社員」「臨時社員」「準社員」など違う名称で働いていても、法律的には「短時間労働者や有期雇用労働者」に分類され、パートタイム・有期雇用労働法の適用を受けます。
パートタイム労働者や有期雇用労働者の主な求人方法については、「アルバイト・パートの求人方法とは?おすすめの求人方法や成功のためのポイントについて」を参考にしてください。
有期労働契約と無期労働契約の違い
労働契約には有期労働契約の他に「無期労働契約」という方法もありますが、両者の違いは、契約期間が設定されているかどうかです。
有期労働契約では、契約期間中は労働者がサービスを提供し、雇用者は賃金を支払う義務があります。契約期間が終わると、契約は自動的に終了、両当事者間の法的義務もなくなります。両者に労働の継続の意思があれば契約を更新ができますが、義務ではありません。つまり、有期労働契約には雇い止めの可能性もあります。逆に無期労働契約は、定年まで働き続けるのが前提であり、雇い止めはありません。
有期労働契約と業務委託契約の違い
「業務委託契約」は、業務の一部を外部に委託する契約形態で、雇用契約ではありません。
企業は対等な立場として業務の一部を外部企業や個人に委託し、受託者から成果を受け取ります。業務委託契約では労働に対してでなく成果に対して報酬が支払われるのが特徴です。雇用契約ではないので、企業には受託者に対する社会保険や雇用保険の加入手続義務がありません。
契約期間は、有期労働契約では労働契約時に明確に定められますが、業務委託契約ではタスクやプロジェクトの実施期間などが契約期間です。そのため、業務の進捗(しんちょく)によっては変動することがあります。また、成果物の納品が完了した時点で報酬が支払われることが多いです。
パート(有期労働契約)のメリット・デメリット
パートは労働期間が定められている有期労働契約者であることが多いため、継続して働いてもらうためには契約の更新が必要です。有期労働契約を結ぶ場合に考えられるメリットとデメリットを、企業側と労働者側の視点からまとめました。
【企業側】メリットとデメリット
①柔軟に労働者を確保できる
特定のスキルや専門知識を持つ人材が必要な場合、一時的な雇用が可能です。求める人材が特殊な資格やスキルを必要とする場合、思ったような採用ができないというリスクもはらんでいます。
②コストカットできる
契約期間が決まっているため、必要以上の人件費がかかりません。
新規に採用する従業員を一定期間パートとして雇用すれば、長期雇用のリスクも減らせます。
③忠誠心が低くなる
労働期間が限定されていることで企業への忠誠心が低くなり、労働意欲が低下する可能性があります。このことが、職場のチームワークに影響を与える場合もあります。
④教育コストが必要
新しい従業員を雇用すれば、業務に必要となるトレーニングが必要です。また、いったん身に付けた知識やスキルが、同業他社へ流出する可能性もあります。
⑤雇用契約が煩雑になる
パートでは定期的に契約の更新が必要になるため、雇用期間の管理や人事手続きが必要です。人事業務にとっては負担が増加するでしょう。
【労働者側】メリットとデメリット
労働者側のメリット・デメリットは以下の通りです。
①仕事を辞めやすい
転勤族などは、パートで期間が限定される方が余計なストレスを感じないでしょう。また、職場の人間関係が自分に合わないと感じる場合も、期間終了を理由に仕事を辞めやすいため、余計なトラブルになりにくいのもメリットです。
②キャリアを柔軟に考えられる
契約の更新のタイミングで、自分の働き方や生き方について考える機会を持てます。また、たくさんの職種で働けば、さまざまな人と出会い、ネットワークが広がります。多様な選択肢を持って人生設計ができるはずです。
③仕事の継続に不安がある
仕事をしていても雇い止めの不安があります。評価が気になりやすく、失敗することに不安を覚えるため、チャレンジや思い切った提案もしにくいでしょう。
④福利厚生が少ない
正社員と比べて福利厚生が少ない場合があります。健康保険、退職金、有給休暇などの恩恵を受けにくいのもデメリットです。
⑤専門的なスキルが構築しにくい
頻繁に異なる職種や業界で働けば、一つの分野で専門性やスキルが構築しにくくなります。
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パート契約の更新をする時に企業が注意すべき点
パートとの契約更新では、更新手続きをスムーズに進めるために、適切な準備とコミュニケーションが必要になります。企業と労働者の双方が満足しやすいポイントをご紹介します。
新たに雇用契約を締結する
使用者が労働者を採用する際には、賃金・労働時間などの合意が必要です。パートタイム労働者との雇用契約時に取り交わす書類には「労働条件通知書」と「雇用契約書」があります。
労働条件通知書は、労働基準法第15条で作成・交付が義務付けられている、労働条件を明確化する文書です。雇用側が労働者に向けて労働条件を提示し、同意を得るものではありません。記載すべき内容は「労働基準法施行規則」と「パートタイム・有期雇用労働法施行規則」に定められています。
また雇用契約書は、労働条件について雇用側と労働者双方の意思を確認して合意する書類です。義務ではありませんが、合意が得られたことを残すためにも雇用契約書の作成は有用です。
労働条件を変更する場合は労働者の合意を取る
労働条件を変更する場合には、労使間の合意が必要です。労働契約の締結や変更は、労働契約法において民事上のルールとして以下の原則が定められています。
- 労使の対等の立場によること
- 就業の実態に応じて、均衡を考慮すること
- 仕事と生活の調和に配慮すること
- 信義に従い誠実に行動しなければならず、権利を濫用してはならないこと
この原則を順守するため、労働契約法8条には 「労働者及び使用者は、その合意により、労働契約の内容である労働条件を変更することができる」 と定められています。
労使関係に不信感を生まないためにも、合意を取るようにしましょう。
2024年に行われる法改正に注意する
2024年4月1日に労働基準法施行規則が改正・施行されました。これにより、「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準」などの労働条件の明示事項などについて変更があるので、注意が必要です。
改正後には、雇用契約を締結する際に明示しなければならない労働条件が追加されます。
更新が予定されている有期雇用のパートの場合は以下が重要です。
- 労働契約の締結と契約更新のタイミングごとに更新上限の有無とその内容を明示
- 更新上限を新たに設定したり短縮したりする場合には、その理由を説明
労働契約書の変更が必要な場合は内容を整備し、法改正に対応してください。
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パート契約の更新をしない時に企業が注意すべき点
有期労働契約では、原則的には契約期間を過ぎれば雇用契約も終了します。しかし、場合によっては雇い止めが認められない場合もあります。パート契約の更新をしない場合に企業が注意すべき点を紹介しましょう。
更新の有無や判断基準を雇用契約書に記載する
労働契約法第19条では、以下の要件を満たしている場合には雇い止めが無効となります。
- 労働者から有期労働契約の更新等の申し込みがある
- 有期労働契約の更新が繰り返されていて実質的に無期雇用契約と変わらない状態になっている、または、契約が更新されると期待することに合理的な理由がある
- 雇い止めに客観的に合理的な理由がなく、社会一般から見て相当と認められない
雇い止めを無効にしないためには、雇用契約を結ぶ段階で雇用契約書に更新の有無と判断基準を明記し、厳格に実施する旨を記載します。判断基準として挙げられるのは以下のような項目です。
- 契約期間満了時の業務量
- 労働者の勤務成績、態度
- 労働者の能力
- 会社の経営状況
- 従事している仕事の状況
労働者が努力すべき内容を、具体的に記載するとより分かりやすいでしょう。
契約を解除する30日前までに雇い止めの予告をする
あらかじめ労働者側から契約を更新しない旨が明示されている場合を除き、条件を満たした場合には、少なくとも契約を解除する30日前までに労働者に伝えなければなりません。
30日前までに雇い止めの予告が必要な条件は、以下の通りです。
- 3回以上契約が更新されている場合
- 1年以下の契約期間の有期労働契約が更新または反復更新され、最初に有期労働契約を締結してから継続して通算1年を超える場合
- 1年を超える契約期間の労働契約を締結している場合
なお、雇い止めの予告後に労働者が雇い止めの理由について証明書を請求した場合は、遅滞なくこれを交付しなくてはなりません。
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パートの契約更新に関するQ&A
パートタイム労働者の有期雇用契約を更新する際に、判断を迷いやすいポイントについてまとめました。対応方法を紹介するので参考にしてください。
契約締結後に辞退された場合はどうしたらいい?
有期労働契約の場合、民法の定めにより、原則契約期間中の退職は難しいです。契約書を取り交わしている段階で契約が成立し、雇用契約の期間内であると言えるので、辞退は「やむを得ない事由」がある場合にのみ認められます。
民法628条では「やむを得ない事由があるとき」に該当しない場合の取り扱いについては、条文内で明らかにしていません。
「やむを得ない事由」になるかどうかについては個人によって考え方も違い、詳細はケースバイケースです。トラブルも起きかねないので、弁護士や社労士などの専門家に相談することをおすすめします。
ただし、有期労働契約であっても契約期間の初日から1年経過後は、いつでも退職することができるとされているので(労働基準法附則137条)、「やむを得ない事由」の有無に関わらず自由に退職することができます。
パート契約の更新をする・しないは何を基準に判断すればいい?
パートの契約を更新するかどうかは、雇用契約書に明記された契約の更新のための判断材料に従って判断します。
- 契約期間満了時の業務量
- 労働者の勤務成績、態度
- 労働者の能力
- 会社の経営状況
- 従事している仕事の状況
継続して雇用関係を更新しない場合には、有期雇用契約では契約期間が満了するとともに雇用契約も終了します。
ただし有期労働契約は、契約が更新されて通算5年を超えた場合に、労働者の申し込みによって無期労働契約へ転換されるルールがあります。無期転換の申し込みをすると 使用者が申し込みを承諾したものとみなされ、使用者は断ることができません。この場合、契約期間は定年までとなり、雇い止めが無効となります。
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まとめ
パートは短時間労働者とも呼ばれ、期限をあらかじめ設定した有期労働契約を結ぶケースが多いです。採用の際には労働条件の同意を得ることが必要ですが、2024年に法改正が行われ明示事項などが追加され、対応が必要です。
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