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高年齢雇用継続給付金の廃止はいつから?なぜ?制度の内容も解説

こんにちは。スキマバイト募集サービス「タイミー」ライターチームです。

高年齢雇用継続給付金は、60歳以上の労働者の雇用継続・再雇用を促進するための雇用保険の一種ですが2025年4月から支給率が変更され、段階的に縮小廃止される予定となっています。

この変更に伴って何が変わり、どう対応すればいいのでしょうか?申請方法、必要な書類まで詳しく紹介します。

目次[非表示]

  1. 1.そもそも高年齢雇用継続給付金とは
    1. 1.1.高年齢雇用継続給付金の種類
      1. 1.1.1.高年齢雇用継続基本給付金 
      2. 1.1.2.高年齢再就職給付金
    2. 1.2.高年齢雇用継続給付金の対象者
      1. 1.2.1.高年齢雇用継続基本給付金の対象者
      2. 1.2.2.高年齢再就職給付金受給の対象者
  2. 2.高年齢雇用継続給付金の縮小・廃止はいつから?
  3. 3.高年齢雇用継続給付金が縮小・廃止されるのはなぜ?
  4. 4.高年齢雇用継続給付金の廃止による影響
  5. 5.高年齢雇用継続給付金の代わりになる助成金・補助金はある?
    1. 5.1.65歳超雇用推進助成金
    2. 5.2.高年齢者等雇用安定助成金
    3. 5.3.高年齢労働者処遇改善促進助成金 
  6. 6.高年齢雇用継続給付金の廃止による企業のメリット・デメリット
    1. 6.1.メリット
    2. 6.2.デメリット
  7. 7.高年齢雇用継続給付金ではいくら貰える?
    1. 7.1.【従来】高年齢雇用継続給付金の算出方法
    2. 7.2.【2025年以降】高年齢雇用継続給付金の算出方法
  8. 8.高年齢雇用継続給付金の申請方法
  9. 9.高年齢雇用継続給付金の申請に必要な書類一覧
    1. 9.1.高年齢雇用継続基本給付金 
    2. 9.2.高年齢再就職給付金
  10. 10.まとめ

そもそも高年齢雇用継続給付金とは

高年齢雇用継続給付金とは60歳以上のシニア層の雇用継続・再雇用を促進するために
設けられた雇用保険の一種です。

この制度が導入された1995年には、高齢化が進むにもかかわらず、60歳をすぎたら大幅に賃金が低下してしまうことが社会問題となっていました。そこで働く意欲のある高齢者の雇用を促進し、援助することを目的として、制度化されたものが高年齢雇用継続給付金です。

高年齢雇用継続給付金の種類

高年齢雇用継続給付金は60歳以上65歳未満の労働者を雇用する際に最大で賃金の15%が国から補助される制度ですが、雇用する労働者によって「高年齢雇用継続基本給付金」と「高年齢再就職給付金」の2種類があります。それぞれ受給要件等が異なるので、混同しないように注意して取り扱いましょう。

高年齢雇用継続基本給付金 

高年齢雇用継続基本給付金は、60歳以降働き続ける労働者に支給される給付金です。主に60歳で定年退職した後、再雇用制度などを利用して、同一企業で継続雇用される労働者が該当します。また、退職後に失業保険を受け取らないまま、そのまま他の企業に再就職した場合にも、給付金の対象となります。

支給期間は60歳に達した月から65歳に達する月と定められています。ただし、各月の初日から末日まで雇用保険の被保険者でなければなりません。65歳になる月の半ばで退職すると、その月は基本給付金は支給されませんので注意してください。

高年齢再就職給付金

60歳以降に退職し失業保険の基本手当を受け取っている人が、期間中に再就職した際に支給される給付金です。60歳以前に退職した人は対象ではありませんので注意してください。高年齢再就職給付金は、高齢者の再就職を支援し、安定した雇用を促進するために給付されます。

支給期間は、再就職した前日の時点での基本手当の支給残日数によって以下のようになっています。

  • 支給残日数が200日以上:再就職日の翌日から2年間
  • 支給残日数が100~199日:再就職日の翌日から1年間

なお、支給残日数が残っていても、65歳を迎えると高年齢再就職給付金は給付されません。

高年齢雇用継続給付金の対象者

高年齢雇用継続給付金の受給要件は、それぞれ以下の通りです。

高年齢雇用継続基本給付金の対象者

  • 受給者の年齢が60歳以上65歳未満
  • 60歳到達時点の賃金に比べて75%未満の金額で働いている
  • 失業保険の基本手当や再就職手当を受給していない
  • 雇用保険の加入期間が5年以上

高年齢再就職給付金受給の対象者

  • 受給者の年齢が60歳以上65歳未満
  • 60歳以上で失業保険の受給中に再就職した
  • 再就職後の賃金が退職前の75%未満
    ※再就職後の各月の賃金が、基本手当の賃金日額を30倍した金額の75%を下回っている
  • 再就職した日の前日における基本手当の支給残日数が100日以上ある
  • 再就職により1年を超えて雇用されることが確実
  • 基本手当を受給する直前に雇用保険に5年以上加入していた
  • 再就職手当を受給しない 


高年齢雇用継続給付金の縮小・廃止はいつから?

高年齢雇用継続給付金は、60歳以上の労働者の雇用継続・再就職を促進するために設けられた制度ですが、2020年度の通常国会で段階的な縮小・廃止が決定されました。

具体的な縮小・廃止は、以下の図のように進められます。

2025年4月以降に60歳に到達する人から、高年齢雇用継続給付金の給付率は現行の15%から10%に変更される予定です。その後段階的に給付率を下げ、最終的には廃止される流れで予定されています。なお、廃止の時期は2024年4月現在、未定となっています。

いずれにしても、高年齢雇用継続給付金の縮小・廃止に備えて、企業は高年齢の労働者の雇用や処遇を見直す必要があります。

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高年齢雇用継続給付金が縮小・廃止されるのはなぜ?

この制度が縮小・廃止されるのは、高齢者の雇用環境が整備されてきたからです。

まず、2013年の高年齢雇用安定法の改正により65歳までの雇用確保措置が義務化されました。その後、2021年4月からの70歳までの就業確保措置の努力義務化など、高齢者の雇用に関する制度が整備されてきました。

また内閣府の令和4年版高齢社会白書をみると、令和3年の労働力人口比率(人口に占める労働力人口の割合)は、65~69歳では51.7%、70~74歳では33.2%となり2005年以降、ずっと上昇傾向です。

このような状況から、高年齢雇用継続給付金の役割は終わったと判断され、段階的に給付率を縮小して廃止する方向性が示されたと考えられます。

参考:内閣府「令和4年版高齢社会白書

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高年齢雇用継続給付金の廃止による影響

高年齢雇用継続給付金の段階的縮小と廃止によって、企業や労働者を取り巻く環境は変化し、ひいては社会の変革をもたらす動きにつながると考えられます。

まず、企業にとっては人件費の増加が懸念事項となるでしょう。特に65歳以上を正社員として雇用している企業では大幅に人件費が増加するかもしれません。

労働者にとっては、収入減少となります。生活に不安感が増せば、もっと高収入を得る仕事を求めて、再就職活動をする人も増えるでしょう。

すでに「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」(高年齢者雇用安定法)が改正され、2021年4月1日から施行されました。

これは、70歳までの定年の引き上げ・定年制の廃止・70歳までの継続雇用制度(再雇用制度・勤務延長制度)の導入など、70歳まで働けるように事業主にいずれかの措置を制度化する努力義務を定めたものです。

高年齢雇用継続給付金の段階的縮小と廃止によって、いっそう生涯働き続ける人が増え、労働への考え方も従来通りではなくなると考えられます。

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高年齢雇用継続給付金の代わりになる助成金・補助金はある?

高年齢雇用継続給付金は縮小されますが、他にも高年齢者雇用に関する助成金や補助金があります。それぞれ厚生労働省のホームページに詳細が説明されています。高年齢雇用継続給付金とは手続きや受給資格の要件が違うため、確認のうえ必要があれば利用しましょう。

65歳超雇用推進助成金

高年齢雇用継続給付金は65歳未満の方に対して支払われる助成金ですが、その後の雇用に関しては、労働条件等関係助成金のなかに65歳超雇用推進助成金という制度があります。これは65歳以上の労働者に対して助成金が払われる制度で、3つのコースがあります。

  • 65歳超継続雇用促進コース
  • 高年齢者評価制度等雇用管理改善コース
  • 高年齢者無期雇用転換コース

参考:厚生労働省「令和6年度65歳超雇用推進助成金のご案内

高年齢者等雇用安定助成金

ハローワークまたは民間の職業紹介事業者から紹介されて、定年を控えた高齢者の知識経験を活かすことができる他の企業での雇用を希望する者を雇い入れる事業主に対して助成金が支給される制度です。

「高年齢者活用促進コース」と「高年齢者無期雇用転換コース」の2つのコースがあり、それぞれ所定の計画を作成し「独立法人高齢・障害・求職者雇用支援機構」理事長に提出してその認定を受ける必要があります。

参考:厚生労働省「4 高年齢者雇用安定助成金

高年齢労働者処遇改善促進助成金 

60歳から64歳までの高年齢労働者の処遇の改善に向けて、高年齢労働者に適用される賃金に関する規定、または賃金テーブルの増額改定に取り組む事業主に対して支給される助成金です。支給対象期の6カ月ごと第1期から第4期までの最大4回(2年間)申請できます。

参考:厚生労働省「「高年齢労働者処遇改善促進助成金」をご活用ください

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高年齢雇用継続給付金の廃止による企業のメリット・デメリット

高年齢雇用継続給付金の廃止によって、企業はメリットとデメリットの両面から影響を受けると考えられます。

メリット

まずメリットとしてあげられるのは、給付金の受給手続きが必要なくなるため、管理作業が軽減化することです。

給付金の受給には複数の要件があります。特に60歳前後から65歳までの高齢労働者を多く雇用している企業では、受給に必要な書類を作成したり手続きをしたりする業務は煩雑で、多くの時間が必要でした。

給付金が廃止されれば、事務的な負担が軽減されます。人事労務担当者の業務が効率化されて、給付金の申請や管理に関わる人件費や経費の削減も可能です。

企業は、より戦略的な人事施策の立案・実行に人材を活用できるでしょう。

デメリット

逆に、デメリットとして考えられるのは高齢労働者の勤労意欲の低下です。

給付金の給付率が下がったり廃止されたりすれば、そのままの給与体系だと高齢労働者の収入が減少し、勤労意欲の低下につながる可能性があります。

また、これをチャンスとして企業によっては、スキルの高いベテラン社員をターゲットにヘッドハンティングを仕掛ける企業もあるでしょう。

高齢労働者のモチベーションを維持し、ライバル企業に自社のノウハウや技術が流出しないようにするためには、なにか新しい手を打つ必要が出てくるかもしれません。賃金体系を見直す必要に迫られれば、人件費負担が増加するリスクもあります。


高年齢雇用継続給付金ではいくら貰える?

高年齢雇用継続給付金の計算には、いくつか条件分けがあり煩雑です。そのうえ、2025年4月には支給率も変更されますので、内容を整理して覚えておきましょう。具体的な算出方法をご紹介します。

【従来】高年齢雇用継続給付金の算出方法

高年齢雇用継続給付金の具体的な支給額は、賃金の低下率によって異なります。ただし、支給月の賃金が36万584円以上であるか高年齢雇用継続給付金の支給額が月2,061円以下の場合、給付対象外となります。

賃金の低下率が61%以下の場合、支給額は支給対象月の賃金の15%です。賃金低下率が61~75%未満の場合は、支給対象月の賃金に一定の割合を乗じた額が支給されます。

支給率は、支給対象月に支払われた賃金額(みなし賃金を含む)の低下率(支給対象月に支払われた賃金額/60歳到達時の賃金月額×100)に応じて決められ、早見表を使うと便利です。

なお、支給率の早見表は以下のとおりです。

参考:厚生労働省「Q&A~高年齢雇用継続給付~

【2025年以降】高年齢雇用継続給付金の算出方法

2025年4月1日以降に60歳に到達する方から順次、給付率が現行の15%から10%に引き下げられます。ただし、2025年3月31日までに60歳を迎える昭和40年4月1日以前に生まれた方は、現行の給付率15%が適用されます。

賃金低下率が61%以下の場合は、支給対象月の賃金の10%が支給されます。61~75%未満の場合は、一定の割合(0〜10%)を乗じた額となります。

現行と同様に、支給月の賃金が36万584円以上であるか高年齢雇用継続給付金の支給額が月2,061円以下の場合、給付対象外となります。

2025年以降も、賃金低下率に応じた支給率の計算方法に変更はありません。


高年齢雇用継続給付金の申請方法

高年齢雇用継続給付金の申請は、電子申請かハローワークへの書類提出で行います。

高年齢雇用継続基本給付金の申請は、従業員が雇用を継続し支給対象となった場合に行います。申請できる期間は支給対象月の初日から4カ月以内です。なお、高年齢雇用継続基本給付金の申請は従業員本人でも行えます。

高年齢再就職給付金の申請手続きには、まず事業所を管轄するハローワークで、受給資格の有無の確認が必要です。

高年齢再就職給付金の受給資格がある場合は「受給資格確認通知書」が、受給資格がない場合は「受給資格否認通知書」が交付されます。受給資格が否認された場合は、それ以後、受給資格を満たすことはありません。

受給資格確認通知書が交付されたら、高年齢雇用継続基本給付金と同様の手順で申請を進めます。

高年齢再就職給付金の手続きは企業しか行えません。新しく雇用した従業員が高年齢雇用継続給付金の受給対象者であるとわかったら、すみやかに手続きを始めましょう。

参考:厚生労働省「第10章 高年齢雇用継続給付について


高年齢雇用継続給付金の申請に必要な書類一覧

高年齢雇用継続給付金の申請に必要な書類をまとめました。申請の際に参考にしてください。

高年齢雇用継続基本給付金 

申請に必要な書類は以下の通りです。これらの書類は厚生労働省のホームページからダウンロードできます。

  • 高年齢雇用継続給付受給資格確認票
  • 高年齢雇用継続給付支給申請書
  • 払渡希望金融機関指定届
  • 事前にハローワークに受給資格紹介をしていた場合には、高年齢雇用継続給付受給資格確認通知書

また添付書類として、以下の書類が必要です。

  • 雇用保険被保険者60歳到達時賃金証明書
  • 賃金台帳や出勤簿など、支給申請書と賃金証明書の内容を確認できる書類
  • 運転免許証、住民票など、年齢確認書類※
    ※マイナンバーを届け出済みの場合、年齢確認書類は省略可能

また、2回目の申請からは高年齢雇用継続給付支給申請書の提出も求められます。

参考:厚生労働省「高年齢雇用継続給付について

高年齢再就職給付金

高年齢再就職給付金の申請には、まず、受給資格があるかどうかの確認のためにハローワークに以下の書類を提出します。これらの書類は厚生労働省のホームページからダウンロードできます。

  • 高年齢雇用継続給付受給資格確認票
  • 高年齢雇用継続給付支給申請書

受給資格の確認には、あわせて賃金台帳、出勤簿(タイムカード)、労働者名簿、雇用契約書などが必要です。なお、年齢が確認できる書類は必要ありません。

なお、以前の事業所で高年齢雇用継続給付の受給資格の確認を受けていたことがある方の場合、離職し雇用保険の基本手当を受けずに再就職したのであれば、受給資格確認票の提出は必要ありません。

参考:厚生労働省「第10章 高年齢雇用継続給付について


まとめ

高年齢雇用継続給付金は、60歳以上の労働者の雇用継続・再雇用を促進するための雇用保険の一種で継続雇用の場合と再就職した場合の2種類があります。現在の支給率は15%ですが、雇用環境整備が進んだため2025年以降段階的に縮小され、最終的には廃止される予定となっています。

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監修:社労士 涌井好文
監修:社労士 涌井好文
涌井社会保険労務士事務所 社労士 涌井好文|平成26年より神奈川県で社会保険労務士として開業登録し、企業の人事労務や給与計算のアドバイザーとして活動。退職時におけるトラブル相談など、労働者からの相談にも対応し、労使双方が円滑に働ける環境作りに努めています。近時は活動の場をWeb上にも広げ、記事執筆や監修などを通し、精力的に情報発信を行っています。

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