法定休日とは?労働基準法や36協定との関連性などわかりやすく解説
こんにちは。スキマバイト募集サービス「タイミー」ライターチームです。
法定休日とは、使用者が必ず労働者に与えなければならない休日です。週休1日が原則ですが、4週間の間に4日以上の休日があれば、週休1日の原則は適用されません。
本記事では、労働基準法や36協定との関連を解説します。記事を読むと、割増賃金と法定休日・法定外休日の関係も分かります。働き方改革による法定休日の確保と休暇制度の充実が、生産性向上や労働者のワークライフバランスの実現に繋がることが分かるでしょう。
目次[非表示]
- 1.法定休日とは?労働基準法や36協定との関係も解説
- 2.法定休日はなぜ重要視されているのか
- 2.1.法定休日を守らなかった時の罰則
- 3.法定休日と働き方改革
- 4.法定休日・法定外休日と割増賃金の関係
- 4.1.法定休日に出勤した際の割増賃金
- 4.2.法定外休日に出勤した際の割増賃金
- 5.法定休日・法定外休日はどう判断する?
- 5.1.労働基準法では曜日の指定はない
- 5.2.就業規則で指定するのが一般的
- 6.法定休日を設定する際の注意点
- 6.1.年間52日を下回らないようにする
- 6.2.代休と振替休日の取り扱いを決めておく
- 6.2.1.代休と振替休日の違い
- 6.3.法定休日の勤務が発生する場合は36協定の締結が必要になる
- 7.シフト制で法定休日を設定しにくい際の対応
- 8.まとめ
法定休日とは?労働基準法や36協定との関係も解説
法定休日とは、使用者が労働者に必ず与えなければならない休日で、労働基準法第35条に規定されています。
使用者は、労働者に毎週少なくとも1回の休日を与える週休1日が原則です。4週間の間に4日以上の休日がある場合は、この週休1日の原則は適用されません。
使用者が、労働者に法定休日に勤務させる場合には36協定の締結が必要です。労働者に法定休日労働を命じるには、36協定締結に加えて労働契約で休日労働義務の規定を入れて、労使双方の合意が必要です。
法定休日・法定外休日・所定休日の違い
法定外休日(所定休日)として、土曜日と日曜日の週休2日制を取り入れている会社が多いように、労使間の取り決めにより、これを上回る数の休日を労働者に与えることも可能です。
法定休日と異なり、会社の裁量で決めることができます。多くの会社は、週末や特定の平日を選んで法定外休日とし、就業規則に定めています。
従業員にとってはモチベーションの向上や生産性向上になり、ワークライフバランス向上にもなります。
法定休日・法定外休日との1番の違いは、労働基準法上の地位と割増賃金の適用の有無です。
法定休日は、労働基準法第35条に規定された休日で、従業員にとっては権利でもあります。
一方で、法定外休日は労使間の取り決めとはいえ、会社の裁量による休日です。割増賃金の適用の有無についても、会社の裁量に委ねられています。
人事・採用担当者は、両者を区別して適切な運用と会社の法的なリスクマネジメントをする必要があるでしょう。
法定休日はなぜ重要視されているのか
法定休日は、必ず与えなければなりません。ただし、どの日と特定しなくても労働基準法に抵触するわけではありません。
ただし、従業員の権利の保護や心身の良好な状態を保つためには、法定休日を特定することは重要です。会社としても法的な責任を果たす上で、重要視しているのは当然といえます。
法定休日の管理が不適切であると、労働紛争のリスクが高まり、会社の評判にも影響しかねません。業務内容によっては、法定休日が変動する会社もあるでしょう。その都度従業員への周知は必須といえるでしょう。
労働時間管理の観点からも、法定休日の特定は重要な役割を果たします。
上記の理由により、会社は法定休日の特定と就業規則や労働協定への明記が求められています。従業員と会社の利害が一致して、円滑な労働関係の維持に繋がるでしょう。
法定休日を守らなかった時の罰則
会社は「毎週少なくとも1回の休日」あるいは「4週間の間に4日以上の休日」を従業員に与えなければならない旨が、労働基準法第35条で規定されています。
この法定休日の付与は最低ラインです。このラインを下回ると罰則規定に該当します。労働基準法第119条により、6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金が課される可能性があります。
法定休日を与えない会社であることが広く認知されてしまうと、罰則どころではありません。求人にも応募者が集まりにくくなり、人手不足に陥ることは逃れられないでしょう。事業の継続さえも危うくなる可能性もあるでしょう。
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法定休日と働き方改革
2019年4月に「働き方改革関連法案」が施行され、ワークライフバランスを重視した働き方が求められています。原則として、中小企業でも方向性に変わりはありません。
きめ細かな労務管理により、時間外労働の削減と有給休暇の取得を推進することで、労使ともにポジティブな効果に繋がった事例が報告されています。
岐阜県の家具販売店では、下記の取り組みにより大きな効果がありました。
取り組み |
効果 |
従業員それぞれに応じ労務管理を推進すべく労務管理システムを導入し法定休日確保・有給休暇制度の充実 |
|
先輩社員のサポートによるメンター制度を導入し悩み・不安の早期把握 |
|
正社員転換制度の導入・公正な人事考課 |
|
※参考:厚生労働省「働き方改革特設サイト CASE STUDY/株式会社久米商店」
法定休日の確保と休暇制度を充実させれば、従業員の生産性向上やワークライフバランスの改善にも繋がる可能性があるでしょう。
参考:厚生労働省「働き方改革~一億総活躍社会の実現に向けて~」
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法定休日・法定外休日と割増賃金の関係
以下では、法定休日・法定外休日と割増賃金の関係について見ていきましょう。
- 法定休日に出勤した際の割増賃金
- 法定外休日に出勤した際の割増賃金
具体的な割増率も記載しています。
法定休日に出勤した際の割増賃金
法定休日や深夜労働に対しては、割増賃金を支払わなければなりません。労働基準法第37条の規定があります。
割増率は下表の通りです。
区分 |
割増率 |
法定時間外労働(1日8時間・週40時間を超える場合) |
1.25倍以上 |
法定休日労働 |
1.35倍以上 |
深夜労働(22:00~翌5:00) |
1.25倍以上 |
法定時間外労働かつ深夜労働 |
1.5倍以上 |
法定休日労働かつ深夜労働 |
1.6倍以上 |
月に60時間を超える法定時間外労働 |
1.5倍以上 |
法定休日の労働では時間外労働の規制が及ばないため、1日8時間を超える勤務に対しても割増率は1.35倍のままです。
参考 :厚生労働省大阪労働局「時間外労働の限度に関する基準」
法定外休日に出勤した際の割増賃金
法定外休日は法定休日と異なり、労働基準法で規定されている割増賃金は原則として支払う必要はありません。
ただし、1日8時間・週40時間を超える勤務に対しては法定時間外の割増対象です。
以下は、就業規則で「土曜日を法定外休日・日曜日を法定休日」と定めている会社の事例です。
区分 |
勤務時間・割増率などの例 |
従業員が法定休日(日曜日)に出勤 |
月~金曜日にそれぞれ7時間勤務・日曜日の割増賃金は6時間×1.35倍 |
従業員が法定外休日(土曜日)に出勤 |
月~金曜日にそれぞれ7時間勤務・土曜日は5時間+割増賃金は2時間×1.25倍 |
従業員が法定外休日(土曜日)と法定休日(日曜日)ともに出勤 |
月~金曜日にそれぞれ7時間勤務・土曜日は5時間+割増賃金は1時間×1.25倍・日曜日は5時間×1.35倍の割増賃金 |
1日8時間・週40時間を超える労働は法定時間外労働として割増賃金の対象です。上記はあくまで一例なので、個別に適切な判断を行いましょう。
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法定休日・法定外休日はどう判断する?
以下では、法定休日・法定外休日の判断方法を見ていきます。
- 労働基準法では曜日の指定はない
- 就業規則で指定するのが一般的
先に曜日指定について確認しておきましょう。
労働基準法では曜日の指定はない
労働基準法では、何曜日を法定休日・法定外休日とするかの規定はありません。休日の特定を、会社に義務付けてはいないのです。
ただし、労働契約や就業規則で法定休日・法定外休日の定めがなければ、日曜日から土曜日を1週間とし最後に位置する休日が法定休日です。それ以外の休日は、法定外休日になります。
次に就業規則で定める場合を見ていきましょう。
就業規則で指定するのが一般的
法定休日と法定外休日は、就業規則で指定するのが一般的といえるでしょう。休日が事前に決まっていれば、従業員も働きやすいためです。
就業規則は会社全体の労働条件を規定するため、法定休日と法定外休日の特定に適しています。
下記のように定めておくと分かりやすいです。
【就業規則の例】「休日は、土曜日と日曜日とし、このうち法定休日は日曜日とする」
この場合、土曜日が法定外休日・日曜日が法定休日となります。
就業規則で指定があれば、休日出勤での賃金計算でも混乱が生じにくくなるでしょう。
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法定休日を設定する際の注意点
法定休日を設定する際の注意点は、以下の2つです。
- 年間52日を下回らないようにする
- 代休と振替休日の取り扱いを決めておく
法定休日に勤務させるには、36協定の締結も必要です。
年間52日を下回らないようにする
労働基準法には「毎週少なくとも1回の休日」あるいは「4週間に4日以上の休日」とのみ規定されています。年間の法定休日の日数については、明記されていません。
しかし、1年間は約52週となるので、1週間に1回法定休日を付与して、年間52日を下回らないようにしましょう。適切に法定休日を設定しなければなりません。
代休と振替休日の取り扱いを決めておく
休日出勤が発生した場合には、原則として会社は従業員に代休や振替休日を付与します。代休と振替休日は任意の制度です。会社には付与する義務はありません。
従業員のワークライフバランスを重視し、過労防止のためには代休と振替休日の付与は重要です。付与するためには、就業規則へ規定しておくのが適切です。
代休と振替休日はともに休みであり混同しやすいですが、労働時間管理と割増賃金を支払う際の取り扱いが異なります。支払いに当たって誤りが生じないように、代休と振替休日の違いを押さえておきましょう。
代休と振替休日の違い
代休は、従業員が定められた勤務時間以外に残業や休日出勤をした場合、労働した時間に相当する休暇を与えるものです。予期していなかった残業や急に発生した休日出勤に対しては、代休が適用されることが多いです。
代休は、定められた法定休日に労働を行わせた場合にあたるため、35%の割増賃金を支払わなければなりません。
振替休日は、従業員の本来の休日を事前に労働日として、その休日を別日に振り替えて与える休日です。通常であれば、振替休日は休日出勤が計画されているときに適用されるものです。
事前に振り替えていれば、休日労働に該当しないため、割増賃金の支払義務は生じません。休日出勤日に対しては、通常の賃金を支払うことで済むため、振替休日に賃金の支払は不要です。
ただし、法定労働時間が40時間を超えれば、25%以上の割増賃金が発生します。
法定休日の勤務が発生する場合は36協定の締結が必要になる
法定休日に休日勤務を命じる場合には、事前に36協定の締結と届出が必要です。36協定を締結することなく、休日労働させれば労働基準法第119条に抵触します。6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金を課される恐れがあるので、十分に注意しなければなりません。
また、法定外休日は休日労働には該当しないものの、時間外労働に該当する可能性はあります。時間外労働に対しては、25%以上の割増賃金の支払い義務が生じるため、休日の労働が予想されれば、36協定の締結が必要となるでしょう。
シフト制で法定休日を設定しにくい際の対応
会社がシフト制を採用していれば、法定休日を設定しづらい場合があります。法定休日が固定しづらい場合には、4週4休体制なども視野に入れてはいかがでしょうか。
4週4休体制を導入すれば、休日を適法に付与することが可能になります。多くの会社のように週休2日制でシフトを組む場合には、法定休日をどの日に設定するか、労使間で誤解のないようにすることが大切です。
明確に勤務表を貼り出すなど、視覚に訴えるのも1つの方法になるでしょう。
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まとめ
法定休日が重要視されている理由は、従業員の権利を保護することで円滑な労働関係の維持に繋がるためです。
法定休日の確保と有給休暇の取得を推進して、従業員の生産性向上やワークライフバランスの改善に繋がった事例もあります。
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