終身雇用とは?メリットやデメリット・崩壊といわれる理由などを解説
こんにちは。スキマバイト募集サービス「タイミー」ライターチームです。
終身雇用とは、企業が従業員を採用から定年に至るまで長期間にわたり雇用する制度です。
本記事では、終身雇用のメリット・デメリットと終身雇用が「崩壊している」といわれる理由を解説します。
記事を読むと、終身雇用の今後と人材確保のために企業が取り組むべきことが分かるようになります。採用担当者の方は、ぜひ最後までご覧ください。
目次[非表示]
- 1.終身雇用とは
- 1.1.終身雇用の目的
- 1.2.終身雇用と年功序列との関係性
- 2.終身雇用に関する現状
- 2.1.終身雇用に関する日本の現状
- 2.2.終身雇用に関する海外の現状
- 3.終身雇用が「崩壊している」といわれている理由
- 4.企業が終身雇用制度を導入するメリット
- 4.1.長期的な視点で人材を育成できる
- 4.2.組織の安定性や組織力が向上する
- 4.3.採用コストを削減できる
- 5.終身雇用制度にはデメリットも多い
- 5.1.従業員のモチベーションが下がりやすい
- 5.2.高額な人件費が必要になる
- 6.終身雇用の考えは今後どうなる?
- 7.人材確保のために今後企業が取り組むべきこと
- 7.1.業務効率化
- 7.2.新たな人事評価制度の導入
- 7.3.多様な働き方の整備
- 8.終身雇用に関してよくある質問
- 8.1.終身雇用制度があるのは日本だけ?
- 8.2.終身雇用は英語でどう表現する?
- 9.まとめ
終身雇用とは
終身雇用とは、企業が従業員を主に正社員として定年退職まで雇用する制度です。日本の雇用制度の特徴の1つとして、年齢や勤続年数などが賃金や役職に反映されます。
大企業に多く見られるように、従業員の多くは定年退職まで1つの企業で働くために、収入と雇用継続が比較的安定している仕組みです。
終身雇用制度は、戦後の日本の高度経済成長期の発展に大きく寄与しました。従業員は企業に忠誠心を持って労働力を提供する代わりに、採用後にはよほど大きな違反がなければ長く働き続けることができました。
以下では終身雇用目的と年功序列との関連性を見ていきます。
終身雇用の目的
終身雇用の目的は、長期的な労働力の確保と人材育成です。人材育成に当たっては、ロングスパンで最適な育成方法を取り入れることが可能です。企業が長期的に雇用関係を継続することに対する見返りとして、定年までの期間において従業員は雇用と収入が安定します。
長期的な労働力の確保の観点からは、企業にとっては従業員が定年退職までの雇用が続くので、短期的な雇用の心配をしなくて済むメリットがあります。
会社に必要な人材として長期間で育成した従業員には、配置転換や転勤にも対応してもらい、安定した会社経営の基盤の維持に貢献してもらうことができます。
企業は優秀な人材を確保するために、従業員に安定と安心をもたらす終身雇用に取り組んできました。
終身雇用と年功序列との関係性
年功序列は、勤続年数と年齢の上昇に伴って、賃金が上昇していく制度です。従業員は同じ企業で長く勤務を継続するほど、地位が安定し収入も上昇傾向が続きます。
その意味では、年功序列制度は従業員が安定して働けるための雇用制度ともいえます。
年功序列と終身雇用は、車の両輪のようにセットで戦後の日本経済の成長期を支えてきました。
日本経済が長く低迷期に入っている現在の状況では、年功序列制度は企業にとっては、大きな人件費の負担になっています。
終身雇用に関する現状
終身雇用に関する日本の現状
厚生労働省職業安定局「我が国の構造問題・雇用慣行等について」によると、2016年時点での生え抜き社員(若年期に入職後同一企業に勤務継続者)の割合などは以下の通りです。
大卒正社員の生え抜き社員の割合 |
5割程度 |
高卒正社員の生え抜き社員の割 |
3割程度 |
生え抜き社員の割合が高い業種(大卒) |
金融・保険業 |
生え抜き社員の割合が高い業種(高卒) |
製造業 |
生え抜き社員の割合が低い業種(大卒・高卒とも) |
医療・福祉 |
原則として長期的に生え抜き社員の割合は、低下傾向といえます。
また、労働政策研究・研修機構「第7回勤労生活に関する調査」によると、終身雇用を支持している割合は全体の87.9%と高い支持を受けています。
参考:厚生労働省職業安定局「我が国の構造問題・雇用慣行等について」
参考:労働政策研究・研修機構「第7回勤労生活に関する調査」(2015年)
終身雇用に関する海外の現状
終身雇用制度は日本独自の働き方といわれます。海外でも欧米諸国の中から、米国・ドイツ・オランダの3カ国の働き方の現状は下表の通りです。
米国 |
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ドイツ |
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オランダ |
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終身雇用が主流とはいえない上記3カ国と比べると、日本はワークライフバランスが調整しにくい国といえるでしょう。
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終身雇用が「崩壊している」といわれている理由
日本で終身雇用が崩壊しているといわれる理由は、下表の通りです。
理由 |
内容 |
①日本経済の低迷 |
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②少子高齢化 |
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③IT技術の発展 |
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④ビジネスモデルの多様化 |
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主に以上の4つの理由により、年功序列型賃金の維持が困難となっています。その結果、終身雇用制度は崩壊しているともいわれています。
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企業が終身雇用制度を導入するメリット
企業が終身雇用制度を導入するメリットは、以下の3つです。
- 長期的な視点で人材を育成できる
- 組織の安定性や組織力が向上する
- 採用コストを削減できる
3つのメリットを具体的に見ていきましょう。
長期的な視点で人材を育成できる
終身雇用制度なら、原則として多くの従業員は定年まで勤務します。従業員にも、年齢が上がるにつれて賃金がアップするメリットがあります。
企業は長期的な視点から人材を育成し、収入が安定していることを条件として人材確保もしやすくなる点はメリットです。
終身雇用制度のもとでは、新規採用時に一括して採用を実施すれば、長期にわたる人材の育成計画が立案可能です。
終身雇用制度では将来的に自社に必要となる、高度な専門的知識を持った人材育成を行うことができるでしょう。
組織の安定性や組織力が向上する
終身雇用制度では、組織の安定性につながる自社への帰属意識の高い人材の確保がしやすくなります。採用後から定年まで勤め上げれば、自社への意識や愛着は高まるためです。
企業としては、従業員に経営理念や組織としての意思を浸透させて、必要箇所への人員配置や組織再編を比較的スムーズに行うことができます。
帰属意識の高い人材によって、組織は安定し組織力の向上につながる点はメリットです。
採用コストを削減できる
終身雇用制度であれば、新卒として採用された従業員は、基本的に定年退職まで勤務します。採用業務も少なくなり、採用コストを削減できる点はメリットです。
中途採用によって、他社から能力の高い人材を高賃金で採用する手間や機会が少なくなるためです。
終身雇用や年功序列制度のもとでは、従業員が定着するため採用コストが軽減されて人件費の削減につながるでしょう。
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終身雇用制度にはデメリットも多い
終身雇用制度の主なデメリットは以下の2点です。
- 従業員のモチベーションが下がりやすい
- 高額な人件費が必要になる
いずれも年功序列制度が影響しています。
従業員のモチベーションが下がりやすい
終身雇用制度には、従業員のモチベーションが下がりやすいというデメリットがあります。原則として終身雇用制度では、本人によほどの落ち度がない限り、向上心の少ない従業員でも雇い続けなければなりません。
若い世代の社員は、企業に貢献してもそれに見合うリターンは得られにくいという年功序列制度の弊害を受けやすくなります。
若い世代の社員から見れば、成果を出していない中堅以上の社員に、待遇面でかなわないため勤労意欲がそがれてしまいます。
中堅社員の場合には、成果が出ていなくても役職や賃金がアップするため、真剣な努力を怠りがちです。
モチベーションをアップさせるために、社員にリスキリングを求め、学び直しの支援制度の充実や研修制度の整備もおすすめです。
高額な人件費が必要になる
一般的に終身雇用制度は年功序列制度と連動した運用となるため、社員は新卒からの生え抜きの社員が多く、人件費が高額になる点はデメリットです。
従業員の年齢や勤務年数に応じて、賃金や役職は上がっていきます。成果主義重視でないために、従業員本人の成果・実績に応じた賃金の調整が難しくなってしまいます。
少子高齢化の進行に伴って、若手社員の確保が難しく人手不足になれば、ベテランの中高年齢層の社員の高額な人件費が必要になるのはデメリットです。
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終身雇用の考えは今後どうなる?
右肩上がりの日本経済成長の終えんを迎えた後では、大企業に就職しても経済的な豊かさへの保証が得られにくくなりました。
企業としては、労働市場の流動性が高まったものの、すぐにこれまでの労働慣習を変えていくのは難しい時代です。米国式の働き方を取り入れて、解雇を容易に実施できる社会環境ではないためです。
そのため、日本と欧米式を組み合わせた「ハイブリッド型」と呼ばれる雇用制度の設計が進んでいく可能性が高まっています。
以下の2つが「ハイブリッド型」と呼ばれる雇用制度の設計が進行する理由です。
1.少子高齢化の進行によって、日本経済の低迷が今後も予想されるため、終身雇用制度維持が困難
2.正当な評価につながりやすい成果・能力主義への移行
経済のグローバル化でコスト削減が求められるため、海外との厳しい競争が続く中では、終身雇用制度は維持しづらい環境が続くでしょう。
人材確保のために今後企業が取り組むべきこと
人材確保のために今後企業が取り組むべき点は、以下の3つです。
- 業務効率化
- 新たな人事評価制度の導入
- 多様な働き方の整備
終身雇用制度が崩壊しつつある中で、人材確保のために企業が取り組むべき具体策を見ていきましょう。
業務効率化
企業が人件費の高騰に苦慮している中で、業務の効率化は避けては通れません。まずは業務内容を洗い出し、業務の細分化を実施しましょう。
これまでフルタイムで実施していた業務でも、短時間に分けて行えるものがあれば細分化することで効率化の対象となります。作業面でも重労働の作業と軽作業に分けて、業務を分担すると、業務の効率化につながる可能性があります。
また、近年は在宅ワークを希望する求職者が増加しています。在宅ワークで対応可能な業務をリストアップしておきましょう。
在宅ワークではコミュニケーション不足が心配されますが、コミュニケーションツールを取り入れて、業務の見える化を図ることが大切です。
業務の見える化によって、タスクやプロジェクトでの優先度も明らかになり、業務効率化につながるでしょう。
新たな人事評価制度の導入
終身雇用制度が廃止されると、年功序列制度に代わる人事評価制度の導入を急ぐ必要があります。従来型の勤続年数ではなく、成果・能力主義に基づく新たな人事評価制度への転換が求められます。
勤続年数の長さが評価された年功序列制度には、能力のある若手社員への評価が反映されにくい弊害がありました。
成果・能力主義に基づく新たな人事評価制度を導入すれば、能力のある若手社員の自社からの離職防止にもつながる可能性が高まります。
年功序列制度での問題点の1つでもあったモチベーションの低下に歯止めがかかり、成果・能力主義に基づく新たな人事評価制度への転換は、人材確保のために取るべき施策といえるでしょう。
多様な働き方の整備
優秀な人材確保のためには、次の多様な働き方の整備が必要になります。
多様な働き方 |
内容・メリットなど |
短時間勤務 |
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フレックスタイム |
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テレワーク |
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上記の他にも、働き方改革が進められている中では、女性が働きやすい環境整備も人材確保には欠かせないポイントです。
終身雇用に関してよくある質問
以下では、終身雇用に関してよくある質問を2つあげて回答していきます。
- 終身雇用制度があるのは日本だけ?
- 終身雇用は英語でどう表現する?
終身雇用について、再確認しておきましょう。
終身雇用制度があるのは日本だけ?
終身雇用制度は、日本だけの独自の制度です。終身雇用制度も徐々に崩壊しつつあります。
海外に目を向けると、米国では実力主義のためキャリアアップ目的での転職は当然で終身雇用とはほど遠い状況です。
たとえばドイツでは、スキル習得の開始が学生時代からと早く、専門的なため職種変更や転職は少なめです。
終身雇用は英語でどう表現する?
終身雇用は英語では「lifetime employment」と表現します。「lifetime」は一生を指し「employment」は雇用のことです。
終身雇用制度という場合には「lifetime employment system」や「lifelong employment system」などと表現します。
まとめ
従来の終身雇用制度は徐々に崩れ、今後は日本と欧米式を組み合わせた「ハイブリッド型」と呼ばれる雇用制度へと設計が進んでいくと考えられます。
終身雇用制度が廃止されると、年功序列制度に代わる人事評価制度の導入を急ぐ必要があり、働き方改革にもとづく多様な働き方の整備が必要です。
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