【テンプレート付き】始末書とは?会社が書かせる際の注意点も解説
こんにちは。スキマバイト募集サービス「タイミー」ライターチームです。
日々の業務において従業員がミスや不始末、不祥事を起こした際に作成・提出を求めることが多い始末書。しかし、記載する内容や目的、提出後の対応についてきちんと理解されていない方も多いのではないでしょうか。
本記事では、始末書を書かせる目的や作成を促す際の注意点などについて解説します。社内での始末書に対する認識を統一し、今後の対応に生かしたい方は、ぜひ最後までお読みください。
目次[非表示]
- 1.始末書とは
- 1.1.始末書と顛末書・反省文との違い
- 2.会社が従業員に始末書を書かせる目的・ケース
- 3.始末書の保管期間や保管方法
- 4.注意!始末書の作成・提出を会社が強制することはできない
- 5.従業員が始末書を提出しない場合はどうすればいい?
- 5.1.顛末書を書いてもらう
- 5.2.人事評価に反映する
- 6.スムーズに始末書を書いてもらうにはテンプレートを用意するのもおすすめ
- 7.【テンプレート・例文付き】始末書に記載すべき項目と書き方のポイント
- 7.1.発生したトラブルの詳細
- 7.2.謝罪の言葉
- 7.3.トラブルの原因と反省
- 7.4.対応状況
- 7.5.再発防止のための対策法
- 8.従業員から始末書が提出された後に会社が行うべきこと
- 8.1.内容の確認
- 8.2.行動が改善しているかどうかのチェック
- 8.3.さらなる懲戒処分の検討
- 9.まとめ
始末書とは
始末書は、業務上何らかのミスや不祥事などを起こした従業員本人が作成する社内文書の一つです。
事が起こった経緯を順序立てて示すことで従業員本人の反省を促し、再度同じような失敗を起こさせないために、きちんと改善する旨を誓約させる役割があります。
企業は、「従業員本人に自らの態度や失敗を振り返らせ、今後のために改善してほしい」との意味を込めているため、始末書を書かせる=ミスを挽回するためのチャンスを与えていると捉えてもよいでしょう。
不正や違反行為を犯した従業員に対して企業が下す懲戒処分の中の一つで「けん責」に該当し、懲戒処分の中では比較的軽度な措置といえます。
始末書と顛末書・反省文との違い
ミスや不祥事を起こした従業員に対して企業が作成を促す文書には、始末書の他にも顛末書(てんまつしょ)や反省文などがあり、それぞれ以下のように内容が異なります。
始末書 |
ミスや不祥事の経緯・事実関係を示し、再発防止を誓約する文書 |
顛末書 |
ミスや不祥事の経緯・事実関係、再発防止策を報告するための文書 |
反省文 |
従業員本人の反省、行動の改善を促すことを目的とする個人的な文書 |
従業員に作成を促す際は、従業員が内容を混同しないようきちんと示すことが大切です。
会社が従業員に始末書を書かせる目的・ケース
会社側は、「従業員に反省を促すこと」「同じ過ちは繰り返さないと誓約させること」を目的として、従業員に始末書を作成させます。
始末書を書かせることで、従業員の反省・再発防止への意識が高まる効果が期待できるでしょう。
また、万が一訴訟などのトラブルに発展した場合、従業員に非があり正当な処分であったことを示す重要な証拠にもなり得ます。
なお、会社が始末書の作成を求めるケース(代表例)は次の通りです。
- 正当な理由なく、遅刻・欠勤を繰り返した場合
- 会社からの貸与品や備品を紛失・破損させた場合
- 業務上のミスにより、自社や取引先に損害を与えた場合
- 会社や上司からの業務命令に背いた場合
- ハラスメント行為(パワハラ・セクハラなど)をした場合 など
基本的には、就業規則に違反したり会社に金銭的な損害を発生させたり、会社のイメージを損なったりした場合などに始末書の提出を求められます。
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始末書の保管期間や保管方法
始末書の保存期間は、法律で明確に定められていません。しかし、期間が決められていないからといって、安易に処分することは避けましょう。
基本的には、「人事関連の書類や履歴書、労働者名簿といった従業員本人の情報にひもづく書類」や「従業員の評価にかかわる人事考課関連書類」と併せて保管することが推奨されています。
2020年4月の改正労働基準法により、労働者名簿をはじめとする労働関連書類の保存期間は従来の3年から5年に延長されたため、最低でも5年は保管しておくことが望ましいでしょう。さらに会社独自に期限を定め、「人事に関する重要書類として永久保存」にしても問題ありません。
なお、原本(紙)やデータなどの保存方法についても、明確に定められてはいません。
参考:厚生労働省労働基準局「改正労働基準法等に関するQ&A」
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注意!始末書の作成・提出を会社が強制することはできない
業務上のミスや不祥事など、何らかの原因があって従業員に科す始末書ですが、会社が作成や提出を強制することはできません。
なぜなら、始末書の内容には本人の反省や謝罪が含まれており、これを強要すると「思想・良心の自由(憲法第19条)」を侵してしまうことになるからです。
通常、始末書は就業規則にのっとって作成・提出を促すため、企業側は「始末書の作成・提出は絶対」「拒否できない」と思いがちです。しかし従業員にも心があり、思想・良心の自由は保障されているため、無理強いはできません。
万が一このことを知らずに強要してしまうと、従業員とのトラブルに発展する可能性もあるため、注意してください。
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従業員が始末書を提出しない場合はどうすればいい?
始末書の作成・提出を促しても従業員が素直に応じない場合は、以下の方法で対処しましょう。
- 顛末書を書いてもらう
- 人事評価に反映する
一つずつ詳しく解説します。
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顛末書を書いてもらう
一つは、顛末書を作成してもらうことです。
顛末書は、事の経過や事実関係を客観的に報告する文書です。反省や謝罪の意味合いは含まれておらず、謝罪に納得がいかないと考える従業員でも書きやすいでしょう。
顛末書の内容は従業員本人の意思の自由とは関係ないため、事実内容を確認する一一環として提出を求めることが可能です。
人事評価に反映する
もう一つは、人事評価に反映することです。
従業員本人に何らかの問題行為があったにもかかわらず、提出を拒むことは不誠実な対応と受け取れます。そのままでは他の従業員への示しもつかないため、人事評価の判断材料として考慮するとよいでしょう。
その際、提出を拒否したという事実を記録に残しておくことで、今後同様のことが起きた場合にもより適切な対処ができます。
スムーズに始末書を書いてもらうにはテンプレートを用意するのもおすすめ
従業員の中には、「始末書を提出」と言われても、始末書の書き方そのものが分からない方がいるかもしれません。始末書や顛末書、反省文などは内容が似ている部分も多く、書いているうちに「反省文になってしまった」「謝罪の旨を書き忘れた」といったケースもあるでしょう。
始末書をスムーズに書いてもらうためには、あらかじめテンプレートを用意しておくことがおすすめです。
テンプレートを用意することで、作成時間を削減できることはもちろん、誰が書いても書式や内容が統一されているため、確認する側にとっても扱いやすいでしょう。また、形式を統一することで文書の品質を保つことができ、信ぴょう性も高まります。
【テンプレート・例文付き】始末書に記載すべき項目と書き方のポイント
始末書に記載が必要とされる(提出された文書の中で確認すべき)主な項目は、次の通りです。
- 発生したトラブルの詳細
- 謝罪の言葉
- トラブルの原因と反省
- 対応状況
- 再発防止のための対策法
ここからは、それぞれの項目について例文を交えながら分かりやすく解説します。
※汎用性の高いテンプレートもあるので、必要に応じて利用してください。
発生したトラブルの詳細
まずは、どのようなトラブルが発生したのか詳細を確認する項目です。「備品の紛失」「データの消去」「遅刻」など、始末書を書かせるに至った内容を把握しましょう。
例えば「会社からの貸与品を紛失したケース」では、以下のような文章が想定されます。
(例文) |
誰が見ても詳細が分かるよう記載することで、万が一訴訟などに発展した場合にも事実関係を裏付ける証拠になります。
謝罪の言葉
次に、謝罪の意が記載されているか確認します。わざわざ「謝罪」の項目を設けて記載させる必要はなく、文章の流れの中で謝罪に触れられているかチェックしましょう。
例えば「会社からの貸与品を紛失したケース」では、以下のような文章が想定されます。
(例文) |
謝罪に触れられていない場合、始末書ではなく顛末書扱いになる可能性があるため、注意してください。
トラブルの原因と反省
始末書では、再発防止策に対する記載が必要ですが、再発防止策を講じるためには「トラブルの原因」を突き止めておく必要があります。従業員本人が原因をしっかりと見極めた上で反省できているか確認しましょう。
例えば「会社からの貸与品を紛失したケース」では、以下のような文章が想定されます。
(例文) |
対応状況
現在までの対応状況について確認します。
例えば「会社からの貸与品を紛失したケース」では、以下のような文章が想定されます。
(例文) |
具体的に、どのような対処をしたのか、現時点でその問題は解決しているのかどうかなど、誰が読んでも現状を把握できるように記載されているかチェックしましょう。
再発防止のための対策法
最後の確認ポイントは、再発を防止するための対策が具体的に記載されているかどうかです。
例えば「会社からの貸与品を紛失したケース」では、以下のような文章が想定されます。
(例文) |
ミスに対して、的確な再発防止策が記載されていることを確認しましょう。
従業員から始末書が提出された後に会社が行うべきこと
従業員から始末書を受け取った後は、適切に対処することが重要です。始末書が提出された=会社の役目が終了ではありません。
次の3つのポイントをきちんと確認する必要があります。
内容の確認
従業員から始末書を受け取ったら、すぐに内容を確認しましょう。
特に事実確認の部分では、5W1H(いつ、どこで、誰が、何を、なぜ、どのように)を意識し、分かりやすく記載されているかチェックします。また、正しい始末書として謝罪や反省、原因、再発防止策について述べられているかも確認してください。
内容を確認することでミスやトラブルが現状どのようになっているのかを把握することができ、必要に応じて企業側はすぐに適切な対応に取り掛かれるようになります。
行動が改善しているかどうかのチェック
始末書を書かせたにもかかわらず態度が改まっていない、反省していないという状況では意味がありません。始末書を受け取った後はきちんと行動が改善されているか確認し、必要があれば指導する必要があります。
始末書の提出後も問題行為が繰り返される場合は、従業員と「改善すべき内容」「改善目標」「改善方法」について共通認識を持った上で、改善の促しおよびモニタリングをすとよいでしょう。
従業員の中には、始末書を提出したことでモチベーションの低下に陥っている可能性もあります。今回の機会を従業員が前向きに捉えられるよう、必要に応じてメンタル面のサポートをすることも大切です。
さらなる懲戒処分の検討
万が一、始末書の提出後も従業員の態度や行動に改善が見られない場合は、減給や降格などさらなる懲戒処分を検討することも一つです。ただしそのためには、就業規則にその旨を明確に記しておく必要があるため、留意しておきましょう。
なお、一つの事柄(事件)に対して再び別の処分を下すことは「二重処分禁止の原則(一事不再理の原則)」に当たります。例えば遅刻した従業員に対し、始末書を提出させたにもかかわらず、処分が甘かったなどの理由から別途減給の処分を科すなどです。
しかし、始末書の提出後も改善が見られない場合に課す懲戒処分は、あくまでも「態度や行動が改善されないこと」に対して科すため、二重処分禁止の原則には該当しません。この違いも併せて理解しておきましょう 。
まとめ
この記事では、始末書について分かりやすく解説しました。企業が従業員に始末書を提出させる目的は、自らのミスや不始末を客観的に理解させることで謝罪・反省を促し、再発防止を誓約させるためです。
単なる処分の一環としてだけでなく、始末書を書くことが従業員の行動や態度を改めるきっかけとなるよう正しく理解した上で、取り扱いましょう。
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