【記入例あり】派遣先管理台帳とは?保管期間や記載事項など解説
こんにちは。スキマバイト募集サービス「タイミー」ライターチームです。
派遣先管理台帳とは、派遣社員の就業状況や契約内容を詳細に記録する重要な書類です。人材派遣サービスを利用する企業は、派遣先管理台帳の作成と適切な管理が法律で義務付けられています。
本記事では、そんな派遣先管理台帳の基本的な概念から、記載事項、保管方法、法的リスクについて詳しく解説します。また、記事内では無料でダウンロードできる派遣先管理台帳のテンプレートも載せているので、ぜひご活用ください。
目次[非表示]
- 1.派遣先管理台帳とは
- 1.1.派遣元管理台帳との違い
- 1.2.派遣先管理台帳の作成義務
- 2.派遣先管理台帳の記載事項
- 3.派遣先管理台帳の記入例(厚生労働省)
- 4.「派遣先管理台帳のExcel・スプレッドシートのテンプレート【無料DL可】
- 5.派遣先管理台帳の通知義務について
- 6.派遣先管理台帳の保管について
- 7.派遣先管理台帳の通知・保管以外の法的リスク
- 7.1.記載不備による罰則
- 7.2.個人情報保護法違反のリスク
- 7.3.労働者派遣法違反のリスク
- 7.4.定期的な監査と監査準備
- 7.5.法改正への対応遅延リスク
- 8.派遣先管理台帳の活用事例
- 9.派遣先管理台帳に関するよくある質問
- 9.1.派遣先管理台帳は必ず必要?
- 9.2.派遣先管理台帳は派遣元と派遣先どちらが作成・保管する?
- 9.3.派遣先管理台帳に項目漏れがあったらどうしたらいい?
- 9.4.派遣先管理台帳を誤って紛失してしまった時はどうしたらいい?
- 10.まとめ
派遣先管理台帳とは
派遣先管理台帳とは、派遣社員を受け入れる企業(派遣先)が、その社員の勤務状況や契約内容を詳細に記録するための書類です。
この書類は、労働者派遣法により作成が義務付けられており、派遣社員の就業期間や勤務時間、業務内容などを正確に記録することが求められます。具体的な記載事項については、後ほど解説します。
派遣先管理台帳の目的は、派遣社員の労働環境の適正管理を図ることです。これにより、派遣社員が適切な労働環境で働けるようにし、労働条件に関するトラブルを未然に防ぐことができます。
派遣先管理台帳は、派遣社員が働く期間中は常に更新し続けなければならず、派遣契約が終了した後も一定期間保管することが義務付けられています。
人材派遣会社を利用している方は、「人材派遣会社に関連する法律「労働者派遣法」をわかりやすく解説!」の記事も併せてチェックしてみてください。
派遣元管理台帳との違い
派遣先管理台帳と派遣元管理台帳は、どちらも派遣社員に関する情報を管理するための書類ですが、管理する主体が違います。
派遣先管理台帳は、派遣社員を受け入れる企業が作成・管理するものと説明しました。それに対し、派遣元管理台帳は派遣社員を派遣する企業(派遣元)が作成・管理する書類で、これには派遣社員の基本情報、労働契約の内容、派遣先企業の情報などが記録されます。
管理主体 |
|
派遣先管理台帳 |
派遣先企業 |
派遣元管理台帳 |
派遣元企業 |
後々トラブルが発生した際に、適切な対処をするためにも、記載事項に間違いのないよう注意深く作成する必要があります。
派遣先管理台帳の作成義務
派遣先管理台帳の作成は、労働者派遣法第42条によって派遣先企業に義務付けられており、受け入れる派遣社員ごとに書類を用意しなければなりません。
また派遣先管理台帳は、労働局での調査において、派遣労働者が派遣先企業で適正な雇用環境に置かれているかを調べる「就業状況報告書」の資料としても使われます。
1日のみの短期間の派遣であっても、派遣社員と契約する場合には作成が必要なので忘れないよう注意しましょう。
参考:労働者派遣法第42条
派遣先管理台帳の記載事項
派遣元管理台帳の記載事項は、全部で18項目あります。以下は、2024年6月時点の最新版です。
- 派遣社員の氏名
- 派遣元企業の名称
- 派遣元企業の事業所名・所在地・電話
- 派遣先の事業所名・所在地
- 派遣就業した事業所の名称・所在地・部署・電話・就業場所・組織単位
- 有期雇用か無期雇用か・60歳以上か否か
- 協定対象派遣社員であるか否か
- 派遣社員が従事する業務内容
- 派遣社員が従事する業務に伴う責任の程度
- 派遣期間
- 派遣就業日
- 派遣先責任者の部署・役職・氏名・電話
- 派遣元責任者の部署・役職・氏名・電話
- 派遣社員の就業状況(就業日の始業時刻・終業時刻・休憩時間)
- 雇用保険・健康保険・厚生年金保険の加入の有無
- 派遣社員からの苦情処理状況
- 教育訓練を行った日時・内容
- 紹介予定派遣に関する事項・派遣可能期間の期限を受けない業務を行う労働者派遣に関する事項
参考:厚生労働省 東京労働局「派遣先管理台帳(令和2年4月1日 法改正後の参考様式例(R0204版)」
派遣先管理台帳の記載事項は法改正によって定期的に更新されています。直近では、2020年の法改正により「7.協定対象派遣社員であるか否か」と「9.派遣社員が従事する業務に伴う責任の程度」の2つの項目が追加されました。
最新版の記載内容を把握していないと、旧フォーマットを使用してしまったり、記入漏れにつながったりするため注意してください。
参考:厚生労働省・都道府県労働局「平成30年労働者派遣法改正の概要<同一労働同一賃金>」
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派遣先管理台帳の記入例(厚生労働省)
派遣先管理台帳は、書式は定められていないため、自社で作成したフォーマットを利用してもよいですし、基幹システムを利用して管理する方法もあります。
以下は記入例となりますので、参考にしてみてください。
派遣先管理台帳 | |
派遣労働者の氏名 |
〇〇 〇〇 |
派遣元事業主の名称 |
〇〇株式会社 |
派遣元事業主の事業所の名称及び所在地 |
名称:〇〇株式会社 |
派遣先の事業所の名称及び所在地 |
名称:〇〇株式会社 |
就業場所 |
名称:〇〇株式会社 〇〇支社 〇〇工場 |
有期雇用か無期雇用か・60歳以上か否か |
□有期雇用 □無期雇用 |
協定対象派遣労働者であるか否かの別 |
□協定対象派遣労働者 □協定対象派遣労働者ではない(派遣先均等・均等方式) |
業務内容 |
※できる限り詳細に記載 |
業務に伴う責任の程度 |
□付与される権限なし □付与される権限あり |
派遣期間 |
令和〇年〇月〇日から令和〇年〇月〇日まで |
派遣就業日 |
〇~〇(祝日、年末年始〇/〇~〇/〇、夏季休業〇/〇~〇/〇を除く) |
派遣先責任者 |
部署:〇〇部 〇〇課 |
派遣元責任者 |
部署:〇〇部 〇〇課 |
就業状況 |
〇月〇日(〇) 〇月〇日(〇) |
社会保険・雇用保険の被保険者資格取得届の提出の有無 |
健康保険 □有 □無 ※無しの場合はその理由と届出予定日を記載 |
派遣労働者からの苦情処理状況 |
申出を受けた日:令和〇年〇月〇日 |
教育訓練を行った日時及び内容 |
教育訓練実施日:令和〇年〇月〇日 〇時~〇時 |
紹介予定派遣に関する事項及び派遣可能期間の制限を受けない業務に係る労働者派遣に関する事項 |
①紹介予定派遣である旨 ※紹介予定派遣の場合のみ記載 |
参考:厚生労働省 東京労働局「派遣先管理台帳(令和2年4月1日 法改正後の参考様式例(R0204版)」
法改正による項目の変更もあるので、記載事項の抜け漏れ防止のためにも、少なくとも年に一度はチェックすることをおすすめします。最新情報は、厚生労働省や各都道府県の労働局のホームページでご確認ください。
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「派遣先管理台帳のExcel・スプレッドシートのテンプレート【無料DL可】
厚生労働省や労働局のホームページでは、無料でダウンロードできるテンプレートが提供されています。これらのテンプレートには、法令に基づく全ての記載事項が網羅されており、必要な情報を入力するだけで簡単に作成できます。
以下は、ダウンロードが可能な東京労働局のテンプレートです。書き方も詳しく載っているので、ぜひご活用ください。
東京労働局「労働者派遣事業に係る契約書・通知書・台帳関係様式例(Excel)」
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派遣先管理台帳の通知義務について
派遣先企業は、派遣元企業に対して定期的に派遣先管理台帳を通知することが義務付けられています。ここからは、派遣元企業に通知する項目、通知のタイミング、通知方法について解説します。
通知する項目
通知が義務付けられているのは、以下の6つの項目です。
- 派遣社員の氏名
- 派遣社員が就業した日
- 派遣社員の就業状況(就業日の始業時刻・終業時刻・休憩時間)
- 派遣社員が従事する業務内容
- 派遣社員が従事する業務に伴う責任の程度
- 派遣就業した事業所の名称・所在地・部署・電話・就業場所・組織単位
派遣社員の就業状況に関しては、タイムカードや勤怠システムの記録を通知する形でも問題ありません。
また、上記6つの項目以外にも、派遣社員から苦情申出を受けた場合は、その日付や内容、対処内容を派遣元企業にその都度通知しなければなりません。
通知のタイミング
派遣先管理台帳は、1カ月に1回以上、一定の期日を定めて派遣元企業へ通知する必要があります。期日以外であっても、派遣元から通知を請求された場合はただちに通知しなければなりません。
通知方法
通知方法は、書面、FAX、電子メールのいずれでも可能です。近年では、電子メールでの通知が主流となっています。
- 書面通知
- FAX
- 電子メール
これらの方法を適切に活用し、派遣元企業と円滑な情報共有を行うことが求められます。
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派遣先管理台帳の保管について
派遣先管理台帳は、労働者派遣法第42条第2項に基づき適切に作成された後、一定期間保管することが義務付けられています。保管方法と保管期間について詳しく見ていきましょう。
保管方法
派遣先管理台帳は、紙またはデータ形式で保管します。タイムカードや勤怠システムなどで就業状況を管理している場合は、それらの書類やデータも併せて保管する必要があります。
派遣先管理台帳には個人情報が多く含まれているため、紛失や漏洩のリスクが高い場所での保管は避け、安全な場所で保管するようにしましょう。
保管期間
派遣先管理台帳は、派遣期間終了後3年間保管する必要があります。派遣契約が更新された場合は、最後の契約終了後3年間となります。保管期間中は、労働局からの調査などに備え、いつでも閲覧できる状態にしておくことが大切です。
<保管期間の例>
①派遣期間が2024年4月1日から2026年3月31日の場合→2029年3月30日まで保管
②派遣期間が2024年4月1日から2025年12月31日→2026年3月31日に派遣契約を更新→2029年3月30日まで保管
派遣先管理台帳の通知・保管以外の法的リスク
派遣先管理台帳に関する法的リスクは、通知や保管に関するものだけではありません。ここからは、記載不備やその他の法的リスクについて説明します。
記載不備による罰則
派遣先管理台帳に必要な情報が欠落している、または不正確な場合、労働者派遣法に基づき罰則が科されることがあります。
具体的な法的リスクは以下の通りです。
- 罰金
- 行政指導
派遣先管理台帳の記載に不備がないよう、常に最新の情報を正確に反映し、適切に管理することが重要です。万が一、情報の不備や誤りがあった場合には速やかに修正するように心がけましょう。
個人情報保護法違反のリスク
派遣先管理台帳には多くの個人情報が含まれているため、企業はこれらの情報を厳重に保護しなければなりません。個人情報の漏洩や不適切な取り扱いが発覚した場合、重い罰則が科せられる可能性があります。
具体的な法的リスクは以下の通りです。
- 罰則
- 被害者への損害賠償
労働者派遣法違反のリスク
労働者派遣法に違反すると、企業にはさまざまな法的リスクが生じます。この法律は、派遣労働者の就業実態を適正に管理し、労働環境を保護するための重要な規定を含んでいます。派遣先管理台帳の作成や保存などを怠った場合は同法の違反となり、企業は重大な法的責任を負うことになるので注意しましょう。
具体的な法的リスクは以下の通りです。
- 30万円以下の罰金
- 派遣契約の無効化
- 企業名の公表
定期的な監査と監査準備
労働局は、企業が派遣労働者の就業実態を適切に管理しているかを確認するため、定期的に監査を行っています。監査の際に調査・確認される書類はいくつかありますが、そのうちの一つが派遣先管理台帳です。
派遣先管理台帳においては、特に以下の点が確認されます。
- 派遣先管理台帳の記載内容が法令に従っているかどうか
- 派遣先管理台帳の内容が事実と一致しているかどうか
- 派遣先管理台帳が適切に保存されているかどうか
業務内容や勤務状況に関する記録を適切に保管し、監査の際に迅速に提出できるようにしておきましょう。
法改正への対応遅延リスク
労働者派遣に関する法令は度々改正されており、派遣先企業はこれに迅速に対応しなければなりません。法改正への対応が遅れると、罰金や行政指導の対象となることがあります。
企業が法改正に遅延なく対応するためには、法務部門やコンプライアンス部門の強化、外部専門家との連携などが効果的です。
派遣先管理台帳の活用事例
派遣先管理台帳は、派遣社員の就業実態を記録する単なる書類ではありません。派遣先管理台帳を正しく活用することで、業務改善やリスク管理の強化など、さまざまなメリットが得られるのです。
例えば、派遣先管理台帳を定期的に見直すことで、派遣社員のパフォーマンスや職場環境の改善点を把握しやすくなります。問題点があった場合でも早期に発見できるため、迅速に対応することが可能となります。また、派遣社員のフィードバックを反映させることで、職場環境の向上や業務プロセスの改善にもつながるでしょう。
派遣先管理台帳に関するよくある質問
ここからは、派遣先管理台帳に関するよくある質問を見ていきましょう。
派遣先管理台帳は必ず必要?
派遣先管理台帳は、原則として作成が義務付けられています。この義務を怠ると、労働者派遣法第61条第3号に基づき、30万円以下の罰金が科される可能性があります。ただし、事務所の社員と派遣社員の合計人数が5人以下の場合に限り、この作成義務は免除されます。
派遣先管理台帳は、派遣社員の就業状況や契約内容を明示するための重要な書類です。派遣社員の業務内容や労働条件を明確にし、適切な業務指示を行うためにも、必ず作成しましょう。
参考:労働者派遣法第61条第3項
参考:労働者派遣法施行規則第35条第3項
派遣先管理台帳は派遣元と派遣先どちらが作成・保管する?
派遣先管理台帳は派遣先企業が作成・保管する書類です。
派遣先管理台帳に項目漏れがあったらどうしたらいい?
派遣先管理台帳に記載すべき項目に漏れがあった場合、速やかに補完する必要があります。労働者派遣法に基づき、全ての必要事項が正確に記載されていなければなりません。
記載漏れが発覚した場合は、労働局から指導を受ける可能性があり、場合によっては罰則が科せられることもあります。定期的に台帳の内容を見直し、記載漏れがないかを確認することが重要です。
派遣先管理台帳を誤って紛失してしまった時はどうしたらいい?
作成した台帳を紛失してしまった場合、書類不備と見なされ罰則対象になる可能性があります。具体的には、30万円以下の罰金に加え、業務改善命令や行政指導が行われることがあります。
多くの事業所でこのような不備が発覚しているため、派遣社員が就業する際には必ず台帳を作成し、紛失しないよう最低3年間はきちんと保管しておきましょう。
まとめ
本記事では、派遣先管理台帳の基本的な概念から、記載事項、保管方法、法的リスクについて詳しく解説しました。
派遣先管理台帳は、派遣社員を管理するにあたってとても重要な書類です。作成しなかった場合はもちろん、記入漏れや紛失が発生した場合にも厳しい罰則が科される可能性があるため、細心の注意を払う必要があります。記載内容を正確に把握し、ルールを遵守して適切な派遣先管理台帳を作成しましょう。
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