【テンプレートあり】労働者名簿とは?必須項目や書き方を徹底解説
こんにちは。スキマバイト募集サービス「タイミー」ライターチームです。
法定三帳簿の一つである労働者名簿は、従業員の労務管理上、重要な書類です。正しい取り扱い方法を知らないと、最悪の場合は罰則の対象となるケースもあるため、注意が必要です。作成方法や対象となる従業員の範囲、保管期間などは労働基準法によって細かく決められています。
当記事では、労働者名簿の定義や記載すべき事項、作成のポイントなどを解説します。
目次[非表示]
- 1.労働者名簿とは
- 1.1.社員名簿・従業員名簿との違い
- 2.労働者名簿の記載事項
- 3.労働者名簿の保管について
- 3.1.保存期間
- 3.2.厚生労働省の要件を満たす保管方法
- 4.【無料】厚生労働省が公開している労働者名簿
- 5.労働者名簿の作成・保存を怠った場合の罰則
- 6.労働者名簿を作成する上でのポイント
- 6.1.事業所ごとに作成する
- 6.2.デジタル化する
- 6.3.ツールを用いて効率化する
- 7.労働者名簿にまつわる注意点
- 8.労働者名簿の書き方に関するよくある質問
- 8.1.労働者名簿は誰が書くもの?
- 8.2.履歴はどこまで書けばいい?
- 8.3.労働者名簿の更新は必要?
- 9.まとめ
労働者名簿とは
労働者名簿とは、労働者の氏名や生年月日をはじめとする個人情報をまとめた名簿のことです。「法定三帳簿」として労働基準法に作成の義務が明記されており、1人でも従業員を雇用する際は作成しなければなりません。
名簿は事業所ごとに作成・保管する必要がありますが、必須項目が記載されていれば様式に定めはありません。
名簿に記載されている内容に変更が生じた場合は速やかに訂正し、常に最新の状態に保ちます。
最新の状態にしていなければならない理由は、名簿には人事・労務管理上必要なさまざまな情報が集約されているためです。
名簿の作成や保管を正しく行わなかったり怠ったりした場合、労働基準監督官による是正勧告や刑事罰の対象となる恐れがあるため、注意が必要です。
社員名簿・従業員名簿との違い
労働者名簿と同義で使用される言葉に「社員名簿」や「従業員名簿」がありますが、呼び方が異なるだけで、内容は同じです。
労働基準法上の正式名称は「労働者名簿」ですが、「社員名簿」や「従業員名簿」として社内で管理しても問題ありません。ただし、記載が義務付けられている事項を全て網羅する必要があります。
名簿の様式は特に指定されておらず、インターネットサイトからダウンロードしたものや、企業独自の様式を使用できます。厚生労働省のホームページからもテンプレートのダウンロードができるので、社内に適切な様式がない場合は利用してみてください。
労働者名簿の記載事項
名簿に必ず記載しなければならない必須項目は、全部で9つあります。漏れなく記載し、最新の状態を保つようにしましょう。また、必須項目以外にも、併記しておくと便利な項目があります。
必須項目
労働基準法および同法施行規則で定められた必須項目は、以下の通りです。
- 氏名
- 生年月日
- 履歴
- 性別
- 住所
- 従事する業務の種類
- 雇い入れた年月日
- 退職した年月日と事由
- 死亡した年月日と原因
「氏名」「生年月日」「性別」は、戸籍に記載されている内容と一致させる必要があります。例えば、戸籍上の氏名に旧字が含まれている場合、労働者名簿の氏名も旧字で記載した方がよいでしょう。
「履歴」は、社内における異動や昇格などを記載しますが、記載しなければならない範囲は明確に定められていません。「従事する業務の種類」は、労働者数が30人に満たない事業では、記載を省略しても構いません。
退職事由が解雇に当たる場合は、「退職した年月日と事由」に理由も併記します。死亡の場合は、死亡原因も記載しましょう。
任意項目
必須項目以外にも、記載しておくと便利な項目があります。具体的には、以下のような項目です。
- 緊急連絡先
- 社会保険、雇用保険に関する事項と連絡先
万が一、従業員本人と連絡が取れなくなった場合に備えて、緊急連絡先の情報は入手しておくとよいでしょう。社会保険や雇用保険に関する事項は個人情報に当たるため、労働者の同意を得た上で記載します。会社によって必要な項目は異なるので、追記すべき情報を社内で検討しておいてください。
なお、「名簿にマイナンバーも記載しておけば便利」と考える人事担当者がいるかもしれませんが、マイナンバーは具体的な使用目的を伝えた上で収集しなければなりません。労働者名簿は、マイナンバーを記載する場所としては適切でないため、注意が必要です。
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労働者名簿の保管について
労働者名簿は、特定の機関への提出が義務付けられているものではありませんが、労働基準監督署の調査の際には提出を求められる場合があります。個人情報が記載されているため、ルールにのっとって適切に管理する必要があります。
保存期間
労働基準法により、保存期間は従業員が退職や解雇、死亡した日から5年間と定められています。2020年の法改正により、保管期間が3年から5年へ変更されました。当面の間は経過措置として、3年間の保存でも問題ないとされています。
なお、労働者名簿、賃金台帳、出勤簿の法定三帳簿の保存期間は、いずれも5年間(当分の間は3年間)ですが、保存期間の起算日がそれぞれ異なります。
賃金台帳は労働者の最後の賃金について記入した日が起算日となり、出勤簿は労働者が最後に出勤をした日が起算日です。
また、記録に関する賃金の支払期日が、賃金記入日や出勤日などより遅い場合には、 当該支払期日が記録の保存期間の起算日となります。
同じ担当者が法定三帳簿全ての管理に当たるケースが多いため、それぞれの台帳の起算日を正確に理解し、保存期間中に廃棄することがないよう留意する必要があります。
厚生労働省の要件を満たす保管方法
労働者名簿の保管方法については、特に明確な定めがありません。ただし、データで保管する場合には、厚生労働省の要件を満たす必要があります。厚生労働省の要件とは、以下の4つです。
- 法令で定められた要件を具備し、かつそれを画面上に表示し印字することができること。
- 労働基準監督官の臨検時等、直ちに必要事項が明らかにされ、提出し得るシステムとなっていること。
- 誤って消去されないこと。
- 長期にわたって保存できること。
出典:厚生労働省「雇用管理分野における個人情報保護に関するガイドライン」
名簿に記載される事項は個人情報に該当するため、誰でも閲覧できる場所に保管したり、施錠できないキャビネットに保管したりするのは適切ではありません。取扱担当者を指定し、慎重に管理すべきです。
なお、名簿は事業所単位で作成・保管する必要がありますが、異動などによって事業所を移った場合は、従前の名簿を異動先の事業所へ提供します。2つ以上の事業所で同じ従業員の名簿を保管しなければならない義務はありません。
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【無料】厚生労働省が公開している労働者名簿
厚生労働省は、ホームページ上で労働者名簿の様式を提供しています。WordとPDF形式の2種類があるため、いずれか使用しやすい方を選択してください。
名簿の様式は、厚生労働省が指定した様式に限定されているわけではありません。必須項目が満たされていれば、様式は自由です。インターネット上のサイトではさまざまなテンプレートが提供されているので、自社のニーズに合ったものを選択してカスタマイズするとよいでしょう。
参考:厚生労働省 東京労働局
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労働者名簿の作成・保存を怠った場合の罰則
労働者名簿の作成や保存を怠ると、悪質なケースの場合は刑事罰が科されることもあるため、注意が必要です。労働者名簿の作成・保存の義務違反は、「30万円以下の罰金」に処され(労働基準法120条1号)、事業主に対しても「30万円以下の罰金」が科されます(同法121条)。
実際には、労働基準法違反によって刑事罰を受けるのは、悪質なケースに限定されます。名簿の不備や保存期間の誤りだけで刑事罰に直結する可能性は低いでしょう。しかし、残業代の未払いや恒常的な長時間労働などの問題がある場合は、労働者名簿の作成・保存の義務違反も併せて追求されることがあります。
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労働者名簿を作成する上でのポイント
名簿の作成や管理に当たっては、いくつかのポイントがあります。
- 事業所ごとに作成する
- デジタル化する
- ツールを用いて効率化する
それぞれの詳細を解説します。
事業所ごとに作成する
労働者名簿は、企業で1つ作成するのではなく、事業所単位で作成し、保管する義務があります。支社や営業所、工場、店舗などが複数ある場合、それぞれ1つずつ名簿を作成することになります。
保管も同様に、事業者単位で行います。本社の人事や総務部で一括して保管するものではないため、注意してください。適切に管理するためには、それぞれの事業所において責任者を指定した方がよいでしょう。
なお、労働者名簿は正社員の分のみ作成すれば済むものではありません。アルバイトやパート、契約社員など、正社員以外の従業員も含めて作成する必要があります。ただし、日雇い労働者や派遣社員については作成しなくても問題ありません。
デジタル化する
名簿のデジタル化には、さまざまなメリットがあります。具体的なメリットは、以下の4つです。
- 紛失や盗難の心配がない
- アクセス性の向上
- 保管コストを削減できる
- 破損や劣化のリスクがない
紙媒体の運用には、常に紛失や盗難のリスクが伴います。万が一、労働者名簿を紛失してしまうと、個人情報漏えいの恐れがあるだけでなく、企業の信用にも傷がつくでしょう。
2つ目のメリットは、アクセス性の向上です。紙媒体の場合、必要な情報を探すために一定の時間を要しますが、データであれば瞬時に必要な情報へアクセスできます。
3つ目のメリットは、保管に要するコストを削減できる点です。企業の規模が大きくなるほど、労働者名簿を保管するための広いスペースが必要になります。デジタル化すれば保管コストを大幅にカットできるでしょう。
4つ目のメリットは、破損や劣化のリスクがない点です。紙媒体の場合、紙が破れてしまったり、時間の経過とともに変色が進んだりするリスクがあります。
ツールを用いて効率化する
労働者名簿は、従業員の転居や結婚、退職などのタイミングで頻繁に変更が発生します。紙で管理している場合、訂正箇所に二重線を引き、訂正印を押して変更内容を記載しなければなりません。頻繁に変更が発生すると、名簿自体が見づらくなってしまうこともあるでしょう。
このような問題を解決するためには、ツールの活用がおすすめです。人事情報を管理できるツールを導入すれば、変更が発生した際の対応がスムーズになるのはもちろん、「誰が・いつ・何を」変更したのか履歴が残るため、ミスや情報漏えいの防止になります。どこからでも必要な情報にすぐにアクセスできるのも、ツールならではの強みです。
労働者名簿にまつわる注意点
名簿にまつわる注意点は、以下の3つです。
- 記載事項に変更があった場合は遅滞なく訂正する必要がある
- 労働基準監督署の調査は不定期に行われる
- プライバシーには十分配慮する
それぞれの詳細を解説します。
記載事項に変更があった場合は遅滞なく訂正する必要がある
労働者名簿の記載内容に変更が生じた場合は、遅滞なく訂正しなければなりません(労働基準法第107条2項)。具体的な訂正期限は明記されていませんが、合理的に許容できる期間内に訂正する必要があります。
名簿が紙で管理されている場合は、変更になった箇所に二重線を引き、訂正印を押して新しい情報を追記します。なお、変更履歴の保存は義務付けられていませんが、データとして残しておくと後から役立つでしょう。
労働基準監督署の調査は不定期に行われる
労働基準監督署の調査は不定期に実施されるため、調査の通知が来てから労働者名簿を用意していては間に合いません。普段から作成と更新を怠らず、適切に保管しておく必要があります。
なかでも、労働者名簿を含む法定三帳簿は労働者の実態を把握できる重要な書類のため、最初に確認される可能性の高い書類です。「必要事項が網羅されているか」「全ての従業員の労働者名簿が作成されているか」「適宜訂正しているか」といった事項を、定期的にチェックする体制を構築しておきましょう。
プライバシーには十分配慮する
労働者名簿には従業員の個人情報が記載されており人事担当者しか知り得ない、プライバシーに関する事柄が記載されていることもあります。そのため、扱いには十分注意してください。紙で管理する場合もデータの場合も、労働者名簿へアクセスできる担当者はできる限り限定した方がよいでしょう。
また、労働者名簿は個人情報保護法の対象となるため、情報を収集する際は本人の同意を得ることはもちろん、情報の取り扱いや使途を明確にする必要があります。
労働者名簿の書き方に関するよくある質問
労働者名簿の書き方に関するよくある質問に回答します。
- 労働者名簿は誰が書くもの?
- 履歴はどこまで書けばいい?
- 労働者名簿の更新は必要?
労働者名簿は誰が書くもの?
労働者名簿は、基本的に人事・労務担当者が作成する書類ですが、情報量が多く内容も細かいため、従業員本人に書いてもらうケースも少なくありません。特に、新卒入社の人数が多い場合は、人事・労務担当者のみで全ての情報をまとめ上げるのは大変な労力です。
入社のタイミングで従業員本人に必要な情報を記載してもらい、後から人事・労務担当者が名簿として整えるケースが一般的です。
履歴はどこまで書けばいい?
履歴には、従業員の入社前後の経歴を記載します。入社前の履歴については、新卒入社の場合は最終学歴を記載し、中途採用の場合は最終学歴に追加して職歴も記載しておきます。あくまで最終学歴のみで足り、卒業した小学校や中学校の情報を記載する必要はありません。入社後の履歴は、人事異動が発生したタイミングで追記していきます。
労働者名簿の更新は必要?
労働者名簿には従業員の労務管理に必要な情報がまとめられているため、随時更新し、最新の状態を保つ必要があります。労働者名簿の内容に変更が発生したら遅滞なく更新し、更新したことが分かるように履歴も追記しておきましょう。
まとめ
本記事では、労働者名簿の概要や作成する際のポイント、注意点などを解説しました。労働者名簿は、従業員を1人でも雇用する際は必ず作成し、適切な方法で保存しなければなりません。作成や保存の義務を怠ると、ペナルティが発生することもあるため、注意しましょう。
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