在宅勤務手当(テレワーク手当)とは?導入のメリットや相場を解説
こんにちは。スキマバイト募集サービス「タイミー」ライターチームです。
在宅勤務は、従業員の在宅勤務を支援するために企業が支給する手当で、作業環境の整備や通信費用などに充てられます。
記事を読めば、在宅勤務手当の導入によるメリットや手当の相場が分かるようになるでしょう。人事給与担当者の方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次[非表示]
- 1.在宅勤務手当(テレワーク手当)とは
- 2.在宅勤務・テレワークの実態調査を紹介
- 3.企業が在宅勤務手当を導入するメリット
- 3.1.作業効率や生産性が上がる
- 3.2.定着率が上がる
- 3.3.優秀な人材が確保できる
- 4.企業が在宅勤務手当を導入するデメリット
- 4.1.給与システムの見直しが必要になる
- 4.2.従業員の税負担が増える
- 5.在宅勤務手当の相場
- 6.在宅勤務手当の支給方法
- 7.在宅勤務手当は課税の対象になる?
- 7.1.課税対象となるケース
- 7.2.課税対象とならないケース
- 8.在宅勤務手当を導入する際のポイント・注意点
- 8.1.導入の目的を明確化する
- 8.2.就業規則に反映する
- 8.3.課税も含めて従業員にきちんと説明する
- 9.在宅勤務手当(テレワーク手当)を導入する企業の特徴
- 9.1.柔軟な働き方を推進する企業
- 9.2.経費削減を目指す企業
- 9.3.従業員満足度を向上させる企業
- 9.4.法令順守と透明性を重視する企業
- 9.5.初期投資を惜しまない企業
- 9.6.在宅勤務手当(テレワーク手当)の導入事例
- 10.在宅勤務手当に関するよくある質問
- 10.1.在宅勤務手当なしだと違法になる?
- 10.2.公務員の在宅勤務手当について知りたい
- 11.まとめ
在宅勤務手当(テレワーク手当)とは
在宅勤務手当とは、企業が在宅で勤務する従業員に必要な費用の負担軽減のために支払われるものです。在宅勤務は、新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけに広がりました。現在は、働き方改革の1つとして、ワークライフバランス重視の働き方を国が推進しています。
在宅勤務とテレワークは同義として使われる場合が多いですが、テレワークの中に「在宅勤務・サテライトオフィス勤務・モバイル勤務」が含まれます。
労働基準法には在宅勤務手当の支給に関する法的義務がないため、手当の支給は企業が独自で判断します。
ただし、在宅勤務に伴い光熱費や通信費などが従業員の家計への負担となっていることから、導入する企業も増加しています。在宅では、従業員の生産性の向上やモチベーションが低下する可能性もあるためです。
参考:厚生労働省「テレワークモデル就業規則」
他の手当については「アルバイトは休業手当の対象?支給の条件や計算方法など詳しく紹介!」の記事についても参考にしてください。
在宅勤務・テレワークの実態調査を紹介
厚生労働省が実施した「令和4年度テレワーク人口実態調査」では、ICTの活用により勤務先に出勤せずに自宅などで仕事を行う「雇用型テレワーカー」の割合は、下表の通りです。
全国平均 |
26.1% |
首都圏 |
39.6% |
地方都市圏 |
18.1% |
企業規模1000人以上 |
39.6% |
企業規模300~999人 |
26.5% |
企業規模100~299人 |
22.7% |
企業規模20~99人 |
17.5% |
企業規模1~19人 |
15.4% |
データからは、都市部や大企業ほどテレワークの導入率が高いことが分かります。
参考:厚生労働省「令和4年度テレワーク人口実態調査」
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企業が在宅勤務手当を導入するメリット
在宅勤務手当の導入は、企業にとって多くの利点をもたらします。
主要な3つのメリットを挙げると、以下のようになります。
- 作業効率や生産性が上がる
- 定着率が上がる
- 優秀な人材が確保できる
経営者や人事給与担当者の視点から、これらのメリットについて詳しく見ていきましょう。
作業効率や生産性が上がる
在宅勤務では、原則として1人で作業し、話し相手もいないため、作業効率の向上や柔軟な時間管理による効率化で生産性が上がる可能性があります。
また、通勤時間の削減効果によって従業員のパフォーマンスの向上が期待できることも、生産性が向上する要因の1つです。
従業員が集中できる環境を確保できれば、ワークライフバランスの向上とともに、作業効率や生産性の向上につながる点はメリットです。
定着率が上がる
在宅勤務手当の導入によって、在宅での多様な働き方が可能になります。従業員のワークライフバランスを改善する多様な働き方は、離職率の低下につながる可能性があるのはメリットです。
在宅勤務を契機として、従業員は通勤によるストレスから解放されて、家事・育児・介護などにも時間を取れるようになります。
在宅勤務手当の導入が、定着率向上の要因となるでしょう。
優秀な人材が確保できる
在宅勤務手当の導入は、柔軟な勤務形態や多様な働き方を求める人材へのアピールになります。福利厚生としての要素もあり、企業イメージの向上になる点はメリットです。
同じ業界内で自社が在宅勤務手当を導入していれば、競合他社との差別化ができ、人材採用の競争力がアップします。
また、在宅勤務は地理的制約の解消が見込まれるため、優秀な人材の確保につながりやすいといえるでしょう。
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企業が在宅勤務手当を導入するデメリット
在宅勤務手当の導入は、企業にとってさまざまな利点をもたらすものの、いくつかの課題も生じます。
特に注目すべき点は以下の2つです。
- 給与システムの見直しが必要になる
- 従業員の税負担が増える
これらの課題は、企業の人事・経理部門に新たな負担を強いる可能性があります。
給与システムの見直しが必要になる
在宅勤務手当を導入すると、給与システムの見直しが必要です。在宅勤務手当には、課税対象になるケースと課税対象外のケースがあるため、税額計算でのシステム改修のコスト増加が見込まれます。
人事部門での負担が増加し、手間と時間がかかります。システムの見直しに当たっては、既存の給与システムからの変更点など、課題の洗い出しが必要です。
従業員の税負担が増える
毎月一定額の在宅勤務手当が支給されると、課税対象となるケースがあります。従業員から見ると、給与所得の増加により源泉徴収税額も多くなります。企業側は、社会保険料の負担が多くなるでしょう。
在宅勤務手当の導入によって、従業員の経済的負担とともに税負担が増えることはデメリットです。企業は、税負担増加に対する従業員への説明も欠かせません。
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在宅勤務手当の相場
2020年11月にエンワールド・ジャパン株式会社が実施した「在宅勤務における企業の従業員サポート調査」によると、毎月在宅勤務手当を支給している企業の支給額は下表の通りでした。
在宅勤務手当支給額 |
全体 |
外資系企業 |
日系企業 |
3,000円未満 |
15% |
18% |
11% |
3,000円以上5,000円未満 |
38% |
41% |
33% |
5,000円以上1万円未満 |
37% |
35% |
39% |
1万円以上3万円未満 |
10% |
6% |
17 % |
全体の75%の企業が、3,000円以上1万円未満の在宅勤務手当を支給しています。
次に、実際の支給事例を挙げてみましょう。日額支給では、大手自動車メーカーが250円、大手通信企業では200円、デジタルコンテンツ配信企業では500円です。
また、月額支給では大手通信会社は4,000円、大手ITベンダーは5,000円という事例があります。
参考:エンワールド・ジャパン株式会社「在宅勤務における企業の従業員サポート調査」
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在宅勤務手当の支給方法
在宅勤務手当の主な支給方法には、毎月の給与に上乗せする現金支給と、パソコンやWi-Fiのレンタル代を会社が負担する現物支給などがあります。
2つの支給方法について、詳しく解説します。
現金支給|毎月の給与に上乗せする
在宅勤務手当を現金で支給する方法は、毎月の給与に上乗せする形で行われます。この方式は経理処理が容易なため、多くの企業で採用されています。
従業員にとっては、光熱費や通信費などの在宅勤務に関連する経費を柔軟に管理できる利点がメリットです。手当の使途を自由に決められるため、個々の状況に応じた効果的な活用が可能です。
一方、企業側からすると、支給した手当が本来の目的に沿って使用されているかの確認が難しく、費用対効果の測定に課題が残ります。
また、従業員の実際の支出と手当額の差異を把握しにくいという側面もあります。
現物支給|パソコンやWi-Fiのレンタル代を会社が負担する
在宅勤務手当の形態の1つとして、企業が従業員に必要な機器や設備を直接提供する方式があります。この現物支給では、ノートパソコンや通信機器、さらにはデスクや椅子といった在宅オフィス用品を会社が用意し、従業員に貸与します。
現物支給のメリットは、従業員の実際のニーズに即した支援が可能な点です。
また、企業にとっては、提供する機器や設備の品質や仕様を統一できるため、セキュリティ管理や業務効率の向上につながります。
一方で、従業員個々の好みや使用環境に合わない可能性があることや、機器の管理や返却に関する手続きが煩雑になる点は課題となります。
また、企業側の初期投資が大きくなる傾向がある点はデメリットです。
在宅勤務手当は課税の対象になる?
在宅勤務手当は、全て課税対象になるわけではありません。課税対象となるケース、課税対象とならないケースについて、それぞれの基本的な条件を見ていきましょう。
課税対象となるケース
1カ月を超える期間ごとに支払われる在宅勤務手当は、企業が従業員に対して在宅勤務に必要な費用として支払います。毎月定額で従業員が受け取っても、在宅勤務手当を企業に返す必要はありません。
上記のように支給した在宅勤務手当は、従業員への給与とみなされ、課税する必要があります。
原則として、企業が環境整備のために従業員に物品などを「支給」するケースは、従業員に対する現物給与として課税対象です。
課税対象とならないケース
企業が在宅勤務に必要と認めて従業員に支給する一定の金銭があります。
下記の方法は、いずれも課税対象外のケースです。
- 企業が従業員に必要な費用を仮払いし、従業員が環境整備のための物品などを購入後、領収書などを提出して費用を精算する方法
- 従業員が必要な事務用品や環境整備のための物品などを立替払いし、領収書などを提出して費用を精算する方法
原則として、企業が環境整備のために所有する物品などを従業員に「貸与」するケースは課税対象外です。
ただし、企業が貸与した物品などの所有権が従業員に移転すれば、課税対象となるので注意しましょう。
参考:厚生労働省「割増賃金の基礎となる賃金とは?」
国税庁「在宅勤務に係る費用負担等に関するFAQ(源泉所得税関係)」
在宅勤務手当を導入する際のポイント・注意点
在宅勤務手当を導入する際のポイントと注意点は、主に以下の3つが挙げられます。
- 導入の目的を明確化する
- 就業規則に反映する
- 課税も含めて従業員にきちんと説明する
それぞれのポイントと注意点を解説します。
導入の目的を明確化する
在宅勤務手当の導入目的を明確にすることは、従業員の理解を深める上で重要です。企業は、この手当が作業環境の改善や生産性向上のためであることを明確に伝えるべきです。
具体的な使途を例示すれば、従業員は手当の意図をより理解しやすくなり、企業側としても、目的を明確にすることで手当の効果を把握しやすくなります。
就業規則に反映する
厚生労働省の「テレワークモデル就業規則」によれば、在宅勤務を含むテレワークの導入に当たって就業規則の変更が必要となる場合には、下記によることとしています。
- 在宅勤務に関する規定を就業規則に盛り込む
- 新たに在宅勤務規程を作成する
どちらを選択するかは、各企業の判断ではあるものの、在宅勤務規程を作成した方が分かりやすいとされています。
課税も含めて従業員にきちんと説明する
在宅勤務手当の導入時には、課税に関する詳細な説明が不可欠です。
企業は、現金支給と現物支給の違いや、課税対象となるケースを従業員に明確に伝える必要があります。特に、現物支給の際の課税についても事前に説明することで、従業員の理解を深められるでしょう。
企業の人事給与担当者は制度を十分に把握し、従業員からの質問に適切に対応できるよう準備してください。このような丁寧な説明により、従業員の不満を軽減し、円滑な制度の導入が可能になります。
参考:厚生労働省「テレワークモデル就業規則」
在宅勤務手当(テレワーク手当)を導入する企業の特徴
在宅勤務手当を導入する企業は、柔軟な働き方を重視し、従業員満足度の向上を目指しています。これらの企業は、多様な勤務形態を受け入れ、長期的な経営効率化を図る傾向があります。
また、法令順守と透明性を重視し、デジタル化やリモートワーク環境の整備に積極的でしょう。従業員への適切な支援を通じて、生産性向上と人材確保を目指しているのが特徴です。それぞれ見ていきます。
柔軟な働き方を推進する企業
在宅勤務手当を導入する企業は、多様な働き方を積極的に推進しています。これらの企業は、従業員の生活と仕事のワークライフバランスを重視し、柔軟な勤務体制を整えているのが特徴です。
在宅勤務手当の支給により、家庭で育児や介護などにあたる従業員も働きやすい環境を整備しています。
経費削減を目指す企業
在宅勤務手当の導入は、企業の経費削減の一環として注目されています。この手当を設けることで、通勤費や事務所維持費などの費用を抑制できます。
特に、従来の通勤手当を在宅勤務手当に置き換えることで、企業全体で経費の削減が可能です。結果として、企業のコスト管理が改善し競争力の強化につながる可能性があるでしょう。
従業員満足度を向上させる企業
在宅勤務手当の導入は、従業員の経済的負担を軽減し、モチベーションを高める効果があります。この施策によりワークライフバランスが改善され、従業員の満足度が向上します。
結果として、人材の定着率が上がり、優秀な人材の獲得につながる可能性もあるでしょう。
法令順守と透明性を重視する企業
在宅勤務手当を支給する企業は、手当の支給方法や条件を就業規則に明記し、透明性を確保しています。また、手当の課税対象についても明確に説明し、従業員の理解を得るよう努めています。
このように法令順守と透明性を重視する企業は、従業員との信頼関係を構築しやすいといえるでしょう。
初期投資を惜しまない企業
在宅勤務手当を導入する企業は、従業員の快適な作業環境整備に積極的な初期投資を行います。具体的には、通信機器の提供やオフィス家具の購入補助など、在宅勤務に必要な設備への支援を惜しみません。
これにより、従業員の生産性向上と満足度アップを同時に実現し、長期的な企業成長に向けた戦略を取っています。
在宅勤務手当(テレワーク手当)の導入事例
株式会社日立製作所では、月額6,000円の在宅勤務手当を支給開始しました(2020年6月時点)。さらに、2024年10月には、日本で働く外国籍の社員に対し母国でのリモート勤務ができる制度を導入予定です。
また、note株式会社は、雇用形態にかかわらず出勤1日当たり500円とし、在宅勤務手当の上限を半年で6万円としました(2020年5月時点)。2024年7月時点では、リモート勤務手当として年間最大12万円、フルリモート交通費補助として月額15万円まで支給しています。
在宅勤務手当に関するよくある質問
在宅勤務手当に関するよくある2つの質問に答えていきます。
在宅勤務手当なしだと違法になる?
在宅勤務手当は、法的な支払い義務がありません。労働基準法にも規定がないため、支給しなくても違法ではありません。
一方で、従業員の生産性維持や働きやすい環境整備のため、多くの企業が導入を検討しています。
在宅勤務における作業効率の向上や従業員満足度アップのため、手当の支給は有効な選択肢の1つです。
公務員の在宅勤務手当について知りたい
2023年10月の総務省の報道発表によると、国家公務員にはテレワークに伴う光熱水費などの職員の負担軽減のため、2024年度から月額3,000円が支給されます。
支給されるのは、一定の期間を継続して1カ月当たり10日を超えて全勤務時間の勤務を命じられた職員です。
各地方公共団体においても、給与法や地方自治法の改正などにより、適切に対処することとされています。
参考:総務省「地方公務員の給与改定等に関する取扱いについての総務副大臣通知」(第2 在宅勤務等手当の新設)
まとめ
在宅勤務手当は、企業が従業員の在宅勤務環境整備を支援する制度です。法的義務はありませんが、導入により生産性向上や人材確保などのメリットがあります。
導入時は目的明確化や就業規則への反映が重要です。課税対象となる場合もあるため、従業員への丁寧な説明が必要です。
働き方改革の推進や従業員満足度向上を目指す企業は、検討するといいでしょう。
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