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有給消化のルール・義務化を解説!促進方法や退職・転職時の注意点も

こんにちは。スキマバイト募集サービス「タイミー」ライターチームです。

有給消化は、従業員の権利であり、企業にとっては義務です。本記事では、有給消化のルールや義務化について、有給消化の定義から、義務化の背景、罰則、企業にとってのメリットまで幅広く解説しています。

人事給与担当者の方は、記事を読めば働き方改革の一環として重要性が増す有給消化についての理解が進むでしょう。

目次[非表示]

  1. 1.有給・有給消化とは
    1. 1.1.有休消化に関する企業実態
  2. 2.有給消化の義務化について
    1. 2.1.有給消化が義務化された背景
      1. 2.1.1.有給を取りにくい現状
      2. 2.1.2.働き方改革
    2. 2.2.有給消化できなかったらどうなる?罰則は?
    3. 2.3.有給消化年5日の義務化ルール
    4. 2.4.有休消化率の政府の目標値
  3. 3.企業が従業員の有給消化を促進するメリット
    1. 3.1.従業員の生産性アップ
    2. 3.2.離職防止・離職率低下
    3. 3.3.企業のイメージ向上
  4. 4.有給消化率の計算方法
  5. 5.有給消化を促進するためのポイント
    1. 5.1.半日や時間単位で取得できるようにする
    2. 5.2.有給を推進する時季や日程を決める
    3. 5.3.チーム単位でタスク管理ができるような仕組みをつくる
  6. 6.有給消化に関するよくある質問
    1. 6.1.アルバイトでも有給消化できる?
    2. 6.2.退職や転職の際に企業側は有給消化を拒否できる?
      1. 6.2.1.有給休暇の買い取りについて
  7. 7.まとめ

有給・有給消化とは

有給休暇は、労働者の権利として労働基準法で定められた有給の休暇です。従業員の心身のリフレッシュと、ワークライフバランスの向上を目的としています。

6カ月以上勤務し、全労働日における出勤率が8割を超えると10日間の有給が付与されます。付与日数は、継続勤務期間に応じて最大20日までです。

有給消化とは、この休暇を実際に取得することを指します。従業員は、原則として好きなタイミングで有給を使用できます。

また、退職時に残存する有給をまとめて消化することも、有給消化の一形態です。

有休消化に関する企業実態

厚生労働省が発表した「令和5年就労条件総合調査の概況」によると、労働者1人平均年次有給休暇の取得率は下記の通りです。

  • 調査結果全体:62.1%
  • 従業員1000人以上の企業:65.6%
  • 従業員30~99人の企業:57.1%
  • 平均年次有給休暇の取得率=取得日数計/付与日数×100

企業規模で見ると、全体的には従業員数が多くなるにつれて、平均年次有給休暇の取得率は高い傾向にあります。

2019年4月からの有給最低5日取得義務化の動きに合わせ、労働者1人平均年次有給休暇の取得率は、2015年の47.6%から毎年上がり続けています。

参考:厚生労働省「令和5年就労条件総合調査の概況」(6ページ)


有給消化の義務化について

2019年4月に施行された改正労働基準法により、年間10日以上の有給休暇が付与される労働者に対して、最低5日の有給消化が義務化されました。正社員だけでなく、パートやアルバイトにも適用されます。

取得方法は、従業員自身の取得、会社側の時季指定、計画的付与制度のいずれかです。

計画的付与制度では、労使協定に基づき、5日を除く残りの日数を事前に割り振ります。企業は、この義務を守らなければ罰則対象のため、適切な対応が求められます。

続いて、有給消化が義務化された背景について見ていきましょう。

有給消化が義務化された背景

有給消化が義務化された背景には、以下の2つが挙げられます。

  • 有給を取りにくい現状
  • 働き方改革

それぞれについて、詳しく説明します。

有給を取りにくい現状

日本の労働文化では、有給消化を申し出ることに心理的な障壁があります。特に中小企業において、この傾向が高いです。従業員数が少ないため、個人に依存した業務体制が構築されがちで、「誰かが休むと仕事が滞る」といった状況が生まれやすいのでしょう。

一方、大企業では比較的有給を取得しやすい環境が整備されています。しかし、全体的に見ると日本の有給消化率は依然として低く、国際比較でも下位に位置しています。

この状況を改善するには、業務の効率化や人員配置の見直し、さらには有給取得を促進する企業文化の醸成が不可欠です。有給消化の重要性を理解し、実践できる職場づくりが求められています。

働き方改革

2019年4月の改正労働基準法施行以前、日本の労働環境では長時間労働や低い有給取得率が深刻な問題でした。

この改革は、これらの課題に対処し、労働者の健康と生産性の向上を目指しています。有給消化の義務化はその重要な一環で、年5日以上の有給取得を企業に義務付けました。

この施策により、企業は有給消化を促進する仕組みづくりに取り組み始めています。時間外労働の上限規制や同一労働同一賃金の導入など、他の施策と併せて、日本の労働文化に変化をもたらしつつあります。

働き方改革は、ワークライフバランスの実現と、持続可能な労働環境の構築を目指す重要な取り組みです。

有給消化できなかったらどうなる?罰則は?

2019年4月から、年10日以上の有給休暇が付与される従業員に対し、最低5日間の有給消化が義務付けられました。

この労働基準法の規定に違反すると、企業側に罰則が科されます。具体的には、対象となる従業員1人につき30万円以下の罰金が科せられる可能性があります。

企業が取るべき対策は、従業員ごとに異なる有給付与の「基準日」を把握し、期限内に5日間の有給消化を確実に管理することです。この義務化は、従業員の健康維持や仕事と生活の調和を図ることを目的としています。

有給消化年5日の義務化ルール

有給消化年5日の義務化ルールは、正社員や契約社員を問わず、6カ月以上継続勤務し、全労働日の8割以上の出勤実績がある従業員が対象です。フルタイム勤務者や特定のパートタイム労働者も含まれます。

パートタイム労働者の場合、所定労働日数に応じて有給休暇の権利が発生するタイミングや取得義務が異なります。

企業には、個別指定方式や計画年休制度の導入、年次有給休暇管理簿の作成などの対応が必要です。

有休消化率の政府の目標値

政府は「過労死等の防止のための対策に関する大綱」において、2025年までに年次有給休暇の取得率を70%以上にする目標を掲げています。しかし、現状はその目標に届いていません。

最新データによると、2022年の平均取得率は62.1%と過去最高を記録しました。直近3年間の推移を見ると、2020年が56.6%、2021年が58.3%と、年間1.7〜3.8%ずつ上昇しています。

2015年の47.6%から比べると大幅に改善していますが、現在の上昇ペースでは、2025年までに70%以上を達成するのは厳しい状況にあるといえるでしょう。

参考:厚生労働省「過労死等の防止のための対策に関する大綱」(36ページ)

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企業が従業員の有給消化を促進するメリット

企業が従業員の有給消化を促進する主なメリットには、以下のものが挙げられます。

  • 従業員の生産性アップ
  • 離職防止・離職率低下
  • 企業のイメージ向上

それぞれのメリットを見ていきましょう。

従業員の生産性アップ

有給消化を推進することで、従業員の生産性が向上するというメリットがあります。有給休暇を取ることで心身がリフレッシュされ、仕事に対する意欲が高まります。これにより、従業員はより集中して効率的に業務を遂行できるようになるでしょう。

また、プライベートの充実が図れるため、仕事へのモチベーションも向上します。結果として、減った稼働日数以上に生産性が上がるかもしれません。

離職防止・離職率低下

有給消化の促進は、従業員の離職防止・離職率低下に寄与する点はメリットです。休暇を取得しやすい職場環境は、従業員のストレス軽減とワークライフバランスの改善につながります。

心身のリフレッシュが容易になり、プライベートの充実も図れることで、仕事への意欲が高まります。これにより、従業員の職場満足度が向上し、転職を考える機会も減少するでしょう。

結果として、企業にとっては人材流出の防止と、新規採用コストの削減というメリットが生まれます。有給消化の推進は、従業員と企業双方にとって有益な施策といえます。

企業のイメージ向上

有給消化を積極的に推進する企業は、労働環境が整っているという好印象を与える点がメリットです。これにより、優秀な人材の獲得や定着率の向上につながる可能性が高まります。

さらに、ワークライフバランスを重視する姿勢は、取引先や顧客からの評価も高めます。結果として、企業の社会的信頼性が向上し、ビジネスチャンスの拡大にもつながるでしょう。

このように、有給消化の促進は、従業員満足度の向上だけでなく、企業全体の競争力強化にも貢献する重要な施策といえます。

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有給消化率の計算方法

企業が有給消化を効果的に促進するには、まず自社の現状を正確に把握することが重要です。

有給消化率は、以下の公式で計算できます。

平均年次有給休暇の取得率=(A)1年間での全従業員の取得日数計/(B)1年間で全従業員に付与した日数×100

この計算においては、以下の点に注意してください。

  • (A):取得日数には、前年度からの繰り越し分で消化した日数も含める
  • (B):付与日数には、前年度からの繰り越し分は含まないん。新たに付与された日数のみを計算に入れる
  • 対象となるのは労働基準法で定められた法定の有給休暇のみ。企業独自の特別休暇や慶弔休暇などは含まない

この方法で算出した消化率を基に、企業は有給取得促進策の効果を測定し、必要に応じて改善策を講じましょう。

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有給消化を促進するためのポイント

有給消化を促進するための主なポイントには、以下の3つが挙げられます。

  • 半日や時間単位で取得できるようにする
  • 有給を推進する時季や日程を決める
  • チーム単位でタスク管理ができるような仕組みをつくる

企業として、有給消化を促進するためのポイントを詳しく見ていきましょう。

半日や時間単位で取得できるようにする

有給消化を促進する効果的な方法として、半日や時間単位での取得を可能にすることです。この柔軟な取得方法は、従業員が休暇を取りやすい環境を整えるために有効です。

例えば、午後からの私用や通院などで半日休暇を取得できれば、業務への影響を最小限に抑えつつ、必要な休暇が取れます。また、繁忙期でも短時間の休暇なら取得しやすいため、年間を通じて計画的な有給消化が可能です。

半日単位の休暇を10回取得すれば、法定の5日間の有給消化を達成できます。この制度は、連続休暇が取りにくい従業員にとって特に有効で、有給消化率の向上に大きく貢献するでしょう。

有給を推進する時季や日程を決める

有給消化を促進するために大切なのは、適切な時期や日程を設定することです。労働基準法では、使用者が年5日の有給休暇を労働者ごとに時季を定めて与えることを規定しています。

この「時季指定」は、有給消化を推進するための仕組みですが、従業員の希望を尊重することが求められます。

一方で、計画的付与制度を活用することで、企業全体または個別に有給取得日を事前に決定することが可能です。

ただし、全ての有給日数を計画的に付与することは禁止されており、付与日数から5日を除いた残りの日数までに限定されます。つまり、最低5日間の有給は従業員が自由に取得できるようにする必要があります。

チーム単位でタスク管理ができるような仕組みをつくる

有給消化を効果的に推進するためには、チーム単位でのタスク管理の仕組みづくりを構築することが重要です。個人に特定の業務が集中すると、その従業員が休暇を取得した際に仕事が滞る可能性があり、結果として有給取得を取得しにくくさせる要因となりかねません。

この課題を解決するため、可能な限り多くの業務をチーム単位で管理する体制を整えることが有効です。このアプローチにより、メンバーの誰かが有給を取得しても、他のチームメンバーがその業務をカバーできるようになります。

全ての業務をチーム単位に移行するのは困難かもしれませんが、できる範囲でグループタスク化を進めることで、有給を取得しやすい環境を整備しましょう。

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有給消化に関するよくある質問

有給消化に関するよくある質問に答えていきます。

アルバイトでも有給消化できる?

アルバイトでも、一定の条件を満たせば有給消化の対象です。具体的には、年間で10日以上の有給休暇が付与される労働者が義務化の対象です。この基準は、雇用形態にかかわらず適用されます。

ただし、パートタイムやアルバイトの場合、勤務時間や日数によっては年10日以上の有給付与条件を満たさないケースもあります。その場合は、義務化の対象外です。

有給休暇の付与日数は、勤続年数と所定労働日数によって決定されます。例えば、週の所定労働時間が30時間未満で、所定労働日数が4日以下の場合、異なる基準で有給が付与されます。

気になる方は「アルバイト・パートにも福利厚生は適用される?おすすめの制度も紹介」の記事も併せてチェックしてみてください。

退職や転職の際に企業側は有給消化を拒否できる?

退職や転職時の際の有給消化は、従業員の権利として認められています。企業側は原則として、この権利行使は拒否できません。ただし、事業の正常な運営に支障をきたす場合、時季変更権を行使できる可能性があります。

有給消化は従業員の権利ですが、企業側の事情も考慮する必要があります。引き継ぎや業務への影響を最小限に抑えるため、早めの退職申し出や計画的な消化が望ましいでしょう。

トラブル防止のため、企業は有給消化に関するルールを就業規則や労働契約書に明記しておくといいでしょう。例えば「まとまった有給消化の際は、通常より早く退職を申し出る」といった取り決めをしておくと、事業の正常な運営に支障をきたすような有給消化に対するトラブルを回避できる可能性が高まります。

有給休暇の買い取りについて

有給休暇の買い取りは、退職時の業務引き継ぎをスムーズに行うための選択肢の1つです。通常、有給休暇の買い取りは認められませんが、退職時には例外的に可能な場合があるので確認しておきましょう。

具体的には、退職時に未消化の有給休暇がある場合や、会社独自の特別休暇が残っている場合に買い取りが検討されます。

また、時効で失効してしまった有給休暇の買い取りも、状況によっては認められることがあります。

この方法を採用する際は、「退職日までに業務を完了させる」ことを条件とするなど、明確なルールを設けることが重要です。

ただし、有給消化は労働者の権利であるため、安易な買い取りは避けるべきです。可能な限り有給休暇を取得できるよう調整し、やむを得ない場合の最終手段として買い取りを検討するのが望ましいでしょう。


まとめ

有給消化は従業員の権利であり、企業の義務でもあります。年5日の最低消化が義務化され、違反には罰則があります。

有給消化を促進することで、従業員の生産性向上や離職防止、企業イメージの向上にもつながるでしょう。半日単位での取得や時季の推進、タスク管理の工夫など、さまざまな方法で有給消化を促進できます。

アルバイトも条件を満たせば有給取得が可能です。退職時の有給消化は原則拒否できませんが、業務への影響を考慮し、計画的に行うことが重要です。

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監修:社労士 涌井好文
監修:社労士 涌井好文
涌井社会保険労務士事務所 社労士 涌井好文|平成26年より神奈川県で社会保険労務士として開業登録し、企業の人事労務や給与計算のアドバイザーとして活動。退職時におけるトラブル相談など、労働者からの相談にも対応し、労使双方が円滑に働ける環境作りに努めています。近時は活動の場をWeb上にも広げ、記事執筆や監修などを通し、精力的に情報発信を行っています。

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