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労働基準法とは?給料・休憩・違反した時の罰則など分かりやすく解説

こんにちは。スキマバイト募集サービス「タイミー」ライターチームです。

労働基準法は、働く上での基本的なルールを定めた法律です。法律にのっとった企業運営はもちろん、労働者が安心して働ける環境を作り出すためにも、企業は労働基準法を正しく理解しておかなければなりません。

そこで、本記事では労働基準法とは何かを説明した上で、企業の担当者が覚えておくべき労働基準法の内容や、労働基準法に違反した際の罰則について詳しく解説します。

目次[非表示]

  1. 1.労働基準法とは
  2. 2.労働基準法の改正の内容を分かりやすく解説
    1. 2.1.年次有給休暇取得の義務化
    2. 2.2.時間外労働の法定割増賃金率引き上げ
    3. 2.3.時間外労働の上限規制(建設業)
  3. 3.労働基準法が設立された理由・背景
  4. 4.労働基準法に関連する課題と改善策
    1. 4.1.長時間労働の是正
    2. 4.2.多様な働き方への対応
    3. 4.3.労働条件の明示と理解促進
  5. 5.労働基準法の対象となる人・ならない人
    1. 5.1.対象となる人
    2. 5.2.対象とならない人
    3. 5.3.労働条件の明示について
    4. 5.4.解雇について
    5. 5.5.労働時間について
    6. 5.6.休憩時間について
    7. 5.7.休日について
    8. 5.8.時間外労働(残業)・休日の労働について
    9. 5.9.有給休暇について
  6. 6.企業がとるべき対策
    1. 6.1.労務管理体制の強化
    2. 6.2.就業規則の見直し
    3. 6.3.労働条件通知書の更新
    4. 6.4.健康管理対策の強化
  7. 7.労働基準法に違反するとどうなる?
    1. 7.1.長時間労働に関する違反事例
    2. 7.2.残業代未払に関する違反事例
    3. 7.3.有給休暇に関する違反事例
  8. 8.労働基準法以外の労働に関する法律
    1. 8.1.労働契約法
    2. 8.2.最低賃金法
    3. 8.3.労働安全衛生法
  9. 9.まとめ

労働基準法とは

労働基準法は、日本における労働者の基本的な労働条件を定めた法律です。1947年に制定され、労働時間、休憩、休日、賃金など、労働者の権利を保護するための基準が細かく設けられています。

企業が従業員を雇う場合は、必ず「労働基準法」に従わなければなりません。正社員のみならず、従業員を雇用するときは広く労働基準法が適用されます。


労働基準法の改正の内容を分かりやすく解説


2019年4月に施行された労働基準法の改正内容について、主なポイントを解説します。

年次有給休暇取得の義務化

2019年4月から、労働基準法の改正により、年次有給休暇の取得が義務化されました(労働基準法第39条)。企業は10日以上の有給休暇が付与される全ての労働者に対して、毎年5日間の有給休暇を確実に取得させる義務があります。

この改正は、労働者の健康維持と働き方の改善を目的としており、未消化の休暇がないよう管理することが企業に求められます。

時間外労働の法定割増賃金率引き上げ

2019年4月の労働基準法改正により、中小企業にも月60時間を超える時間外労働に対する法定割増賃金率が適用されるようになりました。

適用開始は2023年4月で、これまで猶予されていた中小企業も、大企業と同様に、月60時間を超える時間外労働には通常の労働時間の賃金に対して50%以上の割増賃金を支払う義務があります。

時間外労働の上限規制(建設業)

建設業における時間外労働の上限規制も強化されました。具体的には、1カ月の時間外労働は45時間、1年間では360時間を上限とし、これを超えることは原則禁止されています。

ただし、特別な事情がある場合は、年間720時間まで認められる例外もあります。


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労働基準法が設立された理由・背景

労働基準法は、戦後の日本社会の再建と労働者の権利保護を目的として1947年に制定されました。当時の労働環境は劣悪で、長時間労働や低賃金、労働災害が頻発していたのです。

このような状況を改善するために、労働者の基本的な権利と労働条件を保障する法律が必要とされました。労働基準法は、労働時間、休憩、休日、賃金、安全衛生など、労働者の生活と健康を守るための具体的な基準を定めることで、労働者の権利を確立し、社会全体の安定と発展を目指しています。


労働基準法に関連する課題と改善策

労働環境を取り巻く状況は大きく変化しており、労働基準法も見直しの必要性が高まっています。以下では、労働基準法に関連する主な課題と、それぞれの改善策について解説します。

長時間労働の是正

まず1つ目は長時間労働の是正です。長時間労働は、労働者の健康被害やワークライフバランスの悪化、労働生産性の低下など、さまざまな問題を引き起こします。近年では、長時間労働の是正に向けた取り組みが進められていますが、いまだに多くの企業で残業時間や休日出勤が常態化しています。

こうした問題を解決するためには、法令順守体制の強化や勤務間インターバル制度の導入促進が重要です。また、長時間労働の根本的な原因である人手不足を解消するためには、労働市場全体の活性化や、生産性の向上も求められるでしょう。

多様な働き方への対応

2つ目は、多様な働き方への対応です。近年、リモートワークの拡大や副業・兼業、フリーランスの増加などにより、多様な働き方に対するニーズが高まっています。しかし、現行の労働基準法は、同じ場所・時間で働く集団を想定しており、リモートワークやフリーランスなどの働き方をしている人々を十分に保護できていないという課題があります。

今後は、労働時間管理の柔軟化(例:みなし労働時間制の拡充)や雇用によらない働き方の保護制度の整備などにより、多様な働き方に対応できるような労働基準法の改正が急務です。また、多様な働き方を選択した労働者が、キャリアアップや社会保障制度の恩恵を受けられるような制度設計も必要でしょう。

労働条件の明示と理解促進

3つ目は、労働条件の明示と理解促進です。労働条件は、労働者が安心して働けるために必要な情報であり、書面で明示することが義務付けられています。しかし、依然として労働条件に関するトラブルや、労働者の権利意識の低さなどの課題が存在します。

これを改善するために、今後は労働条件明示の電子化対応や労働教育の充実(学校教育や社会人教育)が重要です。また、政府は、労働条件に関する情報を提供する窓口の整備や、労働に関する相談窓口の拡充なども進めていく必要があるでしょう。

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労働基準法の対象となる人・ならない人

対象となる人

労働基準法の対象者は、日本国内で事業主に雇用され、賃金を支払われる全ての人です。

具体的には、以下のような人が該当します。

  • 正社員
  • パートアルバイト
  • 契約社員
  • 派遣社員
  • 日雇い労働者

対象とならない人

個人事業主として働く人(業務委託・請負の委託先)や家庭内の親族のみを使用する事業、家事使用人には労働基準法が適用されません。また、国家公務員(一般職)や一部の地方公務員も適用対象外です。

ただし、地方公務員(特別職)や家事代行サービス会社に雇用された人などには、労働基準法が適用されます。

また、特殊な雇用形態の労働者(例えば、船員法が適用される船員など)も労働基準法の対象外となります。

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企業の担当者が覚えておきたい労働基準法の内容

ここからは、企業の担当者が知っておくべき労働基準法の内容を詳しく解説します。

労働条件の明示について

労働基準法第15条では、企業は労働者に対して、労働条件を明確に示す義務があると定められています。雇用契約を締結する際には、賃金、労働時間、休日、休暇、業務内容などの条件を文書を交付して明示しなければなりません。

これにより、労働者は自分の権利や義務を正確に理解し、適切に行使できます。また、労働条件が変更された場合も、速やかに通知することが求められます。

なお、労働条件の明示を怠った雇用主に対しては、30万円以下の罰金刑が科されることもあるので注意が必要です。

参照:労働基準法15条「労働条件の明示」

解雇について

労働基準法第20条では、使用者が契約の終了時期を定めていない労働者を解雇する場合、少なくとも30日前に予告することが義務付けられています。予告がない場合、企業は労働者に対して30日分以上の平均賃金を支払わなければなりません。

また、不当解雇を防ぐために、解雇の理由を明示し、客観的に合理的な理由と社会通念上相当であることが求められます。

参照:労働基準法第20条「解雇の予告」

労働時間について

労働基準法第32条では、労働時間は1日8時間、週40時間を超えてはならないと定められています。これを超える労働時間は、時間外労働とみなされ、割増賃金を支払うことが義務付けられています。

例外として、一部の業種や職種や変形労働制を労使間で導入している場合では特別な労働時間の規定が適用される場合がありますが、基本的にはこの基準を順守しなければなりません。

参照:労働基準法第32条「労働時間」

休憩時間について

労働基準法第34条では、労働時間が6時間を超える場合は少なくとも45分、8時間を超える場合は少なくとも1時間の休憩を労働者に与えることが定められています。この休憩時間は、労働時間の途中に一斉に与えられることが原則であり、労働者が自由に利用できる時間とされます。

参照:労働基準法第34条「休憩」

6時間勤務の際は休憩時間が必要?必要であれば何分必要かを解説!」の記事も併せてチェックしてみてください。

休日について

労働基準法第35条では、企業は労働者に対して毎週少なくとも1回の休日を与える義務があるとしています。休日は、労働者が連続して24時間以上の休息を取れる日でなくてはなりません。前日の労働時間が延長されて午前0時を超えた場合などは、休日とは認められないので注意してください。

なお、4週間を通じて4日以上の休日を与える労働者については、毎週1回の休日付与の規定は適用しないと定めています。これは、いわゆる「4週間4休制」と呼ばれる制度です。

参照:労働基準法第35条「休日」

時間外労働(残業)・休日の労働について

労働基準法第36・37条では、時間外労働(残業)および休日労働に関する規定が定められています。企業が法定労働時間を超える労働や法定休日に労働させる場合、事前に労使協定(36協定)を締結し、労働基準監督署に届け出る必要があります。

時間外労働に対しては、月60時間以下で25%以上、月60時間を超える場合は50%の割増賃金を支払わなければなりません。深夜労働(午後10時から午前5時)にはさらに25%の割増賃金が加算されます。


休日労働に対しては、35%の割増賃金を支払わなければなりません。休日に深夜労働をさせる場合には、さらに25%が加算されて合計60%の割増賃金を支払う必要があります。

労働者の過度な労働を防ぎ、適正な報酬を確保することが目的とされています。

参照:労働基準法第36条「時間外及び休日の労働」
   労働基準法第37条「時間外、休日及び深夜の割増賃金」

有給休暇について

労働基準法第39条では、6カ月以上継続して勤務し、全労働日の8割以上出勤した労働者に対して、企業は10日間の年次有給休暇を付与する義務があると定められています。6カ月の継続勤務以降は、継続勤務1年ごとに1日ずつ、継続勤務3年6カ月以降は2日ずつ増加した日数(最高20日)を与えなければなりません。

6カ月経過日から起算した継続勤務年数

付与日数

0.5年

10日

1.5年

11日

2.5年

12日

3.5年

14日

4.5年

16日

5.5年

18日

6.5年以上

20日

さらに、2019年の改正により、年5日の有給休暇取得が義務化されました。企業は労働者が適切に有給休暇を取得できるよう、取得状況を確認し、必要に応じて指導する責任があります。

また、有給休暇の繰り越しや計画的付与についても規定があり、企業は労働者の健康とワークライフバランスを確保するために、これらの規定を順守することが求められます。

参照:労働基準法第37条「年次有給休暇」

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企業がとるべき対策

労働基準法に基づき、企業が取るべき具体的な対策を解説します。

労務管理体制の強化

労働基準法の順守を徹底し、労働者の権利を守るためには、労務管理体制の強化が不可欠です。近年では、IT技術を活用した労務管理システムの導入や、管理職への教育研修の実施、労務アドバイザーや社会保険労務士との連携など、より効果的な労務管理体制の構築が求められています。

労働時間管理システムは、労働時間の記録・管理を自動化し、長時間労働の抑制や労務法令違反の防止に役立つでしょう。

就業規則の見直し

就業規則の定期的な見直しも重要です。就業規則は、企業における労働条件などの基本事項を定めたものです。労働基準法などの法令に適合していることはもちろん、時代の変化や社会情勢の変化に合わせて定期的に見直し、不備があれば修正してください。

また、既存従業員への周知も重要です。改正内容を明確に説明し、従業員が新しい規則を理解し順守できるようにサポートしなければなりません。法令順守と従業員の働きやすい環境が実現されます。

労働条件通知書の更新

企業は労働基準法に基づき、労働条件通知書を定期的に更新し、労働者に対して適切に交付する義務があります。特に法改正や就業規則の変更があった場合は、速やかに労働条件通知書を更新し、従業員への再通知を忘れないようにしましょう。

健康管理対策の強化

従業員の健康管理対策の強化も大切です。長時間労働者への面接指導を徹底する他、メンタルヘルスケアの充実や有給休暇取得促進を図ってください。

また、職場環境の改善やストレスチェックの導入を通じて、従業員の健康を維持し、働きやすい環境を整えることも重要です。


労働基準法に違反するとどうなる?

労働基準法に違反すると、企業や経営者、労務担当者は法的な罰則を受ける可能性があります。ここでは、労働基準法に違反した実際の事例を紹介します。

長時間労働に関する違反事例

企業が36協定を締結せずに時間外労働や休日労働をさせたり、時間外労働の上限規制を超えたりした場合、労働基準法第119条1項に基づき、6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科される可能性があります。

実例として、神戸市の病院で26歳の医師が過労で自殺した事件があります。調査によれば、この医師は死亡前の1カ月間に113時間56分の時間外労働をしていたことが判明し、病院の運営法人と院長、元上司が書類送検されました。

参照:労働基準法119条

残業代未払に関する違反事例

残業代の未払いは、労働基準法第37条に違反する行為であり、6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科される可能性があります。

実例として、ある鉄道会社では、36協定を超える時間外労働を労働者4人に強制し、割増賃金を支払わなかったため、2023年3月30日に大阪中央労働基準監督署から書類送検されました。労働者の中には、月に108時間の時間外労働をしていた者もいました。

参照:労働基準法119条

有給休暇に関する違反事例

有給休暇の取得義務に違反した場合、労働基準法第120条1項に基づき、違反者1人につき30万円以下の罰金が企業に科される可能性があります。

2023年5月、茨城・龍ヶ崎労働基準監督署は飲食業を営む会社とその代表を、労働基準法第39条違反で書類送検しました。この会社は、2019年4月から2022年3月までの間に、10日以上の有給休暇が付与される従業員全員に対し、適切な時季指定を行わず、有給休暇を取得させていなかった疑いがあるとされています。

参照:労働基準法120条


労働基準法以外の労働に関する法律

労働基準法は、日本の労働に関する基本的な法律ですが、労働に関する法律は他にもたくさんあります。ここからは、「労働契約法」「最低賃金法」「労働安全衛生法」の3つを紹介します。

労働契約法

労働契約法は、労働者と使用者間の労働契約に関するルールを定めた法律です。具体的には、以下の事項について規定しています。

【主な内容】

  • 労働契約書面の交付義務
  • 労働契約の内容の変更
  • 解雇
  • 労働者の権利制限の禁止
  • 労働契約の効力
  • 労働契約に関する紛争の解決

最低賃金法

最低賃金法は、労働者が生活に必要な最低限の賃金を確保するために定められた法律です。地域や産業ごとに最低賃金額が定められており、使用者は労働者に最低賃金以上の賃金を支払わなければなりません。強行法規であり、法律より低く契約で賃金を定めた場合でも、強制的に最低賃金の金額の合意があったと見なされます。

【主な内容】

  • 最低賃金額の決定
  • 最低賃金の適用範囲
  • 最低賃金の支払義務
  • 違反時の措置

労働安全衛生法

労働安全衛生法は、労働者の安全と健康を守るために必要な措置を定めた法律です。企業は、この法律に基づいて労働者の安全を確保し、健康な労働環境を提供する義務があります。

【主な内容】

  • 事業者の責務
  • 安全衛生管理体制
  • 作業環境測定

他の法律について詳しく知りたい方は「労働者派遣法とは?基本的な概要と罰則の事例について解説」「パートタイム・有期雇用労働法とは?改正のポイントや必要な対応を紹介」の記事も併せてチェックしてみてください。


まとめ

本記事では労働基準法の概要や企業の担当者が覚えておくべき労働基準法の内容、労働基準法に違反した際の罰則について解説しました。

労働基準法は従業員の最低労働条件を定めていますが、ただこれを守るだけでなく、働きやすい環境を提供することが雇用者である企業の責務です。法令違反があると、罰金や社名公表などの罰則が科される可能性もあるので注意しなければなりません。

従業員の権利を守り、企業の信頼を維持するためにも、労働基準法を理解し、順守することが重要です。

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監修:社労士 涌井好文
監修:社労士 涌井好文
涌井社会保険労務士事務所 社労士 涌井好文|平成26年より神奈川県で社会保険労務士として開業登録し、企業の人事労務や給与計算のアドバイザーとして活動。退職時におけるトラブル相談など、労働者からの相談にも対応し、労使双方が円滑に働ける環境作りに努めています。近時は活動の場をWeb上にも広げ、記事執筆や監修などを通し、精力的に情報発信を行っています。

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