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辞令とは?発令との違い・退職や異動との関連性・拒否の可否を解説


こんにちは。スキマバイト募集サービス「タイミー」ライターチームです。

企業にとって、辞令は人事権を行使する重要な手段です。辞令が発令されるタイミングには、人事のトラブルもおきやすいので、的確に手順を踏む必要があります。必要な人材の退職や裁判など、辞令をめぐるトラブルを防ぐには、どうしたらいいのでしょうか?辞令を基本から理解しましょう。

目次[非表示]

  1. 1.辞令とは
    1. 1.1.辞令と「内示」「発令」の違い
    2. 1.2.辞令はどのタイミングで出すもの?
  2. 2.辞令と従業員個人のキャリアの関係
  3. 3.辞令の種類
    1. 3.1.採用辞令
    2. 3.2.退職辞令
    3. 3.3.その他の辞令(異動・転勤・出向など)
  4. 4.辞令の基本的なルール|従業員は拒否できる?
    1. 4.1.法的な効力・拘束力はない
    2. 4.2.原則従業員は辞令に従う必要がある
    3. 4.3.従業員が辞令を拒否できるケース
  5. 5.従業員に辞令を出す流れ
    1. 5.1.1.内示
    2. 5.2.2.発令
    3. 5.3.3.交付・社内掲示
  6. 6.【テンプレート付き】辞令に記載すべき内容
  7. 7.辞令に関するトラブル事例
    1. 7.1.①東亜ペイント事件
    2. 7.2.②北海道コカ・コーラボトリング事件
    3. 7.3.③新日本製鐵事件
    4. 7.4.④ネスレ日本事件
    5. 7.5.⑤日本ステンレス事件
  8. 8.辞令によるトラブル内容ごとの対処法
    1. 8.1.①辞令交付の理由を明確に説明する
    2. 8.2.②給与や手当を見直す
    3. 8.3.③従業員が辞令に従わない場合は懲戒処分を視野に入れる
  9. 9.まとめ

辞令とは

辞令は、従業員の人事に関する決定事項を企業が通知するための文書です。従業員の勤務地や職位、給与などを変更する通知として出され、具体的には転勤や昇進、異動などの際に発令されます。

企業には、経済活動を維持・発展するため必要な従業員の採用、配置転換などの人事異動に関する人事権があるとされています。しかし、労働契約の変更に関わるため、労働者の同意が必要とされ一方的に労働契約を変更できません。

従業員は原則として辞令を拒否することはできませんが、正当な理由があったり法令や労働契約から大きく逸脱したりする場合には、拒否も可能です。ただし、正当な理由なく辞令を拒否し続けると、懲戒処分の対象になる可能性もあります。

辞令と「内示」「発令」の違い

辞令と「内示」「発令」は、辞令に関する言葉ですが、それぞれ意味が違います。

内示は、辞令が出される前に対象となる従業員や直属の上司に、その内容を内々に知らせることです。内示を受けた当事者は異動に備えられます。ただし、この段階で知らされる内容は、正式な決定ではありません。

発令は、従業員に辞令を正式に出すことです。辞令が発令された日は「辞令発令日」となり、正式な辞令に記載されます。発令により、辞令の内容は人事権行使としての効力を持ちます。

辞令はどのタイミングで出すもの?

辞令は以下のようなタイミングで出されます。採用や配置、労働者の地位の変動や処遇に関する人事権を企業が行使する際には、辞令が発行されるのが一般的です。

  • 社内の組織見直しがあったとき
  • 昇進・昇格したとき
  • 配置転換があったとき
  • 入社したとき
  • 退職するとき
  • プロジェクトのリーダーなど、特別な役割に任命されるとき

企業は、会社の置かれている状況やプロジェクトの進捗、従業員の評価や昇進・昇格試験の状況だけではなく、家庭の状況など本人の個人的事情も考慮したうえで、辞令のタイミングを決める必要があります。


辞令と従業員個人のキャリアの関係

辞令は、従業員個人のキャリアに大きく影響します。辞令により、新しいステップに進むと以下のような変化がおきやすくなります。

  • スキルや能力の発掘・可能性の拡大
  • 広い視野の獲得
  • ネットワーク・人脈の構築
  • 自己理解の深化

昇進や昇格は、従業員のモチベーションを高めます。また、いままでとは違った立場や仕事は、企業の果たす役割や課題など、広い視野を持てる機会となるでしょう。

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辞令の種類

辞令には多くの種類があります。主な辞令の種類について紹介します。

採用辞令

労働基準法では雇用契約を結ぶ際には、以下について書面の作成(労働条件通知書)が必要であると定められています。労働条件通知書と採用辞令を兼ねる場合は、以下を必ず盛り込むようにしましょう。

  1. 労働契約の期間
  2. 期間の定めのある労働契約を更新する場合の基準
  3. 就業の場所及び従業すべき業務
  4. 始業及び終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を二組以上に分けて就業させる場合における就業時点転換の内容
  5. 賃金、計算及び支払いの方法、賃金の締切り及び支払の時期
  6. 解雇の事由を含んだ退職に関する事項

労働者が希望した場合は、FAXやWebメールサービス等の方法で明示することもできますが、書面として出力できるものでなければなりません。

退職辞令

退職辞令は、従業員が会社を退職する際に発行されます。一般的に記載される主な事項は以下の通りです。

  • 退職の理由(自己都合、会社都合、定年など)
  • 退職日
  • 最終給与の精算についての情報
  • 具体的な手続き方法

退職辞令の交付によって、退職が確定し労働契約が終了します。ただし、退職証明書や離職証明書などの発行のみで退職の手続きを行い、退職辞令がない企業もあります。

その他の辞令(異動・転勤・出向など)

辞令は企業が人事権を行使する際に使われ、採用辞令や退職辞令のほかにも多くの種類があります。このうち異動・転勤・出向については、人の動きをともなう辞令です。

一般に、異動辞令は職位や部署の変更に伴って、発令されます。必ずしも引っ越しを伴うわけではありません。

転勤辞令は、異動に伴って勤務地の変更がある場合の辞令で、補助金や手当、引っ越し費用の扱いなどが記載される場合もあります。

出向は、他の企業や組織で勤務することを指し、出向辞令には、出向先、出向期間、職務内容、給与や手当の取り決めなどが含まれます。

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辞令の基本的なルール|従業員は拒否できる?

辞令は、会社の人事権の行使として発行されるものですが、従業員にとっても大きな転機をもたらします。内示に対して消極的な気持ちになる場合もあるでしょう。そもそも、従業員は辞令に必ず従わなければならないのでしょうか?

法的な効力・拘束力はない

人事権は、企業が労働者の採用や異動、昇進や解雇などを決定する権利のことです。しかし人事権の法的な概念は、あいまいです。

また、企業の決定を従業員に伝達する場合に辞令の交付は必須ではなく「辞令に従わなければならない」という拘束力も法的にはありません。

しかし、以下の項目を満たし人事権を正しく行使していると判断できる辞令に対して、労働者は基本的に人事異動の命令を拒否できません。

①業務上の必要性がある
②退職に追い込むなど不当な動機・目的が認められない
③労働者に対する不利益が通常甘受すべき程度を著しく超えない

原則従業員は辞令に従う必要がある

原則として、従業員は会社からの辞令に従わなければなりません。辞令は会社の人事権の行使であり、業務の一環として必要性があると判断して発令されるものです。採用時に交わした契約に基づいて、従業員は辞令に従って職務を遂行する義務があります。

もし、正当な理由がないまま辞令に従わなければ、懲戒処分の対象となる場合も考えられます。ただし、辞令の内容によっては、従業員が拒否することも可能です。

従業員が辞令を拒否できるケース

 従業員が辞令を拒否できるケースとして以下のようなものがあります。

  • 労働条件の変更によって不利益を被るケース
  • 差別や違法な労働条件なと、法律に違反した内容を含むケース
  • 就業規則や労働協約に反するケース
  • 個人的事情が十分に配慮されていないケース

辞令を拒否する場合には、従業員は合理的な理由をあげて拒否の理由を明確に説明する必要があります。また、正当な理由がないのに辞令を何度も拒否する場合、懲戒処分の対象となる可能性もあります。

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従業員に辞令を出す流れ

 実際に辞令を出す場合の手順と注意したいポイントをまとめました。

1.内示

辞令を発行する1〜3カ月前には、辞令の対象となる者や直属の上司に対して、人事の意向を口頭で通知します。

説明の際には、客観的な人事の理由、内容、移動日などの流れを明確にします。その際、従業員がもつ疑念点に答えます。憶測で答えると、後々問題になりかねません。わかっていることだけ答え、わからないことは後日伝えましょう。

内示の内容は正式な決定事項ではありませんので、他者に口外してはいけません。内示後、従業員の異議がなければ、正式な文書としての辞令書を作成します。

2.発令

異議がなければ、辞令書を作成し正式に辞令を発令します。ただし、必ずしも書面で辞令書を作成しなければならないわけではありません。

発令は、一般的には、内示から1〜3カ月後に実施されます。発令の方法は企業によりますが、書類の配布、社内メールや掲示板の配信、掲示などの方法が使われるようです。辞令によっては、本人のみに通知され、公表されないこともあります。

3.交付・社内掲示

通常、上司や人事担当者によって、対象者に辞令が交付されます。交付日は、辞令発令日の10日前〜当日となるでしょう。

辞令書は手渡しされるほか、場合によっては郵送などの方法をとる場合もあります。辞令の内容に従って、従業員は新しい職務や勤務地での業務を開始します。

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【テンプレート付き】辞令に記載すべき内容

辞令に記載される内容は、辞令によって異なります。必要最小限の情報を簡潔に記載し、誰にも同じ内容が読み取れるように作成します。一般的には以下の通りです。辞令の内容によって、必要事項は変わります。

  • 辞令の内容(昇進・異動など)
  • 辞令の発令日
  • 誰が誰に向けて発令しているのか
  • 対象期間
  • 業務にあたる場所

以下はシンプルな形式の辞令のテンプレートです。どんな業種にも対応できる使いやすい書式となっていますので、必要に応じて項目名を選択し使用してください。


辞令に関するトラブル事例

ときに、辞令の発令についてはトラブルがおきることがあります。辞令に関するトラブルで裁判で争った事例をいくつか紹介します。

①東亜ペイント事件

【内容】
勤務地を限定しない形で入社した従業員が、8年間大阪近隣で勤務した後、名古屋への転勤を命じられ拒否。

【従業員の状況】

  • 71歳の母、28歳の妻、2歳の長女と同居
  • 母は介護の必要なし
  • 妻は保育所で働き始めたばかり

【判決:最高裁 1984年7月14日】
企業側の権利が認められ、異動命令は従業員が通常甘受するべき程度だと判断されました。

②北海道コカ・コーラボトリング事件

【内容】
帯広工場から札幌本社への転勤を命じられたが拒否。

【従業員の状況】

  • 双極症疑いの長女、脳炎の後遺症がある次女
  • 隣接地に住む両親の体調が思わしくなく、面倒を見る必要がある

【判決:札幌地裁 1997年7月23日】
単身赴任や転居が難しく、通常甘受すべき程度を著しく超えると判断されました。

③新日本製鐵事件

【内容】
経営の合理化のため従業員2名を委託先企業に出向を実施。当初3年間の予定だったが3回延長。

【労使の状況】

  • 最初の出向の際に出向が長期化するケースがあることを想定して締結
  • 業務内容や勤務地は同じ
  • 就業規則に「会社は従業員に対し業務上の必要によって社外勤務をさせることがある」という規定あり
  • 出向命令は、業務委託に伴う必要な人員の措置として行われたもの

【判決:最高裁2003年4月18日】
出向の延長措置も権利の濫用にあたらない。会社が従業員に対して、個別の同意がなくても、出向を命じることができると判断されました。

④ネスレ日本事件

【内容】
60人に辞令を出し、他県の工場へ配置転換を求めた結果。49名が退職。9名が配置転換に同意、残り2名が裁判で争うことに。

【従業員の状況】

  • 家族の介護・看病あり
  • 現地採用であるから勤務地限定特約がある旨を主張

【判決:大阪高裁2006年4月14日】
配転の必要性を肯定しつつも家庭崩壊につながる恐れなど通常甘受すべき程度を著しく超える不利益を負わせると認定。配転命令権の濫用で無効と判示し、会社の控訴を棄却。

⑤日本ステンレス事件

【内容】
従業員3名へ期間を定めず子会社への出向を求めたところ、拒否され懲戒解雇に。

【労使の状況】

  • 1名は寝たきりの身体障害者の両親と同居し生活の面倒をみている
  • 就業規定に出向や配置転換について、記載あり

【判決:新潟地裁高田支部 1986年10月31日】
介護の必要がある1名については、労働者への出向命令は人事権の濫用にあたるとされ、辞令は無効とされました。


辞令によるトラブル内容ごとの対処法

辞令は受け入れなければならないとされていても、辞令をスムーズに受け入れてくれる従業員ばかりではありません。辞令を拒否されたり、難色を示されたりするケースには慎重な対応が必要です。

とりわけ初期の対応によって、ずいぶんその後の展開が違うものです。内示の前に、受け入れられない場合にはどうするべきか、確認しておきましょう。

①辞令交付の理由を明確に説明する

変化に対して慎重になる人は多いものです。多少、不満があったとしても、いつもの職場環境が変化するのは大きなストレスになるでしょう。内示のときは「なぜ辞令発令に至ったのか」を明確にし、客観的な視点から丁寧に説明します。

  • 新しい環境に必要な人材である
  • あなたの潜在能力を活用したい
  • いろいろ考えたすえ、この人事となった

など、辞令が企業や個人の成長に貢献する前向きな決定であると思えるのであれば、受け入れへの抵抗感が減らせます。

また、内示のタイミングで辞令の意図を伝えておくと、企業の一員としての自分を自覚し、心の準備ができます。

②給与や手当を見直す

辞令を受けて引っ越しする場合もあります。大都市から地方へ、地方から大都市へ移動する際や気候の違う場所への異動では、生活が変化するストレスも大きなものがあるでしょうし引っ越し代や諸費用もバカにならないでしょう。その場合、従業員の負担が大きくなり過ぎないように、給与や手当なども必要です。

・給与や手当の見直し
・家賃の負担
・引っ越し費用の負担
・寒冷地手当の支給
・子どもの転園手当や転校手当の支給
・単身赴任手当の支給
・単身赴任寮や家族寮の用意
・単身赴任先から土日に戻る際などの交通費支給

転勤に伴う費用面の負担を減らせば、新しい職場で頑張って働こうと思える人も多いでしょう。

③従業員が辞令に従わない場合は懲戒処分を視野に入れる

これらの対応をしても、頑として辞令を拒否する従業員もいるかもしれません。その場合は、懲戒処分を視野に入れる必要があります。「辞令を拒否したのに今まで通り働ける」と他の従業員が考え、同様の事例がおきないようにするためにも減給や降格などを考えましょう。

中には、懲戒処分になっても良いから、辞令を拒否したいというケースも発生する場合があります。

辞令を拒否された場合、どんな事情があって拒否しているのか、じっくり話を聞くことが大切です。両者がどこまで歩み寄れるか落としどころを探します。どうしても折り合わない場合、懲戒処分を選択します。場合によっては、退職勧告も必要という場合もあります。企業にとっても従業員にとっても、最善の形を探しましょう。


まとめ

辞令は、企業が従業員の勤務地や職位、給与などを変更する時に発令する文書です。原則として従業員は辞令に従う必要がありますが、不利益がある場合などは拒否できます。

辞令をめぐるトラブルを防ぐには、理由を明確に説明し、給与や手当を見直すなどの対応が必要です。それでも従わない場合は、懲戒処分も視野に入れる必要があります。

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