有給を使い切った欠勤はどうなる?企業が必要な対応など詳しく解説
こんにちは。スキマバイト募集サービス「タイミー」ライターチームです。
有給休暇を使い切った後の欠勤は、従業員と企業の双方に影響を及ぼす重要な問題です。本記事では、「有給を使い切った欠勤」の定義や法的な扱い、企業が取るべき対応策を詳しく解説します。
欠勤控除の計算方法や従業員の評価、ボーナスへの影響なども紹介。記事を読むと、就業規則での明確な規定や給与支払いの注意点にも触れているので、適切な対処法が分かるようになるでしょう。
目次[非表示]
- 1.有給を使い切った後の欠勤はどうなる?
- 2.「欠勤」とは
- 2.1.欠勤と有給休暇の違い
- 2.2.欠勤と休職の違い
- 2.3.欠勤と公休・休業の違い
- 3.有給を使い切った欠勤をした従業員に対して企業がすべき対応
- 3.1.1. 欠勤理由を確認する
- 3.2.2. 給与や昇給に影響することを伝える
- 3.3.3. 欠勤控除の手続きをする
- 4.欠勤控除とは
- 5.有給を使い切った欠勤の欠勤控除の計算方法
- 5.1.1日のみ欠勤した場合
- 5.2.数日間にわたって欠勤した場合
- 6.有給を使い切った上で欠勤する従業員の対応における注意点
- 6.1.就業規則で明確に定めておく
- 6.2.給料支払いの形態を事前に確認する
- 6.3.労働した分の給料は必ず支払う
- 7.有給を使い切った上での欠勤に関するよくある質問
- 8.まとめ
有給を使い切った後の欠勤はどうなる?
有給休暇を使い切った後の欠勤は、「労働者都合」による欠勤として扱われます。
法律上では明確な規定がないため、各企業の就業規則に基づいて対応します。一般的には、給与の減額や評価への影響が生じる可能性があるでしょう。
ただし、体調不良など正当な理由がある場合は配慮しなくてはなりません。企業は欠勤理由を確認し、適切な対応を取ることが重要です。
有給を使い切った欠勤は、企業にとって慎重な対応が求められる問題といえます。企業は従業員と話し合った上で、柔軟な対応を心がけることが望ましいでしょう。
「欠勤」とは
欠勤とは、本来出勤すべき日に労働者の都合で休むことを指します。労働基準法では明確な定義がなく、各企業の就業規則で規定されることが一般的です。
欠勤の理由には体調不良や私事、家族の問題などがありますが、いずれも「労働者都合」であることが特徴です。
有給休暇とは異なり、欠勤した際、通常は給与が支払われません。これは「ノーワーク・ノーペイの原則」に基づいています。欠勤は労働契約違反に該当する可能性があるため、従業員は事前に申請し、企業側も適切な対応が求められるでしょう。
有給を使い切った後の欠勤には、特に慎重な扱いが必要です。
欠勤と有給休暇の違い
欠勤と年次有給休暇は、休暇の性質と取り扱いが大きく異なります。年次有給休暇は労働基準法で定められた労働者の権利であり、給与が支払われます。一方、欠勤は労働者の都合による休みで、通常給与は支払われません。
年次有給休暇の取得には条件があり、事前申請が原則です。欠勤は突発的な事情で発生することが多く、事前申請が難しい場合もあります。
有給を使い切った後の欠勤は、給与や評価に影響を与える可能性があるため、慎重に対応しなくてはなりません。両者の違いを理解し、欠勤には適切に対応しましょう。
さらに詳しく知りたい方は、「有給消化のルール・義務化を解説!促進方法や退職・転職時の注意点も」の記事も併せてチェックしてみてください。
欠勤と休職の違い
欠勤と休職は、労働者が仕事を休む形態として異なる特徴を持ちます。
欠勤は短期的で突発的な休みであり、通常1日から数日程度です。一方で休職は長期的な休みで、1カ月以上に及ぶことが多く、事前に申請と承認が必要です。
欠勤は労働義務がある日に休むため、給与が支払われませんが、休職は労働義務が免除されます。休職の理由には、介護・育児・体調不良・留学などがあります。
有給を使い切った後の欠勤は、就業規則に基づいて適切に対処してください。労働者の状況に応じて、休職への移行を検討する場合もあるでしょう。
欠勤と公休・休業の違い
欠勤・公休・休業は、労働者が仕事を休む形態として、いずれも特徴が異なります。欠勤は労働者の都合による突発的な休みで、労働義務がある日に休むことを指します。
一方、公休は企業が定めた休日であり、法定休日と所定休日を合わせたものです。土日や祝日、年末年始などが含まれ、労働義務がありません。
休業は、会社側の都合や不可抗力により長期的に業務を行わない状態を指します。休業には、工場設備の故障などによる「会社側の責任による休業」と、大震災や天変地異などによる「不可抗力による休業」があります。
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有給を使い切った欠勤をした従業員に対して企業がすべき対応
有給を使い切った欠勤をした従業員に対して企業が取るべき対応は、以下の3つです。
- 欠勤理由を確認する
- 給与や昇給に影響することを伝える
- 欠勤控除の手続きをする
詳しく見ていきましょう。
1. 欠勤理由を確認する
有給を使い切った欠勤の理由を確認することは、企業にとって重要な対応です。
まず、欠勤の緊急性や正当性を把握し、従業員の状況を理解する必要があります。次に、有給休暇の計画的な取得ができなかった理由を確認し、従業員の時間管理能力を評価します。さらに、今後同様の欠勤が発生する可能性やその理由を把握することで、将来的な対策を講じてください。
これらの確認を通じて、企業は従業員の事情を理解し、適切なサポートや指導をします。また、不正な欠勤を防ぐことにもつながり、職場の秩序維持にも役立つでしょう。
2. 給与や昇給に影響することを伝える
有給を使い切った欠勤は、従業員の給与や昇給に影響を及ぼす可能性があります。企業は、この点を明確に伝えなくてはなりません。
就業規則や給与規程には、昇給やボーナスに必要な出勤日数や勤務態度の基準が記載されていることが多いでしょう。欠勤によってこれらの基準を満たせない場合、企業は従業員に対し、給与や昇給に影響が出る可能性が高いことを説明しておくべきです。
また、欠勤控除により当月の給与が減額されることも伝えてください。従業員の理解を得ることで、無断欠勤を防ぎ、適切な勤怠管理を促せます。
ただし、やむを得ない事情がある場合は、柔軟な対応を検討しましょう。
3. 欠勤控除の手続きをする
欠勤理由を確認し、給与や昇給に影響することを伝えた後に欠勤控除の手続きをします。
有給を使い切った欠勤に対する欠勤控除の手続きは、慎重に行いましょう。
まず、就業規則に基づいて控除額を求め、基本給や諸手当の取り扱いを確認し、月の所定労働日数や時間を考慮して算出します。次に、給与システムに欠勤情報を入力し、控除額を反映させます。
従業員には、控除の詳細を明記した給与明細を提供し、疑問点があれば丁寧に説明します。また、欠勤控除が最低賃金を下回らないよう注意しましょう。
手続きの透明性を確保し、労使間のトラブルを防ぐことが重要です。必要に応じて、労務管理の専門家に相談することも検討してください。
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欠勤控除とは
欠勤控除とは、従業員が有給休暇を使い切った後に欠勤した場合、その日数分の給与を減額する仕組みです。これは「ノーワーク・ノーペイの原則」に基づいており、労働していない時間に対して給与を支払う必要がないという考え方です。
欠勤控除は、1日単位で計算されるのが一般的ですが、遅刻や早退の場合は時間単位で控除されることもあります。この制度は、法定の控除とは異なり、就業規則に明記する必要があります。
有給を使い切った欠勤の場合、特に慎重な対応が求められ、従業員の状況を考慮しつつ、公平性を保つことが重要です。欠勤控除を適切に運用することで、労務管理の適正化と従業員の勤労意欲向上につながります。
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有給を使い切った欠勤の欠勤控除の計算方法
ここでは、有給を使い切った欠勤の欠勤控除の2つの一般的な計算方法を解説します。
- 1日のみ欠勤した場合
- 数日間にわたって欠勤した場合
詳しく見ていきましょう。
1日のみ欠勤した場合
有給を使い切った後の1日欠勤の控除計算には、主に3つの方法があります。
月給31万円、所定労働日数22日、1カ月平均所定労働日数21日、暦日数31日の例で、控除方式を採用した場合で説明します。他に支給方式もありますが、ここでは割愛します。
①欠勤月の所定労働日数を基準とする方法
【31万円÷22日×欠勤日数1日】
控除額は約1万4,091円で、支給額は29万5,909円です。
②1カ月平均所定労働日数を基準とする方法
【31万円÷21日×欠勤日数1日】
控除額は約1万4,762円で、支給額は29万5,238円となります。
③欠勤月の暦日数を基準とする方法
【31万円÷31日×欠勤日数1日】
控除額は1万円で、支給額は30万円です。
各方法で結果が異なるため、就業規則で明確に定め、一貫性を持って適用してください。従業員にも計算方法を説明し、理解を得ることが望ましいでしょう。
数日間にわたって欠勤した場合
月給31万円、所定労働日数22日、1カ月平均所定労働日数21日、暦日数31日、21日間欠勤した例で、支給方式を採用した場合で説明します。
①欠勤月の所定労働日数を基準とする方法
【31万円÷22日×出勤日数1日】
支給額は1万4,091円です。
②1カ月平均所定労働日数を基準とする方法
【31万円÷21日×出勤日数1日】
支給額は1万4,762円となります(控除方式では支給額0円)。
③欠勤月の暦日数を基準とする方法
【31万円÷31日×出勤日数1日】
支給額は1万円です。
それぞれで結果が大きく異なり、給与が0円になる場合もあるでしょう。
特に1カ月平均所定労働日数を基準とする方法では、実際の労働日数と乖離(かいり)が生じる可能性があります。欠勤日数に応じて控除方式と支給方式を使い分けるなど、柔軟に対応してください。
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有給を使い切った上で欠勤する従業員の対応における注意点
有給を使い切った上で欠勤する従業員の対応における主な注意点は、以下の3つです。
- 就業規則で明確に定めておく
- 給料支払いの形態を事前に確認する
- 労働した分の給料は必ず支払う
詳しく見ていきましょう。
就業規則で明確に定めておく
有給を使い切った欠勤に関する規定を就業規則で明確に定めることは、労使間のトラブルを防ぐ上で重要です。具体的には、欠勤控除の計算方法、欠勤の届出手続き、有給休暇の事後申請の取り扱いなどを詳細に記載します。
また、欠勤が続く場合の対応や、欠勤が評価やボーナスに与える影響についても明記しておいてください。
就業規則に明確な基準を設けることで、公平な対応が可能になり、従業員の理解も得やすくなります。さらに、定期的に従業員に周知し、必要に応じて規定を見直すことで、より適切な労務管理を実現できるでしょう。
給料支払いの形態を事前に確認する
有給を使い切った欠勤に対応する際、給料支払いの形態を事前に確認することが重要です。一般的な月給制では欠勤控除が可能ですが、完全月給制の場合は適用できません。
完全月給制とは、労働時間に関係なく一定の月給が支払われる制度です。この場合、遅刻や早退、欠勤があっても給与は減額されません。
また、業務委託契約でプロジェクト単位の報酬体系の場合も、欠勤控除は難しいでしょう。
有給を使い切った欠勤への対応は、給与形態によって大きく異なるため、事前に確認し、適切な対処方法を検討することが求められます。従業員との間で給与形態について明確な合意を得ておくことも重要です。
労働した分の給料は必ず支払う
有給を使い切った後の欠勤であっても、実際に労働した分の給料は必ず支払わなければなりません。例えば、月20日の所定労働日のうち19日欠勤したとしても、1日分の給料は支払う義務があります。これは労働基準法で定められた原則です。
ただし、無断欠勤が続くなど、正当な理由がある場合は減給処分ができます。
しかし、労働基準法91条により、減給額には制限があります。1回の減給は平均賃金の1日分の半額を超えてはならず、総額も月給の10%以下に抑えなければなりません。
労働者の権利を守りつつ、公平な労務管理を行いましょう。
有給を使い切った上での欠勤に関するよくある質問
ここでは、有給を使い切った上での欠勤に関するよくある3つの質問に答えていきます。
- 有給を使い切った上で欠勤した従業員の評価はどうすべき?
- 有給を使い切った上で欠勤した場合のボーナスへの影響は?
- 有給を使い切った上で欠勤をした従業員はクビにできる?
しっかりと確認しておいてください。
有給を使い切った上で欠勤した従業員の評価はどうすべき?
有給を使い切った上で欠勤した従業員の評価は、慎重に行う必要があります。
無断欠勤や頻繁な遅刻早退の場合、就業規則に基づいて勤務態度をマイナス評価することは可能です。ただし、家族の病気や介護など、やむを得ない事情がある場合は配慮が必要です。
欠勤は懲戒処分とは異なり、評価に反映させる場合は、欠勤の理由や頻度、業務への影響を総合的に判断しましょう。
重要なのは、欠勤控除、人事評価へのマイナス反映、懲戒処分による減給を明確に区別することです。従業員との対話を通じて、欠勤の背景を理解し、公平かつ適切な評価を心がけることが重要です。
有給を使い切った上で欠勤した場合のボーナスへの影響は?
有給を使い切った上での欠勤は、ボーナスに影響を与える可能性があります。
多くの企業では、欠勤日数をボーナス査定の重要な基準の1つとしており、欠勤が多いほどボーナスが減額される傾向があります。ただし、その扱いは会社によって異なるため、就業規則や賃金規定を整備しておくことが重要です。
ボーナス減額の対象となる行為としては、無断欠勤や頻繁な遅刻、業務上のミスによる損害、会社の信用失墜行為などが該当することがあります。
一方で、やむを得ない事情による欠勤の場合は、個別の状況を考慮することも大切です。企業は公平性を保ちつつ、従業員の事情も踏まえた柔軟な対応が求められます。
有給を使い切った上で欠勤をした従業員はクビにできる?
有給を使い切った上での欠勤が、即座に解雇の理由にはなりません。1回の無断欠勤で従業員を解雇することは、社会通念上認められていません。
ただし、頻繁な無断欠勤や曖昧な欠勤理由が続き、複数回の話し合いでも改善が見られない場合は、解雇予告の対象となる可能性があります。
解雇を検討する際は、労働基準法に基づき、少なくとも30日前に予告する必要があります。また、就業規則に明記された解雇事由に該当するかどうかも重要な判断基準です。
企業は、まず従業員との対話を通じて欠勤の背景を理解し、改善の機会を与えることが大切です。解雇は最終手段として、法的要件を満たしているかなど慎重に検討しましょう。
まとめ
有給を使い切った欠勤は、従業員と企業の双方に影響を与える重要な問題です。企業は欠勤理由を確認し、適切な対応を取る必要があります。
企業は欠勤控除の計算方法や評価への影響を理解し、就業規則に明確に定めることが重要です。
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