現住所と住民票が違うとどうなる?企業の従業員への対応を解説
こんにちは。スキマバイト募集サービス「タイミー」ライターチームです。
従業員の現住所が住民票の住所と異なるケースは、単身赴任や転勤、あるいは単に住民票の移動が遅れているなどさまざまな理由で発生しますが、決して珍しいことではありません。しかし、これが労務管理において思わぬ問題を引き起こす可能性があるため、企業としては適切な対応が求められます。
そこで本記事では、住所に関する基本的な用語の解説から、現住所と住民票が違うことによる影響や、企業が取るべき対応について詳しく解説します。ぜひ参考にしてみてください。
目次[非表示]
住所に関する用語の定義
住所に関する基本的な用語には、「現住所」「住民票の住所」「本籍・本籍地」「連絡先」などがあります。ここからは、まずそれぞれの用語が何を指しているのかを見ていきましょう。
現住所
現住所とは、現在住んでいる場所、つまり実際に生活の拠点となっている住所を指します。法律や行政手続きでは、現住所は日常的な居住地として扱われるため、郵便物の受け取りや、緊急連絡先として使用されることが一般的です。
現住所は必ずしも住民票の登録住所と同じである必要はなく、転居後も一時的に住民票を移していないケースも少なくありません。
特に単身赴任や出張など、勤務先の都合で異なる場所に住む場合、現住所と住民票の住所が異なることがよくあります。
しかし、現住所と住民票の住所が一致していない場合は、行政手続きや選挙などで支障をきたす可能性があるため、状況に応じた対処が求められます。
住民票の住所
住民票の住所とは、市区町村に登録された公的な住所を指します。
住民票は住民基本台帳法に基づき管理されており、その人の居住地として正式に認められる住所です。住民票の住所は、選挙権の行使や、国民健康保険への加入など、さまざまな行政手続きで利用されます。
通常は住民票の住所が現住所と一致しますが、転居後に住民票の移動手続きを行わない場合、住所が異なる状況が発生します。
住民票が適切に更新されていないと、選挙や行政サービスの利用に制約が生じたり罰金が科される場合もあるため、住民票の住所変更は重要な手続きの1つです。
本籍・本籍地
本籍・本籍地とは、自分の家族構成や出生情報などを記録している「戸籍」が登録されている住所のことです。
本籍地は、住民票に記載されている住所とは異なる場合も少なくなく、必ずしも実際に住んでいる場所である必要はありません。
日本国内であればどこでも自由に本籍地を設定でき、親の本籍地をそのまま継承することもあれば、結婚後に新たな場所を本籍にすることも可能です。中には、観光地や著名な場所を本籍地にしているケースも見られます。
このように、本籍地はあくまで戸籍の管理上のものであり、日常生活に直接的な影響を与えるものではありません。
連絡先
連絡先とは、個人や組織と連絡を取るために指定された住所や電話番号、メールアドレスなどを指します。
連絡先は必ずしも現住所や住民票の住所と同じである必要はなく、あくまで連絡を取りやすい場所を示すものです。
例えば、単身赴任中に実家の住所を連絡先として使用することや、別途設けた郵便受取用の住所を連絡先に指定することができます。
企業においては、従業員の正確な連絡先の把握が重要であり、緊急時や業務上の連絡をスムーズに行うために、適切な更新が必要です。
現住所と住民票の住所が違うときによくあるケース
日本では住民の住所や世帯情報を正確に管理するため、「住民基本台帳法」に基づき、自治体に居住者の情報を登録することが義務付けられています。
そのため転居した際には、原則として住民票を新住所へ移す手続きを行わなければなりません。
しかし、同法では「正当な理由」がある場合には、住民票を移さなくてもよいという規定が設けられています。ここでいう「正当な理由」とは次の2つのケースです。
- 1年以内に元の住所に戻る見込みがある
- 転居後も生活の拠点が移動しない
実際に、週末に自宅へ帰る場合や実家と頻繁に往復する生活を送っている場合、住民票を移さない選択をする人も少なくありません。
ただし、住民票を移さないことで特別なメリットがあるわけではなく、むしろ各種手続きや行政サービスの利用に不便が生じる可能性があるため、注意が必要です。
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現住所と住民票の住所が違うことの影響
現住所と住民票の住所が違うことによる影響は、以下の5つが考えられます。
- 過料が科せられる可能性がある
- 選挙に参加できない
- 生活保護・児童手当などの公的扶助を受けられない
- 各種手続きができない・面倒になる
- 自治体からの郵便物が届かない
1つずつ詳しく見ていきましょう。
過料が科せられる可能性がある
住民票の移動手続きは面倒に感じるかもしれませんが、転居後に住民票を移さないと法律違反となります。転居後、住民基本台帳法に基づき、原則として14日以内に新住所で住民票を変更することが義務付けられています。
この手続きを怠ると、正当な理由がない限り5万円以下の過料が科せられる可能性があるので、注意しましょう。
住民票の移動は義務であり、行政手続きをスムーズに進めるためにも重要なものです。特に転職や転勤で住所が変更した場合、住民票を移さないままでは税金や保険の手続きに影響を及ぼしかねません。
新型コロナウイルス感染症の流行時には、外出自粛や感染防止の観点から、14日を過ぎても罰則はありませんでしたが、基本的には法律に従って速やかに手続きすることが大切です。
参考:e-Gov法令検索「住民基本台帳法22条」
参考:e-Gov法令検索「住民基本台帳法52条2項」
選挙に参加できない
日本で選挙権を行使するには、満18歳以上の日本国民であり、住民票がある市区町村の住民基本台帳に3カ月以上記録されていることが条件です。
そのため、住民票を新住所に移していない場合、新しい居住地での投票はできません。その地域で行われる地方選挙をはじめ、衆議院や参議院選挙に参加できなくなってしまうのです。
旧住所地での選挙権は有効ですが、遠方へ転居している場合や忙しくて帰省が難しい場合には、選挙の投票が事実上不可能になることもあるでしょう。
選挙は国民の重要な権利であり、住民票を移していないことでこの権利を失うリスクがあるため注意が必要です。
生活保護・児童手当などの公的扶助を受けられない
生活保護や児童手当といった公的扶助の申請や受給にも支障が生じる可能性があります。これらの制度は、住民票に登録されている住所を基準に支給が行われるので、実際に居住している地域に住民票がないと手続きが進められません。
例えば、児童手当は子どもがいる家庭に対して支給されますが、支給元となる自治体は住民票のある市区町村です。
転居後に住民票を移さないままでいると、新しい居住地での申請ができず、結果的に支給を受けられないこともあります。
生活保護についても同様に、住民票がある地域での支給が前提です。現住所との不一致があれば申請に遅れが出る可能性があるため、注意してください。
各種手続きができない・面倒になる
住民票と現住所が異なる場合、運転免許証の更新や銀行口座の開設、携帯電話の契約変更などの手続きがスムーズに行えないことがあります。
多くの手続きでは、住民票や住民基本台帳カードの提示が求められ、住民票の住所が現住所と一致しないと、追加の書類が必要になったり手続きに時間がかかってしまったりする場合があります。
例えば印鑑証明書は、基本的に登録されている住所の自治体でしか発行されません。旧住所地が登録されたままだと、発行手続きのために住民票がある地域に戻る必要が出てきます。
また、課税証明書や所得証明書も、その年の1月1日に住民票があった地域でのみ取得が可能です。
このように、住民票を移動していないことで各種手続きが面倒になり、行政サービスの利用に支障をきたす可能性も高まるので、早めの対応が求められます。
自治体からの郵便物が届かない
住民票を新住所に移していない場合、運転免許証の更新通知やワクチン接種券といった公的な重要書類が旧住所に送られてしまいます。
もし家族が旧住所で受け取れる状況であれば大きな問題にはならないかもしれませんが、自分の手元に直接届かないため、受け取るまでにタイムラグが発生することは避けられないでしょう。
さらに、キャッシュカードやクレジットカードのようなセキュリティー面で重要な書類については、本人限定郵便で送付されるケースがあり、この場合は特に注意が必要です。
本人限定郵便では、まず到着通知書が住民票に登録された住所に届き、それを持って郵便局に行かなければ書類を受け取れません。
本人以外が受け取ることは原則できないので、住民票を現住所に移しておかないとこうした重要書類が受け取れないリスクがあるのです。
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現住所と住民票の住所が違う社員に対して企業がすべき対応
従業員の現住所と住民票の住所が異なる場合、企業にはその理由や状況を適切に把握し、法的リスクや業務上の問題を未然に防ぐために、以下3つの対応が求められます。
- 住所が異なる理由を聞く
- 正当な理由がない場合は住民票を移すよう指示する
- 社内規定の整備:
住所が異なる理由を聞く
従業員の住民票の住所と現住所が異なること自体は、特に単身赴任や新卒社員などのケースではよく見られる事象です。
単身赴任の場合、企業側でもその事情を把握しているはずですし、従業員が定期的に自宅に帰る場合は問題は生じないでしょう。
また、新卒社員の場合、一人暮らしが初めてで住民票の移動手続きを知らない、あるいは手続きを後回しにしているケースがあります。
しかし、近いうちに実家に戻る予定があったり、結婚を機に住民票を変更したりすることも考えられます。法律上は、転居後2週間以内に住民票の移動が義務付けられていますが、正当な理由がある場合にはそのままでも違法とはなりません。
企業としては、労務管理や緊急時の連絡、税務処理において正確な住所情報が必要なので、まずは従業員に対して住所が異なる理由を丁寧に確認し、今後の対応を決定することが重要です。
正当な理由がない場合は住民票を移すよう指示する
現住所と住民票の住所が違う理由を従業員に確認した結果、正当な理由がない場合は、速やかに住民票を現住所に移すよう指示しましょう。
住民票を移さないことは、住民基本台帳法に違反する可能性があり、従業員自身に罰則が科されるリスクがあります。
また、住民票が正しくないと、企業側でも住民税の手続きなどで支障が生じます。特に、税金や社会保険料の計算に影響を与える場合があるので、正確な住所情報は労務管理において非常に重要です。
従業員には、転居後の住民票の移動が法律で義務付けられていることを再度説明し、適切な手続きを取るよう促しましょう。
社内規定の整備:ガイドラインの作成ポイント
現住所と住民票の住所が異なる従業員に対応するためには、企業としても明確なガイドラインを整備しておくことが重要です。
特に単身赴任が長期にわたる場合や引っ越し時には、住民票の移動を義務化する規定を就業規則に明記し、定期的に確認する仕組みを導入しましょう。
多くの企業では「採用時の住所届け出」や「住所変更時の報告義務」を規定していることがほとんどですが、これだけでなく、通勤手当の支給規定などにも柔軟に対応する必要があります。
既に説明した通り、「正当な理由」で住民票を移動していないケースも考えられるので、例えば通勤手当の支給が「住民票の住所から職場まで」と規定しているのであれば、実際の通勤経路に基づいて規定の変更や調整が求められるかもしれません。
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現住所・住民票に関するよくある質問
ここからは、現住所・住民票に関するよくある質問に回答していきます。
現住所と住民票が違う場合の住民税はどうなる?
住民税は、毎年1月1日に住民票が登録されている自治体に対して、前年1年間の所得に基づいて課税されるのが基本ルールです。
例えば、2024年1月2日にA市からB市へ転居した場合、2024年分の住民税は、2023年1月1日に住民票があったA市で課税されます。そのため、転居後も、住民税の納付書は以前住んでいたA市から届くことになります。
つまり、転居した直後には納付先がすぐに変わるわけではなく、実際に住民税の納付先が変更されるのは、次に迎える1月1日以降です。
このルールをよく理解して、住所変更をした際にも住民税の納付に関して混乱がないようにしましょう。
現住所と住民票が違う場合の保険証はどうなる?
社会保険に登録される住所については、法的な決まりはなく、現住所を登録しても手続き上問題はありません。
住民票の住所と異なる場合でも、現住所を基に保険手続きを行うことが可能です。
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まとめ
本記事では、住所に関する基本的な用語の解説から、現住所と住民票が異なる場合に生じる影響、そして企業が取るべき対応について詳しく説明しました。
現住所と住民票が異なると、日常生活における不便だけでなく、法律に基づいた罰則が科せられるリスクもあります。
企業にとっても、従業員の住所情報が正確でないと、住民税の計算や緊急連絡時に問題が発生するなどさまざまな影響があります。
従業員が住所変更を行った際には、速やかに報告を求め、正確な情報に基づいた適切な手続きを徹底しましょう。
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