給与を日割り計算する方法|欠勤や手当などの注意点や便利なツールも
こんにちは。スキマバイト募集サービス「タイミー」ライターチームです。
給与の日割り計算は、従業員が中途入社したり、退職、欠勤などがあった際に、働いた日数に応じて給与を支払うために用いられます。法的に特別な規定があるわけではないですが、合理的で根拠のある計算方法が求められます。
そこで本記事では、給与の日割り計算に関する基本的な方法から、注意点や便利なツールまで、詳しく解説します。ぜひ参考にしてみてください。
目次[非表示]
- 1.給与の日割り計算に関する法律
- 2.給与の日割り計算が必要になるケース
- 2.1.中途入社
- 2.2.月の途中での退職
- 2.3.長期休暇・復職
- 2.4.欠勤や遅刻・早退が多い場合
- 3.【パターン別】給与の日割り計算のやり方
- 3.1.当該月の暦日を用いる場合
- 3.2.当該月の所定労働日数を用いる場合
- 3.3.月平均の所定労働日数を用いる場合
- 4.給与を日割り計算した場合の手当について
- 4.1.満額支払うのが一般的な手当
- 4.2.日割り計算で支払うのが一般的な手当
- 5.給与を日割り計算で支給する際の注意点
- 5.1.計算方法を明確に定め規則や規定に明記しておく
- 5.2.最低賃金以下にならないようにする
- 5.3.正確かつ公正に支払う
- 6.給与の日割り計算に使える便利なツール
- 6.1.日割計算くん
- 6.2.日割計算|ネットの便利屋さん
- 7.まとめ
給与の日割り計算に関する法律
給与の日割り計算については、法的なルールは存在しません。つまり、計算方法は企業ごとの裁量に委ねられているということです。
ただし、従業員ごとに異なる基準を用いたり、不合理な方法で計算していいわけではないので注意してください。給与は労働の対価であり、全ての従業員に対して公正かつ正確に支払われることが求められます。
計算方法は企業が自由に設定できるものですが、日ごとに変更したり、担当者によって異なる計算方法を使ったりすることは避けるべきです。
給与の日割り計算方法は、就業規則や社内規定に明記し、全従業員が確認できる状態にしておくことが重要です。法的なルールがないからこそ、公正で透明な運用を徹底しましょう。
時給計算について知りたい方は「時給計算方法|月給から時給を算出するやり方や便利なサイトを紹介」の記事も併せてチェックしてみてください。
給与の日割り計算が必要になるケース
給与の日割り計算は、中途入社や退職、長期休暇、欠勤など、従業員が月の全日数を勤務しなかった場合に必要です。それぞれのケースで計算方法が異なるので、具体例を見ていきます。
中途入社
中途入社の場合、入社日が月の途中になることが多いため、働いた日数に応じて給与を日割りで計算する必要があります。
このとき、企業はあらかじめ決められた計算方法に基づいて、月の勤務日数や所定労働日数に対して日割り計算をします。
例えば、月の所定労働日数が20日で、入社日が10日目であれば、その月は10日分の給与を支給する形になります。
また、中途入社者はフルタイムの従業員と同じ業務を担当するケースが多いため、勤務開始日からの給与をどのように計算するか、明確に説明しておくことが大切です。
中途入社者が初月の給与に対する不安を感じることがないよう、スムーズに対応しましょう。
月の途中での退職
従業員が月の途中で退職する場合、その月に実際に働いた日数に基づいて給与を日割りで計算し、支給する必要があります。
退職が給与の締め日であれば、通常の1カ月分の給与と変わりませんが、月途中で退職する場合はその分を調整しなければなりません。
また、月の途中で退職する際は、給与の支払いに加えて、残っている有給休暇やボーナスなどの処理が必要になる場合もあるでしょう。
これらも正確に計算し、退職者に対して適切に支払うことが企業の責任です。
長期休暇・復職
従業員が育児休業や介護休業、傷病などで長期休暇を取得した後に復職する場合、月の途中から勤務を再開することがあります。
このようなケースでは、休暇から復職した日以降の勤務日数に応じて給与を日割りで計算する必要があります。
欠勤や遅刻・早退が多い場合
欠勤や遅刻、早退が多い場合にも、給与の日割り計算が必要です。これらは「ノーワーク・ノーペイ(働いていない分の給与は支払わない)」の原則に基づいており、労働契約法第6条や民法第624条でその根拠が定められています。
会社には従業員の労働に対して給与を支払う義務がありますが、労働が提供されなかった時間については支払う必要はありません。
そのため、従業員側の理由による欠勤や遅刻・早退に対しては、給与から控除することが認められています。
ここで気を付けたいのが、早退や遅刻の控除については、1分単位で正確に計算する必要があるということ。
例えば、5分遅刻した場合に15分単位で計算するなどの切り上げは、労働基準法や民法に違反することになるので注意してください。
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【パターン別】給与の日割り計算のやり方
給与の日割り計算には、さまざまな方法があります。ここでは、暦日や所定労働日数を基準にしたパターンごとの計算方法について、それぞれの特徴を詳しく解説します。
当該月の暦日を用いる場合
暦日(カレンダーの日数)を基準にして給与を日割り計算する方法は、最もシンプルでミスが発生しにくいことから広く使われています。
この計算方法では、その月のカレンダー上の日数を基準に、働いた日数分の給与を算出します。具体的には、以下の計算式で求めます。
支給額=(基本給÷当該月の日数)×実際の勤務日数
例えば、月給が30万円で、30日まである月に15日間働いた場合の計算は以下の通りです。
30万円÷30日×15日=15万円
月の日数は31日、28日(2月)、またはうるう年の29日と異なるため、支給額もそれに応じて変動します。上記と同じ例を31日と28日で計算すると、以下のようになります。
1月:30万円31日×15日=約14万5,160円
2月:30万円÷28日×15日=約16万7,100円
このように、暦日を基準にすると月ごとの日数によって支給額が異なるため、従業員から「2月は支給額が多いが、31日の月だと少なくなる」といった印象を持たれやすい点がデメリットです。
計算がシンプルで分かりやすい反面、月ごとの支給額の変動が生じるので、あらかじめ従業員に十分説明し、理解を得ておくようにしてください。
当該月の所定労働日数を用いる場合
当該月の所定労働日数を基準にして給与を日割り計算する方法もよく使われます。この方法では、月の所定労働日数を基準にして、働いた日数分の給与を計算します。具体的な計算式は次の通りです。
支給額=(基本給÷当該月の所定労働日数)×実際の勤務日数
例えば、月給が30万円で、その月の所定労働日数が20日、実際に働いた日数が15日であれば、計算は以下のようになります。
30万円÷20日×15日=22万5000円
所定労働日数を用いる方法は、暦日を基準にする方法と比べて、1日当たりの給与単価が高くなる点が特徴です。
これは、暦日計算では休日を含む全ての日数で基本給を割るのに対し、所定労働日数計算では実際に働く日数だけを基準にして計算するためです。
従業員にとっては、1日当たりの単価が高くなるので、所定労働日数を基準にした計算の方がメリットを感じやすいといえるでしょう。
月平均の所定労働日数を用いる場合
月平均の所定労働日数を基準にした給与の計算方法は、1年間の所定労働日数を基に月平均を算出し、それをもとに日割り計算をする方法です。
この計算方法は、月による労働日数の差異を軽減し、年間を通じて安定した給与支給を可能にします。具体的な計算式は以下の通りです。
支給額=(基本給÷月平均の所定労働日数)×実際の勤務日数
例えば、年間の所定労働日数が240日で、月平均の所定労働日数が20日、月給が30万円の場合で、15日間働いた場合の給与は次のように計算されます。
30万円÷20日×15日=22万5000円
暦日や当月の所定労働日数を基にした計算方法では月によって支給額が変動しますが、月平均の所定労働日数を用いる場合、その変動がない点が大きな特徴です。
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給与を日割り計算した場合の手当について
給与を日割り計算する場合、手当の扱いも重要です。ここでは、満額支払う手当と、日割りで支給する手当の違いについて詳しく解説します。
満額支払うのが一般的な手当
手当を日割りで計算するかどうかは法的な規定がないため、企業ごとに就業規則で自由に定められますが、一般的には手当の性質に応じて支給方法が決まります。
特に、生活費の補助を目的とした福利厚生的な手当については、日割り計算せずに満額支給するのが合理的とされています。
例えば、家族手当や住宅手当などは、従業員の生活を支えるためのものであり、業務のパフォーマンスや労働時間に直接影響を受けないので、月の途中での入退社や一部欠勤があっても満額支給するのが無難です。
【満額支払うのが一般的な手当の例】
- 家族手当
- 住宅手当
- 通勤手当
- 別居手当
日割り計算で支払うのが一般的な手当
一方で、労務の提供を前提として支給される手当については、日割り計算が行われるケースが多くなります。これらの手当は、実際に働いた日数や時間に基づいているため、基本給と同様に勤務状況に応じた計算が合理的です。
例えば、営業手当は営業活動の成果や業務遂行に基づいて支給されるものであり、勤務日数が少ない場合はその分支給額も減るのが通常です。
また、在宅勤務手当など、特定の勤務形態に関連した手当も、労働の提供状況に合わせて日割りで支給されることが一般的でしょう。
【日割り計算で支払うのが一般的な手当の例】
- 役職手当
- 営業手当
- 資格手当
- 在宅勤務(テレワーク)手当
なお、手当の扱いに関するルールはあらかじめ就業規則や給与規定に明記し、全従業員に周知しておくことが重要です。
適切に説明し、給与計算に対する不信感やトラブルを未然に防いでください。
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給与を日割り計算で支給する際の注意点
ここからは、給与を日割り計算で支給する際に注意したいポイントを3つ解説します。
計算方法を明確に定め規則や規定に明記しておく
日割り計算の方法は、就業規則や賃金規定に明確に記載し、全ての従業員が理解できる形で運用することが求められます。
法律でルールが設けられていないからこそ、計算ルールを明確にし、公平性を保つことが重要です。
ルールが統一されていないと、担当者や状況によって計算方法が異なり、従業員間で不公平が生じる可能性があるため注意しましょう。
最低賃金以下にならないようにする
日割り計算による給与の支払いでは、最低賃金に十分注意する必要があります。最低賃金は、国や地域によって定められた、労働者が働くことによって得る最低限の賃金です。
特に勤務日数が少ない月や、パート・アルバイトなど非正規雇用の従業員に対しては、計算方法によっては、月額換算で最低賃金を下回ってしまう可能性があります。
給与計算をする際には、必ず最新の最低賃金額を確認し、日割り計算の結果が最低賃金を下回っていないか厳密にチェックしましょう。
適切な賃金を支払うことは、企業の法令順守だけでなく、従業員との信頼関係を築くためにも欠かせません。正確かつ公正な給与計算を行い、違反が発生しないよう十分に配慮してください。
正確かつ公正に支払う
給与の支払いは、正確かつ公正に行うことが大切です。日割り計算では、従業員が実際に働いた日数や時間をもとに、間違いのない支給額を算出しなければなりません。
特に、中途入社や退職、欠勤などのケースでは計算ミスが起きやすいため、慎重な確認が必要です。
また、計算が公正であることも重要で、従業員間で不公平感が生じないよう、同一の基準を適用することが企業に求められます。
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給与の日割り計算に使える便利なツール
給与の日割り計算に使えるツールはさまざまなものがありますが、以下では特に便利なツールを2つ紹介します。ぜひ活用してみてください。
日割計算くん
「日割計算くん」は、給与の日割り計算を手軽に行える無料ツールです。入力する項目は、月給や勤務日数などの基本情報だけで、簡単に計算が完了します。
インターネット上で利用できるので、ダウンロードの必要がなく、計算ミスを防ぐためのツールとして企業でもよく利用されています。シンプルな操作性で、誰でもすぐに正確な日割り計算が可能です。
参考:日割計算くん
日割計算|ネットの便利屋さん
「ネットの便利屋さん」は、月給や勤務日数に基づいて自動的に給与の日割り計算をしてくれる無料のオンラインツールです。
暦日や所定労働日数、月平均の所定労働日数といったさまざまな方法での日割り計算に対応しており、出勤率の自動計算も可能です。
例えば、暦日を基準に日割り計算したい場合は、基本給、暦日、実働日数の3項目を入力するだけで日割り額を算出してくれます。
操作はシンプルで、複雑な設定も特にないため、給与計算を効率化する上でおすすめです。
参考:ネットの便利屋さん
まとめ
本記事では、給与の日割り計算に関する基本的な方法から、注意点や便利なツールまでを解説しました。
給与の日割り計算には、暦日や所定労働日数、月平均労働日数などの計算方法があり、どの方法を採用するかによって従業員の支給額が変わるので、計算方法を明確に定め周知しておくことが重要です。
また、給与計算を1つひとつ手作業で行うと、時間がかかりミスの原因にもなります。従業員とのトラブルを防ぐためにも、記事内で紹介したツールをうまく活用しながら、正確で効率的な計算を徹底しましょう。
なお、できるだけ採用に要する手間やコストを抑えたい場合は、スキマバイト募集サービス「タイミー」の利用がおすすめです。
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