ホテル・旅館の人手不足の原因と対策を解説|コロナ禍による影響は?
こんにちは。スキマバイト募集サービス「タイミー」ライターチームです。
「うちのホテルでは、正社員やアルバイトを募集しているのに全然応募がこない」
当記事をお読みのあなたは上記のお悩みをお持ちではないでしょうか。当記事ではホテルや旅館などの宿泊業界における人手不足の原因を解説します。
また人手不足への対策についてもお分かりいただけるでしょう。ホテルや旅館を運営する各社の労働力不足解消に貢献できますので、ぜひ参考にしてください。
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ホテル・旅館の人手不足の実態
ホテル・旅館などの宿泊業界は慢性的な人手不足に陥っている状況です。以下に、帝国データバンクが発表した人手不足に対する企業の動向調査(2023年10月)」から宿泊業界の現状を考察します。正社員が「不足」と感じている企業の割合は75.6%、非正社員が「不足」と感じている企業の割合は73.5%となっています。
上記の数値から、あなたのホテルや旅館に限った話ではなく、宿泊業界全体として人手不足に陥っていることが分かります。業界全体の問題を解決することは容易ではありません。人手不足に陥っている原因は次項で述べていきます。
上記のレポートでは解消のために「マンパワーの増加と生産性向上のいずれかが求められる」とあります。当記事でも解説していますが、何らかの対策がなければホテル・旅館の人手不足のトレンドは継続することになるでしょう。
ホテル・旅館における人手不足の主な原因6項目
対策のために、まずは原因を確認しておきましょう。ホテル・旅館における人手不足の主な原因は以下のとおりです。
- 長時間労働の慢性化
- 賃金の低さ
- 離職率の高さ
- 休暇取得のしにくさ
- コロナ禍の影響
- 競合となるホテル・旅館の開業
長時間労働の慢性化
ホテルや旅館が人手不足に陥る原因として、長時間労働の慢性化が挙げられます。
ホテルや旅館を経営する場合、24時間365日体制が必要となるケースが大半です。よって従業員は基本労働時間内では業務を捌ききれず、長時間労働が常態化しやすくなっています。
長時間労働に繋がる業務の例として、宿泊客へのサービスや施設の管理などについては、休日や深夜でもスタッフの配置が不可欠です。他にも予約外の対応やクレーム対応など肉体的にも精神的にも厳しい仕事が多くあります。
加えて、夏休みなどの長期休暇やイベントなどでの需要が高まる繁忙期も、年に数回存在します。
これらによって、ホテルや旅館の従業員は長時間労働が慢性化しています。結果として激務のイメージが定着し、人手不足につながっています。
賃金の低さ
宿泊業界の賃金の低さも人手不足の原因に直結しています。
国税庁が発表した令和4年分民間給与実態統計調査結果によると、宿泊業・飲食サービス業の平均給与額は268万円でした。全体平均が458万円だったことから、同業界の給与は平均よりも大きく下回っていることがわかります。業界別で見ても最低水準でした。
賃金が低いのに、上記のように長時間労働の激務であるイメージが定着していれば人手不足に陥るのは当然でしょう。また低賃金では従業員のモチベーションが低くなりやすいため、宿泊客へのサービスに影響する可能性も高いです。結果として宿泊客も増えず、売り上げが低迷し、低賃金化する負のスパイラルに陥ることになります。
従業員の賃金が低いことは、ホテルや旅館の人手不足における深刻な問題です。
離職率の高さ
ホテルや旅館は離職率が高いことで人手不足に陥っています。
新しく入社する従業員がいても、離職されてしまえば当然人手不足は加速します。離職率が高い原因は、言うまでもなく、先述した長時間労働や低賃金です。賃金の低さで解説したように、ホテル・旅館の平均給与は全体平均を大きく下回っていることを解説しました。平均との比較ですから、ホテルや旅館と同じ時間の勤務で、もっと高額な給料をもらえる仕事があることに他なりません。
上記から宿泊業界は、いったん入社してもよほど宿泊業の仕事が好きな人以外は、転職をしても仕方がないと言える労働環境です。結果、従業員はもっと給料をもらえる仕事に転職していき、ますます人手不足が加速します。
休暇取得のしにくさ
自由に休みを取りづらいこともホテル・旅館の人手不足の原因と言えます。
ホテル・旅館の従業員は、有給取得率が低いです。厚生労働省が実施した令和4年就労条件総合調査によると、宿泊業・飲食サービス業の有給取得率は44.3%であり、業種別で見て最低水準でした。
従業員には有給休暇を取得する権利があります。しかし、人手不足の現状では有給休暇を取得しにくいです。経営者側からすると、人手が足りないので休みを承認しにくい状況にあります。また従業員側でも、特に責任感が強い人であれば「私が休むことで周りの従業員に迷惑がかかる」と考えてしまい、申請をためらってしまうでしょう。
ホテルや旅館は、休暇を申請する側も承認する側も抵抗を覚えてしまう労働環境になりがちです。このことが人手不足の原因となっています。
コロナ禍の影響
コロナ禍は、ホテルや旅館の人手不足に大きな影響をもたらしました。
コロナ禍によって、政府は緊急事態宣言やそれに伴う外出制限、入国制限を実施しています。これらを実施したことでイベント参加や旅行をする人が極端に少なくなり、結果的にホテルや旅館では宿泊客が激減してしまいました。その際に多くのホテルや旅館から人材が他業種に流出しています。
コロナ禍が落ち着いたことで、宿泊客の客足は戻りつつあります。しかし、人材流出した後の宿泊業界では対応できない状況です。各社は時給を高めるなどの対応で人材確保を急いでいます。しかし、コロナ禍によって、これまで解説してきた労働環境の劣悪さに加えて「緊急時に弱い」イメージが定着し、働きたい人が従来以上に減ってしまいました。
コロナ禍は、ホテルや旅館の人手不足にさらなる拍車をかけています。
競合となるホテル・旅館の開業
競合となるホテルや旅館が開業することも、ホテル・旅館の人手不足の原因になっています。
宿泊業界の労働環境が劣悪な中でも、起業家は新しいホテルや旅館を開業します。結果として、宿泊業界の中で少ない人手を奪い合う構図ができ、人手不足は解消しません。
またコロナが落ち着いてきたことに加え、大阪万博など国内の大きなイベントや、円安によるインバウンド需要の増加の影響で、今後も宿泊客の増加が見込まれます。このことからも、ホテルや旅館の開業は続くため、人手の奪い合いは続くことになるでしょう。既存のホテルや旅館は人材の引き抜きも考える必要があります。
競合となるホテルや旅館の乱立によって、宿泊業界の人手不足は加速することになるでしょう。
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ホテル・旅館の人手不足を解消するための対策
ホテルや旅館の人手不足に対して、打ち出せる対策は以下のとおりです。
- 労働環境を整備して働きやすい環境を作る
- 福利厚生を充実させて従業員の満足度を高める
- 採用と教育に力を入れて人的リソースを強化する
- マニュアルを整備して業務効率化を測る
- ツールを導入してIT化を進める
労働環境を整備して働きやすい環境を作る
ホテルや旅館の人材不足を解消するための最低条件として、労働環境を整備して働きやすい環境を作りましょう。
宿泊業界では「肉体的にも精神的にもきつい」「給料が安い」「拘束時間が長い」と、働きにくいイメージが定着している状況です。働きにくい環境だとわかっていながら働きたいと考える人は少ないでしょう。働く前からのイメージが、人手不足の原因となっています。
従業員の働きやすさは人手不足対策の鍵です。
- 適切な水準の給料
- 柔軟な労働時間
- 適切な休息時間の確保
- 休暇の取りやすさの確保
上記で挙げたように労働環境の整備が必要となります。まずは、最低でも一つ整えて、徐々に全体的な改善につなげていきましょう。
労働環境の整備によって働きやすさが改善すれば、従業員のモチベーション向上につながり、人手不足の解消は大きく前進します。
福利厚生を充実させて従業員の満足度を高める
福利厚生の充実が従業員の満足度向上につながり、人手不足解消に貢献します。
給料のベースアップや休暇の確保をいきなり実施するのはハードルが高いです。しかし、福利厚生は一時金や給料以外の費用で補えるため、前者よりもハードルが低い傾向にあります。
充実させるべき福利厚生の例として、以下があります。
- 健康保険
- 慶弔見舞金
- 家賃補助
- 社員旅行
- 子育て支援
- 産休や育休、妊婦検査の補助
- レジャー施設や学習機関との提携
- 系列社を利用する際の社割
- 退職金制度
- フレックス勤務や時短勤務の導入
充実した福利厚生は従業員の生活の安定感をもたらします。
従業員が安心して生活することは労働の大前提です。安心できる生活につながるよう福利厚生を整えて、働きやすさの改善に努めることが、人材不足の対策として有効です。
採用と教育に力を入れて人的リソースを強化する
採用や教育に力を入れて人的リソースを強化することも、人手不足の解消につながります。
言うまでもなく人手不足を解消するためには、従業員を増やす必要があります。従業員を増やすためには、採用活動に力を入れるべきです。転職サイトやエージェントといった転職サービスの利用、フリーペーパーへの求人広告の掲載など、求職者の目に留まるプラットフォームを利用して採用活動をしましょう。
またタイミーでも人材募集が可能です。特に「すぐに働きたい人」を募集するために最適なプラットフォームですので、ぜひご利用ください。
従業員の教育も大切なポイントです。入社後に適切な教育がないまま業務に臨むと、顧客満足度の低下や、生産性の低下につながります。本人もやりがいを見出せず、早期離職の原因にもなりかねません。従業員の教育にも力を入れましょう。
マニュアルを強化して業務効率化を図る
マニュアルの強化によって業務を効率化することも人手不足解消に貢献します。
ホテル・旅館の人手不足の実態で先述したように、人材不足解消のためには「マンパワーの増加と生産性向上のいずれか」が必要です。当項の内容は後者の生産性向上の内容となります。従業員一人一人の生産性が向上することで、時間あたりにできる業務量が増え、長時間労働の解消につながるためです。
まずはマニュアルを整備しましょう。従業員の教育につながる、属人的な業務が減るなど多くのメリットがあります。また一度マニュアルを整備すれば、働きながら気づいたポイントや、ノウハウの蓄積が可能です。マニュアルのブラッシュアップが可能となり、より生産性を高めることができます。
まずはマニュアルの整備に着手しましょう。そして徐々にブラッシュアップを重ねていくことで、人手不足解消につながっていきます。
ツールを導入してIT化を進める
ツールを導入してIT化を進めると、人手不足解消にもつながります。
ホテルや旅館では一見関係なさそうに見えるIT化ですが、多くの業務に利用が可能です。例として以下をIT化できます。
- 予約管理システム
- キーカードシステム
- 無人受付機
- 電子請求システム
- AIチャットボット
- 宿泊客の傾向分析
IT化が進めば業務効率化につながります。IT化によって一部作業の自動化はもちろんミスに気が付きやすくなるメリットがあるためです。加えて宿泊客にとっても「予約の取りやすさ改善」や「チェックイン手続きの簡略化」など満足度向上にもつながりやすくなります。
ただし、コストがかかる、ツールに使い慣れるまでに時間がかかるなどのデメリットもありますので、導入は慎重に行いましょう。
IT化によって業務効率化が進めば人手不足解消につながります。
人材不足の解消方法についてさらに詳しく知りたい方は、「人手不足を解消するにはどうすればよい?企業が取り組むべき対策や成功事例も紹介 | 欲しい時間の即戦力がすぐ見つかる」の記事も参考にしてください。
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ホテル・旅館の人手不足について今後の展望
ホテルや旅館における人手不足は今後解消されるのか、今後の展望を考察します。
結論から述べると人手不足の解消は難しいでしょう。理由は日本国内で少子高齢化が進んでおり、労働人口が年々減少するためです。現在、人手不足となっている宿泊業界に限らず、今後はさらに多くの業界で人手不足が進行するでしょう。
労働人口の減少は避けられませんが、それを補うために技術革新が続いており、各業界での活躍が期待されています。例としてChatGPTをはじめとする生成AIや、IoT、ロボットなど多くの技術が登場してきました。ホテルや旅館でもチャットボット、IoTによる宿泊状況や勤務状況の可視化、清掃ロボットによる業務の自動化など、今後はITの活用が増えていくでしょう。
今後のホテル、旅館経営のためには顧客満足度と従業員の満足度を向上させていく必要があります。しかし、接客に関して言えば、AIやロボットによる完全自動化はすぐには実現が難しいです。
経営者は従業員に任せるべき業務と、自動化すべき業務を分別し、貴重な従業員の力を必要な業務に割り当てるようにしましょう。
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まとめ
ホテルや旅館の人手不足について解説しました。ホテルや旅館の人手不足は長年解消されないままコロナ禍を迎えてしまい、状況がさらに悪化してしまいました。解消に向けた対策にすぐにでも取り掛かり、人手不足の脱出に向かっていきましょう。
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